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関 智子 tomoko seki

本日の話題
2001/12/18 →2002/1/16

この「本日の話題」は、その日を中心に起こった環境問題についてのニュースを話のきっかけとして、さまざまな環境問題についての私の考えをまとめたものです。

目次

◆2001/12/18 本日の話題 山村活性化本当に問題なのは「心の過疎」
◆2001/12/20 本日の話題 川辺川ダムの今後の方針
◆2001/12/28 本日の話題 産廃とマグロ
◆2002/1/7  本日の話題 産構審の温暖化国内対策、地球環境保全関係予算案
◆2002/1/8  本日の話題 ODA評価  
◆2002/1/9  本日の話題 農村振興についての報告書
◆2002/1/10  本日の話題 家電不法投棄台数
◆2002/1/11  本日の話題 PRTR制度について
◆2002/1/15  本日の話題 下水技術開発
◆2002/1/16  本日の話題 〜祝!メダカの生息場所が倍に


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◆2001/12/18 本日の話題 山村活性化本当に問題なのは「心の過疎」

林野庁の「森林の多様な機能の持続的な発揮を図る観点からの山村の活性化方策と集落整備に関する検討会」は、国土保全や水源涵養、二酸化炭素の吸収・貯蔵などの森林が多様な機能を今後も発揮するために必要な、山村活性化策についての報告書をまとめました。

林野庁の「森林組合の今後のあり方についての報告書」。
http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h13-12gatu/sinrinkinou/syurakukentoukaihoukoku.htm

山村は日本の総面積の47%(更にその86%が森林)を占め、国土保全、水資源涵養、自然環境保全の上でも重要な役割を果たしていますが、反面山村の居住人口は日本の総人口の4%に過ぎません。山村の主要産業である林業が低迷する中で、過疎化・高齢化が進み、手入れが行き届かない森林の荒廃が心配されています。

今回の報告書では、このような現状を認識した上で、環境教育の体験活動の場、芸術・文化活動創造の場、野生動植物生息の場、二酸化炭素の吸収・固定−−など、山村・森林に求められる新たな役割に基づいた活性化施策を検討しているものです。

自然保護や国土保全などの森林の公益的機能にそった山村活性化を考えているのですが、山村の過疎対策として本当に必要なのは、住民自身が森林や山村の価値にひけめをもってしまう「心の過疎の問題」であると指摘されているのは重い問題です。

                               関 智子 (^-^)

参考
報告書 本文
http://www.rinya.maff.go.jp/puresu/h13-12gatu/sinrinkinou/houkokusyo.pdf

林野庁 森林の機能について
http://www.rinya.maff.go.jp/new/kinou.html

林野庁 森林の公益的機能の評価額
http://www.rinya.maff.go.jp/kouekitekikinou/hyoukagakutop.html

                                                 
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◆2001/12/20 本日の話題  川辺川ダムの今後の方針

本当は平成14年12月18日の発表だったようですが、川辺川ダムについての今後の方針が、国土交通省ホームページに掲載されました。 
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha01/05/051211_.html

川辺川ダムは、水量調整や農業用水供給を目的に、熊本県南部を流れる球磨川右支川の川辺川に建設予定のダム。工事実施基本計画は1966年に策定されましたが、水没世帯が多いことから計画当初から反対運動が展開されていました。また、球磨川は日本三急流の一つに数えられる清流で、周辺地域にはクマタカなどの猛禽類をはじめ、貴重な動物が生息しているため、自然保護団体なども建設に反対しています。

川辺川ダムについては、1966年の計画にもかかわらず、アセスも実施されずに話が進行していることに「いつの時代の話なんだ」と違和感を覚えます。

なお、村の中心部分が水没する五木村のホームページの説明「五木村は(計画決定時に)直ちに”ダム反対”を表明」「しかし長引くダム問題に起因する水没者の精神的な疲労、高齢化に伴う生活再建への不安と動揺、村の将来やダム建設の目的等から、平成8年10月にダム本体着工の同意しました」と苦渋がにじみ出ている記述があります。

国土交通省の説明ではダム建設には「流域住民の強い要望」があるということですが、最も当事者である五木村のこの記述を読むと誰のためのダムなのか、と疑問に思います。

                        関 智子 (^-^)


九州地方整備局川辺川工事事務所 川辺川ダムのページ
http://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/

熊本県五木村
http://www.pref.kumamoto.jp/

熊本日日新聞 川辺川ダムのページ
http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/kawabegawa.html

(財)日本自然保護協会 熊本県・川辺川ダム建設と大型猛禽類生息地の保全
http://www.nacsj.or.jp/database/kawabe/kawabe-index.html

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◆2001/12/28  本日の話題  産廃とマグロ

環境省では 平成12年度に新たに確認された産業廃棄物の不法投棄状況について、全国の都道府県及び保健所設置市に対して行った調査結果をまとめました。
 平成12年度に判明した不法投棄件数は1,027件で、投棄量は40.3万トン。 なお、不法投棄された廃棄物の種類としては、建設廃棄物が投棄件数の67%、投棄量の60%を占め、廃プラスチック類が投棄量の23%、投棄件数の12%とこれに続いています。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3069

実は12月に千葉県内の不法投棄現場に見学に行ったのですが、(気軽にいける場所ではないので万全の体制の整ったグループに参加させていただきました)そのときに千葉のNGOの方から、千葉の産廃は千葉県内のものも含まれているものの、他の関東一円からのもの、特に東京から排出されたものがかなり多いのではないかとの話をお聞きし、都民としては申し訳ない気持ちになりました。

 また、自然の残っているところほど、人の目が届かないので産廃の捨てられやすい場所でありますが、このときの不法投棄現場も例外ではありませんでした。 

 千葉のものではない廃棄物で、千葉の自然が破壊されていること、そして、千葉の自然だけでなく、地下水に浸透し、巡り巡って、下流の都市に住む人々に影響を及ぼす可能性も含め、不法投棄されない廃棄物処理の道を考えていく必要があると思いました。

参考 

環境省 廃棄物処理の現状
http://www.env.go.jp/recycle/waste/index.html

全国産廃問題市町村連絡会事務局
http://www.c-i.co.jp/sanpai/

産廃情報ネット
http://www.sanpainet.or.jp/

建設副産物リサイクル広報推進会議
http://www.actec.or.jp/fukusan/index.htm

また、本日発表があったものでもう1つ気になったのは、「大型マグロ延縄漁業管理で日比2国間民間合意が成立」というニュース。
http://www.jfa.maff.go.jp/rerys/13.12.27.1.html

(社)責任あるまぐろ漁業推進機構(OPRT)とフィリピン側業界との間で、フィリピンの大型マグロ延縄漁業の管理について、合意が成立したという内容ですが、この話について背景を探ってみると、フィリピンのIUU(違法・無規制・無報告)漁船によるマグロ漁獲の背景として、「消費国日本」の輸入があり、また日本国内でもマグロを乱獲しているFOC漁船(資源管理のための国際機関の不加盟国に船籍を移して創業している漁船)によって漁獲された刺身用マグロも国内マグロ刺身消費量の11%に達している」との事実があります。
 
私たちの食生活が思いも寄らぬ場所(海域)の生態系を狂わせる可能性があるという事実、その責任を考えさせられます。 

参考

社団法人 責任あるまぐろ漁業推進機構 http://www.oprt.or.jp/contents.html

             関 智子 (^-^)

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◆2002/1/7 本日の話題  産構審の温暖化国内対策、地球環境保全関係予算案

中環審の「国内制度に関する答申案」が平成13年12月20日に公表された時に、

http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3054
「京都議定書の締結に向けた国内制度に関する答申案」本文
http://www.env.go.jp/press/file_view.php3?serial=3132&hou_id=3054

「国内制度での削減」を多くの人が支持するという 空気をつくるために、答申案自体をもっと広報して、国内対策キャ ンペーンを展開するくらいの意気込みを期待したい・・というような感想を持ちました。

中環審の答申案も施策の導入時期を示した工程表やガス別・分野別の排出削減目標量、各セクターの役割、個々の対策の導入目標量、などを盛り込む「京都議定書目標達成計画」を提案していますが、工程表以外はこれまでもあった「作文」に近いかも・・という頼りない部分がありました。

しかし平成13年12月28日にまとめられた産業構造審議会環境部会地球環境小委員会の中間取りまとめと比べると、頼り なさそうな計画でも「はるかにまし」。産構審の中間取りまとめは「既往対策の充実強化や事業者の自主行動計画を基軸とした対策を展開すべき」と新たな対策をとることを否定。(1)技術革新の促進(社会制度の変革や環境税の回避?)、(2)排出量が増加している民生・運輸部門の削減対策を推進し、産業部門はこれまでの努力を考慮すべき、(3)規制的手法ではなく個々の主体が措置を柔軟に選択できる取り組み方法を可能ととすべき−−の3点を基本原則に据えています。
http://www.meti.go.jp/report/data/g11228aj.html

既往対策の充実強化というのは=何もしないといっているようなもの。温室効果ガスの総排出量は1999年度で、すでに90年比6.8%も増加。京都議定書の目標では90年から6%削減しなければならないというのに、本当にやる気があるのでしょうか?(==)もっとがんばってほしいぞ、日本政府! と思います。

一方、重点7項目に環境が入っている恩恵で「平成14年度地球環境保全関係予算案、13年度と比べ51.9%の増加」というニュースもありました。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3071

でも、国の財政が苦しい中でせっかく予算が増えているのに、 「国内制度」関連のような調子では、宝の持ち腐れ(税金泥棒)になってしまう可能性が大かもしれません。

                    関 智子 (^-^)

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◆2002/1/8  本日の話題 ODA評価  


 外務省は、最新のODA評価結果をホームページに掲載しました。同省では2000年7月以降、ODA事業の評価結果をホームページ上で公表しており、第4回目となる今回の公表では、平成12年度に行われた在外公館評価のうち、45件の評価結果を掲載しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/report/index.html

 この外務省のODA評価結果の内容を興味深く読みました。

 中国での環境プロジェクトでは、公害防止機器の導入により、(1)柳州市、蘭州市、フフホト市の2000年の大気中二酸化硫黄濃度が1995年比で、それぞれ59.5%、32.9%、63.4%低減、(2)柳州市の酸性雨発生率が1995年の84.6%から2000年には1%まで低減し、降水のpHも4.19から6.25まで上昇−−というめざましい効果が紹介されています。

 すでに日本で確立された技術の導入で改善できるので、途上国での環境改善は費用に対べ効果が高いといえるでしょう。

 ただし、ODAの10.3%削減という財政状況の中で、成長著しい中国への援助を今後日本がどの程度実施していくかは、判断の転回点にさしかかっているようです。

 外務省が昨年全国で開催したODAタウンミーティングでも、中国のODAについての話題がいろいろな開催地で繰り返し出ており、「戦争補償の代替という要素もある」という指摘もされていて、判断が難しい部分があるようですね。

 ところで、こういったODA評価で気になるのは、中国に限らず、相手国の普通の人々が日本のODA事業で何がなされているのか、どのくらい認識しているのかなという部分です。

 その部分が足りないと、ODAで多額の資金を出していても、いつまで経っても相手国に満足・感謝はされないということになってしまいます。
 日本のODAはそういった部分で、どのくらい成功しているのでしょうか。

                        関 智子(^-^)


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◆2002/1/9 本日の話題 農村振興についての報告書


 農林水産省に設置された有識者会議「農村振興研究会」では、農山村振興の方向性について、平成13年7月から検討してきた内容を報告書にまとめ、平成14年1月9日に公表しました。
http://www.maff.go.jp/work/press020109-01.pdf

 報告書では、農山村の魅力として、美しい景観や伝統文化、自然と共生する農業、循環型社会のモデル−−などの要素をあげており、今後の農山村振興のためには、このような農山村の持つ魅力を資源として生かし、かつ新たな可能性の開拓・活性化のために、地域住民ばかりでなく都市からの新規参入者がこれらの魅力を享受できる環境づくりが必要とまとめられています。

 ただし、報告書は「農山村の魅力保持」と「新規参入者開拓」が矛盾
することを指摘しており、報告書としてまとめることは簡単でも、実際
には難しい面が多いと思います。

 なお、昨年12月に農林水産省が発表した農業自給率についてのレポート( http://www.kanbou.maff.go.jp/www/anpo/index.htm )によれば、日本の農業自給率は供給熱量ベースで40%(穀物全体ではなんと28%)。何かコトが起こったら日本は食糧的に自給できない危険があります。農林水産省の「農村振興」策には、そのような食糧安全保障的な面からの必要性もあると思います。

 昨年のテロ事件などを考えても、本当は待ったなしで国を挙げて取り組まなくてはならない課題なのですが、社会全体の関心は相変わらず薄く、あまり議論が展開されないような状況なのは残念です。 

教育現場も含め「美しい農村」という情緒的なアピールだけでなく、そういった視点からの議論をしていく必要性があると思います。

                      関 智子(^-^)


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◆2002/1/10 本日の話題  家電不法投棄台数

 環境省は平成13年11月分までの家電不法投棄台数の速報値を公表しました。
 公表された速報値によれば、平成13年11月の不法投棄台数は、家電リサイクル法施行開始直後の4月・5月に次いで多い台数に揺り戻っていました。あまり喜べないデータです。

 このデータを読んだときに思い出したのが、昨年末に雑誌に掲載された弘兼憲史さんによる「島耕作シリーズ」の番外編「ヤング島耕作」。
 島耕作が1970年代初頭に初芝電器に入社し、最初に小売店に研修に行く話なのですが、小売店の担当者がお客さんから引き取った中古テレビを川に投棄し、島に「手伝え」という場面がありました。

 島は疑問を抱き、会社にこの件を報告。たまたまそこにいあわせた中沢という登場人物(「部長島耕作」の中で社長として出てくる人ですがこの時点では島は将来のそんな因縁は予測できる由もない)が島に「不法投棄に荷担してはいけない。環境は財産だ。そのことにお金を払う時代がきっとくる」と諭すことになります。

 確かに環境が「ただ」で利用できるものではなくなって、法的にゴミ処理にお金を払う時代はやってきています。でも、それでも不法投棄はなくなっていません。2002年の現在でも、まだまだ一般には中沢社長のように「環境は財産だ」ということが認識されていないからではないでしょうか。

*「ヤング島耕作」の中ではこのエピソードに加え、松下幸之助(「水道哲学」を唱えた)をモデルにしたらしい当時の会長が、この「環境財産論」をたまたま耳にして、感心してメモする場面があるのが、ちょっと心憎い内容でした。

参考 松下電器 松下幸之助と環境
http://www.matsushita.co.jp/environment/2000/sougyou/
本物の松下さんも「産業の発展が自然を破壊し、人間の幸せを損なうことは本末転倒」といっていたそうです。「循環する水でありたい」と水道哲学に新たな解釈も加えています。

                    関 智子(^-^)


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◆2002/1/11 本日の話題 PRTR制度について

 PRTR法関連の施行規則の改正と国が行う排出量算出方法を決める省令が制定されました。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3077

 このうち、施行規則の改正は事業者が排出した第一種指定化学物質を秘密情報として取り扱うことを求める請求を行う際の手続きやコンピュータネットワークや磁気ディスクによる届出手続きの具体的な方法について、規定追加を行っています。

 PRTR法は、制定前後に企業の人からよく質問を受けましたが、「国の政策で企業がやらなくてはならなくなった規制」ととらえているような内容が多く、運用の細則みたいなものがどうなるかにこだわっている傾向がありました。

 そういう質問を読むたびに、本当はPRTR制度が何を目的としているのか−−化学物質についての情報開示と利害関係者間のリスクコミュニケーションツールであるということ−−に理解が深まってほしいという感想を持ちました。

 化学物質についてのリスクコミュニケーションとは、化学物質が要因となって発生する「人間の生命や経済活動にとって望ましくない事態」(リスク)に対応していくために、行政・事業者・市民・NGOなど立場の異なる利害関係者間で、リスクについての正確な情報を共有化し、リスクや対策についての意見交換を行っていくことで、このような取り組みを通じて利害者間の信頼性を向上させていくとともに、最終的にはもちろんリスクの低減を目的としています。

 このような趣旨からいえば企業はもちろんですが、本当は一般市民にも責任がある制度ですが、マスコミ報道も含め、一般にはあまりそういう面が紹介されていないように思います。

なお、環境省では一般向けの化学物質リスクコミュニケーションのページを開設しています。

「化学物質と環境円卓会議」のホームページ
http://www.env.go.jp/chemi/entaku/index.html

リスクコミュニケーションのホームページ
http://www.env.go.jp/chemi/communication/index.html

また、結構わかりやすいのが中小企業総合事業団がつくった下記の
マニュアルです。

中小企業総合事業団 化学物質リスクコミュニケーションマニュアル(電機業界編)
http://www.jasmec.go.jp/kankyo/h11/book/2rcb/

                   関 智子 (^-^)

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◆2002/1/15  本日の話題  下水技術開発

 国土交通省では産官学の連携により、今後重要となることが見込まれる下水道技術について、短期間に開発を進めるための新技術開発プロジェクト「SPIRIT 21(Sewage Project, Integrated and Revolutionary Technology for 21 century)」の実施を決定し、当面特に合流式下水道の改善技術を研究することとしています。

 合流式下水道は汚水と雨水を同一の管路で下水処理場まで送る形式の下水道で、雨天時に大量の雨水が流入すると、雨水と汚水が混合した下水の一部が未処理のまま河川に放流され、水質が悪化のおそれがあると指摘されています。

 雨が降ると、汚水が未処理で川に流入するというのは、すこし前に東京都の下水道担当の方に伺い、びっくりしたことがありますが、最近下水道を所管する国土交通省などでも大きな問題としてとりあげるようになりました。

 この問題は日本の都市問題という地域レベルの環境問題という以上に、地球環境問題である海洋汚染にもつながる問題となっています。海洋汚染の原因の中でも生活廃水や工場廃水が未処理のまま流入することによる海洋汚染が重要な問題となっており、UNEPでは「陸上活動から海洋環境を保護するための世界行動計画(GPA)」を策定し、世界の8か所で実施される地域ワークショップを開催しています。

 一方、こういった雨水の一部をトイレの洗浄水、庭木への散水、洗車用水などの雑用水に利用しようという活動も取り組まれはじめており、特に墨田区の事例は有名で、以前、環境雑誌を担当していた時には、墨田区の雨水利用グループがまとめた本の書評などを書いたことがあります。その本は単に排水や雨水の処理の話だけではなく、水は広い範囲で巡るもの「循環するもの」という視点で書かれていたことが印象的でした。

2003年の世界水フォーラムの開催に向け、雨水利用をはじめ水についての議論は今年ますます活発になると思います。

参考 雨水利用を進める全国市民の会(墨田区)
http://www.rain-water.org/index_j.html

第3回世界水フォーラム 日本語ページ
http://www.worldwaterforum.org/jpn/index.html

                    関 智子(^-^)

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◆2002/1/16 本日の話題  〜祝!メダカの生息場所が倍に

 今日は、「核燃機構の超深地層研究所建設について「土地賃貸借契約書」締結」(日本で初めて1000メートルもボーリングするので影響の予測が難しいということと研究が終わったあとの跡地利用のしかたに議論があります)
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002290/

「六ヶ所村のMOX燃料工場説明会への参加者を募集」(MOX燃料製造自体にコンセンサスがとれていません)
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0002268/

など原子力関係で問題が積み残っている件でも発表がありました。また、首相の政策演説、「海洋汚染防止など4分野で日仏交通担当省が協力開始」など国際協力についての大きな話題も2件。情報大漁日でした〜(^^;)。

 この中で重要なのはやはり、「OECD、日本の環境政策に対し60項目を勧告」というニュースでしょう。
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=3082
60もある勧告の中で最初にくるのが「経済的手法をもっと使え」というもの。「道路特定財源」についても「大気質の管理と交通政策の決定(道路建設目的税)を統合する際に費用対効果に重点がおかれるべき」「大気汚染削減のための経済的手法はほとんど使用されていない」と遠回しながらも指摘がなされています。

OECD関連では「OECD地域開発部長が日本の都市再生について提言」というニュースもちょっと前(2001年11月)にあり、「日本の景観の魅力のなさ」と、ずばり表現されていましたが、
http://www.eic.or.jp/news/detail.php3?serial=1709&sort=&word=%82n%82d%82b%82c
OECDのレビューはけっこう辛辣。でも、「客観的に見るとこうなのか」と納得できる面は多いと思います。

 なお、あまり大きなニュースではないかもしれませんが「田んぼの生きもの調査、72種の淡水魚の生息を確認」は「自然環境保全基礎調査で確認されていた43メッシュ以外の45メッシュで新たに生息分布が確認」というおめでたい内容でしたので、しばらくぶりに楽しいニュースでした。
http://www.maff.go.jp/work/medaka/mokuji.htm

祝!メダカの生息場所が倍増に。( ^^)/\(^^ )
 でも、「メダカが希少種」として扱われているのは、やっぱり悲し
い気がします。
                    関 智子(^-^)

 

 

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