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以前のときのこえ

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〜 「極楽とんぼ」を目指して 〜

wpe1.jpg (1741 バイト)       埼玉県寄居町 鈴木友治

1989年11月、44才。意を決して、20年間勤めた銀行を辞め、埼玉県の寄居町で、憧れの「百姓生活」へ一歩踏み出した。やらずに後悔するより、やって後悔だ。

連れ合いは、既に、寄居町で百姓を実践していた。無農薬野菜や平飼有精卵を生産し、新規就農希望者の研修を行っている「皆農塾」の代表を勤めていた。

土・日「百姓」をしていたとはいえ、1年間は勉強と、連れ合いの下で研修開始。初心に返ったつもりでも、何せ20年もの間、天下の銀行員をやっていたので態度がでかい。その上農作業も思ったようには出来ない。イライラもつのり、連れ合いとは衝突の連続。勝手気ままにやりたければ一人でやればと半年で、あえなく首。(なんてことだ!)

1990年7月、娘3人が命名してくれた「極楽とんぼ農園」がスタート。脱サラ前から目を付けていた土地が300坪と家を手に入れ、「皆農塾」で使っていた畑の一部(1反強)と鶏舎4棟(成鶏200羽)を借り受けての船出となった。循環型農業、複合経営として、とっつきやすい卵と野菜を選び、相対的に労働量が少なそうな卵を主、野菜を従の方針で臨み、現在、野菜畑4反、成鶏500羽を一人で切り回している(粗収入は卵7、野菜3)。もともと生物が好きな事もあり、他に山羊1頭、犬3匹、猫1匹、兎4羽、アヒル9羽、東天紅3羽、烏骨鶏10数羽がいる。

畑はオール借地である。買いたくとも、土地を売ってくれる人もいないし、値も安くない。当地でも、ご多分に漏れず後継者不足で、専業農家はごくわずか。使われなくなった桑畑(この辺は養蚕地帯)を借りては、桑を抜き、燃やしては野菜畑へ変える。一連の作業や費用は専ら、借り手負担が普通だった(地代も1反1万円が相場)。最近では、桑抜き費用を負担するからとか、たたでいいから借りてくれと頼まれる。(そんなにやっていられるか?)

といっても、鶏を飼うとなるとそう簡単ではない。畑に小屋などを建てると嫌がるからだ。住まいが集落内にあれば、家の近くに鶏舎というわけには行かない。ほこりや、鶏(特に雄)の鳴き声に苦情があるからだ。結局家から離れた場所ということで、管理の不便さを我慢することになる。鶏舎には電気も引けず、秋冬も点灯なし。鶏にはゆっくりと休んでもらっている。(産卵率のシーズン差の大きいこと!)

完全自給自足を目指すのならともかく、ある程度は現金が欲しい。これがなかなか大変だ。野菜や卵を買ってもらうのは、大きな収入の変動を避けることもあって、個人主体にしているが、この点では20年間のサラリーマン生活が役立った。先輩、後輩、友人、知人に、「百姓」開業の挨拶状を出しまくった。義理人情は生きていた。又、寄居に来てから知り合った健康食品の営業をしているM氏からは、随分と紹介してもらった。M氏に足を向けて寝ることは出来ない。団地で自作のビラを配ったり、ポスティング業者に特定地域でチラシを入れてもらったりしたが、特に後者は、予定通り全く反応が無かった。やらない方がいい。

自分で計画し、自分で作り、自分で売る農業は、極めて高度な仕事だ。特に無農薬有機野菜作りは、何年やっても、極めることの無い大変な仕事だ。四季折々の野菜を何種類かセットにして供給しているが、育ちが天候に大きく左右され、病気にもなれば、虫に食われもする野菜を、小ロット多品種で、切れ目無く供給するのは、まさに神業である。自然卵もしかりだ。大変だがやりがいのある男一生の仕事だ。(勿論、女一生の仕事でもある。)農業を馬鹿にする奴の気が知れない。

脱サラして悪戦苦闘の8年目、何とか「百姓」で生活しているが、金銭欲、物欲はまだまだ人並みにある。目指す、マイペース百姓、「極楽とんぼ」は遠い。春には、あふれる卵に、夏には生い茂る雑草に、秋には、押し寄せるアメリカシロヒトリに、そして冬には、吹きまくる北風に、ウンザリし、雨が降らないといっては嘆き、雨が止んだといっては喜ぶ日が続く。それでも心底、「百姓」になって良かったと思っている。 終り

97.7.16

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最終更新日: 2011/08/27