1996年の出来事
内容
- 光害を解剖する
- IDAとの相互リンク
- 環境庁のライトダウンキャンペーン
- 星空を守る会環境庁を訪問
- 空の明るさをCCDカメラで測定する方法
- 若葉台文化祭に参加したわかばだい天文同好会(ASW)
- 小さな、そして大きな成果
- クロフォード博士と古在博士
- EPAのグリーンライトプログラム
- ゾーニングは本当に空の明るさを解決できるか?
- 街灯と駐車場の照明の調査実例
- 手賀沼の噴水のライトアップ
- 光害対策と天文家
- 「スター・ウイーク〜星空に親しむ週間〜」
- アトランタ市でビルボードの照明規制法
- 平成8年度全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)
- 横浜横須賀道路PA(下り線)エリアの照明対策
- 環境庁の光害防止ガイドライン作成
- 光害調査実施結果
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Sky&Telescope誌11月号(1996年)に「光害を解剖する」という記事が掲載された。IDAのメンバーの一人、ARTHUR R. UPGREN氏の論文を同誌のAlan M. MacRobert氏が編集したものだ。光害の原因となる照明について詳しく、科学的に検証しており、照明に鋭いメスを入れたことになる画期的な論文だ。一部を紹介しよう。
水平に近い方向に出る光は特に有害
「汚れのない大気中を光が真っ直ぐ上方へ向かうときは、わずか20から30パーセントの光が大気によって拡散されたり吸収されるだけで、残りの光は、無害に宇宙へ消えて行く。もし、同じ光が水平より5度上に向けて出るときは、約90パーセントの光が大気に拡散されるか吸収される。従ってこれを何マイルにもわたる地域で足してみれば、3倍から4倍もの汚染の原因となる。」
つまり、照明から出る横方向に向かう光(そして眩しさの原因となる光)を無くさない限り、光害の原因を取り去った事にはならないと言う事だ。この論文に付いては、大要をまとめて、ローカルインフォメーションシートに追加する予定だ。
1996年12月17日
ASWのホームページは、IDAからもリンクされた。頭文字が“A”で始まる為、リストの上から2番目に載っている。IDAのクロフォード博士とも連絡を取りながら照明の改善に貢献できるようローカルインフォメーションシートの充実、CIE、AIUへの意見提出などの国際的な活動も進めつつある。
1996年12月17日
環境庁は、1997年3月頃地球から良く見えるヘール・ボップ彗星の到来を機会に、この彗星の観察とそのための ライトダウン を呼びかけるキャンペーンを展開する事を発表した。(11月18日)
協力団体としてパチンコ店組合の中央組織である全日本遊技事業協同組合連合会、協賛企業として(株)小学館が決定している。
多くの団体、企業、市町村の参加を呼びかけると同時に、引き続き協力団体等を募集している。環境庁への沢山の協力の輪が広がることを願っているし、 わかばだい天文同好会(ASW) も全面的に協力する約束をした。
このページをご覧になっている方で御協力いただける方は、最寄りの市町村、企業・団体、天文同好会等への要請をお願いします。
御協力頂ける場合、直接環境庁へ連絡するか、又は ASW でも対応致します。連絡は suchida@mxb.meshnet.or.jpまたは、郵便で(郵便番号241)横浜市旭区若葉台4-21-206、わかばだい天文同好会光害対策部、岡倉周一までお願いします。
詳細は次のページに掲載しました:
環境庁の ライトダウンキャンペーン
また、環境庁の連絡先は:
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室 西尾さん
TEL 03-3581-3351 (内線6545)
FAX 03-3593-1049
(1996年11月26日)
10月23日に 星空を守る会 は、環境庁の 大気保全局大気生活環境室 を訪問し光害対策についての相談を行った。
鈴木室長 よりは;「光害の実体も、光害という名前さえもまったく理解されていない事が多い。是非民間でも光害の問題の認識を広めるよう協力して欲しい。」さらには、「光害の問題を星を観る天文家の問題としてのみではなく、環境とエネルギーの問題として捉えることが大切だし、折角ある質の良い照明器具を天文台の近くだけではなく、広く一般でも使ってもらってはどうか。」
西尾調整係長 よりは;「ヘールボップ(HB)彗星の接近を前にして、環境庁でもライトダウンを押し進めることと、多くの観望会の開催協力を一般からも求めている。」
という貴重な意見を頂いた。
星空を守る会 からは、 インターナショナルダークスカイ協会(IDA) が提供する「光害」のスライドの紹介と、官公庁で使う照明の改善依頼が提出された。
1996年11月13日
月刊天文12月号17ページにCCDカメラST−6を使って空の明るさを定量的に測定した結果が報告されている。神戸市にお住まいの 中田晶 さんと 太田健一 さんの活動だ。
中田さん は、 星空を守る会 の会員でもある。
空の明るさを定量的に短時間で測定する方法が確立された事は大変意義がある。アマチュア天文家の多くが利用するようになったCCDカメラとコンピュータでの解析が可能であれば、より幅広いデータの収集が期待出来る。
1996年11月13日
11月10日、横浜市旭区にあるマンモス団地 若葉台 (人口約2万人)で毎年開催されている文化祭にASWも参加し、多数の方にスライドを使った星空、星座、そしてハッブル宇宙望遠鏡の写真を紹介できた。
晴れていれば夕方から土星の観望会を開く予定であったが、生憎の曇りで観望会は中止となった。
観望会を計画しても天候に左右されることはどうしても仕方ない。ASWの様にスライドを組み入れた観望会を計画すると多くの人に喜んでもらえる。
1996年11月13日
わかばだい天文同好会(ASW) は、その活動の地である若葉台団地の中で、照明の改善について提言を続けてきた。その活動の一部は、ローカルインフォメーションシートとして幾つか紹介してきた。
そして、大変うれしいニュースがある。団地の中の管理組合の一つである第七管理組合にASWの提案を受け入れてもらえたのだ。照明器具の老朽化の機会に、費用削減を前提として、現在のグローブ型及びセミカットオフ型の照明を見直す事を決定してくれた。約半年に及ぶ提言活動、資料の送付、そして若干の議論とASWの子供達への毎月のサービスが認められた訳だ。
この小さくて、そして大きな成果の裏に、光害は、天文だけの問題ではなく、エネルギーと環境の問題であることを訴え続けたこと、照明の改善は決して安全を犠牲にするわけでは無いことを説明できた事がある。更に、自分たちが今住んでいる地域の照明の改善を実現し、誰もが利を得る提案につなげた事だ。
そしてあなたが住んでいる場所でも可能なことだ。
1996年10月25日
クロフォード博士 と言えば、勿論 IDA の会長であり、著名な天文家でもある。そして、 古在博士 は 「星空を守る会」 の会長であり、同様に著名な天文家だ。二人の天文家が共に暗い空を守るための活動の長として、米国と日本でそれぞれ活躍されているのは象徴的でもある。
環境庁で話し合う古在博士(奥の列左)10月23日撮影
古在博士は、9月のパリの学会でクロフォード博士に会う機会があり、「星空を守る会」とASWが共同でまとめた報告書 Is zoning really a solution for minimizing sky glow?を彼に提出していただいた。クロフォード博士はその表題を見るなり、「私もまったくその通りと考える」と発言され、更に内容を見て、CIE及びIAUの席でこの報告書を議題に入れるよう努力してくれるとのことだ。
たのもしい天文家が二人いれば、暗い空を取り戻す日も近いはずだ。 そしてアマチュアも二人の活躍のために力を貸そうではないか!
1996年10月25日
アメリカの EPAは、 「グリーンライトプログラム」 を打ち出した。照明に使用される電気エネルギーの削減と発電による公害を減少させる大きな効果を期待している。その効果は、自動車の数に換算して、年間42百万台に相当するという大規模なものだ。勿論この照明の対象には、夜間の屋外照明も含まれている。例えば駐車場の照明のグレアゾーン(75〜90度の角度)に出力される光の量を4%以下を推奨するというレポートも紹介されている。詳しくは、 ローカルインフォーメーションシート No.10 をご覧下さい。
当然のことながら、 IDA もこのプログラムを非常に評価している。私達、わかばだい天文同好会もEPAに対し全面的にサポートする旨の連絡を送り、微力ながらわが国で 「グリーンライトプログラム」 を広く知らせることを約束した。
素晴らしい活動が始まったことを喜びたい。がんばれEPA!!
1996 September 13
星空を守る会と わかばだい天文同好会(ASW) は、
International Commission on Illumination (CIE) TC 4.21のテクニカルレポート "GUIDELINES FOR MINIMIZING SKY GLOW" の中で提案されている「ゾーニング」について議論し、その結果を報告書 ローカルインフォーメーションシート No.10 にまとめている。題名は、「ゾーニングは本当に空の明るさを解決できるか?」。
この報告書を CIEに提出することによって、国際的な照明光のガイドラインの中にアマチュア天文家の意見を反映する試みとなる。このページをご覧の方も是非ご意見をよせていただきたい。
わかばだい天文同好会がある団地の街灯と駐車場の照明の実体を調査した結果、使用している電気エネルギーの70%以上、また年間6〜7百万円の費用が浪費されている可能性があることが判明した。この団地が特別な例ではなく、ごく典型的な団地であり照明もわが国のどこでも使用されているグローブ型と、セミカットオフ型を使用している結果である。
照明に対する知識、環境への影響、省エネルギーの配慮等、基本的な照明設計の基礎が守られていない典型的な例であろう。そしてこの問題は、一つの団地の問題では無く、日本全体の、いや世界全体の問題でもあろう。
この調査の詳細は、 街灯と駐車場の照明の調査実例 (ローカルインフォメーションシート#4)をご覧下さい。
天文ガイド3月号の読者サロンで話題になった、手賀沼の噴水のライトアップの事が、 IDA のNewsletter #28に掲載された。日本の光害活動も世界が注目している。わが国の「星空を守る会」そして IDA など天文家をサポートしてくれる機関に頼ると同時に、役に立つ情報をどんどん発信しよう。
Entered on 1996 July 6
アメリカのPhilip S. Harringtonと言えば、"Touring the Universe through binoculars"の著者、そしてFred Schaafと言えば、"Seeing the Sky"を初めとする"Seeing...."シリーズの著者であり、両氏ともアマチュア天文家が出発点だ。勿論、今でもアマチュアの現役として活躍している。両著とも自らの観測と体験を基本として書かれている点、読み進むと著者のエネルギーが行間から伝わってくる。
さて、そんな大天文家の二人は、同時に光害対策活動にも力を入れている。
Harrignton氏は、「よりエネルギー効率の良い市街地照明システムの設計」と題する論文をしたためたという記事が New England Light Pollution Advisory Group (NELPAG) のCircular 13に載っている。と言うことは、彼はまだ学位をとるために勉学中という事か。
Fred Schaaf氏は、Sky&Telescope誌で"Stars & Planets"と言う毎月の観望案内を担当し、隔月で"Light-Pollution Notes:"に非常に有益なコメントを載せている。
Entered on 1996 July 6
「スター・ウイーク〜星空に親しむ週間〜」が、8月1日〜7日に設定され、「子どもから大人まで幅広く星空に親しんでもらおう!」という主旨のキャンペーンが行われます。
スター・ウィークの情報は、 星見人達のページで入手可能です。
資料要求は、スター・ウイーク実行委員会まで(できるだけE-mailまたはFaxで):
スター・ウイーク 1996実行委員会事務局
国立天文台広報普及室内
〒181東京都三鷹市大沢 2-21-1
Tel:0422-34-3688
Fax:0422-34-3810
E-Mail address:starweek@sl9.mtk.nao.ac.jp
1994年12月にアトランタ市で新しいビルボード(広告塔)の照明は、上方から照らす事を規定する法律が通った。この快挙に一人のアマチュア天文家の力があった事がSky&Telescope誌5月号に記事となっている。
Tom Buchanan氏がその人だ。今年の夏のオリンピックの準備が着々と続いている都市での規制を手にされた実績には本当に頭が下がる。
環境庁が主催する平成8年度全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)の日程が発表された。実施期間は次の通り:
夏期:平成8年8月4日(日)から8月17日(土)
冬期:平成9年1月28日(火)から2月10日(月)
問い合わせと参加を希望する団体は、最寄りの市の環境保全局へ申し込みをすることができる。
この観察には、平成7年度の夏期観察に429団体(47都道府県、11政令指定都市、330市町村(政令指定都市を除く)から観察結果が報告されている。具体的な観察は次の通り:
- 肉眼で「天の川のどの部分(白鳥座、たて座、いて座の付近)が見えたかを観測
- こと座のα(ベガ)、ε、ζ星に囲まれた三角形の中に見える星を双眼鏡で数と位置を記録する
- 星空の写真撮影(カラースライド)
より多くの団体の参加が望まれる。
横浜横須賀道路PAエリアの照明対策については、以前より「星空を守る会、三浦半島ネットワーク(わが国での活動参照) 」の活動により効果的な対策が道路公団側と検討されていた。上り線の対策については、平成八年3月に既に実施されている。
今回、同ネットワークと道路公団で6月11日に打ち合わせが行われ、上り線と同様の対策案が公団側より提示された。
同PAエリア近辺には、蛍も生息しており人工の光で繁殖に影響を受ける蛍への配慮、蛍の生息地としての人工池の設置、野鳥の生息地としての配慮も検討されている。
この活動に主導的な役割を果たしているは「星空を守る会」の佐藤代表である。
1996年6月8日環境庁は、光害を防ぐために屋外照明のガイドラインを作成する方針を固めた。信濃毎日新聞に掲載された記事を全文ここに紹介しよう。
「環境庁は八日、屋外照明で夜空が明るくなり天体観測などに影響が出る「光害」を防ごうと、望ましい屋外照明の方法などを盛り込んだガイドラインを作成する方針を固めた。今年度中にまとめ、各地の街灯や公的施設の照明の整備、大規模な民間施設に対する自治体の指導に活用してもらう。
光害で最も問題になっているのは天体観測に対する悪影響。このため既に国際天文学連合(IAU)や日本の照明学会などが公害防止の研究を始めている。
ガイドラインはこれらの研究をベースにし、@山間部など本来は暗いはずの地域A田園地域や市街地郊外B商業地が混在する明るい地域−など、土地利用形態に応じた区分を設定。事前の実態調査を基に、各地域に無理のない程度に光害を減らす目安を明らかにする。具体的には、街灯などから上方に漏れる光の割合(上方向光率)の限界などを示したい考えだ。光の漏れを防ぐための方法や照明器具の構造なども盛り込まれる見込み。
同庁は、97年度以降、ネオンサインなど光を見せることが目的の照明についても、対策が可能かどうか検討する方針だ。」
(96年2月2日日経新聞)
都内の屋外照明装置四分の一が基準オーバー
夜空が明るくなり星が見えにくくなる光害の原因となっている屋外照明について、都内の約四分の一の照明装置が光害防止の国際基準を満たさない恐れがあることが、一日までの照明学会の調査で明らかになった。光害は、農作物の生長にも悪影響を与えるなど新たな公害として関心を集めており、今後改善を求める声が高まる事も予想される。
屋外照明の基準は、国際照明委員会(CIE)と国際天文学連合(IAU)が共同でガイドライン作りを進めており、近く正式決定する。市街地では照明から出る光の総量のうち上空に漏れる量の比率(上方光効率)を二十五%以下にする見通し。
調査は、照明学会の「照明光の環境への影響研究調査委員会」が国内で初めてまとめた。
一月から都内の商業・住居混在地域と長崎県の雲仙天草国立公園内の二カ所で実施。それぞれ九百四十五、三百六十八個の屋外照明について上方光効率を調べた。
その結果、同比率が国際的な基準値を超える照明装置の割合は都内で二十八%に上がった。明るい照明を使う商業ビルが多いことが主因と見られる。
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Last update: September 3, 1996