津島通信

DECEMBER 2002
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◆CONTENTS◆

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【きむたく日記】

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感想をお聞かせ下さい。
kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp

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広 告(刊行より1年間)

 ¶ 小田島本有氏 『午後のひとときコーヒーブレイク』 近代文芸社,2002.10.1,本体1,000円(税別)

 ¶ 小田切靖明氏・榊原貴教氏 『夏目漱石の研究と書誌』 ナダ出版センター,2002.7.10,本体6,000円(税別)

 ¶ 金 正勲氏 『漱石 男の言草・女の仕草』 和泉書院,2002.2.28,本体4,500円(税別)

    金氏は,韓国全南科学大学助教授(現在)

 ¶ 花田俊典氏 『清新な光景の軌跡--西日本戦後文学史』 西日本新聞社,2002.5.15,本体2,856円(税別)

 ¶ 佐藤 泉氏 『漱石 片付かない<近代>』 日本放送出版協会,2002.1.30,920円(税込)

 ¶ 『敍 説』 第2期第3号「特集・夢野久作―聖賤の交雑―」 花書院,2002.1.6,1,800円(税込)


「演劇鑑賞サークル」のご案内 (岡山限定)  

   以下の要領で,演劇を鑑賞する仲間を募集します.役者が目の前で演じている舞
   台を見ると,TVや映画とは違う迫力と魅力に圧倒されます.募集の期限はあり
  ませんので,是非入会をご検討ください.

                  記

  ・入会の条件
   @教官・事務官・学生・院生・OB,OGなど,一切不問.
   A最低半年以上,サークル会員でいられる人.
 
  ・ 申し込み先:木村 功  〒700-8530 岡山市津島中3丁目1−1 岡山大学教育学部内
     (入会先:岡山市民劇場  岡山市磨屋町4-21 金谷ビル2F,086-224-7121,FAX086-224-7125)

    ・費用
   @入会金:1,500円
   A月会費:
        一般会員;2,300円
        学生会員;1,800円,
    
  ・演劇上演の時,入場料は要りません
  年間平均6〜8本の演劇が鑑賞できます.普通演劇鑑賞は,5,000円以上/1回
 かかりますので,演劇が好きな人にはかなりお得といえるでしょう.また,席が
 余れば期間中複数回の観劇も可能です.
 
  ・個人単位だと,事務局から割り当てられる座席の位置が悪くなるので,「サー
  クル」という単位(3人以上)を作って座席の割り当てを貰った方が,費用対効
  果があがるのです.

  ・詳細は,木村まで.

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 2003年 2月例会「かのこかんのん」
 


「きむたく日記」

12月28日土曜日晴

     巷は昨日が仕事納めだが,11:00よりゼミ生の卒論指導.冷え込みが厳しく,コンクリート製の研究室はとても辛い.ガスストーブと,エアコンで寒気を凌ぐ.

12月27日金曜日曇のち晴

     午前中,ゼミの学生の卒論と院生の課題研究の指導.卒論の方は,7割方書き上げたというので,余裕の表情が見えてきた.こちらも危ぶんでいたので,安堵する.
     午後会議.17:00までかかったので閉口する.
     帰宅してから,新聞のバックナンバーに目を通していると関川夏央氏の文壇時評を見つけた.「世界」12月号の論文の一節が引かれていたが,それは東大生で「ドストエフスキーって誰ですか」発言が出たという先生の慨嘆である.
     僕も立ち読みでその一文だけは読んでいたが,やはり気になるものらしい.20代前後の世代には,既にロシアの文豪の名は「常識」ではなくなっているのだ.これは,「常識が無い」ということではなくて,「常識」の一部を担っていた「文学」という文化の,退場を予兆させる話である.年末に,寂しさを感じる話であった.若手の雄であるはずの平野啓一郎が「群像」に発表した新作すら「読まなかった」ことにされてしまう現状にも,同様のものを感じる.  

12月20日金曜日曇

     昨日退出してから,紀伊國屋書店に立ち寄ると,黒澤明の「七人の侍」のDVDが並んでいたので,8,000円の衝動買いしてしまった.自分へのクリスマスプレゼントである.
     早速見てみたのだが,音が非常に悪くて,台詞が聞き取りにくく閉口した.(冒頭の野武士のセリフなど,何を言っているのか分からない.別のクイズ番組で知ったのだが,麦を奪いに来るということを発言しているのだ.追記2003.2.4)しかし,やはり凄く面白い.映像に凝った映画が多いのだが,脚本と映像がぐいぐいと迫ってくる見事な作品で,これにくらべると今話題の「たそがれ」などは,ほんとうに薄っぺらい.志村喬の静かで穏やかな存在感や,三船敏郎@「菊千代13歳」の怪演ぶりは,やはり強烈.こういう骨太の演技のできる俳優はいなくなったなぁと思う.
     山崎正和の新作脚本『言葉―アイヒマンを捕らえた男』を読んだのだが,ナチス戦犯のアイヒマンの人間像を,誰もが陥りがちな「凡庸な悪」とみなす昨今の見方に異議を申し立てていた.中の主人公の言葉
       正義というのは強いものじゃないんだ.悪は説明なしに人を殺す.悪を理解しない
      人も滅ぼすことができる.しかし,正義ってのは,それを理解しない人にはなんの力も
      持てない.正義は説明だよ.納得できるものが正義なんだ.だから正義は,世界中の何
      もかもを納得できるものにしたい.悪人だって悪そのものだって,なぜそんなものがあ
      るのか説明を聞きたがるんだ.
     この図式で解くと,なぜなぜと聞いている非「悪の枢軸」国側は「正義」となるのだろうが,果たして拉致や大量破壊兵器を開発する国は,本当に「悪」と決めつけて良いのだろうか.誤解をおそれずにいうと,少なくとも北朝鮮の「悪」を生み出した政治的状況は東西冷戦に起源していたはずである.今だけをとって,「正義面」するわけには行くまい.
     ラーゲルクヴィスト『巫女』(岩波文庫,2002.12)は,紹介文を読んで面白そうだと思って直ぐに書店に走ったのだが,これは大当りであった.神様を善良な存在ではなく,きまぐれで,弱く横暴なものとして描き出し,固定観念を見事に打ち砕いてくれた.
     なんとなく書き始めたのだが,どうも「正義」や「神」という概念を揺るがすような著作に影響されていたようだ.
     さて明日から月曜日まで出張.どうか「神様」,寒波が来て飛行機が飛ばない,などということがありませんように.

12月17日火曜日曇

     午前中,講義午後の講義の準備.講義ノートを見直す余裕ができたのが嬉しい.午後,講義ふたつをこなす.
     ゼミ生が,録画したBS放送の劇団四季ミュージカルのビデオを貸してくれる.下村版と石丸版の2種類の「ハムレット」だが,石丸版は要返却.下村版は「見直すことはない」ので,くれるということだった.……ヒドイ.
     「ヒドイ」と言えば,インターネットにこんなニュースが流れていた.東京書籍の出している教科書「中学公民」の中に地方都市のユニークな条例を紹介する箇所があって,新潟県中里村の「雪国はつらいよ条例」というのが,紹介されていた.
     ところがこれは,「雪国はつらつ条例」の誤りで,中里村も中里「町」と紹介されるオソマツぶりであった.問い合わせを受けて事態を知った,中里村はカンカンに怒っているそうだ.更にオソマツなのは,文部省検定済教科書であるということで,検定官のオソマツさが,浮き彫りになっている.ちなみに,「中学公民」のシェアは60パーセントで,7万人の中学生が,「つらいよ条例」を学ぶ可能性がある.

12月12日木曜日曇

     講義2つ.それが終わってから,締め切りの近づいたシラバスの作成をする.
     例年のことだが,年末が近づいてくると来年度の準備が忙しくなるわい(ブツブツ).PCのデスクトップ上に付箋紙ソフトを貼り付けて「ToDo」用にしているのだが,一つ仕事をやり終えてはがす時に,わずかな快感を覚えている自分が哀しかったりする.
     HPの掲示板が「汚れた」ので,「清掃」.

12月11日水曜日曇

     昨日仕事を終えてから,髪をカットしに行った.
     いつものように店に入ろうとすると,ガラスの向こうになにやら赤いモノが動いているのが見える.いや〜な予感を覚えながら入って行くと,そこにはサンタクロースの衣装を着た小太り店長(男,僕と同い年)がいた.
     「いや〜,クリスマスシーズンですから」
     あたりを見回すと,他にもサンタの赤い衣装を着たコスプレ・スタッフがいる.
     「な,なるほどぉ」
     と,いいながら目を凝らしたそこには……,
     「サル」がいた(←違うやン).

     「先生も,24日に講義でやったらどうですか? ゼッタイ,受けますよ〜」
     「やりません」
     「ちなみにヒョウは,今日は公休日です」
     「聞いてません!」
     店の方針で,今時コスプレしているアホな美容室を,皆さん探してみましょう(市内にある4店のチェーン店全店でやっているそうです).

12月5日木曜日曇

     午前,午後講義.
     今日学部の講義で,はじめてパワーポイントを使った講義をした.液晶プロジェクターとノートパソコンを接続し,スクリーンに画面が投射されたのを見て,自分一人「感動」していた(笑).
     宇部短大にいるころに,パワーポイントを使って会議資料を作らされたことはあったのだが,自分で実際にプレゼンをやってみる気にはなかなかなれなかったのである.事実,今日もノートパソコンと電源用延長コードの入ったキャリングケースと,プロジェクターの入ったカバンを左右の両肩に担ぎ,手提げには配布用プリント・講義ノートを入れて行くという「重装備」になったのであるから.講義ごとにはとてもやってられない.なんとか,もっと簡単にできないものか.設置する時間だけでも結構ロス・タイムを生じるのだ.
     終了後,生協で食事.階下のブックセンターで,書籍を購入する.井上ひさしの芝居脚本『太鼓たたいて笛ふいて』(小学館)を見つけた.林芙美子を主人公としたものである.戦中を扱うなら,中島敦と「山月記」を絡めたものも書いて欲しいなぁ.
     レジで文学部のS先生を見かけたので声をかけると,「お,生きとった?」

12月4日水曜日曇時々雨

     午後4年ゼミ生Kの卒論指導.パソコンにデータを読み込んで,画面を見ながら指導する.その場で表現も修正できるので便利である.金曜日にアポの入っているゼミ生が草稿を持ってくる.
     18:30から岡山市民会館で,仲代達矢(無名塾)主演の「セールスマンの死」(アーサー・ミラー原作)を観る.アメリカ社会の強烈な上昇志向と現実との軋轢の中で,自壊して行く庶民の姿が浮かび上がってくる内容で,観ていて息ぐるしくなるようだった.上演のパンフを見て,仲代が1932年生まれで,ウチのオヤジと同い年であることに驚かされた(1932.12.13).せいぜい60代前半くらいにしか見えなかったのである.が,最後の舞台挨拶で,はるかに若い相手女優の小宮久美子さんとキスしたのにはもっと驚かされた.

12月3日火曜日晴

     午後,講義2つ.その後4年ゼミ生Tの卒論指導.草稿20枚.この時期としてはまずまずのスタートである.

12月2日月曜日晴

     所用があって久しぶりに郷里に帰省した.200212.jpg (60306 バイト)
     盆暮れを除いて,この時期に帰省することなど,18歳で郷里を出て以来一度もなかった.山々の紅葉はすでに色あせていたが,しかし,郷里の晩秋/初冬の澄んだ空気は,とても快かった.
     16:30から18:40まで会議.