曲の説明
緑彩(りょくさい)の刻(とき)
夏の盛りに、山の中の緑に囲まれたお寺を訪れました。観光案内によると、最寄り駅から徒歩1時間30分とあるくらいの俗世間から離れた静かな地です。あいにく小雨が降る天気でしたが、夏の強い陽射しが隠れ、しっとりとした風景に接することができました。そのときの印象をもとに、「堂宇巡礼(どううじゅんれい)」「睡蓮(すいれん)の池(いけ)」「花菩薩(はなぼさつ)」「彩(いろど)り来迎(らいごう)」の4つの部分から構成してみました。
山門を入ると、右手に本堂があり、ご住職がいい声で由来などを話してくださいます。さらに歩みを進めると、石塔や朱塗りの三重塔(さんじゅうのとう)、その先には鐘撞堂(かねつきどう)もあります。
お寺の縁起(えんぎ)によれば、創建は8世紀に遡るようですが、ご本尊(ほんぞん)は阿弥陀如来(あみだにょらい)で、睡蓮(すいれん)の咲く池もあって、浄土信仰(じょうどしんこう)が盛んなりし頃の平安時代の趣(おもむき)をたたえています。
このお寺は、花のお寺としても知られているようで、訪れたときは百日紅(さるすべり)が淡い紅(くれない)の花を咲かせていました。あれこれと心悩ますこともない花々は、修行にいそしむ菩薩(ぼさつ)の姿に重なるようにも思えました。
やがて雨があがると、柔らかな光が木々の葉の隙間から射し込み、聖衆来迎図(しょうじゅらいごうず)よろしく、キラキラと輝く世界に取り込まれるようでした。
山門を後にすると、いつもの俗世間に染まるのですが、少しばかり心に残るものがありました。
(注) 縦譜につきましては、当該楽器のほかに他の楽器のパートを補助的に記載しています。ただし、複数のパートを集約し、オクターブも変えているところがあります。正確には、五線譜(スコア)をご参照ください。
音源
mp3 FILE:3ka027a_緑彩の刻 v1.0.mp3(7:58)
楽譜
縦譜(箏・十七絃譜)、縦譜(尺八譜)は大日本家庭音楽会から出版されております。
五線譜(スコア):3ka027g_緑彩の刻(五線譜) v1.01.pdf
五線譜は「MuseScore」、縦譜は佐藤祈采氏ご提供の「JapoScore」を使用しています。
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