津島通信

FEBRUARY '99
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◆CONTENTS◆

@「きむたく日記」

出勤した日に,暇を見つけて更新しております。

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「きむたく日記」

2月18日木曜日雨,稲田ガッパ,久々出現す

     卒論の口頭試問日である。20分ずつ,各先生の研究室に出入りして,副査を勤める。卒論を見ていると,教官の指導能力がよーくわかる。これは恐ろしいことだ。皆がみな教官のスタイルを真似して,誰が書いているのか分らなくなるのも問題だが,卒論の場合はそこまでは行かない。しかし,誤字脱字に付箋を貼り付けていった結果が,「ハリ(貼り)ネズミ状態」(By稲田利徳)になった卒論あり,文章内容が何をいうているのか分らない論あり,それ以前の論ありで,読むのに疲れきった。このあたりのレベルは,きちんと指導をしていれば防げるはずなのだが,解せない事である。とまれ卒論読みのストレスを試問での突っ込みで解消できるのかと期待していたら,まったく講評中心なので,個人的には全然面白くなかったわけである(不完全燃焼)。私の師匠●井◆之の口頭試問「伝説」では,試問場で泣きわめくから,卒倒するまであったのだが……。
     もちろん,良くできていた論もあり,着眼点から発展のさせ方・展望まで,教官の指導を感じ取れたものもあった。それが国語教育に共通していたのは,偶然だろうか。やはり方法論がある程度確立されていて,フォーマットが作りやすいということなのだろう。それにくらべると,文学研究ではこうあるべしというものは,確かに作りにくい。ましてや,専門的には2年間しかやっていないのだから。それで指導を消化できてなければ,あとは推して知るべし恐るべしである。明日はわが身だ。いろいろ勉強させていただいた次第である。
     縦書きエディタの紹介コーナーを見たソフト製作者@山本氏から,御自分で作られた「縦書きPAD」の紹介メールをいただいた。これは,HTML形式でも縦書き表示ができるものである。

2月17日水曜日晴れ

     暑い。そして今日は月一の「お勤め」の日である。13:30から19:05まで,「行」(教官会議)をこなす。こればかりは,どうしても愚痴らずにはおられない。なんで,みんな元気なんだ!!(教員と言うのは一言居士ばかりだ。)

2月15日月曜日晴れ

     卒論の査読原稿を,主査の先生に返却するために登校する。生協ブックセンターに立ち寄る。イザベル・フォンセーカ『立ったまま埋めてくれ』青土社は,ロマ族(ジプシー)を扱ったルポである。書評を読んで気になっていた1冊で,つい手が出た。そのほか渡邉正彦『近代文学の分身像』角川選書,影山任佐『「空虚な自己」の時代』(NHKブックス),他岩波文庫のリクエスト復刊や小説数点を購入してしまった(衝動買い)。今月は読まないままに,買ったままの積読書が40冊を越えてしまった,嗚呼(西田谷さん風)。
     大学時代のゼミの友人(女性)からメールを戴いた。バレンタインデーの日の配信というのがミソである(深い意味はないか)。6歳・3歳の子どもがいて,上の男の子と一緒に空手を習い始めたという。「黒帯を目指す」という彼女に,ゼミ時代から僕は一目置いていたのだが,相変わらず恐ろしい人である。
     バレンタインといえば,昨日は妹からも宅配で,チョコの詰め合わせとボクサーショーツが届いた。SMAP@キムタクのファンのおばさんなのだが,キムタクがボクサーショーツを愛用しているとTV番組で喋っているのをみて,早速旦那と僕に買ってきたものらしい。ケッ,女ってヤツは!
     さ,レポート,レポート。

2月13日土曜日晴れ

     9:30より大学院修士論文口頭試問。3人の論文のうちの1人の副査をつとめる。専門外のことで,発言しなければならないのは頭が痛い。1人に40分程を費やし,12:00前に終了。
     研究室で,一息いれて,WEBの散歩をしていると,小田島先生が平野啓一郎について掲示板に投稿されていたので,関心を持っていたこともあり,自分の感想を思い付くままに書きこむ(発言内容は「掲示板」参照)。今後,平野文学の評価ということで,議論になるのだろうか。

2月10日火曜日曇り時々晴れ

     「小学国語」の試験日だったが,目を覚ますと9:00前で仰天する。試験は,10:20開始だから,大寝坊である。慌てて車で出勤する。こういう日に限って,ヒヤリとさせられることも多い。おばさん運転の車が,合流が無理なのに飛び出してきたり,交差点では左折車優先のところを右折車が強引に割り込んできたり。そのたびに,急ブレーキを踏まされ,頭に来たので,クラクションを鳴らしたり,後者の場合は後ろからクラクションとハイビームを浴びせて,しっかり抗議(いやがらせ?)させていただいた。
     試験にはなんとか間に合い,午後からはレポート&卒論読みである。これにも飽きて,生協に付箋紙を買いに行くついでにブックセンターで,「現代思想」2月号(部落民とは誰か)など4冊を購入。
     研究室に戻って,お仕事をすっぽかして本を読んでいると,今日締切り分のレポートについて「駈け込み訴え」があった。

2月9日火曜日曇り

     暖かい。試験期間なので,午前中は自宅で読書。ジジェク『斜めから見る』(青土社,1995)を読了。ラカン理論を用いて,文学テクストやヒチコック映画を,スリリングに読み解く。山大の石川さんに大分昔に「面白いから」と勧められた本だったが,確かに言葉を足がかりに表現主体のあり様に迫る考察は面白かった。しかし文学テクストを実際に読み解く場合,このジジェクの方法論は,言葉のもつ社会性というものを捨象していくことになるので,僕の文化史的な視座にはちょっと組みこめないなあと思う。
     大学に出ると,査読すべき卒論が回ってきた。早速1冊をメモを取りながら読む。誤字に付箋を貼っていったが,残り少ない付箋だったが全てを使い切ってしまった。原稿は40数枚しかないのにである。これが,岡大生の卒論かと唖然とする。辞書くらい使え!
     「トンチンカン」レポートを持って来室。ちょっと早いがバレンタインのチョコを戴いた。平身低頭,鼻の下を伸ばして喜んでいると,「珍」が申すことには,「この『時期』ということもありますから」(レポート→成績)。
     心も風邪をひきそうだ……。

2月3日水曜日曇り

     とても寒い。昨日来風が強く,空気は乾燥して,はなはだ過ごしにくい。
     今日は今年度最後の演習であった。小学校課程向けの演習であったが,童話テクストを読み解いていくのもなかなか面白い体験だった。イデオロギー的なものが端的に表出されやすいのも,この種のテクストならではで,データベースカードに入力しながら,論文に出来そうな2,3本を吟味するのであった。学生からも良い刺激や,教えられることが多く,自分としては満足できた時間であった。願わくば,学生諸君においてもそうあって欲しいものだ。
     紀伊國屋書店から,ラカンのゼミナールの1部を翻訳した「フロイト理論と精神分析技法における自我」上・下(岩波書店,1998)が届く。
     会議の間の隙間時間を利用して,サイード「文化と帝国主義」を読む。フランク族に人肉食の週間があったことを知り,思わず黄線を引く。
     さあ,明日から後期試験だ。