津島通信

SEPTEMBER 2003
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◆CONTENTS◆

【広告】
【きむたく日記】

◆今月の予定

17日 午後定例教授会

24日 大学院入試(終日)

26日〜29日 出張(香川大集中講義)

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感想をお聞かせ下さい。
kimutaku@cc.okayama-u.ac.jp

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広 告(刊行より1年間)

¶ 『敍説』Uー06,「特集◆性交」,花書院,,2003.8.12.本体1,800円(税込)

目次

¶ 原爆文学研究会編『原爆文学研究』2,花書院,2003.8.1.本体1,200円(税込)

目次

¶ 鳥井正晴氏『明暗評釈』第1巻(第1章〜第44章),和泉書院,2003.3.30.本体5,500円(税別)

¶ 岡山市・岡山市文学賞運営委員会編『おかやま しみんのどうわ2003』吉備人(きびと)出版,2003.2.8,定価1,000円

 ¶ 小田島本有氏 『午後のひとときコーヒーブレイク』 近代文芸社,2002.10.1,本体1,000円(税別)

 


「演劇鑑賞サークル」のご案内 (岡山限定)  

   以下の要領で,演劇を鑑賞する仲間を募集します.役者が目の前で演じている舞
   台を見ると,TVや映画とは違う迫力と魅力に圧倒されます.募集の期限はあり
  ませんので,是非入会をご検討ください.

                  記

  ・入会の条件
   @教官・事務官・学生・院生・OB,OGなど,一切不問.
   A最低半年以上,サークル会員でいられる人.
 
  ・ 申し込み先:木村 功  〒700-8530 岡山市津島中3丁目1−1 岡山大学教育学部内
     (入会先:岡山市民劇場  岡山市磨屋町4-21 金谷ビル2F,086-224-7121,FAX086-224-7125)

    ・費用
   @入会金:1,500円
   A月会費:
        一般会員;2,300円
        学生会員;1,800円,
    
  ・演劇上演の時,入場料は要りません
  年間平均6〜8本の演劇が鑑賞できます.普通演劇鑑賞は,5,000円以上/1回
 かかりますので,演劇が好きな人にはかなりお得といえるでしょう.また,席が
 余れば期間中複数回の観劇も可能です.
 
  ・個人単位だと,事務局から割り当てられる座席の位置が悪くなるので,「サー
  クル」という単位(3人以上)を作って座席の割り当てを貰った方が,費用対効
  果があがるのです.

  ・詳細は,木村まで.

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 2003年 9月例会「ミラクル」(原作:辻仁成,出演:あおい輝彦,小野文子)
 


「きむたく日記」

9月25日水曜日曇

     昨日,雨もパラつく中,大学院の入試が行われた.学部内からの進学者は,教員採用が上向いている関係から決して多いとはいえない状況である.
     口頭面接があるので,久しぶりにスーツを着る.しかし,気のせいなのかズボンのウエストが縮まったような気がするし,シャツを着るとシャツも首周りが縮んだのか,妙に拘束感がある.キツイ.もうすぐ後期授業が始まるのに,スーツやパンツ類がこうも軒並み縮んでしまうと,着て行く服が無い.困った.
     さて,明日から4日間香川高松へ出張である.

9月22日月曜日晴

     今日も雑用.そろそろ自己点検評価も入力しなければ.先週末に届けられた岡山市市民童話賞の応募作品の査読に入る.かなり書きなれている人から,そうでない思い付きのような作品まであって,今回もそれなりに楽しめそうである.
     そろそろ,といえばそろそろ「卒論」の指導や,後期の授業準備もしなければいけない.来週には,講義がはじまる.着任した6年前は,10月中旬からの講義開始だった.あの頃が,天国に思える…….「失楽園」である.
     土日と福井晴敏の「川の深さは」「TWELVE Y.O.」を読んだ.冒険小説の部類なのだろうが,後者で江戸川乱歩賞を受賞している.福井の作品は登場人物の類型化が少々気になるのだが,この作家の特徴は,現代のミリタリーバランスをよく調べ,現代兵器もよく取材することで,作品に堅固なリアリティを与えていることだろう.特に,自衛隊の現代政治における意味については,自説があるようで,作品の中で何度も言及している.つまりアメリカの庇護の下にいる日本の現状は自立とは程遠いもので,日本も戦争目的ではなく,自立した国家であるならば,自衛隊の位置づけを変えるべきだというのである.現在の自衛隊・日本は,アメリカの盾に過ぎず,アメリカが日本のために戦ってくれるなどというのは,非常に甘い認識であると考えているようだ.昔の三島由紀夫の主張を思い出していた.

9月19日金曜日曇のち雨

     13:30から15:00まで会議.生協に注文していたメモリ256MBの入荷連絡が留守電に入っていたので,雨の中を出かけて行く.研究室に戻り,PCの筐体を開けてメモリをセット.少しは速度も変わるかと思ったが,気のせいくらい.
     講義の無い日々も,あとわずかとなった.論文はまだ仕上がらない.
     野田秀樹の「半神」「野獣降臨(のけものきたりて)」のビデオ入りました.見たい人は研究室まで.

9月18日木曜日晴

     生協で,千葉一幹「賢治を探せ」講談社メチエを見つける.B’Zの「BIGMACHINE」を買い,研究室で聴きながら,雑用をこなす.内容がイマイチなので,奥さんにやろうと思う.
     ゼミ生来る.人生について語る(笑).「先生の中学生時代って,四半世紀前ですね」といわれて,ショックを受ける.40前の人間すべてを敵に回す発言であると,厳重に指導する.
     今更だが,関西大の浦西和彦先生のHPを見つけた.

9月17日水曜日晴

     午前中から会議デー.精神的に疲弊すること甚だし.雑務に追われる.
     卒業生の来客あり.奥様の母上から,FAXが研究室に来る.電話して聞いてみると,画像データを添付メールで送ろうとして,メールサーバーから容量オーバーで送信不能のメッセージが来ているのだった.画像サイズを縮小するようにアドヴァイスする.

9月12日金曜日曇のち雨

     雑用1件をようやく処理.「自己点検評価」はやる気なし.2週間あまり放置しているが,来週から始めよう.いや,やっぱり再来週.
     国本衛『生きる日,燃ゆる日』に目を通す.光田健輔を二重人格者呼ばわりしている.療養所スタッフ・厚生省に対する怨嗟の念には凄まじいものがある.
     戦前の星塚敬愛園(鹿児島県)のエピソード.
     断種手術を拒否した患者と事務官の間でトラブルが起こった.担当者は園長に撲られたと虚偽の申告をした.園長は怒って言った.
     「山に棄てて来い」
     事務官らは患者をトラックにのせ,山深い大淀川上流の河原に棄て,彼の両足の義足を奪い取り,それをさらに遠い場所に棄てて帰ってしまったという.国家・厚生省の患者への意識がどのようなものであったかを示すエピソードである.
     そもそもハンセン病患者は,当時伝染病と喧伝されていた.遺伝病ではない以上,断種手術をする必要性はない.断種するのは,ハンセン病患者を根絶やしにしようとする優生学的な発想に基づいている.それを,患者に強要し,いうことを聞かないものには徹底的に弾圧を加えた.そして,ハンセン病についてこのような悲惨な事例が認められるのは,近代になってからは,日本とその植民地だけなのである.
     僕は考えている.病気は,単に病気である.しかし,それに差別や偏見やイデオロギーが加わることで社会に構造化されると,病気は病気ではなくなってしまう.そこにいたる過程と,そこからの過程には,少なからぬ言葉による表現の問題が見て取れるだろう.京極夏彦流にいうなら,病気に対する「呪い」がかけられ,その「呪い」が効果を発揮するように「仕掛け」が施されているのである.さて,どう「憑物落とし」をしたものかな,などと考えているわけである.

     昨日日本近代文学会から「会報」が届いた.文学部の片山さんが春季大会の所感を書かれていたが,フォローはしながらも結構厳しい指摘をされているのが意外だった.片山さんは温厚な方なのだ.でも,書いてある内容については,実は僕も同じようなことは思っていたので(笑)同感と思うのであった.

9月11日木曜日曇

    映画といえば,昨日の新聞にLeni Riefenstahlの死去の記事が載っていた.1936年のベルリンオリピックの記録映画「オリンピア」(「民族の祭典」「美の祭典」の2部構成)を撮り,ナチスシンパとして戦後は戦争犯罪人として訴追され,党員でなかったことなどの理由から無罪になったことでも有名だ.「20世紀」がまた一つ消えていったが,彼女の功罪には大いに学ぶべきものがあるだろう.
       

9月10日水曜日曇

     昨夜京極夏彦「嗤う伊右衛門」(中央公論新社)を読み終えた.京極の作品の中では,一番感心した.高田衛の解説も楽しめる.
     夕食を終えてから倉敷のMOVIXにチャン・イーモウ監督の「英雄(HERO)」を観にいく.ワイヤーアクションもさることながら,CGを駆使した華麗な映像が話題を呼んでいる作品である.ストーリーよりもそういったアクションと映像,それから衣装もすばらしかったが,「部分」の方で魅せる映画であった.
     剣士同士が意識の中で戦うという設定で,湖の水面上での戦いの場面がある.最初は,感心してみていたのだが,不図我に返ってしまい,このありえない設定がおかしくて堪らなくなって,笑いを堪えるのに苦労した.他には秦王(後の始皇帝)役の俳優さんが,印象に残ったくらいで,あまり薦めません.
     奥さまは,「気が散るから,映画上映中にガムをかまないで」と怒っていた.はぁ?

9月9日火曜日晴

     昨日生協に発注していた,WEBカメラが入荷したので,PCにセットする.液晶パネルの上に据えつけるとタコのように見える.ヘッドセット(マイクとヘッドホンが一体になったもの)は買わなかったのだが,カメラ内蔵のマイクが十分音声を拾ってくれている.
     これで何が出来るかというと,インターネットにつながっている適当な相手を呼び出して,カメラを通して映像と音声で「会話ができる」のである.具体的にいうとインターネット会議ができるし,遠隔授業も出来るかもしれない.大学院生にもこれを体験させて,国語教育での利用法を探ってみようと考えている次第である.
     遠隔地に居る友人とも,これで情報交換できるかなと思っているのだが,それ以前にヘッドセットやWEBカメラを購入する必要があるので,揃えている人がどれくらいいるのかそれが問題だ
     ま,ともあれ論文の方も早く仕上げないと.
     ところで今夜は,奥様と「HERO」を観にいく約束なのである.評判良いみたいですが,私が個人的に気になっているのはトラボルタの出る「閉ざされた森」である.彼の出た「ソードフィッシュ」も面白かった.

9月8日月曜日晴

     中国人留学生の受け入れに関する雑用処理に15:00までかかる.こういう雑用は,本当に疲れる.おまけにお気に入りにゼブラ製透明軸2色ボールペンを,移動している最中に紛失してしまった.安いせいもあるのだろうが,僕はそこら中にボールペンを置き忘れる癖があり,最後まで使い切った覚えがないのだ.
     このボールペンは,書き味がしっくり来る製品なので,気に入っていたのだけれど.東京銀座の鳩居堂で270円で買ったものは,何時の間にか姿を消し,国会図書館の売店で250円で購入したものは,かくして一瞬で消え去ったわけである.ちなみにどちらも同じ製品なのだが,鳩居堂が高いのは銀座価格なのだろうか.なにせ銀座ではコーヒー一杯が1,000円なのだそうだから.
     3年ゼミ生K来る.1週間ほど泰国に遊びに行っていたのだが,外は暑く中は冷房がガンガン効いていたことと,さすがに長旅の疲労から体調を崩して風邪を引いていた.楽しい旅ではあったようだけれど,最後に検疫で引っかかってSARS検査を受けさせられたそうだ.お土産に木製のパズルゲームをくれた.日本では「箱入り娘」と呼ばれているもので,僕もPDAの中にインストールしている.
     僕の研究室の中には,ルービック博士謹製のキューブもあるので,頭脳ゲームのコレクションがまた一つ増えたことになる.勿論これらは遊ぶためのものではない.気分転換をし,「すンばらしい論文」を書くためのツールであることはいうまでもない(笑).ゼミ生も,そこのところをわかってくれていたのだろう(多分).

9月5日金曜日晴

     今日は助産師の奥様が夜勤のため家にいないので,遅くまで研究室に居残っている.といっても仕事ではない.雑用仕事もしていたのだが,ゆっくりと本を読んだり,4年ぶりに修理に出して治ってきたゲートウェイのノートPCの再設定をしたり,来客の応対をしていたり,溜まったメールの返事を書いていたのである.

     昨日は,岡山県の郷土文化財団(岡山市天神町)に行って,内田百閧フ原稿や書簡などの資料を見てきた.見学である.
     ここには,百閧フ晩年のパートナーだった女性の妹さんから寄贈されたものや,平山三郎という百閧フお弟子さんの遺した資料が寄贈されているのである.しかし,管理しているのは専門研究員1名の方で,資料の大半は,整理というより,ダンボールの中に入っているような印象を受けた.
     目当ては「阿呆列車」の原稿であったが,見てみると,百閧ヘ原稿を和綴じした時に裁断して形を整えているのだが,加筆した部分も裁断して落としてしまっているのである.見せてくれた研究員の方も精査していなかったのか,僕が指摘すると覗き込んで呆れていた.
     岡山には吉備路文学館があるので,百閧フ資料もそこに入れればよいと思うのだが,なぜか文学館の方が良い顔を見せないということで,百閧フ資料はこんな状態なのだと事務局長は嘆いていた.その事務局長から,「冥途」の初版で,扉に百閧フ書き込みがある本があると教えられたので,思わず見せて下さいと頼むと,今県立美術館の収蔵庫で厳重に保管してあり,私が一緒でないと見れませんと言われた.漱石文庫でも,そこまでやっていないぞ,と内心思う.でも,専門的にキッチリ管理しようとする姿勢は評価できる.他にも貴重な青春の日記である「恋日記」5冊も見せてもらう.豆手帳にビッシリと書き込まれた初恋の思いには,執念すら感じる.若いってのは,これほどに熱中できるものなのネとしみじみ思うのであった.2時間ほどいて,いろいろ他にもお話を伺い辞去した.

     先日目を通した吉村萬壱の「ハリガネムシ」は,弱者への蔑視や虐待を内包する暴力をしっかり描いていて,それなりに読者の想像力に訴えかけるものがあった.この点,前の大道某に比べると,レベルは上だと思う.読後感は非常に悪く,それは作品から生まれるものだから仕様がないにしても,こんな世界を描いて何をいいたいのか,と思わされる作品であった.審査員評では,宮本輝,三浦哲郎,池澤夏樹の意見に共感する.
     卑小な人間が倒錯を見出して行くことと,教師という職業を結びつけることに,もっと意識的であっても良いと思う.最初に出てきた高校生の女の子などももう少し活かしようがあるのではないか.設定についても,副担任制を敷く高校なんて,1989年頃にあったかな,とも思った.そうそう,ここ暫く芥川賞作品にはドライブが一つのキーワードになっているのではないか,と思うくらいよくドライブ(旅)が出てくる.これは,一体何だ(類型化)? とにかく,さすがは「芥川賞!」と思うような作品を読んでみたいゾ.

9月3日水曜日雲時々晴

     15:00過ぎ,宿題である「自己点検評価」を記入していたところ,「バシューン」という音とともに室内の照明・クーラー・PCの電源が,一気に落ちてしまった(ビックリ).「デンジエンド」(注)を喰らったみたいだったが,なんの事はないカミナリ様である.
     呆然としていたが,PCへのダメージが心配になり,電気が戻り次第チェックする.一応何事もなかったので安心するが,停電した後の真っ暗な室内にいると,いかに電気に頼った生活をしているのかが良く分かる.暗いと本も読めないし,論文や雑用文書も作成できないのであるから.電化住宅など,停電が怖くてとても買えない.停電対策はしてあるのだろうか.
     芥川賞受賞作吉村萬壱の「ハリガネムシ」(文芸春秋)を入手.よしもとばななの「デッドエンドの思い出」のように,自己満足作品で読者を「デンジエンド」しなけりゃよいが,と思いながら(雑用は放っておいて)読み始める.
     そうそう,佐々木倫子の「Heaven?」が完結してしまった.注目は「ヴィンテージ」だと思う(老人を書かせたら上手いですなぁ).

    (注)30代後半なら分かるカナ.昔あった実写版「人造人間キカイダー」の必殺技.それにしても,「よしもとばなな」はどうした.最近,本当にヒドイぞ.自分で自作を誉めだすなんて,プロ意識が無いよ.

9月2日火曜日雲時々晴

     蒸し暑い.生協にインクタンクのカートリッジを受け取りに行く.別冊宝島の「僕たちの好きな京極夏彦」を購入.
     雑用をこなし,2時間ほど論文執筆.

9月1日月曜日曇

     とうとう9月に突入してしもうた.
     清水の舞台から飛び降りるツモリで購入した「CD−ROM版 谷川俊太郎全詩集」(2000)がようやく届く.読みたい人・ゼミ生は,研究室まで.谷川自身の自作ビデオや,やや甲高い声の朗読の音声データが入っている.
     そういえば去る日曜日,教育TVで「詩のボクシング」(第7回)をやってましたね.あれの岡山大会に出てみないかといわれましたが,逃げました.