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緑のハインリヒ midori no hainrihi

クイズ・ミリオネア
愛の貧乏ミッションインポッシブル
背水の陣・貧乏法人特集

 

司会 みのもんた
挑戦者 各界の貧乏法人から代表者一名

  会場に現れるみのもんた

みの「早押し並べ替えクイズ!
   次のスマップのメンバーを
   イイ男順に並べなさい」

A:草薙 剛
B:香取慎吾
C:木村拓哉
D:中居正広
E:稲垣吾郎

みの「さぁ、答えを見てみましょう。
   もちろん、正解なんてありまえん。
    早い者勝ち、迷ったら負けということですね。
   意表をついた第一問
   一番早かったのは、

  ジングル、鳴り響く

   久利生公平、
   テイト湾岸現代美術館、
   エデュケーター」

ナレ『久利生さんのはや押しは、なんと2秒!』

みの「いや、ようこそ、いらっしゃいました。
   今日は視聴率とれそうですね。
   木村さん本人が来ちゃったのかと
   思いましたよ」

公平「はぁ、どうも・・・」

みの「よく間違われるでしょう?
   モテるんでしょうねぇ?」

公平「みのさんほどじゃないです・・・」

みの「お世辞もハイブロ〜ですねぇ。
   ところで、こまってるんですってぇ?
   テイト湾岸現代美術館。
   みなさん、御存知ですか?
   久利生さんがお勤めの美術館は、
   石原都知事のせいで、
   カジノになっちゃうかもしれないんですよ」   

ここで流れる、美術館で働く公平の日常VTR。

ナレ『そぉう!三度のご飯より、
   映画とカジノが大好きな石原都知事が、
   空前絶後の不人気を誇る、
   巨大ゴージャス美術館に目をつけたのは、
   今から3年前。
   お金ばっかりかかって、
   人が全然こないなんて、
   税金の無駄遣いだと都議会で吼えに吼え、
   最低動員数ラインを可決。
   本年度末までにそれ達しないと、
   久利生さんの働く美術館は、
   カジノになってしまぁう!
   どうするぅ、テイト湾岸現代美術館〜』

みの「いやぁ、
   絵に描いたような背水の陣ですね」

公平「はい。五里霧中、四面 楚歌です」

みの「そうですか…でも、おまかせください。
   クイズ・ミリオネアは、
   そういう人たちを救いたい。
   久利生さんのために、
   こちらも空前絶後の賞金をご用意いたしました。
   なんと、賞金、5000万円」

  横にせりあがってくる5000万円の現ナマ。
  チラッとみて、あらためてため息をつく公平。

公平「すっげ〜」

みの「もし、5000万円獲れたら、
   どうしますか?」

公平「石原都知事とカジノに行って、
   10倍にしましょう」

みの「そのときは僕も、
   ぜひ!連れてってください。笑。
   真面目な話、何か計画でもあるんですか?」

公平「まぁ、みんないろんなこといってるんですけど。
   A:美術館の庭を広葉樹林にして
     ビアガーデンを開く
   B:美術館、博物館向けの地域通貨を作る
   C:ヘッジファンドを駆使して荒稼ぎする
   D:石原都知事を買収する」

みの「・・・Dが、よさそうですね」

  美術館の外まわりの映像、インサート。

ナレ「そう、テイト湾岸美術館は、
   あのヴィーナスフォートのとっても近く。
   美術館ができた当時の造園計画は、
   石原都知事になってから、凍結したまま。
   だだっ広い敷地にはベンチひとつな〜い。
   でもぉ、ここを広葉樹林の林にして、
   ビアガーデンを作ったら、
   人が来ると思っているのかぁ?」

     美術館の何もない庭の映像。

  みの「あの、久利生さん、ここだけの話、
   動員目標のどのくらい
   達成できているんですか?」

  ちょっと困った顔した後に、
  わざわざ席を立って、
  みのに耳打ちする公平。
  それを聞いて、厳しげな顔になるみの。

みの「・・・久利生さん、協力しましょう。
   そういう美術館のために、
   クイズミリオネアはあるんです。
   今日の応援はどなたが?」 

公平「えっと、
   マスコットのわんわんです」

  雨宮の入ったわんわん、
  カメラに向かって手を振る。
  顔がすっぽり隠れるバージョンを被っている。

みの「いやぁ、ミリオネアはじまって以来ですよ、
   着ぐるみで登場は。
   あれは何ですか?」

公平「石原知事が、これを着て頑張んなさいと、
   激励を込めてくださったものです」

みの「なるほど。都知事からの賜りものですか」

公平「はい」

みの「・・・焼け石に水ですね」

     公平、苦笑い。
    着ぐるみのわんわん、あたまをかく。

ナレ「勤務先にリストラされるのは当たり前だけど、
   勤務先がリストラされちゃう非常事態。
   責任重大の久利生さんの挑戦が始まる」

● 1万円の問題

みの「ゲル貧の『ゲル』はもともと何語?」

A:フランス語
B:ギリシャ語
C:ロシア語
D:ドイツ語

  公平「Dのドイツ語」

みの「D、ドイツ語。ファイナルアンサー?」

公平「ファイナルアンサー」

みの「正解」

● 2万円の問題

みの「大杉栄の言葉『失敗はなお○○に勝る』に、
   当てはなる言葉は次のうちのどれ?」

公平「なんか、いつもよりすごく難しくないですか?
   だって、普通一万円とか2万円の問題って、
   四角形の角はいくつとか、
   赤鉛筆の芯は何色とか、そんなんでしょう?」

みの「最高賞金5000万円ですから。
   いつもの5倍難しくなってます」

公平「・・・・はい」

A:無策
B:無視
C:無為
D:無論

公平「大杉栄って、関東大震災の時に甘粕大尉に
   伊藤野枝と殺された政治犯ですよね?」

みの「よくご存知ですね〜」

公平「『知ってるつもり』で見ました」   

みの「日テレは、『思いっきり』も
   タメになりますよ」   

公平「はい。朝はしっかりとココア飲んでます」

みの「そうでなくっちゃ。で、お答えは?」
     
公平「Cの『無為』でお願いします」   

みの「ほぼ、即答ですね。
   ファイナルアンサー?」   

公平「ファイナルアンサー」   

ナレ『久利生さんは意外にもとぉ〜っても
   テレビっ子だった。
   普通なら100万円クラスの難問にも
   スラスラ回答。
   しか〜し、今夜のミリオネアはちょっと違う』

● 3万円の問題

みの「次のユニットの中で、
   一番歌がうまいのはどれ?」   

公平「は?」   

みの「一番、歌がうまいのはどれ?」

A:kinkikids
B:TOKIO
C:SMAP
D:V6   

公平「・・・・・・・
   『オーディエンス』お願いします」   

みの「因みに、久利生さんは、
   どのユニットがうまいと思ってるんですか?」

公平「・・・SMAPじゃないことだけは…
   確かだと思います」   

みの「それじゃ、皆さんにおうかがいします」

A:KinKi Kids ●●●●●●●●●●
B:TOKIO      ●●●●●●●  
C:SMAP       ●●●●
D:V6         ●●●●●●●●   

みの「ということらしいですけど」   

公平「スマップ、ひく〜。(なさけね〜)
   んじゃ、皆さんを信じて、
   Aの『KinKi Kids』で
   お願いします」   

みの「A、キンキキッズ。ファイナルアンサー?」

公平「はい。ファイナルアンサー」  

みの「正解。らしい」

ナレ「なんだかとってもファジーな問題もクリアして、
   久利生さんの爆走は続く」

● 5万円の問題   

みの「ソニーの創始者、
   井深大(まさる)のことばは次のうちどれ?」

A:売り物に手抜きをするのは、
  貧乏人の下ごしらえ。
B:あらゆるいばらの道を切り拓き、
  誰も手がけない新しい創造と取り組め。
C:「忙しい」という言葉は、
  面倒くさいと思っているときによく使う。
D:アイデアは洗練されてはいけない。
  泥くさければ泥くさいほど成功する。

みの「久利生さんは確か、
   ソニー・フリークだそうですが?」  

公平「はい。これだけは自信があります。
   井深さんは、とても尊敬している人なんです。
   出井さんが社長になられた時に、
   創業者表敬で、井深さんのお宅を
   訪ねられた時の話なんですけど、
   井深さんは、わざわざ・・・」

     どんどんしゃべる公平。   

みの「あとでお伺いしましょう」←きっぱり。   

公平「・・・すみません、つい。
   えっと、Bで、お願いします」  

みの「Bですね。
   『あらゆるいばらの道を切り拓き、
    誰も手がけない新しい創造と取り組め』
   素晴らしい言葉ですね〜。
   いうのは簡単、やるのは至難。
   今の美術館にピッタリの言葉ですね」

公平「(苦笑)」

みの「B。ファイナルアンサー?」  

公平「ファイナルアンサー」

みの「・・・正解!」

ナレ『普通 なら、750万円ぐらいの問題なのに、
   まだ、たったの、5万円。
   この先、どんな難問が
   待ち構えているのかぁ〜?』

● 10万円の問題

みの「さて、やっと10万円まで来ました。
   はっきり言って、今日の問題は難しいです。
   オーディエンスの皆さんも、
   うなずいていらっしゃいます。
   自分たちに振られたのは、
   簡単でよかったなと。
   笑。
   さて、つべこべ言ってないで、
   先に進みましょう」

公平「よろしくお願いします」

みの「いいですね〜。その礼儀正しさ。
   10万円だど、苗木ぐらいは買えそうですか?」

公平「さあ〜、どうかなぁ?」

みの「では、10万円の問題です。
   『埋もれ木に花が咲く』ということわざは、
   世間から評価されず、
   不遇をかこっていた人に、
   幸運が訪れることもあるから、
   あきらめずに努力をすることが大事である
   という意味で通っていますが、
   この出典は、つぎのうちどれ?」

A:吾妻鏡
B:平家物語
C:方丈記
D:古事記

公平「今日の問題って、
   なんか、美術館の現況を、
   いい表したものばっかりですよね?」

みの「・・・正解!・・・わかりました?」

公平「やっぱり・・・」

みの「ま、そればかりじゃないですから、
   安心して下さい」

公平「あ〜、もう。ゲル貧とかぁ・・・。
   (ためいき&つぶやき)
   『うもれぎの はなさくこともなかりしに
    みのなるはてぞ かなしかりける』
   だよな?たしか」

みの「今、『みの』が悲しい、って
   言いませんでした?」

公平「え?」

ナレ『なんだか、とってもハイレベルな会話に
   ついていけな〜い』

公平「AかBかだとおもうんですけど・・・
   もう、いいや、
   Bの平家物語でおねがいします」   

みの「ファイナルアンサー?」   

公平「ファイナルアンサー」   

みの「なんか、ヤケになってます?」   

公平「だって、難しいんだもん」   

みの「大丈夫です、正解!!!」

     会場から拍手が湧く。   

公平「あ〜、よかった。まるっきりカンでした」  

みの「いや、素晴らしいカンですねぇ。
   でもこれからは、わからなかったら、
   ライフラインを使ってください。
   まだ二つ残っていますから。
   全然使わずに帰っちゃう人もいるんですよ。
   もったいないですからね」

● テイト湾岸現代美術館の一室

  ライフラインで待ち構えている美術館の同僚、
  芝山、江上、遠藤、美鈴、末次の五人。
  やや緊張しつつ、雑談している。   

芝山「なぁ、万が一美術の問題でわからなかったら、
   恥もいいとこだよなぁ。
   今、どのくらいいってんのかな〜」   

江上「そのときはさぁ、
   電話が通じない振りしちゃおうか」

遠藤「俺が着ぐるみかぶっちゃえばよかったなぁ」
  
美鈴「もぉお、何いってんの!?
   学芸員でもわからないことはあるの。
   わからなかったら、
   わからないって言うのよ。
   それがわたしたちの生きる道よ」  

末次「大丈夫ですよ、久利生さんなら」

● 15万円の問題

みの「漢字の明るいという文字の右側は月。
   では左側はつぎのうちどれ?」

A:太陽
B:窓
C:囲炉裏
D:行灯

公平「これ、完全に引っ掛けですね」

● 30万の問題

ナレ「やっとホームグランドの美術の問題。
   久利生さんの快進撃は続く〜。
   皆さんも一緒に考えてみよ〜」

みの「画家バルチュスの奥さんの名前はどれ?」

A:世津子
B:セツ子
C:節子
D:摂子   

● 50万円の問題

みの「つぎのうち、
   マルセル・デュシャンの作品で、
   モナリザにひげを描いた作品に書かれた
   LHOOQの文字の羅列の意味はどれ?」

A:彼女はムカついている
B:彼女は退屈している
C:彼女はやりたがっている
D:彼女はうそつきだ

● 100万円の問題   

みの「こういっちゃなんですが、
   自分で問題読んでても、
   何がなんだかさっぱりわかりません。
   美術って、むずかしいんですね〜」  

公平「まあ、特に現代の美術は
   手強いですよね・・・」

みの「どうしてなんですか?」

公平「簡単に言えば、時代が進化すれば、
   あらゆるジャンルは複雑になります。
   美術というジャンルも
   例外ではないということです」

みの「なるほど。
   でも、難しくって、遠くて、高いんじゃ、
   誰が行くんでしょう?」   

公平「う〜ん。ですから、その敬遠3点セットを、
   ひとつずつ、変えていこうと思っています」

みの「美術館も構造改革ですかぁ・・・。
   まさに、聖域なき構造改革。
   改革なくして成長なしですね。
   それでは、いきましょう。
   クイズ・ミリオネア
   100万円の問題です。
   美大出身のお笑いユニット、
   『ラーメンズ』が売り出したものは、
   次のうちどれ?」

A:「花札?」
B:「かるた?」
C:「トランプ?」
D:「タロット?」   

● 200万円の問題

みの「ゴーギャンの画家になる前の職業はどれ?」

A:教師
B:実業家
C:役人
D:株式仲買人

● 500万円の問題

みの「音楽の守護天使とされ、
   常にポルタティーフ・オルガンを持った姿で、
   描かれる聖女は誰?」    

A:カリプソ
B:テレサ
C:ベロニク
D:セシリア

公平「カリプソじゃないですよ。
   この人は九人のミューズの仲間ですからね」

● 1000万円の問題

みの「デジタルカメラの登場で復活した、
   従来のフィルムを装填して撮影する
   カメラの呼称はどれ?」

A:銀盤カメラ
B:銀塩カメラ
C:銀板カメラ
D:塩銀カメラ  

● 2000万円の問題

みの「さあ、久利生さん、
   2000万円まで来ました。
   あなたは今1000万円を持っています。
   いつもならここで終りです。
   でも、今回は、まだまだ、
   最高賞金のたったの5分の1です。
   今日のミリオネアは、
   賞金もすごい代わりにルールもすごい。
   普通なら、どこまで行っても、
   問題がわからなければ、
   ドロップアウト可能ですが、
   今回に限って、
   ここから先は途中下車できません。
   つまり、今、あなたは、
   1000万円の小切手を持っています。
   今なら、ドロップアウト可能です。
   1000万円を握り締めて、
   帰ることが出来ます。
   でも、2000万円以上に挑戦したら、
   ドロップアウトできないばかりが、
   もし間違えた場合、
   賞金は100万円になってしまいます。
   1000万円をとるか、
   挑戦を続けて、
   5000万円を獲得するか、
   間違って100万円になってしまうか、
   道は三つにひとつ。
   さて、・・・どうしますか?」

公平「・・・テレフォンいいですか?」   

笑 みの「(笑っているみの)
   お気持ちはよ〜くわかります。
   ま、私だったら、
   ここでドロップアウトしますね。
   でも、久利生さんの夢は、
   ヘッジファンドで大もうけでしたよね〜?
   あそこで、わんわんが、
   イケイケといってますよ」

  そう言われて振り返る公平。
  しきりに右前足を振り上げているわんわん。

みの「いい犬じゃないですかぁ。
   ここ掘れ、わんわん」   

笑 公平「・・・(小声)マジかよ・・・
   (ブツブツ)・・・
   ・・・わかりました。挑戦します」

     大拍手

ナレ「みのに煽られ、
   わんわんにのせられてしまった久利生さん、
   本当は心の底から
   大後悔してるんじゃないのかぁ〜?
   ブレーキのない車に乗ってしまった
   久利生公平、
   前人未到の5000万円への
   挑戦が始まるぅ!!」

みの「それでは行きましょう!
   2000万円の問題。
   アッピア街道の全長は、
   次のうちどれくらい?」

A:東京―水戸間
B:東京―名古屋間
C:東京―大阪間
D:東京―広島間   

● 3000万円の問題

みの「シャルトル大聖堂のステンドグラス、
   バラ窓が表しているのは、次のうちどれ?」

A:キリスト
B:平和
C:宇宙
D:聖書  

● 5000万円の問題

みの「とうとう最後まで来ましたね。
   いや、さすがです。
   こうなると尊敬しちゃいますね。
   美術館、行きたくなりました」

公平「ぜひいらして下さい。
   『お嬢さん』を、
   いっぱい連れていらしてください」

みの「老人割引なんて使えるんでしょうか?」

公平「使える展覧会もありますよ」

みの「画面 の向こうのお嬢さんがた、聞きました?
   眠っていませんか?あなたの老人手帳。
   活用しましょうよ、美術館で。
    ま、雑談はこのくらいにして、
   いよいよ最後の問題なんですけど、
   その前に、久利生さん、
   最後の問題は、テレフォンで待機されている
    お友だちが答えることになっています」

公平「え?」

みの「いえねぇ、テレビ局もね、
   いろいろと、
   あの手この手を考えるわけです。
   これから私は、
   あなたに関する問題を読み上げます。
   それに答えていただくのは、
   電話の向こうのお仲間です」

  ギョッとする公平。

公平「マジ?」

みの「日頃のコミュニケーションができていないと、
   わからない問題かもしれません。
   でも、この賞金は、そもそも、
   困っている企業を立ち直らせる為に
   差し上げるものですから、どうせなら、
   チームワークのいい職場に
   差し上げたいじゃありませんか」

  公平、ため息をつく。

みの「まさか、久利生さん、
   職場でいじめられているとか?」

公平「いや、それはないですけど」

みの「そうですか、それじゃ、
   ヘッドホンを装着していただきましょう。
   これからはしばらくの間、
   一切口をつぐんでいただきます」

  ヘッドホンを装着する公平。

みの「久利生さんには、
   音楽を聞いてもらっています。
   美術館で待機されている皆さん、
   こんばんは、みのです。
   大変長らくお待たせ致しました」

  画面 に登場する美術館の面々。

みの「とうとう、久利生さんは、
   テレフォンを残したままで、
   5000万円まで来ました」

  一同、驚きの声。

「おおおお〜!!!」

  しかし、
  5000万円の問題の主旨を説明されて、
  一気に盛り下がる一同。しゅん。

みの「まあ、みなさん、
   悪いことばかりじゃありません。
   いつもなら、30秒のところ、
   今回特別に3分間、
   考える時間を差し上げますから、
   ゆっくり議論してください。
   いいですね。
   それでは、泣いても笑っても、これが最後。
   クリズ・ミリオネア、5000万円の問題。
   久利生公平がこの世で一番好きな作品は、
   次のうちどれ?」

A:サモトラケの二ケ
B:山口啓介の「炭素の船」
C:松林図屏風
D:ホワイト・オン・ホワイト

● テイト湾岸現代美術館の一室

芝山「遠藤、久利生の机周り見てこい。
   そんなに好きなら、なんかあるだろう」

遠藤「ああ、そうね」

  ダッシュで走って行く遠藤

江上「ねえ、消去法で行こうよ」

芝山「じゃあ、お前消してくれよ」

江上「嫌だよ。芝山さん、
   消してよ。主査でしょう?」

美鈴「あと、2分30秒」

  戻ってくる遠藤

遠藤「はぁはぁ、ダメだ、みんな飾ってあった」

芝山「そうかぁ〜。
   こないだ久利生を取材しにきたとき、
   何気に抜かりなく聞き出していったんだな?  
   テレビ局もやるもんだなぁ」

美鈴「感心してる場合じゃないわよ!
   ねえ、あと2分よ!」

芝山「しかたないなぁ。遠藤、お前、どれが好き?」

遠藤「ん〜〜〜。ニケ」

芝山「また、似非ロマンチストが。
   まあ、いい。この際大目に見よう。
   ニケね、よしと。ニケ除外」

遠藤「なんなのよ。それ」

芝山「仕方ないだろ。
   三方一両損のダメで元々、
   当たれば儲け方式だ。
   江上、お前は?」

江上「俺は、山口啓介だな」

芝山「炭素の船、除外。これで50:50状態だ。
   美鈴はどっち?これで決まりだ」

美鈴「なによぉ〜、責任重大じゃないのぉ」

遠藤「あと40秒」

美鈴「せかさないでよ」
      そこへ戻ってくる末次

美鈴「あ、ねぇ、末次さん。
   久利生君て、ホワイト・オン・ホワイトと
   松林図屏風のどっちがすきなのかしら?
   知ってる?知らないわよね…」

末次「ああ、それなら松林図屏風ですよ。
   若いのに、渋いですよね
   僕はマチスの『生きる喜び』なんですけど」

遠藤「あと五秒!」

江上「!!!!」

芝山「!!!」

末次「??」

美鈴「みのさん、松林図屏風、
   ファイナル・アンサー!!」

   響き渡る美鈴の絶叫〜〜〜〜!!!

● クイズ・ミリオネア会場

みの「さて、それでは久利生さん、
   ヘッドホンを外してください」

   ヘッドホンを外す公平

みの「最後の答えは久利生さんから
   正解を言ってもらいましょう。
   私たちは今、
   同僚の方たちから答えをもらっています。
   ね、そうですね、みなさん。
   ここにいらっっしゃるみなさんが証人です。
   それでは、お答えいただきます。
   久利生さん、一番好きな作品はどれですか?」

   前足をこすり合わせて、
  一生懸命祈っているわんわん

公平「はい。それじゃ、申しあげます。
   C:松林図屏風です」

   会場から起こる大拍手

みの「おめでとう!これはあなたたちのものです」

   ふたたびせりあがってくる
  50000000円の現ナマ。

みの「もう、ゲル貧じゃありませんね。
   いや、すばらしい。
   チームワーク抜群じゃないですか!
   もう、こうなったら、
   カジノへ行って、元手を増やして、
   ヘッジファンドで荒稼ぎして、
   新しい美術館を
   となりの庭に建てちゃったらどうですか?」

公平「それ、いいですね!発想の転換で!」

みの「いやぁ、皆さん、ほんとうにすばらしい。
   チームワークの勝利です!
   私もうれしい。おめでとう」

  拍手に送られてわんわんと退場する公平

みの「ここで本当なら、
   次の挑戦者をお迎えするところですが、
   番組がゲル貧になってしまいましたので、
   クイズ・ミリオネア、本日打ち止めです
   それではまた来週お目にかかります」

  ジングルが鳴り響く

● インタビューパネルの前

ディレ「このお金どうするんですか?」

公平「う〜ん。ペイオフになりますからね。
   ま、普通預金なら、
   来年の3月までは全額保証ですから、
   どこか一行に預けようかなと…」

  公平の前に、
  どっと押しかける銀行員、証券マンたち。

「久利生さん、うちの銀行に預金してください」

「いや、うちにぜひ。利息はつきませんが、
 ピーター・ラビットのお皿100枚つけます!」
「いや、うちにぜひぜひ、
 差し押さえた植木をおまけしますから」
「うちには、日本のジョージ・ソロスと
 いわれた男がおります」
「嘘つくな!そんなんがいたら、
 ここに来てないだろ!」

 公平、叫ぶ 公平

「テレフォン、使わせてくださ〜い!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

テイトわんわん美術館 番外編  【クイズ・ミリオネア】 愛の貧乏ミッションインポッシブル 背水の陣・貧乏法人特集              〜〜終〜〜    

 

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