DECEMBER 2004
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◆CONTENTS◆
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【きむたく日記】
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広 告(刊行より1年間)
¶ 宮川健郎『日ようびのお父さんへ 本をとおして子どもとつきあう』,日本標準,2004.11,定価1,470円
¶ 馬場伸彦編『ロボットの文化誌』,森話社,2004.12,本体2,300円(税別)
米村みゆきさんの「アトム・イデオロギー」(第3章)が含まれています.
¶ 真樹龍彦『聖餐の夜』,沖積社,2004.11,本体2,500円(税別)
漱石研究・百闌、究・幻想文学研究で業績をお持ちの,真杉秀樹氏の小説です.真杉氏には,他に『「東電OL殺人事件」行―ある女の生涯―』,『赤い死』,『ふざけた殺し』,『吸血鬼の夜』の作品があります.
¶ 玉井敬之『夏目漱石詩句印譜』,翰林書房,2004,本体4,000円(税別)
漱石の研究書ではありませんが,師匠の趣味の本です.
¶ 『原爆文学研究』3,花書院,2004.8.31,本体1,200円(税込)
¶ 『敍説』U―08,「特集◆梅崎春生」,花書院,2004.8,本体1,800円(税込)
¶ 米村みゆき『宮澤賢治を創った男たち』青弓社,2003.12.17,本体3,000円+税
¶ 岡山市・岡山市文学賞運営委員会編『おかやま しみんのどうわ2004』吉備人(きびと)出版,2004.2.14,定価1,000円
¶ 『敍説』U―07,「特集◆距離感」,花書院,2004.1.6,本体1,800円(税込)
木村も書いています.
¶ 綾目広治 『倫理的で政治的な批評へ』皓星社,2004.1.30,本体2,800円+税
のっけから福田和也批判で始まる痛快で刺激的な著書.批評理論系の方は,看過できない綾目先生の新著です.
¶ 米村みゆき編『ジブリの森へ 高畑勲・宮崎駿を読む』森話社,2003.12.15,本体2,200円+税
映像テクストであるジブリ作品をどう「読み」「研究」の射程の中に位置づけなおすのか,文学研究者たちの果敢な取り組みです.
¶ 『現代文学史研究』第1集,現代文学史研究所,2003.12.1.
大久保典夫「純文学の死」,大井田義彰「越境する中年女―松本清張『けものみち』論―」他.
目次
「きむたく日記」
12月28日火曜日晴
温暖な一日.岡大は今日が仕事納めなので,研究室の大掃除をする.
僕は基本的に綺麗好きで,掃除をするのも苦にはならない.
が,実は僕は整理が出来ない.というか,例えば研究室の場合,書類・書籍の量が僕の整理能力を超えているのである.書類については,「ひょっとしたら,また必要になるかもしれない」と思ってしまうので,全然捨てられない.従って大机の上には,カオスが出現することになる.
もっとも重要書類は,A4サイズの紙のボックスを購入して,年度ごとにポンポン書類を放り込んでいる.しかし本棚とスペースを共有しているので,この収納法もいずれ限界が来るだろう.レポートなども処分したいのだが,成績関係の書類は5年間の保存を義務付けられているので,これもダンボールに入れて研究室の隅に積み上げて保存している.
本の分類は難しい.着任した時に,おおまかな分野別に書籍を分類したのは良いが,専門書関係が他の分類項目の棚を侵食し始めてからは,一体専門書がどこに混じっているか分からなくなり,今秋文学部から卒論を書く院生が書籍を借りに来たときなどは,その学生と2人で本棚を探し回る醜態を晒すことになった.
かく言う僕も,4年ほど前に一度学生の手を借りて本棚の整理を試みたことがある.しかし,1本の棚の本を引き出し分類しただけで疲れてしまい,結局挫折した.
かくして研究室では,秩序が崩壊してエントロピーが増殖し続けているのである.ちなみに自宅の自室でも,衣服やコミックス・ビデオ・DVDソフトが加わって,奥さまを激怒させている.そして明日からは,働く奥さまに代わって,僕が自宅の大掃除担当である.
誰か整理の得意な人はいませんか〜.
12月27日月曜日晴
昨日インドネシアのスマトラ島沖で発生した巨大津波は,M9という大規模地震が引き起こしたものであったことが明らかになってきた.このM9クラスの地震は,1960年にM9.5を記録したチリ地震以来のものだそうだ.この時は,1日かかって日本に到達した津波で,142人の人が死亡しているとのこと.台風,震災に見舞われた日本の1年を締めくくるものが「これ」だったかと思うと,遺憾というか,自然は本当に恐ろしいというか.地球の内部が,ドロドロのマグマで出来ていることを改めて想わされるのであった.
現在,死者は1万8,000人といわれている(24:00).スリランカでは,1万29人の死亡が発表されて, 犠牲者の数は増える一方である. 犠牲者となった方々のご冥福を心から祈る.そして, 生き残った人のこれからの苦難を思うと, 言葉を失ってしまう.
今日は12:40から,卒論の指導. 1週間で頑張って15枚程度を作成してきたとのことで, ほぼ1章分の内容が出来ていた. 査読して, 原稿に朱を入れて助言をする. この調子で,年末年始を卒論の作成に費やして欲しいものだが, このおめでたい時期にそのような要求は無理か. ゼミ生は, この日記を読んだ先輩たちに心配されていたようなだのが, なんとかなりそうな気がして来ている.
書けぬなら書かせてみせようホトトギス
12月22日
火曜日
昨日,児童文学の作家今西祐行氏が,心不全で亡くなられた.
僕が今西氏の作品を知ったのは,岡大に来て,教科書作品を講義対象として扱うようになってからである.「一つの花」と「ヒロシマの歌」が教科書に採録されており,いずれも平和教材として扱われる作品だ.
今年「ヒロシマの歌」については,原爆文学研究会で口頭発表をしたり,論文を書いたり,ゼミで学生に研究報告をさせたりと,接する機会が多かったので,今西氏が亡くなられた報道に接した時は,非常に残念に思った次第である.
今西氏は広島での原爆の被害地に入って,救助活動に従事したことがあり,その際目撃したことをいろいろ文章に書かれている.今でも印象に残っているのは,炊き出しのおむすびをトラックから被害者たちに配布しているときに,一人一個のところなんども並びなおしておむすびを取って行く女性に気づき,今西氏がそれを見咎めてトラックの上か「だめだよ」とちょっと突いたところ,女性はふらふらと仰向けに倒れ,そしてそのまま絶息してしまったエピソードだ.今西氏のやったことは,故意ではなかったし,そもそもそれが死の原因であったかどうかも判然としないが,女性が死ぬ結果になってしまった.
非常時の事とはいえ,女性が死んでしまったことと,女性が何のためにおむすびを何個も取っていこうとしたのかを想像する時,随分後味の悪い思いを抱き続けて,その後を生きてこられたことであろう.
今西氏は,「思い」を表す作家であったように思う.人が生きるということは,他者への様々な思いを抱き続けて生きることであり,その思いを厳しく見つめることでもある.そのようなことを,僕は今西氏の作品から受け取って来た.
12月20日
月曜日曇のち雨
金曜日に,宮川健郎先生から献本を頂戴した.ありがとうございます.僕は,「おとうさん」ではありませんが,勉強させていただきます.
ここの所,米村さんや真杉先生からも御本をいただいてばかりいるので,恐縮するばかり.ああ,僕も早く皆さんにご恩返しをしたいものだ,とよだかは山焼けの火を眺めながらしきりに思うのでした.
10:30から会議.2名の教員が10分も遅れて来たために,5分前に会議室に入っていた僕は,15分待たされた.でも,ゼミの卒論の草稿を読んでいたので,待ち時間は気にならなかった.と,いうより草稿の内容の衝撃を受けて,別世界に逝っていたというか,気を失っていたというか,とにかく衝撃的内容だった.締め切りまで,あと40日しかないのに…….皆さん,卒論を作成する学生は大変だと思っていらっしゃる方が多いでしょう.しかし,それを指導している教員はもっと大変なんです.
といわけで,その後の時間の卒論指導は,指導だか説教だか分からなくなった(キー).よだかのように,僕も遠くの遠くのそのまた遠くへ行ってしまいたくなった.
12月14日
火曜日晴
昨夜1:30迄頑張って,ノルマ論文(学内の研究誌)を書き進める.編集担当のM先生が,今号に原稿が集らないと愚痴られていたので,20枚ほど書いていた児童文学の論文をまとめましょうと,協力する話をしていたのだが,昨日そのM先生が研究室へ飛び込んできて,「原稿が1本落ちたので,何が何でも書いてくれ」という話になったのである.出すつもりで書いていたので,「大丈夫ですよ」と,僕は「地獄で仏」の如くに微笑するのであった.
S原先生が研究室にビデオライブラリー(無料)をつくられたので,お客となって映画版「沈黙」とオペラ版「沈黙」,それにミュージカルの「コーラスライン」を借りて,土日に楽しんだ.映画版「沈黙」は初めて観たのだが,丹波哲郎がフェレイラ役で出てきたので,引っくり返った.おかっぱ頭だし…….ロドリゴ役には,アメリカ人を使ったのに(ポルトガルの神父の設定が,英語をしゃべるのもおかしいぞ.確かにアメリカ人とポルトガル人の区別はつかんが),なぜ日本人をキャスティングしたのか.ケチったのか.
ともあれ,大霊界の天使姿が重なって,非常に感興が削がれたのであった.
12月9日
木曜日晴
注文していた「漱石研究」17号の入荷連絡があったので,生協ブックセンターへ取りに出かけた.他に注文していた「現代思想」12月号(デリダ追悼号)なども受け取る.帰り道を歩きながら,「漱石研究」を袋から取り出してパラパラ見ていると,やたら「虞美人草」の論文が多い.「今号は『虞美人草』だっけか?」と思いながら,号数を確認して驚いた.「17号」を注文したはずなのに,「16号」を受け取っていたのである.
早速取って返して,交換して貰うことになったのだが,「16」と「17」の数字を普通見間違えるか?
研究室に戻ってから,気がついた.
「返金して貰うのを忘れた!」(ガーン)
廊下で会ったゼミ生が,着ている黒い毛皮のショートコートを見せて「ウサギの毛なんですよ」と自慢してきた.
「……無数のウサギ(アンゴラ?)の鳴き声が聞こえてきそうだね」
12月7日
火曜日曇
昨日待ちに待った「九大日文」第5号が送られてきた.故花田俊典さんの追悼号である.
食後追悼文や,石川さんの力作である「略年譜」を読んでいると,瞬く間に時間が過ぎていった.年譜の行間に,花田さんと天狗党とのいろいろな思い出がよみがえって来る.
それにしても寄せられた論文の多いこと.これこそ花田さんの追悼号に相応しい威容といえよう.後輩や教え子たちが,頑張ってますよというメッセージを故人に送っているように僕には思えるのである.
12月4日
土曜日雨
大学院の修士論文の中間発表会(というには,あまりに遅いが)が,10:00から開催される.
2年間の研究の成果が問われるのだが,5名の報告を聞いて,独自の研究レベルに達しているものから,研究書の内容をダラダラまとめているだけのものもあり,頭に来たり,感心したりと,いろんな意味で中身の濃い2時間半を過ごすことが出来た.中に1つ全く日本の国語教育と関係しない報告があったので,研究姿勢に対して疑義を指摘した.
12月3日
金曜日晴
昨日夜は,奥さまと劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター」を観て来た.スピード感に溢れる演技と,ロック調の音楽で,楽しいひと時を過ごすことが出来た.帰途,一部の観客が,「キリスト役が,ああ太いとねぇ」と感想を漏らしていた(普通の体形に見えたが).我々日本人の知るキリスト像は,ポルトガル,スペインなどのヨーロッパを経由しているので,ヨーロッパの白人のイメージで描かれることが多いが,白人種ではなかったはずだ.本当は太って醜男だったかもしれない.
帰途,久々にインド料理を食べに行く.辛さの度合いを聞かれたので,激辛と辛の中間あたりを頼んだが,料理が来てみると全然辛くない.「辛くないぜ」と文句をいいながら食べ進んでいると,段々辛くなってきた.後頭部から汗が噴出してくる.どうやら香辛料がちゃんと混ざっていなかったようなのだ.それを見て,奥さまが言った.
「底の方に沈没してたのね」
「それをいうなら,沈殿っ!」
(残念! 沈没,斬り)
12月1日
水曜日晴
はや師走となった.今日は,国際エイズデーである.エイズデーも記念行事化して,見過ごされがちになっているのだが,エイズは国内でも,ここ岡山でも静かに進行しているのが現状である.つまりHIVキャリアは「増加」しているのであり,感染のリスクが高まっている.
むやみに脅かすつもりは毛頭ないのだが,今年の流行語を用いるならば「自己責任」でしっかり行動して貰いたいものだ.何よりも,他者への配慮が,感染の拡大を防ぐ.愛があるなら,「しっかり防護」である.
今年は,エイズ関係の小説で収穫があった.帚木蓬生『アフリカの瞳』(講談社)である.
「演劇鑑賞サークル」のご案内 (岡山限定)
以下の要領で,演劇を鑑賞する仲間を募集します.役者が目の前で演じている舞
台を見ると,TVや映画とは違う迫力と魅力に圧倒されます.募集の期限はあり
ませんので,是非入会をご検討ください.
記
・入会の条件
@教官・事務官・学生・院生・OB,OGなど,一切不問.
A最低半年以上,サークル会員でいられる人.
・ 申し込み先:木村 功 〒700-8530 岡山市津島中3丁目1−1 岡山大学教育学部内
(入会先:岡山市民劇場 岡山市磨屋町4-21 金谷ビル2F,086-224-7121,FAX086-224-7125)
・費用
@入会金:1,500円
A月会費:
一般会員;2,300円
学生会員;1,800円,
・演劇上演の時,入場料は要りません.
年間平均6〜8本の演劇が鑑賞できます.普通演劇鑑賞は,5,000円以上/1回
かかりますので,演劇が好きな人にはかなりお得といえるでしょう.また,席が
余れば期間中複数回の観劇も可能です.
・個人単位だと,事務局から割り当てられる座席の位置が悪くなるので,「サー
クル」という単位(3人以上)を作って座席の割り当てを貰った方が,費用対効
果があがるのです.
・詳細は,木村まで.
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2005年 2月例会「冬物語」(平幹二郎,岡山初登場)