津島通信

JUNE 2002
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◆CONTENTS◆

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【きむたく日記】

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kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp

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広 告(刊行より1年間)

 ¶ 金 正勲氏『漱石 男の言草・女の仕草』2002.2.28,和泉書院,本体4,500円(税別)

   金氏は,韓国全南科学大学助教授(現在)

 ¶ 花田俊典氏『清新な光景の軌跡--西日本戦後文学史』2002.5.15,西日本新聞社,本体2,856円(税別)

 ¶ 佐藤 泉氏『漱石 片付かない<近代>』2002.1.30,日本放送出版協会,920円(税込)

 ¶ 『敍 説』第2期第3号「特集・夢野久作―聖賤の交雑―」2002.1.6,花書院,1,800円(税込)

 ¶ 于 耀明氏『周 作人と日本近代文学』2001.11.9,翰林書房,本体4,000円(税別)

 ¶ 菅 聡子氏『メディアの時代--明治文学をめぐる状況』2001.11.1,双文社出版,本体2,800円(税別)

   (近代文学成立期の一側面/<文士>の経済事情/初期硯友社と吉岡書籍店/『読者評判記』の周辺/百合とダイアモンド/小杉天外『魔風恋風』の戦略/<対話>の生成−−場所としての一葉身体/『通俗書簡文』の可能性/流通する<閨秀作家>)


「きむたく日記」

6月29日土曜日曇時々雨

     土曜日ではあるが,公開講座の運営委員として出勤.講座が開かれている間,研究室で書類を作成したり,講義の出欠カードをチェックする.
     一般教養の講義では,カードに授業のコメントを書いてもらっているのだが,最近はこれを毎回読むのが楽しみになっている.受講生の中には,講義の感想にからめて,連載のように自分のことを書いてくれる学生もいる.概して理系の学生は言葉数が少ないが,それでも印象的なことを書く学生もいる.彼らもいいたい事で内面を横溢させているのだ.
     昨日2週間ぶりに郷里に電話すると,両親が2人で初めて行く海外旅行@中国旅行の話が出た.父親から,7月9日に宿泊先ホテルから国際電話をかけるので,電話口にいるように「命令」された.
     「別に電話なんかしなくていいからさぁ」
     「いや,国際電話ってのを,掛けてみたいんだ」
     この迷惑オヤジは,嫁いでいる妹の家にも電話をかけるつもりのようだ.

6月26日水曜日曇のち晴

     ようやく寒さも和らいできたようだ.朝1の講義の日である.留学生が少なくとも3名は受講しているので,事前の準備期間を与えるために試験の内容を公示する.記述筆記試験なので,1ヶ月位の準備期間があれば,大丈夫かななどと考える.
     昨日生協で購入した図書が配達されてきた.『岩波キリスト教辞典』は,7500円+税なのだが,近代文学を専攻する人間には必要なので,購入.大岡昇平「野火」の講義準備をしたときには,引用してある「新約聖書」の章句の意味が分からず,該当する章句を探し出すのにずいぶん苦労した苦い思い出がある.『中島敦全集』の別巻もようやく届いた.吉田精一が中島敦の一つ上だったとは,知らなかった.「彼の文才はみとめていたが,今日ほどの文名を得るとは,生前かつて予想もしなかった」と書いているのが,印象に残った.「文豪」は,作られるのである.
     昼休みに工学部から頼まれていた書類を書き上げる.「書類書きばかりが上手くなるでしょ」というのは,先日のT川さんの言葉だが,本当にそう思う.書類書きから解放してほしい.

6月24日月曜日雨

    朝,寒くて6時前に目が覚めた.終日雨が降り続き,気温は低いまま.いつも飲んでいる牛乳も,今日は温めて飲むくらいであった.「梅雨寒」と言う言葉を思い出した.  非常勤と書類書きと講義準備.

6月22日土曜日晴

     午後,学部運営委員会の仕事で公開講座の仕事のために出勤.その後,日本近代文学会九州支部大会に参加するために,新幹線で博多に向かう.懇親会開始予定時間18:00の10分前にようやく会場校に入れた.
     懇親会のある建物で運良く事務局担当の北九州大学のA塚先生に出会えたので,案内していただく.「(出欠連絡用の葉書に,研究報告・総会の)2つにバツがしてあって,懇親会だけにマルがしてある変な人が来た」と早速の洗礼であった.
     2年ぶりにあう懐かしい敍説同人たちに挨拶をし,「丸くなった」「若返った」(どういう意味?)などと声をかけられながら指定された座席に座ると,直ぐに懇親会が始まった.僕が最後だったわけでとても恐縮.
     支部長のS竹先生や,Dニエル・Sトラックさんと食事をしながら歓談.M本常彦さんの司会で,恒例の出席者30名の自己紹介と近況報告が,1人2分の割り当てて首藤先生を最初に順次行われていった.就職した鹿児島から参加した山下さんや,お馴染みの九大D2の中野さんの姿もあった.自分の番も済ませ,他の方のいろいろな近況を興味深く聞いていた.
     そして遂に「あの人」が,マイクを握っておもむろに起ち上がったのだった.少し含羞を帯びながら,「あの人」は言った.
     「H田,と,トッティ典です」(←としのり)
     この後強制連行で作られたトンネルの廃墟の話もされたのだが,大受けした皆にしっかり覚えられたのは,この「錯覚」のツカミ以外の何ものでもなかった.
     続くI氏が,九大に着任した挨拶をちゃんとされて「身のひきしまる思いです」と述べられていたのと際立った対照を示していたのはいうまでもない.
     2次会を六本松「ふぁむ」で開き,賑やかにW杯とナショナリズムを話題に飲み食いしていた時に,愛すべき「トッティ」は言った.
     「ところで,トッティってどんなやつ?」

6月19日水曜日曜日晴

     朝1の教養講義.指折り数えて,あと5回(試験を含む)になった.午後,研究科委員会と教授会.

     日本のW杯は終わりましたな.勤務時間だったので試合は見れなかったが,夜のニュースで見ていると,4年前の「決定力不足」がまた頭をもたげてきたのかと思った.攻勢にありながら,得点できないというところが,守備を固めたトルコの堅守もあるだろうが,やはり「経験の差」(トルシエ監督)ということなのだろう.勝ちが続いたことで,選手の一部にもサポーターにも慢心があった.「トルコの上」を行っていたという選手のコメントもあったが,これが慢心である.技術もパワーもあっただろう.しかし目に見えない経験だけは,獲得に時間がかかる「知」であることを,改めて教えてくれた試合であった.しかし,指導者は勿論だが,選手の中にもそれに気づいている者がいることは,日本サッカーの今後の進化を期待させる.「さあこれからだ,日本!」
     韓国・イタリア戦を見たが,これは見ておいてよかった試合だった.お互い譲らず,知・力を尽くした「鎬を削る」激闘であった.後半のタイムアップギリギリに追いつき,延長で韓国のへディングシュートが決まった瞬間は,身体が熱くなったものだ.韓国チームには,頑張ってほしい.

6月18日火曜日曜日雨時々曇

     講義中雷雨あり.受講生が怖がるので,昔体験した,雷が作り出した不思議な光球現象の目撃談をする.

6月17日月曜日晴

     講義2つと書類書きに明け暮れる.
     金曜日に見てきた韓国ミュージカル「ギャンブラー」(岡山シンフォニーホール)は,音楽がすばらしかった.脚本はあまり出来がよくないと思ったが演出がそれをカバーしていた.踊りは,イマイチ.第2幕のショーガールが歌う場面で,レオタード姿の美女の中に同じくレオタード姿で網タイツの男優が女装して混じっており,客席まで下りてサービスしたことから,客席を巻き込んだ笑いとパニック(男の客)の一幕が出現した.「キャッツ」にも同様のサービスがあるが,「パニック」までには至らない.僕も通路から2人隔てた位置にいたので,横を「通過」された時は,ドキドキした.キスされた「犠牲者」も出た.
     休憩時間にCDを買ったが,あとで購入者はサインがもらえると聞き,公演終了後列に並ぶ.目星をつけた女優さんのサインだけが欲しかったのだが,そこにたどりつくまで「男達のハードル」があり,「女装」もいて,CDの盤面は男たちのサインで埋まってしまった(哭).でも,女優さんにはサインの横に「ハートマーク」を書いてもらって,かなり嬉しかった.‥‥他の人にもそうなの!?

6月13日木曜日晴

     朝1限から3限まで講義の連続.その後は,ゼミ生Fの指導をする.かなり脳が疲れた.
     朝1限は,ガイダンス科目という1年生向けの科目で,僕の担当したのは2年生からの小・中・障害児・幼稚園などの所属を決めるための情報提供の時間である.だから厳密には授業ではない.これを2人で担当した.
     出席を取っていて,紙に名前を書いていってもらい86人いることが分かった.ところが確認のために頭数を数えてみると,なんと(!)81人に減っていた.そのあとで,1人遅刻で入ってきたのがいるから,頭数は82人である.つまり,4人の「ゴースト」が存在していることが分かった.1年生にして,それも大学に入学してわずか2ヶ月で,友人を「幽霊」にする(してあげる)友情に,私は感動した.
     もちろん,そのあとで,きっちりと出席を取り直したのはいうまでもない.
     ゼミ生Fにその顛末を話すと,ゼミ生Fは言った.
     「そこまできっちり出欠をチェックするのは,先生くらいですよ」
     「悪いかっ!」(実は教養の講義でもゴースト退治をしてたりする)

6月11日火曜日晴→雨

     朝方晴れていたのが,午後から一挙に降り出した.全国的に梅雨入りしたということで,空梅雨になるのではないかと思っていた個人予想があっさり覆ったのでホッとした.おかげで,癖毛の頭髪は爆発状態であるが.
     講義準備や諸雑用に追われる.個人評価の作成締め切りが月末なので,各教官とも寄るとさわるとその話題である.相手が何処まで作業を進めているのか気になっていて,自分の方が進んでいると安心するのである.……自分のことだけど.
     お隣のI田先生は,自己評価委員会の委員長という職務がら,他の教官よりも頑張って入力に励んでおいでだが,プレッシャーが胃腸に悪いと嘆いておられる.

     ところで昨日のプレゼントだが,連絡したゼミ生も都合が悪いとかで,結局自分ひとりでご馳走になることになった.食後に体重計に乗ったら,2kg近く増量していたのでショックを受けたが,今朝測ると67kgに戻っていた(やれやれ).さて,フランスも1次予選で敗退したことだし,今夜こそ「小島の春」が見れるかな.

6月10日月曜日晴

     今日,東宝から購入したビデオ「小島の春」が届いた.ようやくハンセン氏病の「問題作」をこの目で見ることができる.
     と,今夜の鑑賞を楽しみにしていたら,卒業したゼミ生から連絡がはいり,教員採用試験の推薦調書(愛媛県)を作成してほしいので書類を届けに訪問したいとのことだった.調書作成の手間で,時間が削られるなぁと思っているうちに,卒業生が来た.
     手土産を持って来たので,「こんなことに,気を遣わなくていいから」と言ったのだが,折角買ってきたのだからと置いて帰った.「ケーキ,お好きですよねぇ」と甘党を覚えていてくれたのは,ちょっと嬉しかった.が,箱を開けてみて,愕然とした.
     クリーム入りプリン.デコレーションのプリン,チーズケーキ,イチゴのパイ,他1.合計5個の壮観である.
     「こ,これを一人で食えというのか〜」
     一体僕をなんだと思っていたのだろう…….考えてみれば,昨日ユーハイムのアップルパイ(好物)を食べたばかりなのだ.

6月5日水曜日晴

     今日も暑い.昨日は32℃あったそうだが,今日もそれに匹敵するのではないか.所用で近在の小中学校を訪問しようと車に乗って,うっかりハンドルを握ったら,熱い鉄棒を握ったかと思うくらい焼けていた.
     今朝出勤前に食事をしながら,7:00前のNHK岡山のニュースを見ていたら,昨日の出来事として,岡山市役所で「ゴキブリレース」が催されたと報じていた.
     ケースの中に5種類のゴキブリを入れて,周囲を真っ暗にし,いきなり照明を当てるとビックリしたゴキブリがカサカサと走りだすのである.「茶羽さん」が最初に勢いよく走り出したが,何を思ったか途中で逆送し,「黒さん」が勝ったというアナウンサーの実況付き映像を見ていて,思わずこみ上げてくるものを禁じえなかった.さすが岡山市役所&NHK岡山である.
     何のためにそんなレースをしたのだかは,ショッキングなレースの内容のために忘れてしまった.大体,ゴキブリが5種類もいたなんて知らなかったし.
     教養の講義で,この話をしようと思ったが,さすがに学生たちから品格を疑われる惧れがあったので,紳士らしくサッカーの話題をした.稲本君,あれはやはりファールだよ.

6月3日月曜日晴

     岡山はたぶん真夏日である.大変な暑さで,30℃は超えているのではないか.
     土曜日に,自宅PCのハードディスクが壊れた.岡山での仕事を支えていてくれた1台であった.享年,4年と1ヶ月(笑).いままでデータクラッシュなどの前兆現象があったので,バックアップを取っていたから,1週間分のデータを失う位の被害で済んだのは,不幸中の幸いというべきだろう.
     PCユーザーは,データのバックアップを必ずこまめに取るように気をつけていただきたいものだ.ちなみにPCのその後だが,業者の5年間無料修理の対象だったので,IBM純正品のハードディスク(6,7万相当)を無料で交換して貰えるということだった.会員に入っていて良かった.