2001/5/27
        平田泰隆氏・押田裕貴子氏の御成婚を祝う
        マンゴー平田の唄の祭典、魅惑の88cm
        co-starring with 押田裕貴子

 
making of Mango Hirata
〜マンゴー平田の出来るまでA〜

  雨上がる 〜御成婚式〜
 2001年5月27日、幹事団の長い1日は雨の中に幕を上げた。日曜日の夜という元来の悪条件の上、悪天候は覿面に集客力に響く。白金高輪駅の長い階段を登る男達の不安を余所に13時半、御成婚式の幕は切って落とされた。
 会場・八芳園は江戸時代の大名下屋敷から戦前は日産の始祖にして政友会総裁・久原房之助の東京別荘となった庭園で著名な結婚式場だが、離れのチャペルで行われた御成婚式は撮影・拍手厳禁の厳粛な雰囲気の中、幾分おネエ言葉の神父の進行で進む。新郎の緊張振りは神父の問いかけに応える甲高い「ハイ」の声に伺われた。新郎新婦の目が潤む。この日、二人は披露宴にかけてその瞳を存分に潤ませた。それは幹事団である我々にとっても、実に心和む光景である。
 誓いの言葉を経て無事完了し撮影も解禁された後は、ライスシャワーのエンディングと流石に結婚式場専門だけありホテルと一味違った演出が施される。過剰な準備作業の賜か、危惧された雨もこの頃にはほぼ上がっていた。披露宴までは小一時間の間があり、舞踏隊3名は早々に練習に向かった。彼等に取って本日のメインはまだまだ先にあった。

  披露宴、高まる緊張
 15時、披露宴が始まった。ケーキカット、主賓挨拶の後、いきなりお色直しと意外な展開。主役が戻ると高橋氏が関西ノリで勢いよく飛ばして笑いを取る。更に祝辞、新婦友人の新婦を車に見立てた取説、黒田節と続きようやく歓談に入った時は既に17時が近い。何分、目出度い披露宴を祝いたいのはやまやまだが、後が詰まっているだけに気が気でない粥川は焦る。が何のことはない、必要以上に緊張感を高めていたのは粥川だけで関係者卓はリラックスムード。確かに今回、粥川の賦課は少なくなかったが、幾分ピリピリし過ぎたきらいがあったのも事実、幹事長として反省すべき点だろう。
 締めの挨拶は新郎がいきなり「平田泰隆でございます」と出馬表明のような出だしで笑いを取り、大々円となった。お見送りに写真撮影と忙しい新郎新婦の搬送は三浦夫妻に委ね、幹事団は一路新宿へと向かう。18時会場入り、順風満帆に見えたがここでひとつのアクシデントが発生していた。

  動かぬプロジェクター、現れぬマンゴー
 会場には既に受付主幹の関千春氏、スライド担当の矢野酉太郎・由季夫妻が到着していた。案の定、新郎新婦の八芳園退出が遅れることが予想されたため、二人の出会いまで、個々の人生を振り返るスライドを開会に先立って放映するか、決断を迫られるタイミングだった。ところがビデオで新郎新婦の付き合い出してからの日々が描かれる、その前段となる重要なスライドにも拘わらず、恐らくプロジェクターが不良のためウンともスンとも言わない。粥川が徹夜でビデオ編集を続けたのと同じく、スライドは矢野氏が寝食を忘れてパワーポイントで作り上げた力作だったが、止むなく放映断念に至る。同時にスライドのBGMに予定されていた作製途上の
平田氏新曲も封印されることとなり、混乱が続く中19時25分、三浦車の八芳園発からわずか15分で時新郎新婦到着の一報が伝えられる。
 高橋氏の開会宣言で、遂に「マンゴー平田の唄の祭典、魅惑の88cm」の幕が切って上がった。テレビドラマ「Hero」に乗せて三浦車での会場前到着から階段を登る新郎新婦がスクリーンに映し出される。互いの衣服を直し、新郎の親指サイン、とここで映像が消え、唐突に新郎新婦が二階席左右に現れる。この秘密?は会場側は最後まで明らかにしてはくれなかったが今はその謎は解けている。だが敢えて指摘はしない。このようなド派手な演出こそてあとろんを選んだ最大の理由であり、プロジェクターの不良(かつ1名単位まで確実に参加者数を把握する姿勢)にはいただけない面もあったが、金額も含め店側の対応は総じて当を得たものであったと言えよう。
 二階から中央階段を下りた新郎新婦はスモークの中、花道を通って舞台中央に着席、新郎の中高時代の友人、松田氏の乾杯で宴は始まった。これから歓談に入るが、既に30分の遅れであり、安穏としていることは出来ない。

  映像の美、笑いのマンゴー
 早々に歓談が明けると、前半は映像編、ビデオ3部作の放映である。まず昨年11月の平田氏名古屋行壮行会の再現映像。前述の通り、音が聞こえにくいため、台詞はぶっつけ本番、二階席から現場アテレコである。これが声優の姿が丁度隠れたため、吹き替え自体は肝心の平田氏の台詞が走り走り、苦しみながらの演技となったが、閉幕後の反応を聞く限りでは「うまく(事前に)アフレコで録音してあった」と好意的な誤解に基づく高い評価を戴いたのは30通のメールの成果か。実際、程良く酒も入り、撮影時に近い雰囲気で、新郎のノロケ振りはじめノリノリの好演だったのは間違いない。
 この間、隣では腹芸に向け、前川、矢野両氏の腹に和里田、若林両氏がお絵書き、ビデオ2放映が始まると、アテレコの終わった新郎の腹を、突貫工事で三浦、上田谷両氏も加わりお絵書き、更にお着替えと大忙し。
 一方、ビデオ2は件の「突っ込まないように」の衝撃メールで場面転換に始まり、三浦証言、そして司会が合いの手を入れ、場内が一瞬静まり返ったその時、「カウントダウンTVをご覧の皆さん〜」で大爆笑。ビデオ製作の労苦が報われた瞬間だった。ビデオ3の新婦による「新郎=カネゴン」神話も、危惧された場内のザワ付きもなく、ビデオは総じて予想以上の受けを得られたのは、今後に大いな指針を残したろう。
 なお参考までにビデオの総主題曲は粥川編曲・打ち込みの「白い巨塔」主題曲、BGMは主にウルトラセブン・サウンドトラックから拝借したことを付記しておく。

  華麗なる大円舞腹
 スクリーンが消えるとテンポよく舞踏編に。3新郎が二階より現れ、登壇する。実に三者とも背格好、体格も一緒で期待通りどれが本物か判別不能。まずはウェイターの若林氏が2つずつワイングラスを並べ、それぞれ小樽ワイン、山梨ワインを注ぐ。何方が本物の山梨産か、山梨に赴任経験のある本物の新郎なら分かる筈、という案配だ。ところが観客に背を向けたマスクマン達が振り返ると3人目の前だけに大ジョッキが鎮座、かつワインだけでは足りないのでビールやらウィスキーやら矢鱈滅多に注ぎまくる。観客にはここでこの第3候補が「本物」と判別する仕組みだ。肝心の試飲の結果は全員同じ答えでしかも不正解。司会「分かりましたか」新婦「これだけでは分かりません」のやり取りに、客席から「意味ないじゃん(笑)」の突っ込み。確かに確かに。
 そこで続いてはメインの腹芸、「華麗なる大円舞曲」に乗せて舞う3新郎マスクマン。観客の日本銀行関係者、とくに女性は一寸引いていたとの証言もあったが、美しく舞台に映えた。新婦は司会に促され、マジックハンドで3新郎の腹を触手、さらに巻尺でウェストを測定。新郎の腹は88cmでそこが演題の「魅惑の88cm」とかかっているというオチだったが、実測は91cmとはこれ如何に。こうして目出度く新婦は真の新郎を発見し、その愛らしい腹に口付けし腹芸は無事完了した。3新郎の腹書きを担当した和里田氏によれば、平田氏の腹が人一倍毛深かったので、識別は簡単だが、最も描きにくかったとの証言である。

  名古屋で暮らそう
 そして3新郎が顔出し、平田氏は舞台上で金ラメ・ジャケットを羽織り、いよいよ先刻ビデオで伏線としてご挨拶した「マンゴー平田」の登場である。
 唄うは「名古屋で暮らそう」。言うまでもなく平田泰隆氏1991年のスマッシュ・ヒット、「小樽の海風」の2001年リメイク版である。アレンジは上田谷夫妻二次会練習の合間を縫って、粥川が再生YMOライブの「Behind The Mask」をベースに、テクノ・バージョンとして甦らせた。
 前奏が始まると、三浦、前田、上田谷の3氏が順に現れる。衣装は舞踏隊の原点とも言える、アフロ頭に黒スーツでマンゴー平田率いるおやじダンサーズと命名された。ところが、オケを聞いた椙山泰生氏が「リズムが難しくて唄いにくいのでは」と指摘した通り、試飲の混合酒も効いたか、マンゴーが見事に出だしをミス。混乱する後方のおやじ3人衆、焦る粥川。ようやく2コーラス目に入るとマンゴーも落ち着きを取り戻し、間奏では新婦を花道に呼びチーク、更に3コーラスでお馴染み「俺が平田だ。君も平田だ。」の歌詞に合わせて順に新郎、新婦を指指す演出で大ウケ。割れんばかりの拍手の内にエンディングを迎えた。
 と思いきや、ムード歌謡風の大仰なイントロが。唐突にスター・和里田の出演だ。コンセプトは若手有望株の歌手・マンゴー平田が美しい新婦を連れ悦に浸っているところ、プレスリー衣装のかつてのスターが新婦を奪いに来た、というもので新郎新婦には秘匿事項。このために常に進行表を2種類用意する手の込んだ演出は、和里田氏の2階の梁に後頭部を強打し大きなタンコブを拵えながらの熱演で報われた。「愛のメモリー」を熱唱し、新婦危うしのその時、司会の笛でおやじダンサーズが救出に向かい、お約束の「おまかせ」コール。熱い口付けを交わす新郎新婦が真実、オーラスとなった。「愛のメモリー」はかつて三浦夫妻二次会「お面舞踏会」の冒頭で、同じく和里田氏が朗々と奏でた曲であることに気付いた人はどの位いただろうか。
 新郎新婦の挨拶を終えると、シャボン玉演出の退場シーン。「蛍の光」に続く退場曲を用意していなかったのが返って幸いし、元祖「小樽の海風」とともに二人は会場を後にする。そして最後の一礼に合わせるかのように「日本銀行、永久に不滅だ」、退出後のいささかの虚脱感とともに虚空に漂う「俺が平田だ、俺が平田だ」の軽やかな残響。幹事団の長い1日はようやく終わりを告げんとしていた。

  エピローグ
 20時丁度、スタートで30分遅れながら、スライドが削られ、全般にアップテンポで進めたため危惧された時間延長もなく、「マンゴー平田の唄の祭典、魅惑の88cm」は終結した。全ての荷物を搬出し、新郎新婦が全ての観客を見送った頃には既に21時を回り、我々は三次会へと繰り出した。
 そこには満足感溢れる顔、顔、顔。あるいは自己満足の部分はあるにしても、ビデオも腹芸も「小樽'01」も期待以上の好反応であり、かつ主幹事団5人の連携プレーがこれ程有機的に機能したのも特筆すべき点だったろう。また今回は司会と新郎、新婦との掛け合いも極力当日のアドリブに委ねず、事前に台本を作成する徹底振りだった。しかし何よりも今会の成功を支えたのは、新郎新婦自身の意気込みとやはり二人の人徳であろう。恐らくそれが幹事団を動かし、多くの無償の協力者を生み、観客の笑いを構築させたのではなかったか。
 平田夫妻、おめでとう。また幹事団は言うに及ばず多くのご協力、そしてご参加戴いた方々に改めて御礼申し上げたい。ありがとうございました。

完 (「マンゴー平田の唄の祭典 魅惑の88cm」準備模様へ戻る

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