津島通信

FEBRUARY 2001
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◆CONTENTS◆

【講義への質問】

【広告】
【きむたく日記】

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◆講義内容への質問について(回答)◆

    Q1.「健康」というイデオロギーは,明治以降のものなのですか?それでは,それ以前の身体については,一般にどのように考えられていたのでしょうか.(山本文緒「プラナリア」2月2日(金))
    A.参考書として,講義レジュメにも載せていた北澤一利『「健康」の日本史』平凡社新書.2000があります.北澤氏によると,福沢諭吉がその著書の中で本格的に使うまでは,健康という言葉は一般的ではありませんでした.また我々が,「健康」という言葉で想起するようなイメージ(ジョギングしたり,ダイエットしたりして身体を内外から管理すること)もなかったのです.
     北澤氏は,体中に「気」をめぐらし,体調を整える「養生術」(武士)や健康法(庶民)というものが江戸時代にあったと説明しています.また数量化し管理対象となる現在の身体ではなく,「身」という言葉として表わされるものとしてあったとしています.その内容は,主観的で,子供は元気だが大人になるに従い気が抜けて死に至るもの.境界が不明確な袋構造(モツの入ったビニール袋のよう)をもち,単純で抽象的,その内部については価値の高い貴重なものと考えていたようです.

    Q2.先生はいつもどうやって作品を選ぶのでしょうか?教材に使えない作品にもやっぱりたくさんあって,使えそうなものを探してくるのでしょうか?
    A.教材テキストの選定は,評価の定まっているもの.自分の好み.過去に読んで印象に残っていたもの.研究者仲間から紹介されたもの.話題の書というのが,一応の「基準」でしょうか.僕の「傾向」は大分理解されたと思いますので,これというものがあれば,紹介してくださいませ.

    【講義をおえて】
     講義中いろいろ不備があったとすれば,説明することだけで精一杯で,雑談もできないくらいに時間的に余裕をもって臨めなかったことが一番の原因であろうと思います.申しわけありませんでした.今年度は,レジュメを毎回配布したので分かりやすくなったというお言葉もいただき,大変恐縮しております.このようなQ&Aも早くやれば良かったのでしょうが,余裕がありませんでした(今回は最後なので).更なるサービスの向上に努めたいと思います.
     静かに協力的に講義を聞いていてくれてありがとうございました.カードにいろいろ書いてもらったことには全て目を通しています.革ジャン姿で講義してくれというリクエストもありましたが(笑).この「日記」の部分を読んでくれている人もいたようですし,君たちの賛成・反対の一言一言が僕の講義の支えであり原動力になっていました.本当にありがとうございました.では,レポートを楽しみにしています(笑).


「きむたく日記」

2月26日月曜日晴
     土日で青来有一「聖水」を読んでしまう.「ジェロニモの十字架」は喉頭癌が取り上げれていて,癌になることや声を失うことについて,いろいろ意味付けられており非常に興味深かった.
     夜,宮本常一「民俗学の旅」講談社学術文庫を読了.
2月20日火曜日晴
     10:40から,卒論の口頭試問(20分/1名)を行う.副査の先生の突っ込みに苦しむゼミ生たちを見ながら,「これで最後だなぁ」と暫し感慨にふける.
     ゼミ生7名の卒論につき,それぞれに講評を書いたメモもつけて,字句訂正を施した卒論の再提出を求める.これで,1年の仕事は終わったのであった.ヤレヤレ(安堵).
     18:00から慰労会兼追い出しコンパである.荒れなければよいがと思う(身に覚えは一切ナイ).
2月16日金曜日晴,にわか雨あり
     終日雑務.レポートの書き直し分の査読をし,成績評価をWEB入力する.「時間割」の最終校に書き込まれた変更を担当教官へ確認し,教務へ提出する.また,今年度から始まったゼミ決定のための面接を14:00から3人行う.気がついたら,17:00前.
     4年のゼミ生たちから,2日遅れのバレンタインチョコを貰う(出張だった).僕も男のはしくれ,やはり嬉しくなる自分がおかしかった.
     「いつも,気を使ってもらって悪いねぇ」
     「口頭試問用の賄賂ですよ〜」
     しかし,あの高価なゴティヴァや,チョコチップ入りの手作りケーキも入っていたりして,感激した.ごちそうさま(ペコリ).
     でも,試問は手加減しないけどね.
2月9日金曜日晴
     レポートの査読が続く今日この頃.脳が疲れるせいで,寝つきが悪くおまけに眠りも浅いこの僕が,夜とてもよく眠れる.いつもは2時まで起きているのに,12時を過ぎると眠くてたまらない.昨日などは,気が付いたらコタツで寝ていた.気が付いたら寝ていたというのは,僕の生涯ではじめての「不覚」である.年をとったなぁと,少し哀しかった.
     今日は一年生向けのオムニバス科目の試験があって,僕も部分出題をした.今西祐行の「一つの花」について,なぜ一輪ではなく「一つの花」と表現するのかを踏まえて,テーマを論じろという出題であった.むずかしいかもしれないが,問題は事前予告していたので,皆大体解答を作ってそれを書き写していた.
     解答を回収したあと,回答欄に書ききれなかったのか,「裏へ」と書いて2〜3行,多くて10行くらい書いているのが結構あることに気がついた.
    「しゃーないなー」と言いながら,答案をめくる僕の手がふと止まった.「裏へ行きます」と書いたその答案用紙の裏には,B4サイズの用紙なのだが,一面に黒々と解答が記述してあったのだった.激甚の衝撃をくらった僕の頭の上では,小人たちがやけに嬉しそうにインディアンダンスを踊っていた.世界が,…白かった.
2月7日水曜日曇り後雨
     レポート読み.講読のレポートは,あと10人分を残すだけになった.なんとか,今日中に読み終えて,明日は大学院と特講を片付けてしまいたいものだ.この講義の受講生は,幸いというべきか,日本語のおかしい学生はすくないので精神的に助かる.そう思うと,たしかに講義中も割と熱心に聞いててくれたような,気・が・す・る(?).
     2時間の会議が息抜きになった.
2月6日火曜日曇り後晴
     昨日,今日と広島県・市教育委員会と山口県教委を訪問してくる.今年度採用試験について,各県教委のコメントを求め,併せて来年度の採用枠について質問するためである.採用予定名簿への登載の数は年々減少しているが,その現状はまだ改善しないようである.例えば,昨年広島県市で一括80人ほど採用予定名簿に登載された高校では,一挙に30人におちこんでいて,愕然となった.教育学部のメインである小学校もじりじりと数字を下げているし,いくだろうという話であった.特に,来年度から実施される退職教員の再任制度が,新卒者枠に影響を与えるという見解もあり,平均年齢が40歳を越えている小中教員の年齢層が問題になって若手の採用の必要が指摘されているのに,なぜ再任制度のような逆行措置をとるのか理解に苦しむ.まぁ,学級崩壊などへの対処ができないから…という口実なんだろうが.

     明日に就職・学生委員会があるので,この報告を上げようと考え,出張の移動で疲れていたが,大学に行く.今日レポート類を締切にしていたので,それを見ようとも思っていたが,いざ「現物」の山を目の前にすると,しゅるしゅると意気消沈.
     ゼミ生がレポートを研究室に出しに来ていわく,「先生,みんなパニクってますよ」
     「なんで?」
     「だって出張で,今日来ないっていっていたじゃないですか.17:00までの締切が,ホントになったんですから」
     ヤツによると,ケータイで「木村が,戻って来た!」という情報が飛び交っていたらしい.
     「帰って来て悪かったな」とクサる私である.

2月3日土曜日晴
     9:00から推薦入試の面接.13:00すぎまでかかる.学校から充分対策を授けられてきている生徒は,「その通り」に発言するので,とても「感心」する.面接試験&対策というのは,狐と狸の関係に思えてくる.しかしそういう中で,自分で考え考え,言葉を出してくる生徒は好感が持てる.そして必ず自分の(先生の,ではなく)価値観を出してくる.そんなことを感じた.
     土曜の超過勤務を終えてから,岡山駅に出かけて,TISで出張に備えて電車のチケットを購入してくる.2月は,忙しい.そして眠い….駅の地下街で,恵方寿司を衝動買いした.こんなの関東東北でもたべるんだろうか?
2月2日金曜日晴
     今年度後期最後の講義.無事終了する.休み時間を利用して,講義の出欠カードに書いてもらったコメントから質問を取り出して回答するコーナーを作ってみた.たくさん書かれると対処できないが,こういう形での反応の返し方と,プリントでの配布を考慮すれば,講義スタイルの一方通行は大分向上するのではないかと思う.
     明日は,推薦入試.面接資料を読まなくてはならない.レポートもぼちぼち出始めた.さあ,「2月は逃げる」といわれくらいの忙しさなのだが,いよいよという感じだ.全国の先生方,がんばりましょう.この月を乗り切れば,春休みだ!

2月1日木曜日曇りのち晴

     大学.明日の年度最終講義のレジュメ(「プラナリア」論)を完成させる(間に合った).再度広島の山下さんからの「広島レポート」を受信.お好み焼き屋や古本屋について熱く語られていた.感謝.堪能してくるゼイ.会えないのが残念ですけどね, 仕事ですから.
     さ〜て,修士論文の査読をしなければ.