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◆CONTENTS◆
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【きむたく日記】
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感想をお聞かせ下さい。
kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp
¶ 于 耀明氏『周 作人と日本近代文学』翰林書房,2001.11.9,4,000円(税別)
¶ 菅 聡子氏『メディアの時代--明治文学をめぐる状況』双文社出版,2001.11.1,2,800円(税別)
(近代文学成立期の一側面/<文士>の経済事情/初期硯友社と吉岡書籍店/『読者評判記』の周辺/百合とダイアモンド/小杉天外『魔風恋風』の戦略/<対話>の生成−−場所としての一葉身体/『通俗書簡文』の可能性/流通する<閨秀作家>)
¶ 『敍説』第2期第2号「特集・nagasaki」1,800円(税込)
¶ 仲 秀和氏『漱石―『夢十夜』以後―』2001.3.30,和泉書院,2,500円+税
¶ 江種滿子・井上理恵編『20世紀のベストセラーを読み解く――女性・読者・社会の100年――』2001.3.29,学藝書林,2,500円(税別)
(所収論文;菅聡子「吉屋信子『花物語』『女の友情』――〈花物語〉のゆくえ」,根岸泰子「太宰治『斜陽』――その揺籃期の物語」他9本.)
¶ 花田俊典氏『太宰治のレクチュール』2001.3.10,双文社出版,5,600円
¶ 木村小夜氏『太宰治 翻案作品論』2001.2.25,和泉書院,4,800円
12月27日木曜日晴
この1年を振り返ってみると,国政では首相が交替してようやく明るい兆しが見えてきたように国民の多くが錯覚したが,この首相は中国・韓国の批判を無視して靖国に参拝し,アジア外交に甚大な影響を与える一方,9.11テロ事件に際しては「証拠」を国民に開示することなくアメリカ原理主義への賛同を表面するような御仁であった.外務省の混乱をはじめとして,省庁の利権体質が浮き彫りになり,行政への不信が確定的となった年でもあった.財政の借金体質が改善される見込みも立たず,不況は悪化の一途を辿り,地方銀行の倒産も相次いだ.大教大附属池田小学校で多数の児童・教員が殺傷されるなどした弱者を対象とした凶悪事件も多く,とても皇孫の誕生などで,世間の暗い雰囲気が払拭されるものではなかった.わが身においても,国立大学は再編の渦中にあると同時に,教育系は統廃合の荒波に曝されている.着任時には改組でガタガタしていたのが,今度は組織自体の大変動で,もう落ち着いて研究をしていられる状態ではなくなってきているのだ.一言で締めくくるなら,今年は前途の多難さが予感される「混乱」の1年であった.それでも,来年こそは「復活」への兆しを感じ取りたい.
年末最後の朗報は,子規の「仰臥漫録」の草稿が50年ぶりに発見されたということだ.この実物はちょっと見てみたい.
それでは皆さん,良いお年をお迎えください.2001年版「きむたく日記」は,これで終了です.
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12月25日火曜日曇
12月21日金曜日曇
講義でも紹介したのだが,昨日の「朝日新聞」の海外ニュースのコラムに「アメリカ原理主義」という署名記事があった.イスラムの原理主義に対して,「アメリカ原理主義」はキリスト教信仰と自由主義という信念を掲げ,自由主義に反する国には強硬な姿勢を取る.場合によっては相手を挑発し,攻撃をしかけてきたら「報復」と称して弾圧するのである.その「アメリカ原理主義」が通用しないのは,イスラム原理主義ではなく,信仰も信念もない国だそうなのだが,それは一体どこの国なんでしょうか(笑).
12月19日水曜日晴
12月18日火曜日晴
12月17日月曜日曇
12月13日金曜日雨
図書館で,ゼミのための論文を調べる.生協で,漱石の『私の個人主義』(中公クラシックス)と渡辺淳一『人間をみつめる』(NHK人間講座,月)のテキストほか哲学書などを購入した.
『私の個人主義』は,加藤典洋が解説「近代日本のリベラリズム」を書いている.一研究者として言わせてもらえば,漱石テキストの記述内容と加藤の思考の不整合があるので(つまり読んでるのにキチンと読めてないということだ),あまり良い評価は出来ない.例えば,漱石とその思想を「根無し草」という観点から位置づけていて,漱石自身が述べている漢学と近代教育の「海陸両棲動物」(「文芸と道徳」)という「一身にして二生を経る」(福沢諭吉「文明論之概略」)言葉と矛盾している(加藤は,福沢を「二生」派,漱石を「根無し草」派とみたいようだが).
「根無し草」という言葉自体も,「彼が生まれおちた近代は,その原理が生み出された西欧以外の諸地域を,いわばその原理の移入をへて,すべて根無し草の社会としている」(9頁)というあたりから来ているようなのだが,加藤のいう近代の「原理」とはそもそも何なのか(ルネサンスのことか,フランス革命のことか,産業革命のことか?),その原理が移入先の社会をどう「根無し草」にしたのか,また本当に「根無し草」になったのか.粗雑すぎる素描である.他にも明治に「漢文学の世界がない」などという事実誤認(当時は小説などは新興ジャンルで,漢詩がメジャー)を含めていろいろあるが,一番違和感を覚えたのは彼の「漱石」像だ.漱石という言表主体の確立は,漱石の生まれた時代空間と関りあっているのであって,西洋近代の関数であるという見方は外せないのではないか.しかし,加藤は漱石を近代日本社会や西洋近代の原理と一線を画したリベラリスト?としての主体を立ち上げていると説く.この人の著作は,殆んど読んだ事がないのだが,話題の評論家なのやら,「問題の評論家」なのやら…….
渡辺の『人間をみつめる』は,医学ネタ好きの僕には面白いエッセイである.男が女に比べて「弱い」存在であることが,女性の身体変化(生理・妊娠・更年期)と男性の身体変化がないことを比較しながら述べられていたことが面白かった.また,「鈍い」ことがストレスに耐え,長寿や生き残りのための才能であることが指摘されていた.例えば,「人の意見を真剣に聞かないこと」がその一つらしい.ゼミ生たちには,絶対教えられない(笑).つまりは,情報の取捨選択がコントロールできればよいのだが,それが出来なければ「気にしない」「忘れる」で,対処すればよいということだ.僕も図太く生きることにしようっと.
12月8日土曜日晴
岩井俊二の新作「リリイ・シュシュのすべて」を観に行った.映画の中で演奏されていたされていたドビュッシーの「アラベスク」がとても印象的で,中学生時代の自分を思い出す.もっとも自分の中学時代と内容との乖離には戸惑うばかりであったが.映像に「酔った」.
12月7日金曜日晴
講義2コマをこなす.ようやく論文の校正を仕上げて,福岡に返送する.皇孫には名前がついた.「愛」の名前は大流行しそうで,18年後の学籍名簿の学生の名前が全て「愛」だったらどうしよう.「愛とかいてメグミとよませる」(田村正和)ってクドキの名セリフがあったなぁ.我々の業界には,「愛とかいてヨシミとよませる」方がいた.
今週末は,購入したDVDプレーヤーで,ゆっくり「ゴッドファーザー」2部と3部を観るつもりである.一番安い東芝のDVDプレーヤーを購入したのだが(15,800円!在庫があまって値崩れしているらしい),VHSよりも鮮明な画像でびっくりした.高いのを購入しても「猫に小判」だと思って,これでいいやというテキトーな選択だったのだが,望外の喜びであった.
友人に勧められたスティーブ・エリクソン「Xのアーチ」(集英社)を読みはじめるが,冒頭からいきなり毒殺・火刑の話で,度肝を抜かれた.なんでこんなのを勧めるのだ〜(泣).
12月3日月曜日晴
地獄のような多忙さだった11月を終えると,普段どおりの12月がとてものんびりしたものに思える.皇孫もご誕生になり,めでたいめでたい,おめでたい.
午前,午後講義.17:00過ぎに退出しようとしていたら,紀伊國屋さんが来る.注文していた「ゴッド・ファーザーDVDコレクション」(CIC・ビクター,2001,14,200円)が入荷したのである.若いロバート・デ・ニーロがとても格好いいカレンダーまでくれた.しかもこのDVDは,もう1枚DVDをタダでくれるという特典つきなのである.「チャイナ・タウン」にするか,「ブラック・レイン」にするか,「十戒」にするか,とても迷う.早く来い来い冬休み.もう卒論なんか知らんゾ(笑).
でもその前に僕はDVDプレイヤーを買わなければいけないのだ.