JULY 2004
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◆CONTENTS◆

【広告】
【きむたく日記】

広　告(刊行より1年間)

¶　米村みゆき『宮澤賢治を創った男たち』青弓社，2003.12.17，本体3,000円＋税

¶　岡山市・岡山市文学賞運営委員会編『おかやま　しみんのどうわ２００４』吉備人（きびと）出版，2004.2.14，定価1,000円

¶　『敍説』�U―０７，「特集◆距離感」，花書院，2003.1.6,本体1,800円(税込)

　木村も書いています．

¶　綾目広治　『倫理的で政治的な批評へ』皓星社，2004.1.30，本体2,800円＋税

　のっけから福田和也批判で始まる痛快で刺激的な著書．批評理論系の方は，看過できない綾目先生の新著です．

¶　米村みゆき編『ジブリの森へ　高畑勲・宮崎駿を読む』森話社，2003.12.15，本体2,200円＋税

　映像テクストであるジブリ作品をどう「読み」「研究」の射程の中に位置づけなおすのか，文学研究者たちの果敢な取り組みです．

¶　『現代文学史研究』第１集，現代文学史研究所，2003.12.１.
　大久保典夫「純文学の死」，大井田義彰「越境する中年女―松本清張『けものみち』論―」他．

¶　千年紀文学の会編『過去への責任と文学』，皓星社，2003.8.15．本体2,800円(税別)
　綾目広治「現代思想と文学―九・一一の以後の文学と思想」他

¶　『敍説』�U―０６，「特集◆性交」，花書院，2003.8.12,本体1,800円(税込)

¶　原爆文学研究会編『原爆文学研究』２，花書院，2003.8.1,本体１,200円(税込)

目次

「演劇鑑賞サークル」のご案内　（岡山限定）　　

　　 以下の要領で，演劇を鑑賞する仲間を募集します．役者が目の前で演じている舞
  　台を見ると，ＴＶや映画とは違う迫力と魅力に圧倒されます．募集の期限はあり
　　ませんので，是非入会をご検討ください．

　　　　　　　　　　　　　　　　　　記

　　・入会の条件
　　　�@教官・事務官・学生・院生・ＯＢ，ＯＧなど，一切不問．
　　　�A最低半年以上，サークル会員でいられる人．
　
　　・ 申し込み先：木村　功　　〒700-8530　岡山市津島中３丁目１−１　岡山大学教育学部内
　　　  （入会先：岡山市民劇場　　岡山市磨屋町4-21　金谷ビル２Ｆ,086-224-7121，FAX086-224-7125）

    ・費用
　　　�@入会金：1,500円
　　　�A月会費：
　　　　　　　　一般会員；2,300円
　　　　　　　　学生会員；1,800円，
　　　　
　　・演劇上演の時，入場料は要りません．
　　年間平均６〜８本の演劇が鑑賞できます．普通演劇鑑賞は，5,000円以上／１回
　かかりますので，演劇が好きな人にはかなりお得といえるでしょう．また，席が
　余れば期間中複数回の観劇も可能です．
　
　　・個人単位だと，事務局から割り当てられる座席の位置が悪くなるので，「サー
　　クル」という単位（３人以上）を作って座席の割り当てを貰った方が，費用対効
　　果があがるのです．

　　・詳細は，木村まで．

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　2004年　７月例会「アンネの日記」

「きむたく日記」

７月３０日金曜日晴

　27日から29日まで東京に出張．
　国会図書館にこもって取材．業務から解放され自分のしたいことだけが出来たので，すっかりリフレッシュする．昨日岡山は，当地観測史上最高の37.9度を記録したらしいが（真夏日連続28日），幸い台風影響下の東京にいた私は雨の中で過ごしやすかった．これも暑さに参っていた体が持ち直した理由だろう．
　しかし，である．戻って今日出勤すると，研究室前にはレポートの一山．これをこれから査読しなければならないのかと思うと，本当に悲しくて辛くて悔しくて（？）涙が出る．「おらおらでひとりえぐも」
　今年担当した教養のレポートを見ると，「赤毛のアン」や「白雪姫」の分析は良いとして，「機動戦士ガンダムＳＥＥＤにみる現実の悲劇」というのがあって頭を抱える．
　一体何の講義かと思われたかもしれない．「自己と他者」について考える授業だったのだが，どうも一番の「他者」は学生ということになりそうだ（当たり前か）．
　この授業だけで，90冊近いレポートである．私の「幸い」はいずこへ……．
　とりあえず溜まっていた雑用の書類を作成して，事務部へ提出（フン）．

７月２６日月曜日晴

　明日から講義がないと思うと，本当に気分が晴れやかだ．もうすっかり「夏休み」気分……といいたい所だが，そうは問屋が卸さない．午前中から溜まっていた雑用の処理（学部内ネットワーク委員会，留学生の面談，試験問題の作成，提出分レポートの査読）に追われる. 明日から東京へ出張するのでその分も頑張らねばならない．
　なかでも欝陶しいのが，個人評価の作成である．1999年から5年間の研究実績と，2001年から2003年までの前期・後期の教育実践についてデータ入力を，9月末日までに終えなければならない．
　岡大のトップの方々は「他大学に先駆けて」という合言葉が好きで，他の大学が殆どやっていないこのような雑務で，我々教員の正業（研究・教育）の時間を潰してしまうのである．研究の邪魔をしておいて，研究成果を上げろもないものだ．ブツブツ．

７月２１日水曜日晴

　朝１の教養科目の講義も，今日で店じまいである．受講生の出席率も先週に比べると大分減ったが，常連さんは前の方で講義を聞いていてくれた．
　それにしても，この数日就寝時の冷房（28度）と身体の折り合いが悪くて，寝不足気味である．冷房を効かせると，冷えて眠れなくなるし，切ると暑いのと汗疹が痒くなるのとで，目が覚める．で，また冷房をつける→冷える→切る→暑い・痒い→目が覚めるの悪循環である．
　今日は，実はそんな寝不足状態で講義をしていたのである．冷房が効いているので，寝不足の学生たちはいい気持ちで睡眠学習をしている（このヤロー）．
　今日が四十九日の故花田先生は，睡眠指導を得意とされていたようなのだが（Ｈ田さん談），そんな芸当はとても僕にはできない．「偉大な人」であった．

７月２０日火曜日晴

　都心は，39.5度まで気温が上昇したとのこと．岡山も37度だった．酷暑もいいところである（もう勘弁して欲しい）．
　今年は余ほど暑いのか，体力が落ちてきているのか，汗疹が出たりして，痒くて夜も寝不足勝ちになり，実に恐ろしいことである．
　午後，講義２つ．与謝野晶子の「みだれ髪」の講義．最初は教科書に載っているようなおとなしめのものを解説していたが，「乳房おさへ神秘の扉そとけりぬ」などの過激なものになるにつれて，学生の表情が「微妙なもの」に変化していった．
　授業後に感想のカードをあつめると，男子学生のカードに「与謝野晶子の俳句は奥が深い」と書いてあった．
　私の顔色も「微妙なもの」に変化せざるを得なかった．

７月１６日金曜日晴

　新潟は，大雨で多数の被災者の方も出て本当にお気の毒なのだが，こちらは炎暑といってもいい毎日で，今日も３５℃位にはなりそうな勢いだ．午後から非常勤で外出するので，車に乗るのが恐ろしい．
　午前中は，講座内のＰＣの管理のお仕事．講義は，残り１週間を残すところとなった．安堵の一方で，少し心さびしい気持ちもする．この前期は，私事の方で本当にいろいろあって大変だった．
　学部の４年生や大学院生たちの教採が来週に迫っている．あとは体調に気をつけて，悔いを残さぬよう頑張って欲しいものだ．
　昨夜決まった芥川賞受賞者モブ・ノリオ氏は，以前朝日新聞でも若手の書き手として紹介されていたので微かに記憶にあった．たまたま夜のニュースで斜に構えたインタビューを見ることができた．「介護入門」という一風変わった作品といい，まぁ昔からブンガクする人間ってこんなもんだよねぇ，と思ったのだった．今日の記者会見でも，転んだり怒鳴ったり，「次が書けるか分かんない」発言など，「破天荒」な会見だった模様（笑）．

７月１３日火曜日晴

　午後講義２つ．ようやく一葉の「にごりえ」について講義を終えることができた．
　昼休みにゼミ生がやってきたので，話し相手になってやったのは良いが，このゼミ生は話が長く，相手をしているうちに昼食を食べ損ねてしまう．気がついたときには，始業３分前であった．３限の授業をなんとかこなして，合間の１０分間に簡単に食料を補充して，４限の授業を行う．その後，学生の指導．
　「日本文学」の西田谷さんが書かれた書評を読む．スマートで鋭い指摘．抑え気味に書かれたのだろうなぁ，と思う．
　原爆文学研究会の事務局からメール．９月に発表して，との話．会誌購読用幽霊会員のつもりで入ったのに……．

７月１０日土曜日晴

　京都時代に大変お世話になった先生の訃報が伝えられた．先月に続いて，またもや強い衝撃を受ける．こちらも京都から披露宴に来ていただいた方で，謡を披露していただいたのだ．今年は僕にとって「呪われた年」となったようだ．
　プライベートでは，最悪のニュースが相次いで，前期は仕事になかなか集中できない．そういう年齢になったということなのだろうが，「生きる」のはなかなか辛いツトメである．

７月７日水曜日晴

　構内で先生方に会う度に「暑いですね〜」の言葉が，挨拶代わりに出るようになった．研究室の外では蝉も鳴いて，岡山の夏もたけなわである．
　朝１限の授業．この授業も残すところあと２回となった（うれしい〜）．午後ゼミ．卒論の題目の提出締め切りが近づいているので，「ハヨ出せ」と４年ゼミ生の尻を叩く．この後，研究室を訪ねて来た学生に教採の試験問題を解いてくれといわれて，頑張って解答する．聞くと，どうも教採の問題集を出している某Ｋ同出版の解答例が違っているということなのだ．え〜加減な仕事をする会社もあったもんだと思う．
　我が家では，先日来奥さまが職場から借りてきた韓流ドラマ「美しき日々」（全24話）に夢中である．ニュースも見せて貰えないので，仕方なく僕も適当にお相伴してみているのだが，昨日各話のタイトルを見て笑ってしまった．「美しき日々」にも関わらず，見た回のは「絶望」「苦悩」「崩壊」というタイトルだった．イ・ビョンホンが，どうしても日ハムの新庄剛志選手に重なってしまい，正常な鑑賞が妨げられる．

７月１日木曜日晴

　出勤して，講義資料をプリントアウトしようと思ったら，「オフラインです」というエラーメッセージが出て，印刷ができない．授業時間が迫っているので，焦りまくった．
　今まで無かったことなので，おかしいなと思いながら，プリンタの電源スイッチを押すと電源がつかない．これはソフトの問題ではなく，ハードの故障であると判断して，修理に出すより他はないと早々に諦めた．
　午後講義を済ませて，プリンタを修理に出す用意をしていると，面会約束のゼミ生がやってきた．「プリンターが壊れちゃってねー」と言いながら，プリンタの電源コードをコンセントから外す．
　すると「先生，パソコンの電源が落ちましたよ」とゼミ生が注意する．
　「何をばかな」と，見てみると，確かにモニターが「落ちて」いる．抜いたプリンタの電源コードをコンセントに差し込むと，モニターが点いた．
　その瞬間，「下人」は自分が今までプリンタの電源コードと信じていたものが，モニターのそれであることを悟ったのだった．それは醤油と信じていたものが，大嫌いなソースであることに気づいたのと同程度の驚きであった．そして改めてプリンタのコードを手繰っていくと，なんとそれは別方向に伸びており，しかも差込口がコンセントから脱落していたのだった．…………．
　見ていたゼミ生は「恥ずかしー」と，致命的な一言を放った．「下人の行方は誰もしらない」