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曲の説明
蘭が薫れば
中国では、高潔な人格、優れた徳の持ち主は、蘭に喩えられてきました。前漢の時代の典籍『淮南子(えなんじ)』には、「蘭生幽谷、不為莫服而不芳」(蘭は幽谷(ゆうこく)に生え、もって服す者が莫(な)くとも芳(かぐわ)し)とあります。深い谷間に生える蘭は、誰もその香りを嗅ぐ者がいなくても芳香を放ち続けるという意味で、人に知られずとも自らの価値を追求し続けることの重要性を示しています。また、薫陶(くんとう)という言葉があるように、その香りは周りの人々によい影響を与えるという意味もあるようです。
今日では、SNSが普及して情報が溢れかえり、よい情報だけでなくネガティブな情報も流布されることから、立派な人が生まれにくいのかもしれませんが、蘭のように高潔で気品があり、社会によい香りを放つような人が現われてほしいものです。
蘭も品種改良が行われ、花屋さんの店頭を華やかに飾っていますが、日本には地味ながら美しい野生の蘭があります。その中から3種を選んで「金蘭の微笑み(きんらんのほほえみ)」「銀蘭の慎み(ぎんらんのつつしみ)」「紫蘭の華やぎ(しらんのはなやぎ)」の3つのシーンで構成しました。都会に住んでいると(園芸品種の紫蘭以外は)目にする機会はほとんどないと思いますが、幽谷にまで行かないまでも、春になれば里山の林の下などでひっそりと咲いています。
(注) 縦譜につきましては、当該楽器のほかに他の楽器のパートを補助的に記載しています。ただし、複数のパートを集約し、オクターブも変えているところがあります。また、十七絃は箏に置き換えて記載しています。正確には、五線譜(スコア)をご参照ください。
音源
mp3 FILE:3ka051a_蘭が薫れば v1.0.mp3(7:49)
楽譜
五線譜(スコア):3ka051g_蘭が薫れば(五線譜) v1.0.pdf
縦譜(箏・十七絃譜):3ka051jk_蘭が薫れば(縦譜/箏・十七絃譜)v1.0.pdf
縦譜(三絃譜):3ka051js_蘭が薫れば(縦譜/三絃譜)v1.0.pdf
縦譜(尺八譜):3ka051jt_蘭が薫れば(縦譜/尺八譜)v1.0.pdf
五線譜は「MuseScore」、縦譜は佐藤祈采氏ご提供の「JapoScore」を使用しています。
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