津島通信

NOVEMBER 2002
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◆CONTENTS◆

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【きむたく日記】

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感想をお聞かせ下さい。
kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp

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広 告(刊行より1年間)

 ¶ 小田島本有氏 『午後のひとときコーヒーブレイク』 近代文芸社,2002.10.1,本体1,000円(税別)

 ¶ 小田切靖明氏・榊原貴教氏 『夏目漱石の研究と書誌』 ナダ出版センター,2002.7.10,本体6,000円(税別)

 ¶ 金 正勲氏 『漱石 男の言草・女の仕草』 和泉書院,2002.2.28,本体4,500円(税別)

    金氏は,韓国全南科学大学助教授(現在)

 ¶ 花田俊典氏 『清新な光景の軌跡--西日本戦後文学史』 西日本新聞社,2002.5.15,本体2,856円(税別)

 ¶ 佐藤 泉氏 『漱石 片付かない<近代>』 日本放送出版協会,2002.1.30,920円(税込)

 ¶ 『敍 説』 第2期第3号「特集・夢野久作―聖賤の交雑―」 花書院,2002.1.6,1,800円(税込)

 ¶ 于 耀明氏 『周 作人と日本近代文学』 翰林書房,2001.11.9,本体4,000円(税別)

 ¶ 菅 聡子氏 『メディアの時代--明治文学をめぐる状況』 双文社出版,2001.11.1,本体2,800円(税別)

   (近代文学成立期の一側面/<文士>の経済事情/初期硯友社と吉岡書籍店/『読者評判記』の周辺/百合とダイアモンド/小杉天外『魔風恋風』の戦略/<対話>の生成−−場所としての一葉身体/『通俗書簡文』の可能性/流通する<閨秀作家>)


「演劇鑑賞サークル」のご案内 (岡山限定)  

   以下の要領で,演劇を鑑賞する仲間を募集します.役者が目の前で演じている舞
   台を見ると,TVや映画とは違う迫力と魅力に圧倒されます.募集の期限はあり
  ませんので,是非入会をご検討ください.

                  記

  ・入会の条件
   @教官・事務官・学生・院生・OB,OGなど,一切不問.
   A最低半年以上,サークル会員でいられる人.
 
  ・ 申し込み先:木村 功  〒700-8530 岡山市津島中3丁目1−1 岡山大学教育学部内
     (入会先:岡山市民劇場  岡山市磨屋町4-21 金谷ビル2F,086-224-7121,FAX086-224-7125)

    ・費用
   @入会金:1,500円
   A月会費:
        一般会員;2,300円
        学生会員;1,800円,
    
  ・演劇上演の時,入場料は要りません
  年間平均6〜8本の演劇が鑑賞できます.普通演劇鑑賞は,5,000円以上/1回
 かかりますので,演劇が好きな人にはかなりお得といえるでしょう.また,席が
 余れば期間中複数回の観劇も可能です.
 
  ・個人単位だと,事務局から割り当てられる座席の位置が悪くなるので,「サー
  クル」という単位(3人以上)を作って座席の割り当てを貰った方が,費用対効
  果があがるのです.

  ・詳細は,木村まで.

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 2002年
  10月例会 「雨」(井上ひさし原作,出演辻萬長,三田和代ほか)
  12月例会 「セールスマンの死」(アーサー・ミラー原作,仲代達矢ほか)


「きむたく日記」

11月29日金曜日晴

     ポカリのCFに「眠れる森の美女」編がある.眠っていた王女さまが,キスされる前に足がつって「い〜たいたいたい!」と絶叫しながら起き上がる爆笑巨編である.で,それが今朝「眠れるダンディ男(岡山)」にも起こった.左足が「つった」のである.
     「いでででで〜」
     阪神大震災時の目覚めに次ぐ,我が人生史上2番目に悪い目覚めであった.

     12月1日は国際エイズデーである.関連番組がNHKで21:00から放映されるので,ここで番宣をしておく.現在世界のHIV感染者は4000万人.その7割がアフリカ大陸南部に集中している.だからといって日本が無縁ということはない.最近の日本では,若者を中心にHIV感染がひそかに広がっているようだ.このことは,10年前から既に予告されていたことであったが,将来の日本を支える世代にエイズが蔓延することは,社会・国家の危機を意味している.ボツワナでは,60歳以上あった平均年齢が36歳に落ち込むという状況で,葬儀屋が儲かってしょうがないということだったが,全然笑えない.
     昨夜のNHKニュース10で放映されたエイズ報道では,発症した20代前半の女子大学生を取り上げていた.彼女は10代で援助交際をしていたことが,HIV感染の原因と考えられている.援助交際が,話題になっていたのは今から4年程前のことだ.「まさか自分が感染するとは」という言葉にも窺えるように,発症するまで気が付かないのが「普通」で,気がついたときには周囲にも感染させている可能性が大きいのである.彼女は感染を知って,性交渉のあった相手には連絡をとったそうだが,差別や偏見を考慮すればこれはなかなか出来ることではない.
     NHKの番組には欠落していた視点だが,自分は援助交際のような不特定多数と性交渉をするようなことはしないから大丈夫だ,などという解釈は適切な認識ではない.自分は大丈夫であっても,自分のパートナーが大丈夫でなければ,HIV/エイズ対策は瓦解したも同然である.そして,事実HIVキャリアーはかなりの数が,自分の感染を知らないままで潜在しているのが現状である.92年段階で,公表値の3〜10倍といわれていたその実数は,もう想像もつかない.HIV/エイズは,援助交際をする人や同性愛者(ゲイ),血友病患者などの特定層の病気であるという認識は,10年前に否定されている.既に,HIV/エイズは,我々誰もが感染する可能性のある,「我々の身近にある病気」なのである.自分だけでなく,相手の性行動にも十分注意をするようにして欲しい.快楽の代償は,現在では非常に高くつくのである.

11月28日木曜日晴

     2限から4限まで,授業.喋りすぎて,酸欠からか頭痛がする.
     11月ももう直ぐ終わり,クリスマスの飾りつけを見ていると,年の瀬が迫ってきたのを感じる.4年生が卒論に目の色を変え始めているのを見るにつけても,やはり1年の終わりを感じる.学会・結婚式にはじまり,ここにも書けないことがいろいろとありすぎた今月であった.
     明日は,修士論文中間発表会.プリンターのインクが切れたと院生が言ってくるので,「やれやれ」と生協へ買いに走らされる(師走?).いうた本人が,「お先に〜」とさっさと帰るのはアリなのか?

11月25日月曜日曇

     岡山には珍しく,昨夜雨が降った.雨の音を聞いたのは,本当に久しぶりだった.
     昨日は,夕方から表町(岡山市の中心街)に出て,紀伊國屋書店で新刊本を購入.『村上春樹全作品1990〜2000』や,講談社文芸文庫の新刊を3冊買う.結城信一の「ハンカチーフ」を読むが,「?」.
     太宰を扱った映画「ピカレスク」(原作は猪瀬直樹)を見ようと思っていたのだが,上映が10:30からの回しかないことを,映画館前で知り愕然とする.「日曜なのに,10:30に間に合うよう起きれる訳ないやん.低血圧だし」と,思わず文句を口に出してしまう.
     仕方なく,もう一つ気になっていた「たそがれ清兵衛」を観る.幕末を舞台に東北のある藩の貧乏侍(真田ヒロユキ)の物語で,妻を結核でなくし,呆けた母と二人の娘の世話に明け暮れて,自分を省みる暇もなく,内職に精を出す中年男が主人公だ.出世よりも,娘たちの成長を見守ることに喜びを見出すような「変わり者」が,実は小太刀の使い手であることが藩内に知れて,藩内の粛清のために刺客として差し向けられるのである.
     印象に残ったのは,飢饉で飢え死にした百姓の遺体が川を流れているシーンが,2箇所挿入されていたことだ,貧乏侍清兵衛といえども飢え死にするところまでは追い詰められていない,まだまだ下層の人間がいる身分制社会の問題が,チラリと提示されていた.
     それにしても清兵衛が上意討ちを引き受ける場面で,上司の命令だからやむなく受け入れるという構図が,日本のサラリーマン社会の変質によって「過去」のものとなり,共感されにくくなるのだろうなぁと思うのであった.

     大学の近所に法界院というところがあるが,そこに先週たこやき屋さん(まよたこ)が開店した.表町の天満屋バスセンターの地階にもたこ焼き屋さんが,2軒向かい合わせで店を構えている.通勤途中に車の中から眺めながら,「なんか,最近たこ焼き屋さんが多いなぁ」と思っていたら,今日のヤフーニュースに京都の状況として紹介があった.不況で失業した人たちが起死回生の手段として,開店することが多いのだそうだ.原価計算が楽で,在庫管理も容易,調理師免許も不要,開店資金も安いというのが出店の多い理由らしい.「たこ焼き」と不況.意外な取り合わせであるが,ひとつの社会現象も密接に社会の状況と関わっているのである.

11月18日月曜日曇

     昨日までの暖かさが去り,また寒気が厳しくなった.
     昨日市民会館で劇団四季のミュージカル「壁抜け男」を見てきた.壁を通り抜ける能力を身につけた郵便局の事務員がひきおこす騒動と恋の物語である.主演の石丸幹二とは,1月に観た「異国の丘」(四季劇場・秋)以来であった.「壁抜け男」はビデオを購入して,一度観ていたので,内容はよく理解できた.
     「壁」というのは,もちろん家屋の壁を意味しているのだが,同時に公務員としての規律や主人公の内省的で消極的な生き方も意味している.その「壁」を超えることで,主人公デュティエルは新たな自分を発見することになるのである.
     歌あり踊りありの愉快な「大人向け」のミュージカルであった.小学生の女の子の姿もあったので,オジサンとしてはヒヤヒヤしないでもなかったが,みせても大丈夫なのだろうか? ま,「援助交際歴40年〜」と歌っていても,なんのことやら分からんだろうけど.
     カーテンコールで,石丸幹二が1回「人生は最高〜」の歌を歌ってくれるのだが,岡山市民は2回歌わせた.サスガだ(笑).男性用トイレで小用を足していたら,後ろの個室トイレのドアが開いて若い女性が出てきたのには,ビックリした.女性の方が,常識の「壁」を抜けるのが早いようだ.  

11月9日土曜日曇

     寒い.季節はすっかり初冬である.風邪気味なのか,少々頭痛がする.
     今日は,年1の国語研究会の研究発表大会である.午前2人,午後2人の研究発表と,来年退官される片村先生の講演がある.
     「敍説」の締め切りを抱えていて,一日拘束されるのは,ヒジョーに辛い.辛すぎる.こういうときにドラえもんがいてくれたらなぁと思ったりする.
     「国文学論文目録データベース」が11月2日付けで更新されていた.

11月7日水曜日晴

     大学院の講義を終えてから,散歩がてら生協に行く.
     鬼塚ちひろのサードアルバムとDVDが,12月11日に発売されるという情報を得て,予約しようと思ったのである.体調不良などでしばらく活動を休止していたようだが,一ファンとしてこの活動再開は見逃せない.見逃すわけがない.購入予算は,12月のボーナスである.
     期待感に胸を膨らませながら予約の手続きをしたのだが,それが終了する段になって生協の担当者が明るく言った.
     「新譜予約は前払い制なので,全部で5,575円になりま〜す」
     「……」(←4日前が結婚披露宴)

11月6日水曜日晴

     学園祭もようやく終り,大学も普段の姿を取り戻した.市内の街路樹は,紅葉に彩られ,寒風の中に葉を散らしている.故郷但馬の神鍋山も雪が積もっていると母が伝えてきた.
     2日に奈良教育大学で開催された,日本近代文学会関西支部大会に参加してきた.奈良在住の師匠玉井敬之も,学会に久しぶりに姿を見せてくれた.高山に紅葉狩りに行ったら,雪が降って体調を崩してしまったとのことだったが,ゼンゼン元気に見えた.
     僕が,「新大阪駅で,今日宿泊するグランヴィアを探したのですが,あれは大阪駅だったんですね〜」というと,「この田舎者め」と一喝するあたりは,どうも僕が院生の頃の指導教授姿を彷彿してしまう. 研究発表の後の懇親会では,久しぶりに仲秀和先生にお会いしてお話をした.この「日記」を読んでくださっているとのことで,背中から汗が噴出した(ありがとうございます).また,このサイトの論文リストの作成に協力してくれている吉田正さんに初めて会うことが出来た.「生吉田」を見れて嬉しかった.その彼は,来年度の同志社での支部大会で発表するかもしれない(笑).
     21:00から23:00頃まで,梅田の飲み屋で,関学の細川先生や笠井先生,細川ゼミの学生さんたちの中に,相愛大の鳥井正晴先生と一緒に加わって楽しい時間を過ごす.
     3日は,大阪梅田の近所のローヤルガーデンで従兄弟の田中啓道の結婚式があった.
     11:00頃強い風にあおられながら式場への道に迷っていると,同じように道に迷っている男がいたので,誰かと思えば新郎の弟K作であった.しかも彼は,僕と違って式場の地図を持って迷っていたのである.僕の方向音痴が遺伝性のものであることは,これで証明された(?)かもしれない.
     式は,親族だけのアットホームなもので,大変好感が持てた.新郎は美人の奥さんを横に,にやけっぱなしでだらしないッたらなかった.締めくくりの挨拶で,彼の言葉に新婦が吹き出して笑いが止まらなかったのも,普通のお涙・感動の披露宴とは違って,明るい雰囲気でとても良かった.酔っ払ってハイテンションのオジサンも一人出現するハプニングがあったが,これはまあこういう場面につきもののご愛嬌である(僕の時には許さないが).
     さて,この日のために一ヶ月かけてお髭を生やした顔を作ってきたのであるが,いきなりN叔母に「貫禄がつきすぎ」と非難めいた言葉を浴びせられ,実母にいたっては腹を痛めたわが子が「分からなかった」と,他の叔母に言っていたらしい.「スケベ」発言に始まり,いろいろ言われてきたが,「概ね不評」(師匠は,「美髯」と評してくれた)でがっかりした.その日,岡山に戻ってから風呂場で寂しく髭を落とした次第である.
     さらば,「レット・バトラー」(だったんだけど)