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◆CONTENTS◆
【広告】
【きむたく日記】
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感想をお聞かせ下さい。
kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp
¶ 『敍説』第2期第2号「特集・nagasaki」1,800円(税込)
¶ 仲 秀和氏『漱石―『夢十夜』以後―』2001.3.30,和泉書院,2,500円+税
¶ 江種滿子・井上理恵編『20世紀のベストセラーを読み解く――女性・読者・社会の100年――』2001.3.29,学藝書林,2,500円(税別)
(所収論文;菅聡子「吉屋信子『花物語』『女の友情』――〈花物語〉のゆくえ」,根岸泰子「太宰治『斜陽』――その揺籃期の物語」他9本.)
¶ 花田俊典氏『太宰治のレクチュール』2001.3.10,双文社出版,5,600円
¶ 木村小夜氏『太宰治 翻案作品論』2001.2.25,和泉書院,4,800円
¶ 小田島本有氏『小説の中の語り手「私」』2000.10.20,近代文芸社,2,000円(税別)
9月25日月曜日晴
9月21日金曜日曇時々雨
9月19日水曜日晴
9月18日火曜日晴
9月17日月曜日晴
土曜日は,ちくま文庫版の「夢野久作全集」を探して古本屋を訪ね歩いた.「ドグラ・マグラ」の9巻以外は全冊揃っているのを見つけて購入し,日曜日に「犬神博士」と「近世快人伝」に目を通す.案外面白かった.「乞食」「非人」のような際どい言葉が頻出するので,論文でどのように処理したら良いのか頭が痛い.
今日は,校務の仕事や自分の論文を作成したり,学生たちに卒論と修士論文の中間発表会の案内をメールで送信する.会計係には「シグマリオン2」のシリアルケーブルを発注.やはり純正品であった.本体と同梱しないというのは,一体どういう発想だ?ますますNTTドコモはケシカラン.
9月14日金曜日曇のち雨
教務で,昨日の見当たらぬレポートの件を,県教委に電話で確認してもらう.最初から欠席だったことが判明し安堵する.もし僕が紛失していて,しかもそれが手書きであったら……と思うと冷や汗が出る.レポートの成績票を提出し,一仕事終わる.
ハナダ・ビン・シュンテン師の度重なる要請で,「敍説」2−3の夢野久作特集に論文を書くことになった.わざわざ宣言しなくてもよさそうなものだが,こうしておかないと書かなくなりそうなのでこうして書きとめておく.締め切りは,一応,11月15日らしい.
科研費の申請初挑戦で,書類を作成しなければいけないし,校務の仕事もあるし,書きかけの論文も3本ある.その他にも……,デートはないが(泣),忙しいのだ.
鷲田さんの『<弱さ>のちから』を立読みした印象では,エッセイだった.論文利用にはイマイチか.
「シグマリオン2」が納品された.サイズは,御覧のとおり文庫本より少し大きいくらいだ.箱を開けて見てびっくりしたのが,アプリケーションのCDとバッテリーとACアダプタしか付属品がない.パソコンと接続するシリアルケーブルは,オプションなのだ.以前使っていたカシオペアのシリアルケーブルがNGだと,新たに買い足さなくてはならない.PCとデータをやりとりしてナンボだと思ったが,インターネット機能が充実しているので,「モバイルして情報をあつめるだけで完結」という発想なのかもしれない.教授会の最中や移動中の文書作成をメインに想定して利用しようとする僕は,イレギュラーなユーザーということだ.それにしても,ドコモ社製の携帯やPHSしか連携しないというのは,ちょっとあこぎ過ぎる.こういう度量の狭い排他的姿勢をあらためないと世界標準にはなれないことを忠告しておく.そんな大望はないか(笑).
9月13日木曜日晴
認定講習のレポートを読み終わるが,名簿に登載してある1名分のレポートが見当たらず焦る.
9月12日水曜日曇
アメリカのテロ事件には,本当に言葉を失う.巻き添えで犠牲になられた方々には,心より哀悼の意を表する.
アメリカの報復が行われる事に対し,アメリカの同盟国への第2次テロの危険性もアナリストによって指摘されている.我々も対岸の事件と思うのではなく,十分気をつけねばなるまい.
『人間の壁』読了.遠藤周作『『深い河』創作日記』(講談社文庫)を読む.「やはり白人の男は出したほうがよい.彼は白血病か,エイズである.死を間近にした彼は〜」の一文あり(98頁).死による物語の絶対化.そこには必ずその時代で一番有力な病が利用される.白血病(血液のガン)とエイズだ.それは,この優れた作家においても定石なのである.
9月11日火曜日晴
東海・関東地方の皆様には,台風のお見舞いを申し上げます.大変ですが,頑張ってもうしばらくご辛抱いただきたいと思います.岡山は快晴.蝉も鳴いています.
見ないフリをしていた認定講習のレポートを読み始める.僕が見落としていたことへの示唆を含んだ内容に接すると非常に嬉しい.また,講義の狙いについても,しっかりレスを返していただいていることが分かり,さすが学生のレポートとは違うと感じた.ところどころ漢字変換のミスはあっても,学生のレポートのように日本語の解読作業がない分,随分査読が捗るものである.それにしても,3枚という制約があったはずだが,12枚分のレポートもあり,講義への反響と見ていいのだろうけれど複雑な心境である.あと,31冊.
石川達三『人間の壁』(上)を読む.日教組の幹部が共産党員であることを指して,「丹頂鶴」と呼んでいたことがあるようだ.曰く,「頭が赤い」から.この類縁性に基づく比喩は,なかなか面白いと思う.自民党員は,今なら「ライオン」か.一昔前は「カバ(バカ)」だったけどね.アワワ.
鷲田清一『<弱さ>のちから』(講談社)が出ているようだ.「弱さ」は,僕の研究上のキー・コンセプトであるのだが,中村雄二郎氏や松岡正剛氏・小浜逸郎氏以外に中心的に取り上げた人がいない.ウチの哲学の先生に聞いても「知らない」といわれるものなのだ.入手せねば!
9月10日月曜日晴
午前中,書類の整理など事務的な仕事をこなす.原武史『可視化された帝国』(みすず書房)や藤野豊『「いのち」の近代史』(かもがわ出版)など,購入した13冊の書籍を図書係で受け取る.
NTTドコモから14日(中国圏)に発売される「シグマリオン2」というモバイルマシーンの購入の件で,契約課に相談.出入りの業者の話では,人気商品なので予約が殺到するだろうが1台は確保できるとの心強い返答があったようだ.昨日デオデオで聞いた所,中国圏では50台しか販売しないとのことだったので,一応確保ということで安堵.カシオペアを落として壊して以来,出張先では本を読むことぐらいしかできなかったが,これで執筆やメールチェックもできることになる.何時持ってきてくれるのか,楽しみである.
昨日ジム・クレイス『死んでいる』(白水社)を読了.初老の動物学者の夫婦が海岸で惨殺される事件を起点に,2人が殺害された1日の朝のはじまりまでに遡及していく時間と,2人が結ばれるまでの若い頃の時間,2人を海岸で発見するまでの娘を中心とした時間(家族関係が浮き彫りにされる),そして2人の体が腐敗していく4つの時間が組み合わされて物語がつむがれていく.訳者のあとがきによると,ジム・クレイスは無神論者ということだが,同じように無神論者であった父の死に際し,宗教で意味付けられないその死が空虚に思えてならなかったことへの解答が,この作品ということらしい.「死んでいる」とは永遠に続く終りの始まりで,主人公の2人は自然の中に分解されて遍在するという考え方は,説得力がありとても印象に残った.風景・動植物の描写にも特徴がある.
これに比べると,玄侑宗久『中陰の花』(第125回芥川賞受賞作,文芸春秋)には不満が残る.小道具である圭子のつくった紙縒シート自体が,頭の中で具体的なイメージを結ばず感興を削いだこともあるが,霊的な何かが存在していて,それが「成仏」を経て宇宙的に遍在するようになるというビジョンは,ジム・クレイスに似ていて,やはり特殊な世界に焦点をおいており,エキゾチズムからは脱しえていない.仏典の記述を科学的に解釈する姿勢を見せていても,最後に「不思議」で処理するようでは,不徹底のそしりは免れまい.それを,主人公の宗教にとらわれない自由さによるものと解釈する立場もあるようだが(黒井千次),「死んでいる」と読み比べて見ると,視点になっている人物像には殆んど魅力を感じないのだ.新人作家と定評を得ている作家を比較する事自体,あまり意味のあることではないのかもしれないが,一方は死の取り扱いのプロであるのに,この程度の世界しか描けぬのかという失望が強い.文芸春秋も年2回の話題づくりで本を売ろうとせずに,評価を得る作家を育てて本を売るという基本に戻らないと,いよいよ読書の市場を狭めることになりはしないか.日本と英国の作家が,生と死をテーマに書いた2作品を読み比べてみた簡単な感想である.