曲の説明
花(はな)咲(さ)く季節(きせつ)に
立春を過ぎると、冬の冴えた空気が何となく和んできて、オオイヌノフグリの青い可憐な花が咲き始めると、春への期待が膨らんできます。小学校に上がる前に住んでいた家は、裏がすぐ田んぼで、冬は稲の切り株ばかりが目立っていたのが、気がつくといつの間にかれんげ草が咲き乱れているのでした。遠くに見える山も、冬のくっきりとした姿から、緑がかってきているようです。そして、春の盛りには一面の菜の花を風が吹き渡っていくのでした。
そんな原体験をもとに、俳句の季語から「れんげ田(れんげだ)」「山笑う(やまわらう)」「花菜風(はななかぜ)」の3つを選んで、箏と尺八による合奏曲を作ってみました。
れんげ草の和名は「紫雲英(げんげ)」ともいうそうですが、私は子どもの頃から「れんげ」のほうになじんできました。その根にバクテリアが共生し窒素を蓄えるので、田んぼに鋤(す)きこんで肥料としたそうです。紫の雲が低くたなびくような「れんげ田」の風景も、今は見かけることがなくなりました。
季語の「山笑う」は、春になって山の木々が芽吹き、花も咲き始めて、明るく生気に満ちた感じになるさまをいうそうです。れんげ田から見渡すと、そこまでは見えませんでしたが、春の山は穏やかに優しく見えたものです。
菜の花は、早いところでは1月くらいから咲き始め、5月くらいまで春を彩ってくれますが、その黄色い花色は気持ちも明るくしてくれます。菜の花畑を吹き渡る風が黄色い花々を揺らす頃、私は新しい地に旅立つことになったのでした。花咲く季節は、別れの季節でもあり、新しい世界に胸膨らませる季節でもあります。
音源
mp3 FILE:3ka010a_花咲く季節に v1.0.mp3(8:26)
楽譜
五線譜(スコア):3ka010g_花咲く季節に(五線譜) v1.01.pdf
縦譜(スコア):3ka010j_花咲く季節に(縦譜/スコア) v1.01.pdf
縦譜(箏譜):3ka010pk_花咲く季節に(縦譜/箏譜) v1.01.pdf
縦譜(尺八譜):3ka010pt_花咲く季節に(縦譜/尺八譜) v1.01.pdf
五線譜は「MuseScore」、縦譜は佐藤祈采氏ご提供の「JapoScore」を使用しています。
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