津島通信

MAY '98
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◆CONTENTS◆

発禁間近,大丈夫か(?)@「きむたく日記」

火曜・水曜・木曜に更新します。

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「きむたく日記」

5月1日金曜日雨

     パソコンが「逝った」(大ショック)。今日は仏滅か?

5月2日土曜日晴れ

     10:00過ぎ,デオデオにいってアプティバ2AE228,000円と「FrontPage98」をカードで購入する。今年は,ウィンドウズ98がでるので,買い替え時だと思って,ゲートウェイ2000から購入を予定していたのだが,また購入予定が狂ってしまった。車のトランクにPCを積みこんで帰路を走りながら,パソコンがないと仕事ができないので,この買い物は仕方がないと,自分に何度も言い聞かせる。まったく……。
     帰宅して,PCをセットアップ。やはり新品は違う。立ち上がりは早く,きびきびとソフトが動作してくれる。思えば,先代には増設を含めて30万円以上投資したが,こちらはそれ以下で,この性能なのだから相対的に安い買い物といえるだろう。もっとも,学生の身分ではこういう買い物は出来ないのだが。
     データは外付けのハードディスクに保存していたので,本体側が死んでも,HDからデータを拾い上げることが出来る。そのことだけが,救われる点だ。午後,岡山駅前のメルパに「タイタニック」を観に行くが,立ち見だといわれて,1回見送って18:00からの上映分を見ることにする。 ジェームズ・キャメロンの映画は,「ターミネーター2」から観ているが,この監督の特徴は,SFXを駆使した映像の迫力と,強い女性を描くこと(「エイリアン2」の戦うリプリー像など),それから脚本が弱い(不自然な展開)ことだ。「タイタニック」でも,いずれの特徴も確認できたので,「変わっとらんなー」と奇妙な安心感を抱く。
     それにしても一つ判断を誤ったのは,この映画がラブストーリーとして周知されていたことで,スペクタクル映画と思い込んでいた僕は,映画館内で待機している無数のアベックの連中の中で,一人浮いていたのだった……。
     え,ラブストーリーだったんですか。

5月6日水曜日曇り

     13:30からの文学系教官の会議で,稲田先生から,文学部の国文の教官に紹介される。川端研究家の片山倫太郎氏にはじめて逢う。長髪のが(orど)っしりした体格の方で,石川さんより少し年上に思われた。「研究室に,小坂晋さんが残された,古い研究書がたくさんありますよ」といわれる。研究費が少ないので,お互い協力し合って,近代関係の書物を集めましょうともいわれる。
     夜FTPで,ファイルをWWWサーバに送ることが出来るようになる。教育学部で立ち上げている国語教室のHPにリンクしたぼくの「掲示板」に,教育学部の卒業生(日笠君)の書き込みがあった。うれしい。卒業生も関与できるHPを作りたいものだ。

5月7日木曜日曇りのち雨,蒸し暑い

     研究室にPCが入らないのに,ほかの注文品はつぎつぎに到着する。今日は,講義に出かける寸前に机と椅子を持ってこられ,応対に時間を取られてしまい,講義に10分遅刻してしまった。おかげで講義に,未消化の部分が残ってしまった。こういう配達は,事前に連絡してからくるべきものではないのか!プンプン。

     それにしても今日のニュースは,ダイムラー・ベンツ社(ドイツ)とクライスラー社(米)の合併であろう(ダイムラー・クライスラー社)。21世紀の世界は,経済活動が国境をなくしていく企業国家の時代だと思っていたが,この合併はまさにその先駆けの一つだ。日本の自動車企業も,こうした国外の再編成に組み込まれなければ,市場を奪われていよいよ危ないことになる(NHKのインタビューで,影響はないといっていた日産自動車は認識不足,トヨタのように環境対策すらしとらんじゃないか)。保険業界も,外資系か日本生命の2本立てで行くことになるだろうといわれていて,この10年がそれ以外の国内保険業者の再編成(「淘汰」)の時期であり,在来の保険業者は債務を抱えながら生き残りに必死で,無配当は当たり前らしい。
     漱石は「それから」の代助を通して,無理に西洋列強に伍して行こうとするために,社会の疲弊が起こっていることを,牛と蛙の童話を例に物語っていたが,その時の明治の社会に漲っていただろう新興国のエネルギーはもはや失われている。いまや日本は,欧米から「老人の国」と見做されて,先進国から距離を置かれ始め,若者を中心に将来への不安感,失望感を強く抱く国民が多い。この10年の国策(経済政策)の失敗は,不況を慢性化し,家計を直撃し,社会不安の醸成地となり(最近の村上春樹が『辺境・近境』(新潮社)などで,「暴力」をキーワードにしていることには注目していい),反転して国家を揺るがしているのである。そうした中で,世界の再編成の動きを見ていると,改めて日本は大丈夫だろうか,「移民」でもしようかなと,突飛な想像に駆られてしまうのだった。

5月8日金曜日雨のち曇り

     ベスト電器に,先代アプティバを修理に出す。復活すればいいのだが。14:00過ぎに出勤。スーツ姿の光本さんを目撃(それにしても,院生では一番うろちょろしてんナ。光本チョロというのはどうか)。関礼子さんの一葉関係の論文や岐阜大の根岸さんの論文に目を通す。16:00から教室会議。進路調査の書類が回ってきた。18:00過ぎに終了。研究室に戻ると,LAN工事の業者がきて,下見をしてくれた。「月曜日に工事をします」ということで,これでネットワークに繋がると,うれしくなる。……パソコンがあればの話だが。4月3日に発注して,まだ入らんというのは一体どうしたことか。僕は,自宅のPCが壊れた翌日には,デオデオでカード購入して車に積んで,30分後には使っていたのだ。田中先生の話では,発注してから3ヶ月後に届いたというケースが過去にあったようだから,相当の覚悟が必要だ。念のためにいうと,3ヶ月後というのは,普通モデルチェンジした時期をいうので,田中先生の場合納入されたときには,1モデル古くなっていたということである。
     我ながら,パソコンのことになるとナーバスになるのでいかん。そう言えば,今日配布された生協の広告の中で,2AEが218,000円で出ていて,これにもショックを受けた。僕の購入価格より1万円安く,秋葉原より5000円安い。生協がキライになった。
     図書館を探検。例のごとく,エントランスでカードの読み取りが出来ずに入れないでマゴマゴしていると,傍で見ていた女子学生が「こうやるの」,「カードの後ろをむけろと書いてあるでしょ」といって僕の手からカードを奪いとって,機械に認識させてくれた。「ありがとうございます」という僕の礼の言葉を聞き流して,竹刀を担いだ「女傑」はさっそうと去っていった。Tシャツとジーンズ姿だったので,しっかり学生と間違われたらしい。うれしかったけど,怖かった。
     今日は「ホトトギス」(復刻版)を探そうと思ったのだが,2F3Fの雑誌書架を探すが見当たらず,1Fのカウンターに下りて問い合わせる。指示されたところにいくと,電動の書架になっていて,書架の移動のさせ方が分からない。「女傑」はもう期待できないので,「手動」で動かそうとしたら,「バキキッ!」と破壊的な音響がしたので,慌ててやめた。よく探すと操作盤があり,スイッチが「移動」に入っていないことが分かった。分かれば,「何だ」であるが,肝心の「ホトトギス」はそこにも無く,肩を落としてカウンターに戻り,アルバイトの学生に司書の人に「ホトトギス」を探して連絡してくれるように依頼する。
     図書館が,公共施設であることを謳うのであれば,僕が岡大の図書館で味わったことは,この図書館のインフラが合格点を出せるものではないことを物語っている。エントランスカードの使用は仕方が無いのだろうが,電動の書架の場合はちゃんと移動のさせ方を,どこかに書いて掲示しておくべきだ。案内掲示も少ないし,学生のアルバイトの応接もサービスとは言いがたい。図書館を使うたびに,「つかれきる」というのは,僕の年のせいだろうか(「違う」と言って)?

5月11日月曜日雨時々曇り

     13:30からフレンドシップ事業の会議。なんと昨年から文部省主導で始まった事業らしく,海や山でのボランティアを育成するようなものらしい。教育実習とは切り離されているのだが,結局学生の研修活動を引率する破目,もとい役割を仰せつかった。いきなり再来週の金曜日から3泊4日で吉備の山中に「山ごもり出張」である。イヤダー。
     会議終了後,図書館に行く。カウンターで「ホトトギス」の確認をすると,無いという返事。雑誌係にも協力してもらって,再度探し回るが,「ホトトギス」は無かった。所在不明なのである。しかたなく,欠本ばかりだが本物の「ホトトギス」の明治40年以降を借り出して研究室に持ち帰る。貴重なものであり,酸性紙なので,うかつにコピーして破損などできないので,そっと頁を繰って眺めるだけである。
     17:00から,21:14まで改組関係の会議。閉口閉口。私学も国立も,生き残りは過酷だ。岐路だから仕方が無いとは思うが。
     田中先生が,岡山駅まで乗せてとお願いされるので,お送りする。実は雨降りの夜の運転は,視界が悪いので苦手であり,事故ッたらと心配だったのだが。それにしても,助手席に男性を乗せるのは久しぶりだ(なんてネ)。帰宅して「アイヌの学校」と「俳諧大要」を読む。MLで,中央大の渡部先生が,問い合わせにレスを書いてくださった。大助かり。また藤堂さんが,漱石の合成音声のURLを教えてくれたので,早速聞いてみる。意外な美声で驚く。もっと割れたような甲高い声を予想していた。  理科教室の伊藤先生のメールで,改組がらみで理科教室の現状などを知り,会議中の話と思い合わせて,暗然とする。日本の教育制度は,もう限界ではないのだろうかと思う。

5月12日火曜日雨,時々沛然と降る。

     朝,会計係の長山さんを訪ね,PCの納入業者の連絡先を聞こうとしたら,「PCの納入業者が,納入を辞退したいといっています」と反対に報告された。絶句。納入が遅い遅いと急かしていたらこの始末である。3ヶ月後の納入という話はあったが,請求に耐えられず業者が納入を断ってきたというのは,いままで聞いたことが無い。「何だ失敬な,こっちから納入を断ってやる」と思ったが,あとの祭りである。クヤシイ。
     午後,講義2発。子規の「歌よみに与ふる書」を解説し,「竹の里歌」からお気に入りを紹介する。脱線話になると,眠そうだったのが目を覚ますので,実に癪だ。大学院は,いつもの3MにHPを作らせる。チョロのHPがうまく仕上がらないので,自宅に持ち帰って調べたら,すべてHTMLの記述ミスであることが分かった。「フッ,未熟者めが」と独りごつ。
     インドが地下核実験を行う。パキスタンがらみとは言え,非常識きわまりない。しかし経済で戦争をするのではなく,政治で戦争(牽制)をする国もまだあるというのが,現実なのだ。アジアの火種を再確認した。まあ,モンゴルの大統領が来日しても,報道されない国柄だから,日本が国際社会ぶるのは,まだ尚早なのだが。そういえば非常識ついでに,サッカーくじ法案も成立した。言語道断である。スポーツ振興とギャンブルと政府(文部省)が,どういう接着剤で結びつくのか,小学生でも分かる算術である。利権である。天下り先を持たない文部官僚にとっては,実にありがたい話だろう。青少年に悪影響があると反対する声もあったが,競馬が事実上青少年に行われている以上説得力がない。1枚100円のくじの購入は,ギャンブル層の裾野を広げるだけでしかないだろう。こうなるとスポーツ振興より,ギャンブル振興のほうが真の目的ではないかと,勘繰りたくもなる。こういう事を,国の事業としてやろうという貧しい発想の持ち主と,それを恬然と成立させてしまう議員たちに,日本の危機の深淵を覗かされる思いがする。少年たちを「荒れた」と形容するなら,こいつらは「荒廃」しているのである。
     日本の基幹産業の一つである自動車業界の再編成の報道が,連日紙面を賑わせている。先日は,日本は大丈夫かと思っていたが,なんと日産ディーゼルや日産本社が,その渦中にいたことが分かって,ズッコケた(NHKへのコメントは煙幕だったのか)。次は,三菱自動車だそうである。しかし,GDIの本性をしったら,ボルボはさぞ驚くだろうな。
     「にごりえ」論を調査。はて,僕は誰の研究者だったか?

5月13日水曜日晴

     今日は午前中だけの講義なので気が楽だ。「にごりえ」を解説するが,反応がないので,不安になる。13:00から改組がらみの教室会議。14:00過ぎに終了。研究室の前で,左隣の部屋の稲田先生(57)が,「木村さんは自分で料理するの」と聞いてこられる。
     「ええ,もう一人暮らしが長いですからね」
     「ぼくは31で結婚したけどそれまでは,この近所で外食してたんだ。ーーぼくの出来る料理はね,目玉焼きくらいかな
     「先生,それは料理っていうんですか」と思わず突っ込む。
     そこへ右隣の南本先生(62)が,うれしそうに加わられる。
     「僕もね,最近女房の指導で料理を作るようになったんだよ。でもね,見てくれは良いんだけどね,味が悪いんだよ
     稲田・木村,困惑。
     「田中くんも料理は上手だし,木村さんたちの世代は,料理くらいできなければだめなんだよね」と言いながら,南本先生は研究室に入られた。
     確かにうちの親父も,母が旅行すると,ご飯も炊けないような男なので,餓死するしかないと言っていた。料理が一応出来ると言うのは,ありがたい事なのだろうが,3*もなって飯を作るのは面倒くさい。最近は,電子レンジが僕の愛妻だ(ちなみに阪大の小谷野敦氏は洗濯機が「愛妻」号らしい)。
     帰宅して1時間仮眠。久しぶりにTVをつけると,「鬼平犯科帳」をやっていて,つい小1時間見てしまう。「愛妻」弁当を食べながらメールチェックしていると,国語教室の学生メールが入っていた。啓蒙活動の甲斐があったと,うれしくなる。しかし,誤字の指摘はウルサイ。
     広大の山下さんから,「子規年譜」の8太郎ファイルが送信されてきた。ありがたし,ありがたし。このほか漱石俳句への質問アリ。なかなか夜のクラブ活動も忙しい。1時過ぎ就寝。

5月14日木曜日晴

     7:30起床。朝メールチェックをしたら,九州大の花田先生のメール有。「モバイルギアU」を購入したと言う。うらやましい。10万円はするはずだ。「敍説」の集まりで,みせびらかしているんだろうなー。 僕も携帯端末機の「カシオペア」をみせびらかして,先生をうらやましがらせていたが,ついに立場が逆転した。こちらはモノクロ表示,あちらはカラー表示,視認性では勝負にならない。勝てるのはバッテリーの持ち位だろう。ウーン,それにしてもまだカシオペア発売から10ヶ月なのだが,これくらいモデルチェンジが早いのは,PCから携帯端末に市場が動いたのだろうか。花田先生の春も,ぼく同様に短い事を祈る
     講義2発。午前中の講義を終えてから,研究室で椅子に座ってやれやれと紙コップでお茶を飲んでいたら,手が滑った。慌ててつかみ直そうとしたら,勢いあまってコップをつかみ損ねた。コップは僕の左ふとももの上に落ちて,お茶はものの見事に飛び散った。思わず「ダーッ」と声を上げながら立ちあがる。我に返って辺りを見回すと,床や勿論の事,近辺の書類にも飛沫が飛んでいた。出張届も濡れて,眼鏡にも気のせいか水滴が…(「写生文」?)。スーツが紺色で助かった。最近,有ることあること書きまくっているので,「天罰」が下ったのではないかと気弱になる。PCが壊れたのも,「祟り」だというてきた京都の先輩がいる,京都らしい解釈だけど。
     午後の講義で,結核と文学について論じ,「不如帰」まで説明する。大学院の森君が,袋から菓子をつまんで食べながら歩いているのを見る。カッコワルイ姿だ。14:10過ぎに研究室に戻ると,チョロからの抗議文がメールボックスにあった。この日記で描かれているチョロ像には「悪意(あくい)」が感じられるというのである。それは誤解だ六階だ,「愛(あい)」を感じて欲しいのに。「く」,1字でエライ違いである。
     カフェテリアで遅い昼食を取ってから,図書館雑誌係を襲う。「ホトトギス」の継続調査の結果を聞く。いろいろ話している内に,復刻版は松山版しか購入していない事が判明する。信じられない。モノホンは明治40年からしかないので,明治31年から明治39年までは欠本状態なのである。そして松山版は行方不明中。「ホトトギス」がまともにそろっていない大学なんて,聞いた事もなかった。宇部短大にもちゃんとあったのだ。研究費で購入しなければならないのかなと考え始める。子規全集が欲しかったのに。
     図書館で明治文学全集を借りようとするが,虫食い状態で欠本が多い。しかもバラバラの配列。なんで,10番台に50番台の本があるんだ。文学部の学生は,数字がよめんのかとブツクサいいながらも,決して直しはしない私めではあった。
     子規全集と明治文学全集を借りて,17:35に研究室に戻ると,図書館より留守電が入っていた。松山版が見つかったと言う。「ありがとうございました」と係の方に,一応お礼の電話を入れる。後は市の中央図書館か,渡部さんが教えてくれた吉備路文学館に泣きつくしかない。(以上「カシオペア」にて入力,PCにて補正。)

5月15日金曜日晴れ

     11:30大学に出勤する。職員懇談室のメールボックスを見に行くと,あの長山さんがいた。長山さんが,「あのー,木村先生」と来たので,今度は何を言われるかとビビッていると,「パソコンが25か26日に納入されることになりましたので」と嬉しい情報をもたらしてくれた。使い魔が天使に見えた一瞬だった。新しい業者は,なんと2週間で納入してくれるのである。最初からそこを使ってくれればいいのに,と思わないではなかったが,会計係とは仲良くする必要があるので,丁寧にお礼を申し上げる。山下航正さんの冷やかしではないが,これで首を長くする必要はなくなりそうだ。しかしその前に,「勇者」は山に篭って経験値を上げる必要があるのだった。
     12:00より講義棟で,フレンドシップ事業(山篭り)の説明会。5人欠席がでたので,後で電話を掛けることになる。来週参加の学生は3人といわれて居たが,6月の開催日が教育実習と重なるのを避けた4回生が流れて来たために,結局12名と,全体の半分近くになった。3人だと気楽な引率だなと思って居たのが,12人ともなると適当なことをいってもおれない。それでも,6月の女性ばかりの引率に比べると,ストレスは少ない。幼少の頃から女系家族と女ばかりの幼馴染の中で育ってきた僕としては女性が大の苦手で,男が多いほうが気が楽なのだから(男が好きと言うことでは決してない,同性で気を遣わなくて済むという意味)。出張届を出しにいくと,万代さんから「出張は,車で行かないでくださいね」といわれてしまう。鬼。久しぶりの山道のドライブを楽しもうと思って居たのに。
     14:00過ぎ,相方の橋ヶ谷先生から電話で呼ばれ,「国立吉備少年自然の家」の山崎さんと山下さんと打ち合わせ。説明書に,「テント宿泊」の記述があり,表現内容の理解に苦しむ。「テント」とはあのテントではなく,テントという名前のホテルではないのだろうか。教務係に22日の参加者の名前を報告する。研究室に戻り,参加者の名簿をFAXで吉備に送信したり,欠席者に連絡を取ったりする。さらに後から,2名の学生が参加を申し出てきて,彼らにカリキュラムを説明し,吉備側へ変更通知を送信する。
     今日こそ,吉備路文学館に行けると思って居たのに,気がついたら19:00前だった。しかし,去年のフレンドシップ事業の予算で購入した,デジタルカメラのサイバーショットを教務で借りられたので,帰宅してから室内を撮影して遊ぶ。説明書を読まなくても苦も無く操作できる。この使いやすさは,さすがソニーである。うちの図書館とは,大違いだ。明日はゼミの日なので,早速わがゼミの演習風景を紹介しよう。
     夜のクラブ活動。山下さんとはここ数日文通状態だ。Kannoさんから,俳句の解釈についての丁寧な礼状あり。花田先生は,又別の墓穴を掘っていらっしゃる。田中秀幸さんからリンク依頼のメール有り。サイトは見事なもの,御本人が美男子なので驚く。それでいて恋人募集中というのは,かなり怪しい。東北大の後藤斉氏より,国語教室のHPをリンクに加えたとのこと,なんてチェックが早いんだろう,一体なんで分かるのか全く不思議だ。MLで,信時さんが賢治の話題にしぶしぶ乗ってくれた。が,吉田司はともかく村井紀氏の「日本文学」5の文章はお気に召さなかったようだ。数学教室の100%慶応ボーイ曽布川さんからメール。「坊っちやん」のデータ化を一応評価してくれたが,横書きをなんとかすべきだとの御助言。なんとかしましょう,PDFで。クソー,1:21になっちゃった。

5月19日火曜日晴れ

     11:00過ぎに大学に出勤。教材をコピーして懇話室に行くと,天野郁夫先生の講演会が中止になった旨掲示があった。僕は,何冊か著書を持っているので,是非講演会には出たかったのだが,講義と重なったために無念の涙を呑んだのだったが,中止となって複雑な気持ちになる。人数が集まらなかったのだろうか?
     懇話室に入ると,理科教室の伊藤先生が,数学教室の実方先生と話しておられた。新任の話をされて居たが,「今年はユニークな先生がたくさん入ってこられて,国語教室でもコンピューターを得意とする木村先生,この方」と実方先生に紹介される。「チョロさんと木村先生の掛け合い漫才が面白いんですよ」と,よくHPをごらんいただいているようで,恐縮する。「そりゃ,一遍見てみたいな」と実方先生もおっしゃるので,青ざめる。発禁も間近かもしれない。
     研究室に入ると,またチョロの「抗議文2」が入って居た。土曜日の演習のあと,デジカメでチョロの姿を盗みしてバレたのだが,「アタシの写真をどうした!」という激烈な内容。「人様にお見せできるものなんかい」と呟く。
     午後12:40から講義。フレンドシップ(山篭り)の件で,1日参加できないという学生が,講義前にやってくる。対応を協議するため橋ヶ谷先生に連絡をとったりして,また講義に遅れる。用意した小話が出来なくなったので,フラストレーションがたまる。「竹の里歌」の解説をしてから,「俳諧大要」について説明。俳諧と俳句の区別など,概説しか入れなかった。講義中に飛行機の音が何度も聞こえて支障がでた。沖縄はこれ以上なんだよと話す。
     続いて,大学院の演習で,ワークステーションベースで,Telnetを使った電子メールの送受信のやり方について解説。ミコは,すらすら進むが,ネンリンとチョロがトラブル。大文字と小文字の区別をワークステーションがするとは知らなかったので,利用担当の女性にきてもらってCAPSを解除して問題が解決する。「私が来ると直るんです」といわれて,ムカッと来る。
     しかしそれでもチョロのノートパソコンの画面は,errorを出しつづける。「コマンド向きの子ではないのね」と思っていると,ようやくログインした。しかしそれからも,メールを出すコマンドの入力に苦心している。なぜか。目の前に広げている解説書を読まないからである。呆然,じつに太い女郎だ。……いや,神経の話。
     最後には,みんなメールを送受信し,パスワードも変更して,機嫌よく演習は終了した。メールをはじめて受けたときの感動は,いまでも忘れられない。あれからもう3年たった。なぜ僕はここに居るんだろうと思いながら,学生に続いて部屋を出ようとすると,チョロが引いて開けるドアを押しつづけていて,僕たちは後ろでフリーズしていた。

     図書館雑誌係から,「ホトトギス」松山版を受け取る。カウンターで,「購入された学部でないと研究室貸し出しは出来ませんし,雑誌ですから3日間ですね」と歯切れよく言い渡される。分かりましたと紳士的に微笑みながら,「3日で読めるか」と呟く。
     17:00前に退出。  夜山下さんから,UPした「子規年表」圧縮ファイルを解凍したが,一太郎ファイルが読めないという連絡を受ける。修正版を再UPする。

5月20日水曜日晴れ

     9:00過ぎに出勤してから,日本近代文学館にTEL。「ホトトギス」の在庫を確認する。午前1発講義。「にごりえ」の解説をする。講義後書籍部で,ボードリヤール「消費社会の神話と構造」を購入。カフェテリアで食事をしながら読んでいると,目の前に女子高校生が3人いたので,びっくりする。中間テストで午後が休みなんだろうか,しかし普通大学に来るのだろうか?よく分からない行動形態だ。
     14:30教官会議。会場が4階の建物なのに,西日が注しこんでくる座席を選んだために背中から暖められ,食事をして1時間がたったこともあり,会議の声はいつしか子守り歌に変わっていた。しかし,これでは学生の居眠りを叱ることができないと奮起して目を開けると,前の席では,南本先生がズボンの両すそを膝まで捲り上げて真っ白いすねを出して,会議に毅然と臨んでおられた(ように見えた)。おかげで,目が覚めた。

     会議では,改組関係をメインとして,ティーチングアシスタントの任用の話や,各委員会報告がされた。ふと気がつくと,対岸の伊藤先生の姿が消えていた(抗議は受け付けておりません)。
     休憩中,橋ヶ谷先生にフレンドシップの話をしようとして,移動していたところ,ブラインドにパンツを引っ掛けて,2cmほど破れてしまった。お気に入りのコットンパンツだったので大ショックである。しかし,普通ブラインドに引っ掛けるか?我ながら鈍臭い。
     会計係長山さんからTEL。「明日10:00から空調をつけます」とのこと,暑くなってきたので有り難い。

5月21日木曜日晴れ

     10:00前に長山さんが業者の人と来室。快活なその人は,「12:00までかかります」といい,僕を仰天させる。実際は,12:30までかかったけれど。この間に,幼児教育の高橋先生が,空調を買い換えるので,どんなのか見せてほしいと見えられる。が,もちろん工事中なので,またくるわと戻られる。
     午後は特講。プリントを配布していると,理化教室の石田・川副組が「津島通信が消えてますね」と話し掛けてきた。今日チェックしたら,フロントページのリンクから消えていたので,「あれっ」と思ったのだと言う。これも伊藤先生の宣伝効果である。素直に感謝したい。愛読者は大切にする主義だが,彼女たちは何時自分のことが書かれるか「不安」でもあろう。
     今日は,「結核と文学」の最終回で,鴎外が開放性結核患者であったことを話して,「仮面」という戯曲の問題性を指摘し,それから「アイヌ」の話に移った。理科教室の川副・石田組が前に座っていたが,ふと見ると石田が完全に「いねむり姫」状態である。僕が気がついたのに,川副が気がついて,起こそうかどうしようと迷っている。以前彼女は隣で寝ている別の女の子を,肘で「どついて」起こしたことがあるが,結局今日は「どつき」は出なかった。

     学生の諸君に注意しておくが,教員は君たちがどんな寝顔をしているか,親よりもよく知っているのである。それから女の子は,あくびをするときには,口を手で覆ってからして欲しいものだ。最初から最後まで,カバのようにガバーッを口をあけて大あくびをしているのをみると,いくら可愛い顔をしていても,顔の造作がバラバラになってもうそりゃ台無しである(それがまた次第に再生されて行くのも見ていて面白いけど)。講義時間,それは僕にとって貴重な人間観察の時間であるといえる。
     デジカメを持ちこもうかどうか,最近検討している。ちなみに僕の写真は家族に評判が悪い。変なところを撮すからだそうだが,僕はその人の「人間」が表れているところしか撮影しない。おすまし顔を撮っても,本人以外は楽しめないからだ,そんなのは写真ではない。最近では,甥ッ子2人の立ちション姿を撮影して,母親である妹に怒られた。

     研究室に戻ると,会計の秋山さん長山さんが,納入品である空調のチェックをされていた。白水君が来て,報告の相談にのる。「坊っちやん」の注釈で,「菜飯と田楽」のくだりがあるが,なぜその二つが結びつくのか調べているのだそうだ。江戸時代の文献にその二つがセットになる用例があることが,「古事類苑」で確認されていた。が,なぜ結びつくのかは全く分からなかった。しばらくして高橋先生が見えて,空調を見て「僕もこれにしよう」と即決された。168,000円するのだが,実験系教科なので苦にはならない金額だと言う。しかし,国立は買うのはいいが,廃棄は容易ではなく,パソコンでも5年間の設置(置いておくだけ)義務があるということだ。「その点,木村さんの部屋の備品は,全部廃棄できるね」といわれる。机・椅子・電話,スタンドと今日の空調以外は,16年前の松井利彦先生の購入物なのだから,それは仕方が無い。
     研究室の出口まで高橋先生を送っていくと,「あれ,何これは」とメールボックスの紙片に気がつかれる。ふと見ると,紙片には,イラストが描いてあって,「アウー」とあるので,仰天して大慌てで隠す。「なんでもないです,忘れてくださいっ!」。白水君は,なんだかお分かりのようでニヤニヤ笑って居た。チョロ@メールにも困ったものだ。
     白水君と話していると,吉備の山下さんからTEL。マイクロバスに乗る最終人数を,確認をされる。それから山崎さんが話があるということで代わられたら,「先生のHPをみました」といきなりいわれたので,大ビックリする。HPの事なんかしゃべっていないのにと思いながら,まずい事は書いていないだろうかと考えて,何を話したか殆ど記憶にない。少なくとも僕はテント暮しは避けられるということだったけど。山崎さんは,仲代達矢似の大変渋い方なのだが,ネットワークの世界で情報を集められる能力もお持ちのようなので,ちょっと吉備関係では迂闊なことが書けないようだ。恐るべし。
     白水君と研究室を出て,国語資料室(名前とは裏腹の学生の溜まり場)の前まで行くと,3回生の井上君が出てきた。彼は明日吉備で,ボランティア指導員として研修生の指導にあたる学生のはずである。そのことを白水君から聞いて居たので確認すると,「えっ,ボクが指導するんですか,ボク何もしりませんよ」という。「来てくれって言われたから行くだけです」と,さらに恐ろしい事をいう。確か吉備の山下さんは,こういうヤツに依頼するとは言ってはいなかった。怖くなった僕は聞かなかった事にして,そそくさとその場から退散しようとした。そんな僕の後ろで,井上君はつぶやいた。
    「だまされた……」

5月25日月曜日曇り

     午前中,郵便局で学会費の納入や自動車税の納入をする。午後大学に出勤し,橋ヶ谷先生に引率の報告をし,事後の相談をする。会計係の長山さんから,17:00にPCが納入予定だと聞いたので,それまで図書の返却がてら図書館で調べものをしたりして過ごす。研究室にもどるさ,演習の発表準備をしている女の子達につかまる。その指導を終えてから,白水君来室。白水君も父上から,PC購入のお許しが出たそうだ。
     17:20長山さんから,納入が6時を回ると電話連絡を受ける。しかし時間になっても来ない。18:30近くに,ようやく「リオス」の赤沢さんという人が納入に来てくれた。23,4だろうが,彼を見て驚いたのは,ジャニーズそのものの容姿を持っていることで,システム会社(PCの販売は傍系らしい)になぜ入っているのかわからない。僕の日記には,チョロを筆頭にデフォルメされた人物が多く登場するが,彼の場合はデフォルメなしのジャニーズである。僕が彼なら,東京に行くだろう。教育の女の子達には,(もったいなくて)ちょっと見せられない。ま,5時過ぎにしか現れないから,心配は無用だが。
     残念ながら,LANカードが納入されなかったので,インターネット接続はできないが,今週中には納入できるのではないかと言ってくれたので安心する。赤沢さんといっしょにPCを組み立て作業をする。同じ機種を購入したにも拘らず,なんとメモリが最初から64MB搭載してあったことや,音声入力ソフトと専用マイクまでついていたのには,驚かされるやら,あきれさせられるやら,まったくIBMには頭にきた。彼の説明では,同じモデルでも時間がたつと,値引きが大きくなり,利益がでなくなる。値崩れを防ぐために,こういうおまけをつけて,値崩れを防いでいるそうなのである。僕がデオデオで購入したのは,値崩れ対策以前のものだということらしい。ブツブツ言っていると,「まあ,これも先生のPCじゃないですか」と慰めてくれるが,やはり得心できない。この他NEC製品(NX)を,今は買ってはいけないことや,メモリ価格の下落の話を聞く。キャノンのプリンタの設定で,エラーが出たので,その解明に手間取り,赤沢さんを送り出して退出できたのは20:00を過ぎていた。
     疲れて,頭痛あり。

5月26日火曜日快晴湿度低

     大学。きのうPCが納入されたので,早速必要なソフトの設定を行う。いわゆるカスタマイズというやつだ。基幹ソフトである,エディタ(軽量のワープロ)もWZと秀丸をインストールする。
     午後から講義棟で子規の「俳諧大要」を講義して,情報センターに移動して院生の演習を行う。演習後,ミコから,ワープロ購入の相談。NECのアルデータを示すので,2台目としてならともかく,1台目は普通の機種を買うべきであると助言する。相談中,件(くだん)の柴田君と会い,挨拶を交わす。珍しく学校にきていた。そして後では,井上君にも1日ぶりにあったのだが,「先生,日記にいろいろ書いてるでしょ,会う人あう人から騙されたんだって,っていわれるんですよ」と迷惑そうに言われて,恐縮する。
     訂正するのを忘れていたのだが,僕に誤解があった。吉備には,先輩の柴田君が誘ったのだが,井上君は指導員ではなく,また僕が引率したフレンドシップ関連でもなく,一般参加だったのである。だから,何も騙されてはいない。60名の参加者の一人として,男子学生たちと「暑い(ママ)友情」を育んでいたのである。

     16:00カフェテリアで遅い食事をする。ふと見ると斜め前に座ったカップルが,顔をひっつけんばかりにしてソフトクリームを舐めながら,熱いまなざしを交わしている。味噌汁を噴出しそうになった。周囲は,賢明にも何も見ないふりをしている。そういえば,「愚行権」という言葉を新聞で読んだ。これは,他人に迷惑をかけない範囲で,自分に不利益な行為をなす権利だそうで,例として「援助交際」(売春)があげられていた。このカップルは愚行をしているわけでないが,少なくとも場所を間違えていることは確かだ。
     書籍部に今日発売の三島由紀夫の書簡集を探しに行くが,置いてなかった。代わりに,門玲子「江戸女流文学の発見」藤原書店,ジャック・デュボア「探偵小説あるいはモデルニテ」法政大学出版局を購入する。江戸女流文学とは,またすごいものを藤原書店は,掘り起こしたものである。来年度の講義に使えるかもしれない。
     帰途大学院研究室に立ち寄ると,チョロに「少しは誉めてくれ」と抗議される。こやつは「学習権」を楯にとって,教員に指導法を改めよというのである。ストレスが溜まっているようだ。

5月27日水曜日晴れ

     午前1発講義。与謝野晶子と山川登美子について話す。奔流するエネルギーの固まりのような晶子と,高い教養を持ちながらも親にあらがえなかった登美子の対照は,結構受けていたように思う。
     講義後,4回生の勝浦さんの論文調査の相談に乗ってから,北福利館で食事。書籍部で,偶然岩波文庫の「平賀元義歌集」を見つける。正岡子規が再評価した歌人として,橘曙覧と並んでその筋には知られた人物だ。ラッキー。しかし,『三島由紀夫未発表書簡』中央公論社は入荷していなかった。
     16:30過ぎ退出して,帰宅。8日ぶりに部屋の掃除が出来た。吉備行きで,掃除をする時間が無かったのだ。久しぶりに朝刊をゆっくり読む。「読売」には,高知大学の教育学部教育心理の教授(61)がセクハラで,教授会の処分待ちであることが報じられていた。コンパの席で,4回生の女子学生の額に無理やりキスしたのだそうだ(それだけか?と思わず突っ込む)。どうも,戦中世代の60,70歳代は,社会教育が十分ではないようで,いい年こいてとんでもない人間が多い。僕などは酒が飲めないから,「酔ってました」の言い訳も使えないが,基本的に女嫌いだからこういう機会は無いだろう。……たぶん。
     「日経」の方では,中国の食料展望について分析が掲載されていた。14億の中国の人口の増加のスピードが予想ほどでもなく,農地の土壌の悪化も改善されてきているので,食料輸入国になるスピードが鈍化するということだった。将来中国が,日本以上の食料輸入国になると,日本の食糧事情に大きな影響を与えることになる。供給地が,アメリカなので,少ないパイの奪い合いは,食料の高騰をもたらすことになるからだ。日本が,安定した食料の自給システムを構築することが必要と結ばれていた。
     今日のメールには,理科教室助手の佐藤さんといねむり姫@石田さんからメールが入って入た。一応,ファンレターとしておこう。慶応医学部にすすんだ教え子から,林裁判についてのコメントメールもあった。

5月28日木曜日晴のち雨

     深更,信時さんに送る長いメールを作成していて,書き上げる直前でメーラーがダウンした。悶絶し,七転八倒す。結局,最初から書かなければならなくなったため,1時間のロスタイムがでたのは,お肌のためには痛かった。午前2時過ぎ掲示板を確認して,ようやく就寝。4月と同じで,岡大に来てから依然睡眠不足だ。
     8:20起床して出勤する。大学,午前中「坊っちやん」の演習。デジカメをそろそろ教務に返却しなければならないので,発表者や4回生の女の子たちを撮影する。それなりに撮れた。昼休み中,チョロからB’ZのCDを借りる。好きな「ALONE」をPCで聞く。午後,特講。アイヌ話は,どうしても長くなる。15:00過ぎ,リオスの赤沢さん来室。PCのネットワーク接続の設定をサービスでしてもらうが,なぜか上手くいかない。赤沢さんが別の約束で帰った後,自分でも試みてみたが,やはりネットワークに接続できなかった。説明書通りにやっているのに。
     八木書店の八木氏と紀伊國屋書店の青野氏が来室。「センセイのHPをみましたよ」と青野氏。「太陽」のCD−ROMが47万円で出ると言う。欲しいが,研究費は残りが少ないし,個人的にも余裕が無い。
     赤沢さんが戻ってきたのは,19:00過ぎ。それから設定をチェックするが問題が解決せず,本社から,アクセスしてもらい,問題点を絞り込んだ。近藤先生にもアドバイスをお願いし,HABかIPアドレスの数字が間違っているかのどちらかということになった。時間は21:10をまわっていた。昨日早く帰った分,今日にツケが回ってきた気分だ。
     吉備出張で休みが無かったため11日間働き詰めで,今週は本当に疲れた。明日はゆっくり休んで,自分の研究をしたいものだ,出きればの話だが……。

5月29日金曜日曇り

     所用を済ませて,11:00過ぎに大学に出勤する。チョロにCDを返却。情報センターで,IPアドレスの確認をすると,「完璧に登録してます」という返答を得る。会計の長山さんにトラブルを報告して,回線工事をした業者に報告してもらう。赤澤さんにも報告。
     13:30ごろまで掛けて,信時さんに送る文書を作成していたら,回線業者のおじさんがひょっこりやってきてしまった。長山さんが気を利かせてくれたようだが,僕は帰って仕事をしたかったのだった。おかげで,オジサンにつきあうことになった。おじさんは,回線を調べるが,原因がわからない。長山さんがノートパソコンを持って来て,僕の回線をLANボードに差し込むと,やはりつながらなかったので,回線に問題があることは明白だった。赤澤さんにも再度連絡をとって,電話口で話し合って貰ったりしたが,HABも正常に動いていることが分かり,思案を重ねている。「こんなケースは初めてだ」とブツブツ言いながら,方々と連絡を取っていた。
     チョロが研究室に迎えに来たので,彼女の用事を済ませていると,その間に事態は急転直下解決に向かっていた。会計係の秋山さんのアドバイスで,廊下の天井を這っているトランシーバーを調べたら,なんとトランシーバーがはずされていたことが分かったのだそうだ。「だれかが外していた」ということなのだが,そりゃ回線に接続できないわけである。しかし,普通は考えられない事態である。こんなことも起こり得ると言う,良い教訓になった。
     一同一安心して,おじさんが天井でトランシーバーを接続する作業を見守っていたら,いきなりバキバキという音がして,僕の真上の天井が落っこちてきた。しかし,そこは天性の反射神経で(逃げるのだけは早いという説もあるが),僕は上から降り注いでくる天井の板とプラスドライバーを避けたのだった。
     「先生,大丈夫?」
     「大丈夫ですけど,……直して下さいね」
     今,森熊先生の研究室前の廊下の天井には,50センチ四方の穴がポッカリ空いている。

     おじさんの行方は,だれも知らない。