
曲の説明
ちろり
地震や水害、事故や戦争、火災や犯罪と理不尽なことが相次ぎますが、歴史を振り返ってみれば、理不尽なことの連続で、そうした中でも人々は逞しく生き延びてきた結果、今日の私たちがあるのでしょう。応仁の乱で京都が焼け野原になった室町時代も理不尽なことが続いていたのかもしれませんが、『閑吟集(かんぎんしゅう)』(1518年成立)の歌の中には、厭世(えんせい)気分が漂うとともに、苦しみや痛みを乗り越えてきた人々の姿が垣間見られます。『閑吟集』の中から3つの小歌(こうた)を題材にして、曲をつくりました。
世間(よのなか)は ちろりに過(すぐ)る ちろりちろり (49)
人の心は知られずや 真実(しんじつ) 心は知られずや (255)
何(なに)せうぞ くすんで 一期(いちご)は夢(ゆめ)よ ただ狂(くる)へ (55)
いろいろなことがあっても、世の中は瞬く間に過ぎていきます、ちろりちろりと。人と人との付き合いなのか、男女の仲なのか、人の心はわからないものです、ほんとうに。まじめくさったところで、一期は夢。ただただ狂ったように生きよう。そんなメッセージのように思えてきます。
参考文献:『閑吟集』(真鍋昌弘校注 岩波文庫)、つれづれの文車―趣味の文書室―
(注) この曲は、箏✕2・十七絃・三絃による四重奏曲ですが、オプションで尺八✕2パートを追加することができます。演奏会の合同曲などとして演奏する場合に、ご活用ください。
(注) 縦譜につきましては、当該楽器のほかに他の楽器のパートを補助的に記載しています。ただし、複数のパートを集約し、オクターブも変えているところがあります。また、十七絃は箏に置き換えて記載しています。正確には、五線譜(スコア)をご参照ください。
音源
mp3 FILE:3ka037a-01_ちろり v1.0.mp3(6:38)
mp3 FILE(尺八オプション):3ka037a-02_ちろり v1.0(尺八オプション).mp3(6:38)
楽譜
縦譜(箏・十七絃譜、三絃譜挟み込み)は大日本家庭音楽会から出版されております。
五線譜(スコア):3ka037g_ちろり(五線譜) v1.01.pdf
オプション 縦譜(尺八譜):3ka037jt_ちろり(縦譜/尺八譜)v1.01.pdf
五線譜は「MuseScore」、縦譜は佐藤祈采氏ご提供の「JapoScore」を使用しています。イメージ写真はphotoAC素材を使用しました。
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