山梨・まち[見物]誌ランデブー 第2号 特集・甲府市
柳沢吉保が建てた、幻の大伽藍 黄檗宗 龍華山永慶寺
『元禄繚乱』の吉保の祖先は山梨の出
NHKの大河ドラマ『元禄繚乱』は、高視聴率をあげながらいよいよ「吉良邸討ち入り」に向けて物語が佳境に入ってきた。さて、このドラマ中、将軍綱吉の側用人として、なかなかの味を出しているのが、柳沢吉保である。演じているのは村上弘明。吉保の正室(本妻)は定子といい、篠原涼子が演じている。定子には子どもができなかったので、吉保の生母了本院の侍女であった染子を側室とし、その染子との間にできた子どもが吉里である。染子を演じているのは鈴木保奈美だ。もっともドラマでは、染子は結婚を約束した沼田藩の家臣岡島忠嗣(吉田栄作)がいたにもかかわらず将軍綱吉の「お手付き」となるが、綱吉の母、桂昌院(京マチ子)によって綱吉が夢中にならぬよう引き離され、吉保の側室にされてしまうという事情があった。ただし綱吉は史実においても五十八回も吉保の屋敷に赴いているそうで、ただ単に吉保に目にかけていたからという理由だけではなかったのかもしれないなと勘繰りたくなる。さて、ドラマでは、染子の子吉里は実は染子が愛していた岡島忠嗣の子であり、吉保はそれと知りながら、将軍綱吉の子であると偽って将軍家の跡目にしようと目論んでいる。吉保という人物は、なかなかの策略家として描かれているのである。
ところで、この吉保の祖先が巨摩郡柳沢村(武川村)の出身であったことを知っている人が、どれだけいるだろうか。つまり、柳沢家は山梨とゆかりのある家柄なのだ。そういう縁があったからこそ、後に綱吉は吉保を甲府城主としたのであろう。吉保自身もそれを願っていた。そうか、吉保の祖先は山梨県人(甲斐国人)だったのか、という目で『元禄繚乱』を見ると、またひとつ楽しみが増えるかもしれない。
(本文の冒頭より転載)
コンテンツ
- 吉保の生涯
- 吉里入城
- 幻の永慶寺を求めて
- 階段状の大伽藍
- 吉里、突然、大和郡山へ
- 永慶寺の遺物を見る
- 大泉寺から恵林寺へ
(注)このページの文中に「巨摩郡柳沢村(武川村)」と表記しておりますが、2004年11月の合併により北杜市の一部となっています。