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近藤 幹生 mikio kondo
近藤さんの著書
「人がすき村がすき保育がすき」
(ひとなる書房2000 年2月刊行)
千葉の近藤です。
我流の「保育子育て博物館構想」の夢をいたきながら、1月4日 から11日まで、ヨーロッパにいってきました。6カ所の保育園とともに、5カ所のミュージアム
を観てきました。いつかまとめてというのではなく、とりあえず、ミュージアムを中心に報告させていただきます。ですからあまり整理されていないままですが・・・。
以下の報告は、博物館の一来館者としてのかなり主観的な感想です。
さてジェフェリーミュージアムからいきます。ここは、最初からいきたかったところ。ロンドン郊外、大英博物館の辺から車で30分くらいかかりました。外観も最高でした。17〜18世紀ごろからの家具の展示がありました。椅子、テーブル、 ピアノなどをはじめ家具や住宅(もちろん中流階級以上のものでしょうが)がどのように変遷してきたかがとても楽しい。
来館者のおばあちゃんと仲良くなったのでいろ いろと教えていただきました。ロンドンの住居においてナーサリー、つまり子どもを
養育する部屋が独立してできたのが19世紀になってからというのが時代をよく反映していると思いました。保育園や義務教育の開始時期とも重なります。生活の歴史を
かいま見ることができます。半日そこで過ごしました。
帰りは、地下鉄をのりついで ホテルへもどりました。次回はロンドンから電車で3時間くらい北上してユーリカです。ここは、いたるところで子どもがどうかかわるかというミュージアムの哲学、教
育理念、を感じました。私はここへいけただけでも収穫のある旅でした。出発はハリ
ーポッターの舞台のなったキングクロス駅(の9と4分の3番線)です。
(2)
千葉の近藤です。(1)をメモしてから2週間もたちました。
今回は、ロンドンから 3時間もかけてでかけたハリファックスにある「ユーリカ」です。私は、ここで何日
もすごしたくなりました。92年にできたこどものための博物館です。展示は全体と
して大きく3つに分かれています。からだ、生活としごと、発明と創造、です。
仕事 がら保育園ぐらいの子から小学生ぐらいまでの親子がどんな楽しみ方をするのかいっ
しょに経験しながら観察しました。小学生の子が買い物にきます。かごに野菜やくだ
もの(模型)をかごにいれます。その分量をはかる、レジではバーコードでお金を計算する。もう少し、大きい子には、野菜がどのようにしてできてきたかをビデオ番組
でみせるところもある。
私が感心したのは、その品物の臭いをかぐというところで す。バナナの模型をいれるとバナナのにおいがするんです。お店のとなりには、郵便
局や銀行も体験できる。また自動車工場では、タイヤ交換も実際にできる。10才く
らいの女の子がやっていました。
他に、THINGSのコーナーも楽しかった。解説をすべて読む力がありませんでしたが、日常の事物がいかに多彩で、歴史や技術をわかりや
すく示そうとしているようです。もっともっと整理してまとめるつもりでいます。ハンズオンを保育園の目標にかかげている私としては、3時間はあまりに短く、何日か
ここにいなくてはと思いました。どうもこの書きなぐりは、(3)ではおわりそうも
ありません。
(3)
千葉の保育園の近藤です。素人博物館紀行を調子にのって書きます。
大英ミュージアムももちろんはじめてでしたが、ここでは、そのすぐ近くにあるポロッキートイミュージアム(ロンドンスカラストリート1 番地)の訪問メモです。小さな、小さなミュージアムでした。(1階のショップにし てもせいぜい10坪くらい)ところがここの展示は、スケールの大きさを感じます。 ぎっしりでした。
外からみると喫茶室か小さなおもちゃさん。3階だてだったと思い ますが、階段のところにもおもちゃ。4つか5つの部屋も人形やおもちゃがぎっしり
なんです。スライドができあがってきてから思いおこしますが、アメリカ、ドイツ、
エスキモー、アフリカ、中国、イギリス、などの人形、パズル、飛行機、のぞき窓か
らみたからくりのたくさんある子ども部屋、木彫りの動物、劇場・・・ノートに
は、一八二〇年代のおもちゃの劇場まで展示されたと。ここは、おもちゃの歴史をさぐる人にとっては宝の館ではないでしょうか。それと狭いところに縦にも横にも立体的に展示する技法にも圧倒されました。なによりの関心、どんな理念でどういう方が作ったんでしょうか。そんなこともきいてみたいものの、私の語学の限界でした。
(4)
千葉の近藤です。さて、今回からドイツです。
私にとって2度目のヨーロッパの旅でした。(初回は16年前。チューリッヒ、
パリの保育園。)ドイツははじめて。ドレスデン、ザイフエンへいきました。ドレス
デンは、第二次大戦で破壊しつくされたという街で、この復興事業にも関心を抱いて
いました。他におもちゃの会社を観ること、クルミ割人形のふるさとを訪ねること、
それと最大の目的は、保育園訪問です。イギリスもそうでしたが、外国の保育園をじっくり観ることは、子ども、家庭が社会のなかでどう位置づけされているか、とても
考えることが多いのです。
というわけで、次回からドイツのザイフエンを中心とした おもちゃについて書きます。保育園訪問のこともついでに少し書きますね。ではまた。
(5)
千葉の近藤です。ザイヘンという旧東ドイツの南の地域です。
川を隔ててチェコです。ザイヘンはたしか4000人くらいの村です。そこに100以上のおもちゃの工房があるんです。もう村そのものがおもちゃ博物館という感じです。木を削る人(若い女性も多くいました。)の指には傷跡が観られました。小さな模様を描いたり、削ったりしている場面も実際にみれます。
私は通りにいくつもある照明が気に入りました。青銅のような立法体の枠。各面はガラス(あるいはアクリルかな)がはめこんである。そこにいろんな絵が描いてあるんです。この照明は、わが保育園になんとか取り入れられないかなあと思いました。
お迎えにきたおかあさんが、子どもを連れながら、いろいろなデザイン(子どもが描いた絵でもいいし)の照明を眺めながら帰るなんて最高だなあと、一人でひたっていたのです。
ところで帰国してから本で知ったんですが、ドイツでは毎年世界最大規模のおもちゃメッセが開かれているとのこと。ニュ−ルンベルクというところで、50カ国以上から出店があるらしい。それが50年も
続いているらしい。おもちゃ発祥の地ともいわれるドイツのザイヘンにいけたことは
幸せでした。
保育園のことはあまり書きませんでしたが、ドレスデンの保育園は心を打たれました。決して立派な施設ではありませんが、この哲学に驚きます。少し例を
あげると、子どもはいつでも外へでることができる、しかし外(例えば庭)から進入
をふせぐドアの構造なんです。
また日本の下駄箱というイメージとはまったくちがいます。そこで子ども、親はすわり、靴を脱ぎ、コートをかけ上には荷物もおける。それだけ広いスペースがあるんです。
保育園内にサウナを作っていました。皮膚治療に 効果あるんですって。旧東ドイツからの精神もあるのでしょうが、徐々に子どもたちのための施設環境が整備されていくことをまのあたりにしました。
ドレスデンは、第二次大戦で街が破壊しつくされましたが、オペラハウスなども、50年100年という単位で昔のままに再興させていました。この理念の一端をかいま見ることができました。
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