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◆CONTENTS◆
【きむたく日記】
(暇な時に更新しております。)
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kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp
¶ 西田谷洋氏『語り 寓意 イデオロギー』2000.3.15,翰林書房より堂々刊行,4500円也!
¶ 真杉秀樹氏『反世界の夢 日本幻想文学論』1999.12.10,沖積舎,3500円
T部は,夏目漱石「夢十夜」,泉鏡花・谷崎潤一郎・横光利一・梶井基次郎・中島敦・山川方夫の論考,U部は中井英夫論,V部は平野啓一郎「日蝕」評などがあります。
¶ 玉井敬之監修『漱石から漱石を』2000.4,翰林書房より刊行予定?
3月31日
金曜日雨 山田昌弘氏の『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)を読んだ。話題の書ということもあり,また村上龍の『共生虫』の参考書にでもなるかなぁと思って読んだが,日本社会の停滞を危惧させるに足る不気味で危険な因子であることがよーく分かった。親元から自立しない連中には,ご提案どおりどしどし贈与税的な課税をすべきである。140頁「サラリーマン--専業主婦型」141頁「雇用者--専業主婦型」という用語の不統一と,「雇用者」(やとう人)で「サラリーマン」(やとわれる人)を意味しているという日本語的問題もあるが,これはご愛嬌か。
冒頭,浅見光彦(探偵)が紹介してあった点に関連して,もう誰かが言うているだろうが,「それから」(夏目漱石)の長井代助は,父親・兄の経済に寄生しており,旅行・西洋風の生活スタイル・待合通いなど「消費生活」を楽しんでいる点で,この「パラサイト・シングル」の先蹤であろう。学芸大のT氏は,山田氏に既にご指摘済みであろうか?(笑)
ちなみに,僕はパラサイトしていないので,”Independent Single”である(エッヘン&泣)。
3月27日
月曜日快晴 岡山大学・大学院の卒業式。大変快晴で気持ちがいい。卒業式には例年出席しないが,式を終えたゼミ生が挨拶にやってくるので,研究室で待機する。
15:00より,大学近くのカルチャーホテルで謝恩会。袴姿で美しく着飾った女子学生達は,一体誰が誰だか分からないほどで,「化け物」とはよくもいったものだと思う。聞いてみると,この準備のために午前5時に起きて着付けの順番待ちをしていたとかで,食事をする間もなかったとのこと。要領の良い子は,並びながら準備したおにぎりを食べていたそうだ。ま,結婚式とまではいかなくても,一生ものだから気合の入れようが違うのである。
恒例の教官挨拶(注1)は代表1人にして欲しいと希望を申し入れたが,聞き届けられなかった。それぞれ贈る言葉を述べて,卒業生達と歓談する。今年度ただ一人教採に通っていた学生の赴任地が,香川ではなく神奈川であったことが判明したりもした。「な」が落ちて聞き取られて,流布していたようである。
クライマックスの花束贈呈では,ゼミの学生達が花束をもって各先生の前に並んだ。皆美しく着飾った女子学生ばかりである。で,僕の前はと見ると……。
「男かい!」(思わず,大声)
会場中,失笑。
このあと,A.A.R(注2)の大変渋いネクタイをゼミ生一同から卒業記念品としていただいた。稲田先生も,向こうで同じよう包みを僕に示して見せられた。みんな,ありがとうございました。ご卒業,おめでとう。
(注1)木村の挨拶の概略
「皆さん,ご卒業おめでとうございます。またこのような会にお招きいただき本当にありがとうございました。昨年は,保護者の方に,卒業まで面倒を見ていただいたことに対してお礼を申し上げるように言いました。今年もそれは言いたいと思います。親にとっての子育ての終わりを,あなた達のお礼の言葉で,その労をねぎらってあげて欲しいと思います。
それから,今日卒業式を迎える方で,まだ就職が決まっていない方もいられると思います。我々は小学校の入学から,学校制度の中で過ごしてきていますので,千篇一律が当たり前のように思いがちですが,実はそれは錯覚です。皆一人一人の人生の生き方は違うので,他の人と同じように就職がまだ決まらないからと言って,あせる必要は決してありません。1回きりの自分の人生の,目標や夢を見失わないよう,前を向いてしっかり生きていって欲しいと思います。
同じようなことは,子供の教育にもいえるのではないでしょうか。激烈な国際競争社会を迎えるなかで,子供達の競争力を身に付けさせることは必要です。そして,それと同時に,子供達の個性・自分のもっているよい点(宝)を自覚させ,それを互いの関係においても尊重する価値観を身に付けさせることも,同様に必要だと思います。あなた達にはそういうことができる先生になっていただきたいと思います。以上です。ご卒業,本当におめでとうございました。」
(注2)A.A.R
たしか,ダーバン系列のブランド。
3月23日
木曜日曇りのち雨 朝起きて,ポストに新聞を取りにいったら,なにか郵便物が入っていた。見ると「Yonda? CLUB」(新潮社)の景品である。1月位に送っていたのが,送付されてきたのであった。木っ端のごとき存在ではあるが,一応漱石研究者なので,漱石のリストウォッチで応募したら,まさしくそれであった。ちょっと嬉しくて,大学で学生に見せて自慢する(院生と事務官の皆さんには自慢し忘れた!)。リストウォッチのケースの裏側には,英語で漱石の年譜が書かれてあった。漱石研究者たるもの,こういうものまで目を通してしまうのかと,年譜の事項をチェックしてしまう自分が哀し過ぎた。封筒に「●カップ&ソーサー以外の景品は,危険ですのでなめないでください」とあって,笑ってしまう。
「国語研究」14号の発送作業をする。来週あたり,関係機関には届くはずである。こういう作業は,大きい大学なら専攻の事務員さんと院生(暇なヤツ)がやってくれる(出身大学はそうだった)。つまり,僕は教官兼事務員さんなのである。
昨日発送リストをチェックしていたら,大学のHPに掲示してある郵便番号と郵政省のサイトの郵便番号が違うところがいくつかあった。ま,(郵政省が)なんとかするでしょう。ダンボールに入れて,郵便局に持って行く。200円の送料が,冊子小包にすると180円になった。それを料金別納で支払う。こうすると,切手貼りの作業が不要になるのだ。多分これから紀要送付のシーズンなので,人件費節約のために借り出される院生諸君は,「先生,料金別納にして下さい」と言おう。そうすると,切手貼りの作業はなくなります。
封筒に貼るラベルもカットして直接封筒にプリントアウトしたので,昨年度の作業行程が2つリストラされたことになる。手伝わされた院生からは「一応感謝」されたが,「お礼はいいですから,単位を下さい」と言われてしまった。ま,院生・学部生の諸君,ご協力ありがとうございました(と,言っておくか)。
所用で教務学生係に行く。事務官のM嬢から,「黒ひょう」の小さいぬいぐるみをいだたく。ぬいぐるみがしている腕を組むあたりのポーズを,自分もよくやるので,一瞬親近感が湧いた。感謝。聞くところによると,ローソンで販売しているサイダーに,動物占いシリーズのオマケがつくのがあったらしい。黒ひょうが2つあったので,Mコレクションの中から1個を僕(黒ひょう)が頂戴した次第である。ちなみに,このオマケの「動物占い」シリーズが,教務のPCのディスプレーに幾つもテープでとめて陳列してあることなど,とても書けないことである……。ましてや,……いや,やめておこう。それから彼女は,ペガサスのついたシャープペンを誇らしげに見せてくれたのであった。それから「昆虫占い」というのがあるということも教えていただいた。ちなみに僕は,「テントウムシ」である。さ,やって見ましょう。
この2日で,ゼミ生や知り合いの学生から,教員での採用が決まったとの連絡を貰う。大変,安堵する。
3月14日火曜日晴
昼休み,表町の天満屋へ,ホワイトデーのお返しを買いに行く。GODIVA(注)のチョコも貰っていたので,一体幾らくらいするものなのかと確認したら,1個が250円もしていて驚愕する。金額相応のものをお返ししなければイケナイので,給料日前の僕の財布には大打撃であった。で,昼食は大学に戻り,生協の「きつねうどん」220円(泣)。気分は,一挙に冬将軍到来である。
帰途構内で,国語教室4年生の●○くんと△▲さんが,2人なかよく嬉しそうに自転車で走行しているのを見る。意外な取り合わせ。春?
(注)GODIVA ゴディヴァ。ベルギー伝来の手作りチョコ。「義理」より「本命」に贈る物らしい。誤解のないように申し添えておくが,当人達にそんなツモリは一切無い。(3.23)
3月11日
土曜日晴論文を書くために出勤。途中,郵便局で,石川巧さん(山大)からの内祝いを受け取る。娘さんの名前は,「朝」ちゃん。毎日人間に訪れるもの,最初の日常。良い名前だと思う。
「HTML Encoder」なるソフト(フリーソフト)を知る。これは,HTMLファイルを暗号化するもので,パスワードを入れないと,正しく表示されない。実験ページを置いてみたので,試してみて欲しい。パスワードは「soseki」である。「キャンセル」すると,全く意味不明の文書が表示される。これを利用することによって,特定グループ以外の者しか,文書の閲覧が出来なくなるわけである。しかもアップする文書自体が暗号化されているので,表示されなくてもソース(元データ)を入手すれば見ることが出来るのではないかという不安もない。問題は,暗号が解読される危険性だ。しかし,これも上位のソフトを開発中らしいので,将来的にはかなり有望なソフトになるだろう。
これによって,例えばBBSなども,特定グループしか書き込み・閲覧を許可できなくさせることもできるわけである。今までは,CGIなどを使うしか制限が加えられなかったが,それを知らない人間でもこのソフトを使えば,アクセス制限が可能になる。インターネットのオフィス・ユーザーにとっては朗報である。見たい人だけにパスワードを出すという形にして,論文データーに暗号化を試してみようか。
3月9日
木曜日晴 昭和文学会から研究集会(4月22日土曜,日本大学文理学部)の案内が来る。実はこの研究集会で,僕も報告をすることになっている。特集の「全集の現在」に合わせて,「『全集』の未来--草稿・ディジタルテキスト・インターネット--」という3題噺をするつもりでいるのだが,全集編纂の体験者である中村三代司氏や保昌正夫氏に比べれば,完全に見劣りしている。どんなことになるのか分からないが,会務委員の方々に迷惑だけをかけないようにはしたいものだ。それにしても保昌氏の,「雑談をさせていただきます」「フリートーキングをお許し下さい」って,反則ではないのか(笑)。
一番の不安は,実は,自分の方向音痴である。条里制の区画を残す京都で12年間暮らして以来方角感覚が悪くなって(だって方角を考える必要がないんだもの),山口ではとうとう東西南北が分からないままだった。案内状に記載されていた地図では相当に不安なのだが,定刻になっても422教室に現れない場合は,付近で「迷子」になっていると思って探しに来ていただきたいものだ。
昼食を買いに車で遠出して,買い物の支払いにはじめて話題のデビット・システムを利用した。買い物金額を確認して確認ボタンを押し,郵貯のカードを認証用の機械に通して,暗証番号を押し,再度確認ボタンを押す。これだけである。買い物の明細と引き落とし明細の2枚のレセプトを受け取ることになる。普通の買い物に比べると少し手間が掛かるが,手持ちがないときは大変便利だ。ただし家族で,口座を共有している場合残金を確認しておかないと大変なことになるので,注意を要する。
苺大福を買ったのだが(甘党),一口食べてみてイチジク大福?と思った。苺と餡が見事にミスマッチを起こしてイチジク化しているのである。勘弁してよタカキベーカリー(広島工場),酸っぱいじゃないか。
3月7日
火曜日晴 昨日ゼミ生の協力を仰いで,書架の整理をする。着任以来,大体のところに分類していたのだが,最近探しても見つからないことが多くなっていたので,書架の購入・整理とあいなったわけだ。3時間ほどで,全集や単行本・文庫・新書を分類し,まあ今日はこんなところで,終わったわけである。
今日は昨日の分類が終わらなかったところの整理を1人で行う。社会学・歴史学はともかく,山口昌男のような歴史人類学とかいうやつはどこに置いたらよいのか分からなくなり,作業がはかどらぬ。図書館司書の単位をとっているとこういう作業には,すこしは役立つのだろうかと思う。本の整理術について一家言をお持ちの方は,是非ご教示願いたいものだ。というより,僕に代わって整理して欲しい(笑)。
金沢の西田谷洋さんから,御著書『語り 寓意 イデオロギー』を恵送される。深謝。御上梓おめでとうございます。
3月3日
金曜日晴 来年度,就職・学生委員というのにしていただいたおかげで,今日は引継ぎの会議。演説好きの先生のお蔭で,会議終了後20分も話を聞かされた。他に仕事があるのに,迷惑千万である。先が思いやられる。これからは,時間厳守で臨みたい。
書架がはいった関係で,書類の整理・整頓をして,不要分を廃棄する。読書に勤しむ。
大学時代の後輩で,現在読売新聞奈良支局勤務の関口和哉記者から献本あり。千田稔・金子裕之共編著『飛鳥・藤原京の謎を掘る』(文英堂,2000.3.10,2000円・税別)である。あの亀形石造物の遺跡が発見された飛鳥に取材した力作である。
今日の新聞の広告欄の片隅に,新潮文庫からトマス・ハリスの新刊予定が出ていて狂喜。あの名作「羊たちの沈黙」の続編,「ハンニバル」上・下が4月12日に発売されるそうなのだ。きっと映画化もされるのだろうが,あの「怪物」レクター博士に再会できるのである。楽しみだ。
3月2日
木曜日晴 万歩書店平井店の中川氏からメールで,探求書の入荷連絡があったので,受け取りに行く。漱石研究の新刊本も,1300円ほど安く入手できた。
事務機器の業者が来てくれて,ようやく研究室に注文していた書架が入る。水道があるので,壁一面に4本しか並べられないが,天井近くまで高さがあるので,書籍の収納には当分問題ないだろう。机の上や本棚に積んでおいた本を,書架に並べて行くが,そろそろ整理をしないと何がどこにあるのか分からなくなって来ている。この点,ゼミ生の有志の協力に期待したい。
最近ちょっとしたはやりの「動物占い」のサイトがあるのを知り,自分が何に該当するのか調べたところ,リーダーシップを取るのが好きとされる「黒ヒョウ」だった。僕は相手の気持ちが気になるタイプなので,リーダーというのが,実は大変苦手である。しかし,確かに小さい頃はリーダーになりたがる性格だった気もする。新し物好きだという指摘は,あたっている。
自分だけでは,面白くないので,研究者仲間を動物分類しようと思ったが,誕生日までは知らなかった。で,12人いるゼミ生を調べてみる。4年生は,たぬき1,狼1,ひつじ2,こじか1という結果であった。「こじか」は卒論関係で,おおぼけをかましてくれた方である(顔も小鹿系だ)。諾なるかなと,得心する。3年生には,「黒ひょう」の苦手とする連中(太陽グループ)が殆んどいて絶句させられた。すなわちゾウ2,ペガサス2,チーター1で,他ひつじ1(満月グループ),サル1であり,僕が支配できる(地球グループ;とら・狼・コアラ・サル)のは,「サル」(男子学生)だけであった。道理で,3年生の女子学生は,こちらのいうことを一切聞かないわけである。問題は,2匹ずついるゾウとペガサスであろうか。
同僚の教官を見てみると,コアラ2,ひつじ1で,ライオンが3匹もいたのには驚いた。しかし,ライオン(太陽グループ)とされる先生方は,僕は「得意」な方達なのである。まぁ,こういった分類遊びも面白いものではあると思った。コンパシーズンなので,間が持たないセンセイ方はセクハラに走る前に,学生との間の話題にするのも良いかもしれない。さて皆さんは,何系の動物でしょうか?
最近は,「家電占い」というのもあるようで,僕は「掃除機」でした。