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山梨・まち[見物]誌ランデブー 第11号 特集・西桂町

「だるま石」が語る 信仰の山、三ッ峠

ブルーのち快晴

三つ峠駅 「観光売店」。入り口の上に掲げられていた看板には、ペンキでそう書かれていた。太く丸みがかっていて、寒空の下、見ているだけで温かみが感じられる字体である。
 その周りには、「食堂」「三ッ峠観光案内所」「旅館・休憩所」という文字も見えるが、「旅館・休憩所」の部分はペンキが剥げて消えかかっていた。
 筆者が立っているのは、三ッ峠登山の出発点となる、富士急行線「三つ峠駅」の前である。数日前に降った雪が家々の屋根や、道の傍らにまだ厚く残り、駅前の広場はところどころ薄らと凍っている。
 駅から北西の方向を見上げると、三ッ峠が抜けるような真冬の青空の中に美しくそびえている。頂が三つのコブのような独特の様相をなしており、真ん中の最も高い山が標高1786mの三ッ峠山である。
 「町中でこれだけ雪が残っているのだから、山の上はもっと凄いにちがいない。大丈夫だろうか?」
 今日は、三ッ峠山中にあるかつての修験の場の名残の遺跡や遺物の数々を訪ねるために、登山するつもりで「三つ峠駅」に降り立ったのだ。が、山肌を覆っている雪化粧を見て、ちょっと気持ちがブルーになりかけていたのである。
 そんなとき、筆者の目に飛び込み、ちょっとホッとさせてくれたのが「観光売店」の看板だった。

 駅前にあって、「三ッ峠観光案内所」「旅館・休憩所」というからには、三ッ峠についてなにかエピソードをうかがうことができるかもしれない。外観のつくりを見ても、かなりの年月を刻んでいるようだし・・・・・・。
 面白い話が聞けそうな予感には、いつもながらワクワクさせられる。つい、いままであった雪山登山の不安はすっかり忘れ、筆者の心はいつしか快晴に変わっていたのであった。

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