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推薦SF

sciencefiction

−SFについては、Bookreviewの方で大量にオススメしているので、ここでは、絶対の自信を持って、5つだけ挙げてみました。

「キャッチワールド」
著者:
クリス・ボイス
出版社:
早川書房

この本については、別ページキャッチワールド解説に詳しい。とにかくこいつはカルトだ。SF野郎が辿り着く極北、至高の一冊だ。

素人は手を出すな。SF読みなら100回読むべし。

バザートラム戦闘艦”憂国”がとにかくカッコイイし、日本趣味がカッコイイし、サイバーな描写がカッコイイし、リアルな恒星間戦闘がカッコイイし、黒魔術のメタファによるコミュニケーションという描写もアイディアもカッコイイし、なにがなんだかわけがわからない風(ちゃんと読めばわかるようになる)ラストもまた、カッコイイのだ。

ちなみに、某模型誌のイラストコーナーで、自分が使っているペンネームは、こいつに由来します。

「楽園の泉」
著者:
アーサー・C・クラーク
出版社:
早川書房

私はこれを読んで、人生、道を踏み外した。

技術者になろうと思ったのだ

赤道直下、高さ約四万キロメートル(キロメートル!)の高さで聳え立つ建造物。(軌道エレベータ)、男だったら、こういうものが造りたいではないか。

この超壮大な夢想を裏付ける技術的細部はもちろん、描写の美しさに酔って欲しい。イギリス流だが穏やかな、少しほろ苦いジョークも良い味を出している。たとえば、途中引用する文献名の中には、本当に存在する本に混じって、ミスカトニック大学出版局が2069年に出版した本なんてものがあったり。

そして、最後のアイロニーが、胸を打ちます。

さて、その後の私ですが、紆余屈折ありまして、現在、人工衛星の開発の仕事に関わっています。マジです。このように、道を踏み外すのも面白いと思いませんか?

この本を読んだとき、もう一つ思ったことがある。

いつか、スリランカへ。

「スキズマトリックス」
著者:
ブルース・スターリング
出版社:
早川書房

やっぱサイバーはスターリング!

スターリングを読まずしてサイバーを語るな!

80年代以降のSFの新たな基準です。圧倒的なアイディアとイメージの奔流。多様性とダイナミクス。新しい分野のテクノロジーと政治を結合させる思弁。何よりも、溢れるくらいにSFなのだ!

そう、やっぱSFは思弁だ!

そう言えば、発表された年代的には「ガンダム」と一致するんですよね。スペースコロニーから始まる物語、人類の新しい進化。どっかクロスオーバする点があるのかも知れない。ま、「スキズマトリックス」のほうがずっと進んでて、カッコ良いですが。

長編「ネットの中の島々」も、もちろんオススメ!スターリングのアジが冴え渡る!先鋭的な思弁が燃える!

それにしても、スターリングの短編集が読みたい!「クリスタル急行」!!

すでに翻訳されている短編中からイチオシは「江戸の花」明治初頭の江戸を舞台に、テクノロジーとは何なのか、深い思弁の短編です。絶品です。月岡芳年が出てくるあたり、超マニアック。

「へびつかい座ホットライン」
著者:
ジョン・ヴァーリィ
出版社:
早川書房

読むものの既成観念、先入観を破壊する危険なドラッグ。それがSF

その中でも最高品質の高純度品。自分の既成観念、パラダイムが崩れてゆく音が聞けるような、そんな小説です。

それにしても、「スティール・ビーチ」はつまらなかったな。非ハインライン的な、厳しい将来の見通しとめくるめくようなビジョンを見せる「へびつかい座ホットライン」のラストがすごく気に入っていたのに、ヘボにハインライン的な代物だった。

「戦時生活」
著者:
ルーシャス・シェパード
出版社:
新潮社

SFじゃないって?知ったことか。これはSFだ。

これを読んで、泣こう。この作品は、読む者の心の奥底に、深く、だが着実に流れる、名のつけようのない感情を残すだろう。深く精神を揺り動かす小説だ。

短編集「ジャガー・ハンター」の、鋭い角を持つ宝石たちのような短編も、読んで欲しい。私はシェパードのスタンスに同意する。そして私も宣言しよう。無力と無関心を装い、世界から目をそらすのは、間違いだと。

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