[インディアナ発=高崎裕氏(AG88)、写真も]
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9月30日 土曜日。
タカサキは、その日は土曜日にしては早起きをし、空港に向かっていました。行き先はインディアナ州ブルーミントン。アメリカの地理には明るいほうの僕でも、いったいどこだろう、と地図をひろげたくらい、これといって名所が有るところではありません。そんなところに行くのには、訳が有りました。なんだか、知らないうちに10年近く付き合い続けた、二木に会うためです。いや、会うと言うより、邪魔しに行くと言ったほうがよかったのかも知れませんが。
出張の決まったタカサキは、駄目で元々、アメリカに来る前からメールで尋ねていました。「2ヶ月もミルウォーキに滞在しているので、一寸行ってもいいか。」と。サマースクールを終え、ようやく新学期を迎えたばかりの彼には、ちょっと悪いな、と思いながら返ってきた返事は、「是非来てください。」それを真に受けてから、1ヶ月が経ちました。
天気は良すぎました。中西部のこの日の天候は、絶好の好天、フライトは遅れること無く定刻通り、デトロイトを経由し、インディアナポリスへ到着しました。
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朝出るころは、シャツ1枚じゃ寒かったのに、薄らと汗をかいていました。この時分のこの辺の好天をインディアンサマーと言うそうですが、まさにそれでした。
空港からレンタカーに乗り、I−465からHWY37にのり、トウモロコシ畑と途中1つだけワイナリーがあるだけの、のどかな景色を南下すること1時間以上。二木の不親切なDirectionにもかかわらず、予想に反して全く迷わず目的の待ち合わせ場所のマリオットに着き、電話。ロビーで待つこと約15分。彼が現れました。サマースクールで焼けたという顔は一寸だけ頬が光っていて、元気そうでした。そして、新居(といっていいのでしょうか、)に案内され、桂子夫人とも久しぶりの再会を果たしました。こちらも元気そうでした。
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新居は、文字どおり新築で、2ベッドルーム。1部屋は勉強部屋となっているようです。電話、部屋の設備など、大体が揃ったばかりで、「大変だった」と言っていました。
イリノイに頻繁に通い、日本の食材を手に入れられるタカサキは、雑誌や豊水梨などの土産を渡しながら、タカサキが飢えていた、日本語の楽しい会話が始まりました。昼飯がまだということで話が一致したので、昼と晩の食事の買出しに出掛けることにしました。ダンナは早速、「二人で行ってきて」というので、ダンナを残し、スーパーへ行きました。スーパーでは驚くほどのアジア人、日本人を見ました。ここのスクールは、韓国人、インド人等が多く、日本人の比率はそれに比べると、高くないのだそうです。
ここでダンナの生活について少し。授業は月曜から木曜で午後だそうです。3度の食事を自宅で取れており、なんとか6時間の睡眠は確保しているそうです。スクールのグループも仲が良くラッキーだったと言っていました。
さて、桂子夫人の実家の蕎麦等をご馳走になり、腹の満たされた3人はゴルフの打ちっぱなしに出掛けました。
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完全に野外で広々として、天候も手伝い、最高でした。その後、大学を案内してもらい、お茶をし、帰宅して今晩のスキヤキの支度にかかりました。この時もダンナは居間にはいませんでした。スキヤキは、タカサキの一方的にリクエストしたものでした。リクエストに答えてくれて本当に感謝でした。
やがて、食事となり、仕事のこと、ウチのこと、学校のこと、今のことも将来のことも多いに語り合いました。スキヤキの味は、以前の伊豆で食べたものには叶わなかったけれど、本当に美味しかった。出張の疲れが吹っ飛びました。その後、バナナスプリット(注)を食べに町に繰り出し、そろそろ寝ようかと言ったのは12時を回っていました。桂子夫人もタカサキも就寝した後でも、ダンナは机に向かっていました。何時までやっていたのでしょうか。
そう言えば、桂子夫人のこと。ダンナを本当に気遣い、勉強に入るたびに飲み物や食べ物はと訊ねる姿に、MBAって大変なんだな、と感心させられました。
大変な生活にもかかわらず、ダンナが血色良く見えていたのは彼女のお陰の他にはないでしょう。
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10月1日 日曜日
7時頃、タカサキは体内時計のせいで目を覚ますと、ダンナがベッドルームから勉強部屋に移って行ったのが分かりました。どうせ、帰りは飛行機で寝ればいいと勝手に決め、ダンナから昨晩借りた、統計の本でも読もうかと、起床しました。タカサキも、仕事で正規分布だの、ポワソン分布だのやっていたので、関心が有りました。そうこうしていると、夫人起床。
朝飯は、豪華和食でした。梅干しは本当に旨かった。その梅干しを土産に貰い、帰途に着きました。ダンナは、「気晴らしになった。来てくれて有り難う。」と言ってくれて、ただ邪魔だけして帰らずに済みそうだとほっとしましたし、桂子夫人も、「遊んでもらって有り難う。」と言ってくれて、来て良かったなと思いました。
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一人でドライブの帰り道ながら、タカサキは、たった1ヶ月の単身で出張生活で感じるストレスに対する不満を猛省していました。だって、すでに何ヶ月もタカサキ以上に大変な生活を送っている二木は、これまでの彼と同様、不満一つ言わず、自分の目標に向かって、打ち込んでいるのですから。
あと、1ヶ月、いやその後の分まで、タカサキに頑張るパワーを与えてくれて有り難う、と感謝した素晴らしい週末旅行でした。
(注)ボートの形をした入れ物に大量のアイスクリームとバナナが入っていて、その上にチョコレートやナッツなどのトッピングがされている、アメリカ中西部で良く見られる食べ物。如何にもアメリカに多数生息する超デブの素と言えそうな食物。バナナを何故か縦切りにして添えることがその名の由来か?二木夫妻の今後が心配。
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