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楽器の設定は邦楽器(箏、三絃、尺八)にしているのですが、時間が経過していますので、お聞きになるパソコンの音源によっては、変な音で再生される可能性があります。また、このMIDIファイルから五線譜を出力した場合、一部楽譜と異なる場合があります。
MIDI FILE:3ca0006a.mid(10:00,48KB)
曲のタイトルは「はすのうてな」と読みます。一尺八寸管(d)と二尺三寸管(A)による四重奏曲です。
軽快な前奏部につづいて、静かにゆったりとした主題が始まります。やがて4本の尺八が重なって、和声の光を放ちます。後半部は、テンポを速め、下降を繰り返すリズムにのって伸びやかなメロディーが展開します。そして、前奏部と同じ旋律が再現され、コーダに入っていきます。
恵心僧都(えしんそうず)源信(げんしん)は、その著書「往生要集(おうじょうようしゅう)」の中で、極楽世界の姿を鮮やかに描いている。日本における浄土教は、やがて法然、親鸞、一遍へと受け継がれていくが、その過程は、美的な観点からいえば、源信を頂点とし、しだいに後退していく過程であったともいえるであろう。源信の描いた浄土は、貴族文化の放つ最高かつ最後の輝きであったかのように思えるのである。その輝きは細く弱い光となって時を超え、今、ここに四本の尺八によって再び光明を放とうとしている。白蓮華(びゃくれんげ)は開花し、あふれる光の中に、やがて阿弥陀聖衆(あみだしょうじゅ)の来迎(らいごう)を目にするのである。
(第21回S大学三曲同好会定期演奏会プログラムより)