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政治の抜本的過ぎる?改革

poli-tech

改革です。抜本的です。さて、どのくらい徹底すれば改革で抜本的なのでしょうか。

そのいち:政治とは

ひとくちで言えば、人間関係です。

もちょっと厳密に定義するなら、問題解決のためのコミュニケーション、とでもなるでしょうか。

我々は普段特にマクロな政治しか意識していませんが、村行政、社内政治といったものがどういうものであるか、思い出してください。更にそう、思い出してください。グループで飲んだとき、次に行く店を決めるのに、多数決で決めてますか?それともジャンケンですか?リーダーっぽい人に流されて行きますか?

そこで使われているのは、現在どんな人間集団でもお馴染みの問題解決システム、そう、それが政治なのです。


そのに:現状分析

現在最も高度とされているのは、民主主義というシステムです。これは意思決定を機能的に問題が無い程度まで分散し、特にルールの決定への参加者を出来る限り増大させていることを特徴としています。

問題点として、多くが指摘されていますが、特に、実際にはルール決定に全員参加の理想が実現していない点と、その理想の現実性が疑問視されている点などが、よく言及されています。

実際に最もよく用いられるのは、中央集権型の階級制です。これは企業などでほぼもれなく採用されており、効率優先の観点から権力の濫用が押さえられる傾向がみられます。逆にいえば、効率が問題とされない部門では、権力の濫用が多いわけです。


そのさん:解決法

ズバリあっさり言いましょう。テクノロジーを使うのです。

SF者の解決法ですからねぇ。安易ですか?でも、言わせてもらえば、バナナ取るのに道具を使わない奴はサルです。

考えてみれば中央集権も民主主義も、テクノロジーの支援無しに実現可能なのです。ハダカでオッケーなのです。テクノロジー抜きだから、応答性を求めれば中央集権になってしまうし、メンバーシップを求めると民主主義になってしまうのです。

私が提案するのは、”テクノロジーに本質的に依存した政治構造を実装しよう”という事です。


そのよん:質疑応答

それは可能なのか?それは解決法なのか?

テクノロジーの支援無しには成り立たない政治構造、それは既に実装され、有効性が確認されています。

フリー/オープンソースプロジェクトには、旧来型の政治構造は見られません。代わりに存在するのはメーリングリストと自動バージョン管理機能を持つソース/リソースサーバです。単純に事実に注目しましょう。それは機能しています。意思決定は常に行われ、そして優れたアウトプットがあります。

Mozillaを例にとって、オープンソースシステムの優位性を否定する論調も見られますが、それは現実に追従していない意見です。*

フリー/オープンソースシステムでは、参加者の熱意がサーバ維持のコストを下回った時に”失敗”します。政治システムのコスト = サーバ維持のコストなのです。


また、単純だが効果的な改善も、企業を中心に活発に行われています。グループウェアのような情報インフラ整備は、中央集権構造の権力ピラミッドから、中間層を確実に削除しています。

グループウェアとは、テクノロジーによる社内人間関係の実装に他なりません。


*Mozillaは当初、その開発規模を見誤りましたが、1999年末にはアルファバージョン出荷にまで漕ぎ着けました。Microsoft社の”デスクトップ”の根幹、IE5に匹敵する大規模開発は、遂にその実を結びつつあります。


そのご:実装の手法

テクノロジーに依存した政治システムは現在、経済性を主理由として、企業への導入が盛んに行われている段階です。次には、コスト性が問題とされているが、特に死活がかかっているわけではないカテゴリの組織への導入となります。

このカテゴリに、議会民主制を用いている組織の大半が含まれます。

私が提案するのは、改善ではなく、抜本的手法、すなわち別システムへの乗り換えです。WindowsNTからLinuxにサーバを切り換えるように、ローコストで優れたシステムを並列に立ち上げ、機能を乗っ取るのです。

実装のベースは、オープンソース開発システムです。問題に関連する法令、ルールを即座に検索、判例を引きだせるルールサーバと、問題当事者が直接対話し、部外者がマスターとなる会議室が基本となるでしょう。

会議室のログはそのまま、ルールの基礎としてルールサーバに格納されます。また、将来的にはルールサーバは動的なルールを実装します。

現在の会議室、掲示板のシステムはフレーミングを招きやすいという欠点を持ちます。しかしこれは、見逃されがちな重要な意味を持ちます。テクノロジーが参加者の参加様式を定義しているのです。これは更に、実装によってはより温和な性質を持つ会議室を作り出せるだろう、という推測をもたらします。

このように、サーバサイドが既にあるものを焼き直すだけで済むのに対し、クライアントサイドは少々複雑になります。クライアントサイドはどう簡略化しても、ネットワーク接続可能なハードウェアを必要とするからです。

クライアントの導入コストを考えると、当初は小規模な集団、たとえば地方自治体で、住民全員にi-Mode端末を持たせる、という導入手法が有効かと思われます。

そう、現在ではクライアントは非常に安価に供給可能です。事の面倒さは今や”少々”というレベルなのです。


そのろく:更なる解決法への道

我々は”管理”という言葉に強い嫌悪感を抱いていました。いにしえの”マザーコンピュータ”はまさにこの嫌悪感の現れでした。

しかし、身の回りにコンピュータの溢れる現在、辺り中で”情報管理”が行われている筈なのに、1984的事態は到来していません。管理という言葉が悪いイメージを持つのは、テクノロジーに依存しない情報管理システムの代表である中央集権制の悪弊のせいです。だから”マザーコンピュータ”は究極の中央集権システムとして描かれるのです。

現実は逆です、コンピュータと管理テクノロジは、古く、悪臭ぷんぷんたる政治システムに取って代わることの出来る、我々の味方なのです。

どのように政治を代替するのか。政治の目的は、大抵の場合、お金や土地、人や時間といった、リソースをどううまく分配するか、という事でした。

さて、手元に有るコンピュータ、その搭載するオペレーティングシステム(OS)の目的を思い出してみましょう。演算能力やデバイスといった、限りあるリソースをアプリケーションやユーザに分配すること、それはOSの主機能です。

それには、公平に分配する方法もあれば、強い奴が独占する方法もありますが、我々はもっと高度な手法を利用しています。実際には今のところ政治への応用が思いつかない(だから”〜への道”)のですが、例えば、行政がガベージコレクションを実装していたら…とか、タイムシェアリングだったら…とか、想像してみても楽しいものです。


我々は、生活をさまざまな規範で縛られながら生きています。それは道徳だったり、礼儀だったり、付き合いだったり。これは静的な、どのような状況でも変化することの無いものです。

我々が守るべき膨大な静的なルールたち、そのようなプロトコルのレベルに神経を使うのは、非常に馬鹿らしいものです。状況によってルールを動的に最適化するシステムがあって良いように思われます。

動的なものへと進化した思想や道徳は、ドキュメントの中で、状態遷移図などで修飾されるようになるでしょう。更に真髄を学ぶものは、ソースコードを読まなければなりません。

将来的に我々は、ヒト社会での境界線を、個人生活、集団生活の範囲を自ら意識することなく、動的に割付けるシステムを実装することになるでしょう。

古臭い、集団意識なんざ永久に過去のものなのです。互いに違う価値観を許容しながら、息苦しさを感じない社会こそが、真の未来社会なのです。


まとめ:答えすら超えて

そろそろ、問題そのものよりも、問題の解法を気にする頃合いです。

古来から知られる抜本的解法に、全員を同じ価値観にする、というものがあります。そうすれば意見の衝突そのものが存在しなくなります。事の機敏さえ飲み込めてしまえば、なまぬるいムラ社会ほど心地良いものはありません。

しかし、右や左といった主観で全員の価値観を塗りつぶそうというのは、言ってみれば他人をロリコンに洗脳しようとするのと同じようなもので、どのように大層なゴタクを並べ、友和を唱えたところで、本質は排他的で盲目なのです。

それは人類全員を洗脳済みにするまで続く闘争を意味します。他人に価値観を強制するのは、真の解決法ではありません。価値観を云々するレベルというのは、道具を持たないサルのレベルです。

もっとまともな解法、アルゴリズムを探しましょう。現在のシステムをデバッグし、より良い実装で置きかえるのです。

さて、もうお分かり頂けたことと思います。私が思っている、政治改革というもののイメージが。

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