津島通信

DECEMBER'99
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◆CONTENTS◆


【きむたく日記】

(暇な時に更新しております。)

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「きむたく日記」

12月26日日曜日晴
     今日も開錠のために,8:00に大学に出勤する。先日から読んでいた,『ボーン・コレクター』を読み終えてしまう。「ボーン・コレクター」というわりに健全な動機を持つノーマルな犯人像だったのでがっかり。スピード感だけは楽しめたが,トム・クランシーの方が面白い。小池滋『ゴシック文学をよむ』を読み進む。
     午後万歩書店(津島店)に行く。先日購入した『梶井基次郎全集』第2巻(筑摩書房,5800円)が,4000円で販売されているのを見つけて,ショックを受ける。でも,坂東眞砂子の『桃色浄土』『蛇鏡』の初版を見つけたので,気分が良くなる。アン・ライスのヴァインパイアものにはまって以来,ゴシック文学の面白さに開眼した。小池氏の著書でも専門書が紹介してあるので,勉強してみようと思う。いずれは日本の文学研究にもそういうジャンルを定着させたいものだ,オタク系学会だけど。
  12月25日土曜日晴
     書道の集中講義のために出勤。といっても,僕が教えるわけではない。今日は土曜日なので,事務関係がお休みであり,書道教室のある本館の電子ロックを,国語教室の教務係をしている僕が開錠しなければいけなくなったのだ。そんなわけで,8:00前に登校して教室の鍵を開けたり,電子ロックを開錠したりする。大体,この「集中講義」のために僕が用具を準備したり,機材を搬入したりしなければならず,唯でさえ忙しいのにまったくいい●×△◆である。昨日などは,ゼミ生の卒論指導と,教務関係の雑用だけで1日が終わってしまった。まったく自分の研究どころではない!
     研究室に戻り,暇なわけではないので,院生からのPC相談のメールに返事をしたり,昨日事務からまわってきた来年度の「学生の手引き」の校正をしたり,昨日受け取った論文の校正をしたりと,依然「師走」状態は続くのである。午後も,雑用が残っているので,年賀状もまだかけない。(とか,いいながらWEBの更新はしていたりする。)
     そういえば昨日のイヴは,九州の福岡郡部あたりから「シングルベル,うらやましいことです」というメールが届いた。ムカツク……。巨人の松井選手が契約更改で,「なぜ24日なのか」と記者に聞かれて,「寂しい事ですが,空いていたから」と答えていたが,真偽は別にして,ちょっと救われた気分になる自分が哀しい。
12月20日月曜日曇
     昨日から随分冷え込んでいて,岡山市内でも初雪を観測したとのことである。今日は,国語教室で出している「国語研究」の原稿の締切日であった。自身の論文も見直しをして,14:00過ぎに手元に集まった分だけを業者に渡す。ようやく肩の荷がおりて迎春の準備にとりかかれる感じだ。教務関係の用事を電話&FAXで2件処理。
     昼食がてら生協ブックセンターで,書籍を購入。文庫版になった紅野謙介氏の『書物の近代』(ちくま学芸文庫)は,データと誤植の更新がされている。講談社文芸文庫編『日本文壇史総索引』(講談社)は便利かなと思う。鈴木淳『日本の近代15』(中央公論新社)は,シリーズなので。小池滋『ゴシック小説をよむ』(岩波セミナーブックス)は,日本のホラー小説を読み解く参考にならないかと思って購入。ちなみに僕は,坂東真砂子ファンである。最近岡山で話題の,岩井志麻子『ぼっけえ,きょうてえ』(角川書店)は,岡山弁ということでうちのY田先生が講義で紹介されるなどお薦めの小説となっているようだ。
     大学院生から,演習の課題がメールで送信されてくるのをプリントアウトして,朱を入れる。あ,明日の学部の講義準備を忘れていた!
12月16日木曜日晴
     6:30,今日はゼミのために早起きする。ゼミは,1限(8:40〜)なのであるが,僕の住居からは,8:00台が出勤のラッシュで大学まで1時間もかかってしまうので,必然的に1時間ほど早めに出勤しなければならないのである。今朝は霜が降りていて,大変さむかった。車のフロントガラスも後ろも凍っている。霜が溶けるまで車内で,ノック知事が追い詰められる記事に目を通す。年明けまで,もつかどうか。
     19:50頃に大学につく。駐車場で,右前部のドアが開いた白い乗用車が止まっていて,なんだろうと目を凝らすと,車内で人がガラスを掃除しているようなのである。曇り止めを塗布しているのかなぁとも思う。誰かと思ったら,教務学生係で今日1番早く出勤した方であった。
     研究室に入ると,留守電が点滅していた。なんだろうと恐る恐る聞いてみると,「寝坊しましたぁ。遅れますぅ」という某ゼミ生の声。1:30に寝た僕は,「ナニー(怒)」である。
12月15日水曜日晴
     教官会議の日。14:30〜19:50迄(休憩ナシ)。……。
12月14日火曜日晴
     12:40〜17:30まで,授業。おまけに卒論の指導が,18:30まで続いてしまった。1月末締め切りで,草稿がまだ3枚でーすといわれれば,指導教官の尻にも火がつくというものである。ちゃぶ台があれば,ひっくり返したい所であったが,そこはそれ「紳士」の僕であるから,実に穏やかな指導風景であった。

     PCの雑誌のおまけCDというのがあるが,「アスキー」の12月のおまけCDに「エンカルタ2000」の試用CDが入っていた。調べ物のついでに,「夏目漱石」の項目を検索してみて,厳選WEBの中に,「AREA SOSEKI 漱石とその時代」が紹介されていたのに気がついた。ちょっとうれしかったが,作者紹介はちょっと杜撰で,残念な思いをしたことも事実である。「厳選」されるほどのものでない事は,皆さんもご存知の事と思う。閲覧者の方々のご協力あってのものなので,こういう風に評価されることについては,大変光栄に思う次第だ。来年こそは,もう少しコンテンツのパワーアップをしたいものである(と,昨年もいっていたなぁ)。

12月8日水曜日晴
     V限の時間帯にM先生が研究室に見えられて,室内で来年度「学生の手引き」の校正をされる。「3時から会議があるので,必ず居てくださいと釘をさされてしまってねぇ」とぼやかれる。「ドロン」常習犯なのだ。
     13:30よりフレンドシップ体験実習の会議。会議室が冷えているので暖房をと思うが,炎の男@森先生は「いや(暖房を入れなくても)大丈夫だ」といわれる。そういいながら,ジャケットの前を掻きあわせている。
     「女性の先生もいらっしゃいますから」となだめて,僕が空調のスイッチを入れる。 しばらくしてから,他の会議のために遅れて入ってきた教務学生係の係長さんが,空調にふと眼をとめていわく,「誰ですか,冷房を入れているのは!」
     一同ボーゼン。爆笑。
     「なんか,ゼンゼンあったまらんと思った」(森先生)
     「いやー,木村さんは(皮ジャンを着て)暖かい格好をしているからなぁ」(教育実践センターの先生)
     「24度の暖房と,25度の冷房とどっちが暖かいと思う?」(音楽教室有道先生)
     「……勘弁してください」
     Virus Mに感染してしまったようだ。
12月7日火曜日晴
     5407でのV限の講義の後,教室内の水道で手を洗っていたら,いきなりM先生がふらりと教室に入ってこられてビックリする。
     この講義のあとは,体育教室の足立先生のはずだがと思いながら,「どうされました」と訊ねると,「次の授業は,この教室ではないのかな」と呟かれるので,たまたま僕の講義を受けて次の講義も受講している学生に確認すると,「ええ,足立先生の講義です」という返事である。
     M先生は顔を紅潮させながら,教卓の上でおもむろに「時間割」を開いて, 「ああ,……5208だった」と苦笑いされた。
    「えらい間違いですね」とは,突っ込めなかったワタシであった(この後にもエピソードがあるが,これ以上は言えない)。
12月6日月曜日曇
     昨日とは打って変わった寒さである。研究室で,フレンドシップの「報告書」の原稿を作成したり,読書したり,ゼミ生の指導(後半,忘年会の打合せ)。
     岩井志麻子「ぼっけえ,きょうてえ」(角川書店)を読む。ホラー小説大賞受賞作である。表題作が岡山の方言を駆使した小説ということや,作者が岡山出身ということにも惹かれて購入したのだが,娼妓の歴史も勉強されているようだし,岡山における「南北問題」に言及があったりして,おもしろかった。坂東真砂子とは,また違った土俗性を組み込んだ作風である。ホラーの好きな人には,お薦めだ。
12月5日日曜日
     紀伊國屋書店で,村上春樹の新刊「もしぼくらのことばがウィスキーであったなら」(平凡社)やバタイユの文庫本等を購入する。構造主義のT・トドロフ「幻想文学論序説」(創元ライブラリ)は収穫。絶版の文庫化である。ちなみに,アルコールが全くだめな僕は,「もしぼくらのことばがウィスキーであったなら」,5分も生きてられない。
     帰宅して,「永遠の仔」下を読了する。「永遠の仔」は直木賞候補に上がっていたのだが,佐藤賢一・桐野夏生(?)にさらわれてしまった。しかし,それも仕方ないと思った。扱っているテーマは「児童虐待」で,重いものなのだが,それを形象していく筆致が軽いのだ。表現力不足で,芝居のト書きを読んでいるようだった。このあたり,「レディ・ジョーカー」などを書いた高村薫が,文庫本化するたびに文章・内容を改変する執着を見習うべきであろう。
     夜のニュース番組で,イチローと長島一茂の挙式が報道されていた。蜜柑を食べながら,また先を越されてしまったなぁーと独り慨嘆。

     イチローに先を越されて師走かな

  12月3日金曜日
     先日信時哲郎さん(神戸山手女子大学)が,「宮沢賢治研究文献目録」を完成させたが,無理を言って元データそのものを一括ダウンロードしてローカルで利用できるようにお願いした。昨日,その設定が済んだという連絡を貰い,早速HPからデータをダウンロードしてデータ検索に利用させてもらった。データは画面一番下にあり,自己解凍ファイルである。デスクトップ上など任意の場所にダウンロードし,ファイルをダブルクリックすれば,自動的に圧縮されていたデータが,元のファイルに復元される(元データは,エクセルファイルです)。
     図書館まで「雑誌記事索引」を見に行くのは面倒だし,他の利用者と競合する事が多いのでなかなか利用しづらいのだが,これはなんと言っても研究者によるデータで最新情報も反映されやすい。大変ありがたいものなのである。これを使わず,自分で最初から調べるなんて,なんて「贅沢」なんだろう。
     で,刺激を受けて,サボっていた漱石研究の論文リストを久々に更新する(11件分)。但し,僕の場合,信時さんのように「元データ→WEB化」方式を採用していないので,「WEB→元データ」で利用していただくしかない。カンマで区切っているのは,エクセルなどで読み込めるようにという配慮なのでした(ウーン,不親切極まりないですな)。