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出水兵児修養掟 士ハ節義を嗜み申すべく候。 節義の嗜みと申すものは口に偽りを 言ハず身に私を構へず、心直にして 作法乱れず、礼儀正しくして上に諂ら ハず下を侮どらず人の患難を見 捨てず、己が約諾を違ヘず、甲斐かい しく頼母しく、苟且にも下様の賤しき 物語り悪口など話の端にも出さず、譬 恥を知りて首刎ねらるゝとも、己が為す まじき事をせず、死すべき場を一足も 引かず、其心鐵石の如く、又温和慈愛 にして、物の哀れを知り人に情あるを 以て節義の嗜みと申すもの也。 |
いずみへこ しゅうよう(の)おきて
しはせつぎをたしなみもうすべくそうろう。 せつぎのたしなみと もうすものはくちにいつわりを いわず みにわたくしをかまえず,こころすなおにして さほうみだれず,れいぎただしくして かみにへつら わず しもをあなどらず ひとのかんなんをみ すてず,おのがやくだくをたがえず,かいがい しくたのもしく,かりそめにもしもざまのいやしき ものがたりあっこうなどはなしのはしにもださず,たとえ はじをしりてくびはねらるるとも,おのがなす まじきことをせず,しすべきばをひとあしも ひかず,そのこころてっせきのごとく,また おんわ じあい にして,もののあわれをしりひとになさけあるを もってせつぎのたしなみともうすものなり。 |
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人は日頃から節義を心がけなければならない。 節義の心がけとは,嘘を言わず,自分勝手でなく,ひねくれず, 立居ふるまい挨拶など社会のきまりに合った交際上の動作や作法 を身に付け,地位の高い人に気に入られようとしてこびることなく, 地位の低い人を見下げてばかにすることなく,他人の災難や心配ごと などを見捨てず,引き受けた事はやりとおし,勢いよく労を惜しまず, 手ぎわよく,はっきりした態度で物事を行ない,頼みにできるさまで あること。 一時的であっても卑しい様子やふるまいについて語り合ったり人を悪く いうことなど会話のちょっとした部分にも出さず,たとえ面目を失い名誉 を傷つけられて職を失うことになっても,自分がすべきでないことはせず 決死の覚悟を決めた時には気おくれせず,その精神は強固でやさしく 深い愛情があり,情趣・風流を理解する洗練された心と思いやりのある 温かい心を持つことを節義の心がけと言う。 |

(C) 1997 by Uchinoura Akira