技術資料  TSPB960005 題名    計算機コマンドのRosetta Stone 著者(著作権者) (c)竹中 誠 作成    1996年6月3日(最終改訂 1996年6月6日) ファイルサイズ 18,020B((max)80B x 340行) 要旨   UNIX, MVS/XA(IBM大型汎用機のOS), MS-DOSおよびMS-Winsows 95の 各OSの主要コマンドの対応表 価格   個人的に利用するのは無料(御寄付は歓迎します。cf.ホームページ の送金方法)。商業的利用はE-mailにて御相談下さい。 目次   1.UNIXとMVS/XAとMS-DOSのコマンドの対応表      2.UNIXとftpとMS-Windows 95のコマンド等の対応表      3.その他の用語の違い      4.まとめ 改訂 Rev.1 96/06/06 ファイルサイズ追加、表2(*7)修正 --------------------------------------------------------------------- 1.UNIXとMVS/XAとMS-DOSのコマンドの対応表 --- 神は、人間が計算機というものを作り、人間の能力以上の計算能力を得 て増長しているのを怒り、計算機のコマンドを幾種類にも違えて混乱させる罰 を与えたもうた。---  旧約聖書のBabelの塔の話ではありませんが、計算機のOS毎にコマンドが違う のはユーザーとしては、大変不便です。なぜ違うかの理由は、 (1)著作権法違反の訴訟対策(実際、A社がM社を訴えた裁判がありました) (2)宣伝上の理由("あそこのOSは、X社のまねだ"といわれるのは営業上不利です) (3)オリジナリティの強調(米国では、他と異なることが重要視されます) などが考えられます。まあ、違う理由を考えていてもしかたがないので、主要 コマンドのみですが、対応表を作りました。ときどき違うOSを使うとか、最近 別のOSを使うようになったという方は是非御利用下さい。  取り上げたOSは、UNIX、MVS/XA(IBM大型汎用機のOS)およびMS-DOSです。 コマンドは、UNIXのコマンドのABC順に並べています。この表1の使い方の例を 以下に示します。 (1) ええーと。ファイルを消すときは、UNIXでは、"rm file"だったけど    DOSでは、なんだったかなあ? (2) 表1より、UNIXの欄の"rm file"を見つける。 (3) "rm file"の行を横にたどりDOSの欄に"del file"を見つける。 (4) DOSのヘルプコマンドまたはマニュアルで使って詳細な使用法を確認する。 >help del DOSのヘルプコマンドは、DOS/V機のMS-DOS 6.2/V以降で使えます。Windows 95のDOS窓でも使えます。しかし、当方所有のNEC PC9821Cx2/S17Tの Windows 95のDOS窓では使えないので、NECの98シリーズのDOSでは、help    コマンドは使えないかもしれません。その場合は、御手数ですが、マニュ アルで使用法の詳細をお調べ下さい。 (5) 実際にコマンドを使用する。例えば、abc.txtというファイルを消す場合は 次のように入力します。 >del abc.txt  DOSのコマンドからUNIXのコマンドを探す場合もほぼ同じようにします。 ただし、UNIXのコマンドの使い方を説明するコマンドは、manです(manualの意味)。 例えば、ファイルを消すコマンド"rm"の詳細を知りたい場合は、  %man rm と入力します。ここで"%"は入力要求の文字でシステムから送ってきますので、 ユーザが入力するのは、"man rm"とリターンキーです。  とにかく、目的のコマンドの名称さえはっきりすれば、後はオンラインヘルプ かマニュアルを調べると何とかなる場合が多いと思います。また、表1の中で、 コマンド名の後に示したパラメータは、その通りタイプするのではなく、適宜 実際の名称を入力して下さい。 表 1  主要コマンド対応表(UNIX, MVS/XA, MS-DOS) ------------------------------------------------------------------------------- コマンドの機能   UNIX MVS/XA MS-DOS Bourne or C Shell MTSM Ver.5 or 6 (メーカー) HP or SUN IBM Microsoft (年代) (1989-1995) (1979-1995) (1994-1996) 大文字と小文字の区別 あり       なし        なし ------------------------------------------------------------------------------- 入力要求文字 % or # or $ READY > カレンダーの表示 cal month year ファイル内容の表示 cat file l file type file ファイルの連結 cat file1 file2 >f3 copy file1+file2 f3 ディレクトリの移動 cd dir cd dir ファイルのアクセス権変更 chmod xxx file attrib ファイルのコピー cp file1 file2 copy file1 file2 copy file1 file2 現在の日付 date time date 現在の時刻 date time time 文字列の出力(表示) echo "str" echo "str" 作業の終了 exit logoff (POWER OFF) ファイルの種類 file file1 ファイルの検索 find dir -name file (継続行) -print 文字列の検索 grep str file find str file ファイルの16進表示 hd file (エディターで表示可) dump file 作業の開始 login: user_name (logon) (POWER ON) ファイルのプリント lp(r) file printo file print file ファイル名の一覧 ls (-l) listc dir コマンドの説明 man command help command (help command) ディレクトリの作成 mkdir dir mkdir dir ファイル内容の表示 more file(画面分毎) l file type file ファイル名の変更 mv file1 file2 rename file1 file2 rename file1 file2 プロセス状態の表示 ps 現在のディレクトリ pwd cd ファイルの削除 rm file del file del file ディレクトリの削除 rmdir dir rmdir dir shell scriptの実行 sh file ex file (BATCHファイル名) (バッチ処理の実行) ファイルのソート sort file1 >file2 sort file2 ファイルのback up tar cvf dev dir backup dir d: ファイルのrestore tar xvf dev restore d: dir OSのVersion表示 uname -a ver ファイルの編集 vi file ispf 2 (s)edit file (他のエディタ) (emacs file) edit file edlin file 全使用者の表示 who 使用者の表示 whoami who ロードモジュールの実行 ./(file名) call file(member) (file名) ------------------------------------------------------------------------------- (注記:幅が狭いので"*n"の位置は、明示しておりませんが、各OS順に注を付けています) (*1)パラメータ d: : ドライブ名(例えば a: など) dev : device名(例えば /dev/rst1 など) dir : ディレクトリ名 file, file1, file2, f3 : ファイル名 str : 文字列 xxx : 3桁の8進数(詳細は、マニュアルまたはman chmod) (*2)lp : UNIXでファイルをプリントするコマンドは、通常lprですがHP-UNIX等     では、日本語のテキストを標準プリンタに出す場合は、lpというコマ     ンドも使えることがあります。 (*3)emacs : UNIXのエディターです。誰かがインストールしていると使えます。 この改良版のmuleが使える場合もあります。 (*4)./(file名) : UNIXでも基本的には、ロードモジュールのファイル名を指定         すればよいのですが、例えばC言語のプログラムを"cc abc.c"         というようにロードモジュール名を指定せずにコンパイルと         リンクをするとロードモジュール名がディフォルトの"a.out"         となります。このため、a.outがあちこちにできてしまうこと         があります。a.outを指定して実行すると、pathに指定した         ディレクトリの順にファイルを探していき、最初に見つけた         a.outを実行します。また、pathに現在のディレクトリ"."が         指定されていないと、現在のディレクトリにあるロードモジ         ュールを実行できません。というような事情があるので、         現在のディレクトリにあるロードモジュールを実行する場合         には、"./ファイル名"とする事をおすすめします。 (*5)ispf 2 : これは、spfという作業能率向上のための統合環境の2番目の機能       のエディタを起動するという意味です。 (*6)call file(member) : member名は、ロードモジュールのファイルがパーティ             ションド・データ・セットの場合のみ必要です。 (*7)help : DOSのhelpコマンドは、NECの98シリーズや古いVersionのDOSでは、      使えない可能性があります。マニュアルを御使用下さい。 (*8)backup/restore : DOSのbackupとrestoreコマンドは、MS-DOS 6.2/Vでは、 msbackupと入力してででくるメニューで操作するようです。 (*9) (s)edit : MS-DOS 6.2/Vには、MS-DOS Editorというスクリーンエディタが        ついています。起動するには、"edit ファイル名"と入力します。 NECの98シリーズのMS-DOS 6.2では、少し違う"SEDIT"というス        クリーンエディタがついています。マニュアルによると128KB        までのファイルを編集できるそうです。  最近のMS-DOSには、スクリーンエディタがついているということは、知って いましたが、helpコマンド(DOS/Vのみ)が使えるのは、今回初めて知りました。 ”遅かりし由良之助”ですね。...DOSはもうあまり使われていない。...そう 表1のDOSは、MS-Windows 95にすべきですね。--- 藪蛇でした。 2.UNIXとftpとMS-Windows 95のコマンド等の対応表  それでは、表1のDOSをMS-Windows 95に代えたものを表2に示します。つい でにMSV/XAのところには、ftpのコマンドを書いてみます。ftpは、OSではなく コンピュータ間のファイル転送のためのソフトですが、ファイルの取り扱いの ためのコマンドがいくつかあり、また、最近インターネットでWebのページを 送るのによく使われるので取り上げました。この表では、MS-Windows 95に標 準で付いてくるDOS窓から使うftpのコマンドを書いています。しかし、HPや SUNのWork Stationのftpや、CONTEC社のパソコン用Ethernetカードに付いてく るftpなどのコマンドもほとんど同じだったように思います。すべて、米国の ARPAプロジェクトのftpコマンドを踏襲しているのでしょう。 表 2  主要コマンド対応表(UNIX, ftp, MS-Windows 95) ------------------------------------------------------------------------------- コマンドの機能   UNIX ftp   MS-Windows 95 Bourne or C Shell MS-Windows 95添付 大文字と小文字の区別 あり                 あり ------------------------------------------------------------------------------- 入力要求文字 % or # or $ ftp> カレンダーの表示 cal month year ファイル内容の表示 cat file メモ帳(64KBまで) ファイルの連結 cat file1 file2 >f3 ディレクトリの移動 cd dir cd remote_dir EP lcd local_dir ファイルのアクセス権変更 chmod xxx file (注記 *3) EP/ファイル/プロパティ ファイルのコピー cp file1 file2 EP/(ファイル選択)編集/コピー                            (コピー先選択)貼り付け 現在の日付 date タスクバーの時刻をポイント 現在の時刻 date タスクバーに表示 文字列の出力(表示) echo "str" 作業の終了 exit bye スタート/Windowsの終了 ファイルの種類 file file1 EP/ファイル/プロパティ ファイルの検索 find dir -name file         スタート/検索 -print 文字列の検索 grep str file            (秀丸等のgrep) ファイルの16進表示 hd file 作業の開始 login: user_name ftp サーバ名 (POWER ON) ファイルのプリント lp(r) file         (メモ帳/ファイル/印刷) ファイル名の一覧 ls (-l) dir remote_dir EP コマンドの説明 man command ? (command) スタート/ヘルプ ディレクトリの作成 mkdir dir mkdir remote_dir EP/新規作成/フォルダ ファイル内容の表示 more file(画面分毎) メモ帳(64KBまで) ファイル名の変更 mv file1 file2 rename file1 file2 EPでファイル名をゆ                               っくり二回クリック プロセス状態の表示 ps 現在のディレクトリ pwd pwd ファイルの削除 rm file delete file EP/ファイル/削除 ディレクトリの削除 rmdir dir rmdir remote_dir EP/ファイル/削除 shell scriptの実行 sh file ファイルのソート sort file1 >file2 ファイルのback up tar cvf dev dir バックアップ ファイルのrestore tar xvf dev バックアップ OSのVersion表示 uname -a スタート/設定/コントロール                          パネル/ヘルプ/バージョン情報 ファイルの編集 vi file     メモ帳(64KBまで) (他のエディタ) (emacs file) (秀丸等) 全使用者の表示 who 使用者の表示 whoami ロードモジュールの実行 ./(file名) EP/(file名をダブルクリック) or                          スタート/設定/タスクバー/ スタートメニューの設定/追加 先方へファイルを送る put file 先方へファイルを送る(複数) mput (*.gif等) 先方からファイルを得る        get file 先方からファイルを得る(複数) mget (*.txt等) 転送モードをbinaryにする binary 転送モードをasciiにする ascii bufferの転送毎に"#"を表示する hash ------------------------------------------------------------------------------- (注記) (*1)パラメータ dev : device名(例えば /dev/rst1 など) dir : ディレクトリ名 remote_dir : remote host(先方)のディレクトリ名 local_dir : local host(当方)のディレクトリ名 file, file1, file2, f3 : ファイル名 str : 文字列 xxx : 3桁の8進数(詳細は、マニュアルまたはman chmod) (*2) cd remote_dir : remote hostでのディレクトリの移動 lcd local_dir : local hostでのディレクトリの移動 (*3) ftpでのfileのアクセス権変更: UNIXでは、通常telnetでloginして、chmodで変更する。しかし、インター   ネットのプロバイダによっては、ftpでWebページの設定を行わせるところ   がある。この際、cgiスクリプトなどには、ファイルの実行権を設定する必   要がある。例えば、NECのmeshでは、abc.cgiというファイルを送った場合は、 ftp> put abc.cgi ftp> quote site chmod 755 abc.cgi   というようにしてファイルのアクセス権を変更できるようにしている。 (*4) ? : "?"のみを入力するとコマンドの一覧が表示される。また、"?"の代わ     りに"help"を用いても良い。 (*5)メモ帳 : Windows 95の左下のスタートボタンを一度クリックし、その後、       マウスのカーソルをプログラム、アクセサリ、メモ帳の順に動か       し、メモ帳の上でもう一度クリックするとメモ帳が起動する。       このような操作をこの表では、"スタート/プログラム/アクセサリ /メモ帳"と表記する。 (*6) EP : ここでのエクスプローラ(Windows 3.1のファイルマネージャのよう      なもの)の略称。実行は、"スタート/プログラム/エクスプローラ"と      する。この表では、"EP/A/B"は、"エクスプローラのメニューAを選ん だ後、メニューBを選ぶ"を示すことにする。 (*7) EPでファイルの移動/コピー : 普通のファイルはEPでドラッグすると      ファイルの移動になり、"CTRL"キーを押しながらドラッグするとコ      ピーとなる。しかし、ロードモジュール(EXEファイル)の場合は      ショートカット(リンクのようなもの)ができる。また、フロッピー      ディスクにコピーする場合は、ファイルをクリックして選択した後      "ファイル/送る/3.5インチFD"を使うのが良い。また、ファイルを      複数選ぶには、"CTRL"キーを押しながら順次クリックしていく。 (*8)秀丸 : Windows 95/3.1用のエディタ(シェアウェア)。Niftyからdown load      できる。また、インターネットマガジンの付録のCR-ROMについてい      ることもある(1996年4-7月号)。 3.その他の用語の違い 3.1クイズ  計算機の中に住んでいて、呼ばれると出てきて、仕事をまとめてやってすぐ 帰っていくもので、住む場所によって、5つ以上の違う名前で呼ばれるものは何 でしょう? 答えは、"シェル・スクリプト|シェル・プロシジャー|シェル・ファイル| コマンド・プロセジャー|カタログド・プロセジャー|バッチファイル| マクロコマンド”です。つまり、コマンドを実行順にファイルに入れておいて、 そのファイル名を指定して作業をバッチ処理してくれるもののことです。  "shell script, shell procedure, shell file"は、UNIXの場合の呼び方です。 if文やwhile文があるし、sed, grep, awkなども使えるのでなかなか強力です。  "command procedure"は、IBMの汎用機のMTS(Multi Terminal System)のコマ ンドで使われるものです。機能はかなり豊富です。  "cataloged procedure"は、IBMの汎用機のbatch jobのコマンドで使われる もので、コマンドとしては、"EXEC"と"DD"の二つしかありません。しかし、 "DD(define data setかdata set definitionの意味)"の書き方は、かなりの熟 練を要します。省略して"カタプロ"と呼ばれることもあります。  "batch file"は、MS-DOSでの呼び方です。ちょっとわかりにくい名前です。 機能は、あまり豊富ではありません。  "macro command"は、大型汎用機HITAC 8800/7700のOS7での呼び方です。 同じようなものは、同じような名前を付けてほしいものですね。ちなみに MS-Windows 3.1/95上で使うアプリケーションプログラムで、このような機能 を持っている場合には、"マクロ"と呼ばれることが多いようです。 3.2 装置等の名称  そのほかに装置等では、次のようなものが異なる名前で呼ばれています。 最後のUNIXは、装置ではないですがついでに挙げておきます。 (1)ファイル:IBMでは、データセットと呼んでいる。 (2)フロッピーディスク:IBMでは、ディスケットとよんでいる。 (3)TSS(time sharing system):IBMでは、MTS(multi terminal system)とよん                でいる (4)CRT(cathode ray tube):VDT(video display terminal)と呼ぱれることが   ある。 (5)カード(基盤):アダプタと呼ばれることがある。(例 SCSIIホストアダプタ) (6)host(LANやInternetに繋がれている計算機):nodeと呼ばれることがある (7)UNIX : IBMではAIX、HPではHP-UX、SUNでは、Solarisとよんでいる。      これは、UNIXの商標権を以前はAT&Tが(今はUNIX System Laboratories, Inc.)が所有している関係で、こうなっているらしい。 4.まとめ  表1および表2で、UNIX, MVS/XA, MS-DOS, ftp, MS-Windows 95の主要コマ ンドの一覧ができました。なお、これらのコマンドを実行する前にオンライン ヘルプやマニュアルで使用法をよく御確認下さい。特にファイルやディレクト リの消去は気を付けて下さい。UNIXでは、何の確認もなく消したり上書きし たりします。本文や表1や表2の不備が原因で貴方のファイルが消えても当方は、 責任を持てませんので悪しからず御了承下さい。まず、ファイルのコピーを 覚えてバックアップをとってから、作業をするのが安全です。 *** 重要 ---> 消えぬ前のバックアップ ***  表1と表2を覚えたら、もうあなたは計算機のMultilingal Expertです!?