津島通信

May 2000
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◆CONTENTS◆


【きむたく日記】

(暇な時に更新しております。)

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 ¶ 西田谷洋氏『語り 寓意 イデオロギー』2000.3.15,翰林書房より刊行,4500円也!

 ¶ 真杉秀樹氏『反世界の夢 日本幻想文学論』1999.12.10,沖積舎,3500円

     T部は,夏目漱石「夢十夜」,泉鏡花・谷崎潤一郎・横光利一・梶井基次郎・中島敦・山川方夫の論考,U部は中井英夫論,V部は平野啓一郎「日蝕」評などがあります。

 ¶ 玉井敬之監修『漱石から漱石へ』2000.4,翰林書房より,刊行中。お値段,8,000円(税別)


「きむたく日記」

5月29日月曜日晴

     大学院の講義と学部の演習。生協ブックセンターで,「ユリイカ」(特集・中原中也)を購入する。中也の「療養日誌」(昭和12年1月25日〜31日分,写真版あり)が収録されている。
     WWW閲覧用のブラウザであるCommunicatorがバージョンアップ(4.7→4.73)したので,ダウンロードしてインストールする。容量が巨大なので,電話回線ではダウンロードしない方が無難である。LANでも20分ほど掛かった。

5月25日木曜日晴

     昨日岡山は31.4度あったそうだ。しかし研究室内は寒いので(ジャケット着用),全く分からなかった。昨日は,森首相の「暴力団」同席事件まで発覚して,大笑いした。神の国発言も,腹が捩れるほど笑ったが,あと1つくらいぶちかましてもらいたいものだ。このまま退陣してしまうのは,惜しい(ギャグとして)。
     14:20からゼミ。芥川の「蜘蛛の糸」を取り上げる。生協ブックセンターで,水川隆夫『漱石と落語』(平凡社ライブラリー)を購入。以前出た本の増補版である。卒論を書くときに参考にさせていただいた覚えがある,思い出の一冊。
     「鳴海文庫」から古書目録がきた。「特集・夏目漱石研究文献」とあり,自分の専門が漱石文学であった事を思い出す。

5月20日土曜日曇のち晴夕方雷雨

     10:20よりゼミ。芥川の「藪の中」を取り上げる。午後,院生を連れて万歩書店(古書店)に行く。リニューアルオープンしていて,戦中以前の古書が増えていた。戦時中の受験雑誌「受験と學生」(昭和15年)を1冊購入。戦時中でも,英語教育の必要性を説いているのが印象的だったが,それは南方進出のための戦略的手段としてなのである。小学校1年生から英語教育を導入する話が出ているが,こちらは国際化に生き残るための戦略である。
     「八木書店」(神保町)3,800円の値がついていたものが,800円で入手できた。やっぱり高いぞ「八木」!高村薫の「照柿」の初版(帯び付き,美麗)も2,000円でGET。有るもんだ。
     日比さん,加藤さんが運営しているHPと同じ題目の本を,池澤夏樹が書いていた。

5月15日月曜日曇夕方雨

     実は,低血圧なのだが,今日はまさにそのドーンとしたダルサに襲われていて一日地球の重力を感じていたようなものだった。思考は途絶しがちになるわ,語尾は不明瞭さを増してしまうわで,散々だった。自分が,肉体と精神に分裂したといえばよいか。滅多にないことだった。
     しかし授業はしなければいけないので,午前中大学院,午後学部の演習を行う。その他4年のゼミ生の卒論やゼミ演習の指導をしたり,学部生の演習の指導をするが,いつもの調子がでない。今週は,休日の土曜日までゼミが入ってしまった。頑張らねば!

5月11日木曜日午後雨

     いやー,今日は久々に仕事が出来た。時折,3年のゼミ生たちが,コミックスを差し入れてくれたり,おやつを持っていったりしてくれたが,講義ノート作りが進んだので,満足である。今月末の日本近代文学会(大妻女子大)に出るためには,その翌日の月曜日にある大学院の講義準備を早めにしておく必要があるのだ。昨日が散々だったので,今日はその分を取り返すことができた。
     大学院では「それから」の講読(前期)をしているのだが,青木繁の「わだつみのいろこの宮」の画像を見せてやろうと思い,インターネットのYAHOOで検索すると,山岸涼子のものばかり出てきて,ショックを受けた。やはり,使えない検索サイトである。気をとりなおして,インフォシークで探すと,福岡の石橋美術館に作品があった。
     「いろこ」って「鱗」のことだと知っていましたか?僕は,今日知りました(恥)。

5月10日水曜日晴

     広島や筑波の方から,むくどりがやってきた。つべこべ云わず,近現代文学研究者は見るべし。そしてこのリンクバナーをHPに飾るべし。ban_s.gif (2695 バイト)  14:30〜18:30まで会議2連発。勉強の予定が狂ったし,……疲れた。自分の仕事が出来ずに,周囲の雑用が押し寄せて来る感覚というのは,丁度台風の大水でひたひたと増水した水が自宅に迫ってくる暗い感覚に似ているなぁ。
     荒波 力『よみがえる万葉歌人明石海人』(新潮社)は,ハンセン氏病で41歳でなくなった明石海人の生涯を追ったルポだ。病気になるということに,差別が加わり,社会的に人生の幕がひかれてしまう。しかし,その窮境において,無残に足掻きながらも鮮烈に輝く生もあるわけで,人間の毅さを思う次第である。
     僕も,愚痴ってばかりいずに,頑張らねば。

5月2日火曜日晴

     巷はGW真っ最中だそうだが,私には関係ございません。
     今日も連続「人生相談」劇場。電話で,「苦情相談」。雑用関係の処理。学生の演習指導。今,19:23。いやはや,私の研究時間は……。
     国家公務員は,皆様の血税に「しっかり」報いておりますゾ。人事院よ,はやく一時金の減額分を元に戻してください(全てが無理なら,ワタシだけでも結構です)。

5月1日月曜日晴

     午前中大学院の講義。午後演習をこなす。大学院の講義の前にゼミ生がやってきて,30分間人生相談。組織(サークル)の論理と個人の葛藤に悩んでいるのである。合理的に時間を配分して活動をパンクチュアルなものにしたいという,ゼミ生のいっていることは,僕の立場ではまったくその通りだと思うのだが,サークルはただ部員を長時間拘束し,その場にいて価値観を同化させることを求めるのだという。一番の問題は,少数の意見を多数の意見で排除するばかりか,同化しないことを非として批判し,他の意見をもっている学生も次第に自発的に考える事をやめてしまっているという点だろう。
     「まるで,大日本帝国陸軍だね」
     そういうと,ゼミ生が笑うかと思ったら,「ホントそうなんですよ」と真剣に相槌をうつので事態の深刻さを改めて思い知らされた。僕はこのことから世代論の一席をぶとうなどとは思わないが,「サークルの伝統」とか「指導者の権威」が優先されるようになったら,サークルなんてモノは末期を迎えていると思って良い。

     生協ブックセンターで,川島幸希『英語教師夏目漱石』新潮選書,植木哲『新説鴎外の恋人エリス』新潮選書など4冊を購入する。連休中にどれくらい読めるのか。講義ノートを作っては1日で消化するので,自転車操業状態が続く今日この頃,余裕は殆んど無い。修士論文を書いている大学院生(漢文)が,ストレスのせいか「不眠症」を訴えるようになっているが,実は僕もベッドにはいってから3時間程は眠れなくなっている。ま,本読んでいるからいいけどね(眠れないのを意識していた絶対寝られないので,起きているのがいいんです)。

     久しぶりに,研究者関係のサイトをネットサーフィンしていたら,例の天狗堂主人の掲示板で,あろうことか僕に言及がなされていた(45番)。なんでもビデオ「ノッティングヒルの恋人」に出演している俳優ヒュー・グラントと,僕の顔&境遇が重なって,「正常な鑑賞」が妨げられたらしいのである(悪かったですねぇ)。九大の学生・院生は,このような「口撃」にさらされているわけですなぁ。