曲の説明
蓬萊(ほうらい)の風(かぜ)
日本最古の物語と言われる『竹取物語(たけとり ものがたり)』。かぐや姫が、言い寄ってきた5人の公達(きんだち)(石作皇子(いしづくりのみこ)、車持皇子(くらもちのみこ)、右大臣阿倍御主人(うだいじん あべのみうし)、大納言大伴御行(だいなごん おおとものみゆき)、中納言石上麻呂(ちゅうなごん いそのかみのまろたり))に難題を持ち掛けるのは、ご存じのとおり。
この5人の中でも、蓬萊の玉の枝を求められた車持皇子は、財力に任せて偽物を職人に作らせ、いかにも蓬萊に苦労して行ってきたような話をでっち上げ、なかなかもって質(たち)が悪い人物(心たばかりある人)として描かれています。
もし、この車持皇子がもっと正直な人で、実際に蓬萊山に玉の枝(根が銀、茎が金、実が真珠の木)を求めに行っていたならば、どうだったろうと想像して作ったのが、この曲です。もともと蓬萊山自体が想像上のものですから、どのように想像力を働かせたとしても、かまわないでしょう。
「荒波(あらなみ)を越(こ)えて」「玉(たま)の枝(えだ)のそよぎ」「不老(ふろう)の白煙(はくえん)」「人(ひと)阻(はば)む岩壁(がんぺき)」「名残(なご)りの海原(うなばら)」「憧(あこが)れの心(こころ)」の6つの部分から構成しました。
蓬萊山を求めて海に乗り出し、遠くに玉の枝がそよぎ、不老長寿の白煙がたなびいているのが見えるのですが、厳しい岩壁が人を寄せつけません。たちまち蓬萊の山は幻と消え、そこには海原を風が吹き渡るばかり。理想郷は憧れの世界にあるからいいのであって、最後に玉の枝のテーマを振り返って、終曲を迎えます。
(注) 縦譜につきましては、当該楽器のほかに他の楽器のパートを補助的に記載しています。ただし、複数のパートを集約し、オクターブも変えているところがあります。また、十七絃は箏に置き換えて記載しています。正確には、五線譜(スコア)をご参照ください。
音源
mp3 FILE:3ka026a_蓬萊の風 v1.01.mp3(9:21)
YouTube:「蓬萊の風」の動画(9:25) 風間禅寿氏のサイト
楽譜
縦譜(箏・十七絃譜、三絃譜挟み込み)、縦譜(尺八譜)は大日本家庭音楽会から出版されております。
五線譜(表紙、調弦表):3ka026bg_蓬萊の風(五線譜/表紙・調弦表) v1.01_compressed.pdf
五線譜(スコア):3ka026g_蓬萊の風 v1.01.pdf
五線譜は「MuseScore」、縦譜は佐藤祈采氏ご提供の「JapoScore」を使用しています。
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