本誌既報の通り、96年以来痔瘻を患っていた粥川は漸く手術に踏み切ることを決めた。同人は、
96年夏、本年11月と2度の外痔核の切開を行っていたが、これ以上の尻の放置は困難と判断、
12月4日より入院し本格的な手術行う。入院期間は2週間程度の見込み。
「痔は四足から二足歩行に転向して以来の、人類固有の病です。そもそも肛門が下向きに
付いている構造自体、万有引力の法則への甚大なる挑戦であり、我々は普く、潜在的な痔瘻
予備軍であります。すべからくお尻を大切にしましょう。」(粥川善洋・談)
●12/4(月)、立川病院に入院。後方のみ剃毛され下剤2リットル
飲む。幾度か水の如き排便。
●12/5(火)、さらに朝から2度浣腸、流石に出るは真っ更な水の
如し。点滴開始。11時手術台へ。腰堆(下半身)麻酔に加え背中
から硬膜外麻酔をかけるため本人には全身麻酔に感じらる。
約2時間、全く記憶なし。
●12/6(水)、術後も硬膜麻酔が背中から入ってるままのため、
38度台まで発熱するも殆ど寝っ放し。寝たまま小便一寸苦痛。
●12/7(木)、朝硬膜麻酔が終了、午後には術中から付けられた
ままの導尿管も外れ歩行が可能に。体温37度前後と安定するも
終日尿出ずパニック。深夜まで3度の個別導尿で何とか眠りに
辿り付く。最も苦しい1日。
●12/8(金)、起床後ようやく尿出る様に。大いなる安堵、麻酔で筋肉が弛緩するためままある
ことらし。ほぼ平熱。流動食開始。粥が食べれないため懇願し昼より殆ど普通食に。
●12/9(土)、常食開始で朝にて点滴終了。棒から開放される生活に。尻の痛み除けば殆ど普通人。
夜半、術後初の分量ある排便。下剤で柔らかくなっているとはいえ飛び上がる程痛し。
「排便や、尻にしみ入るウォシュレット 痛さも痛し思わず踊りぬ」
●12/10(日)、シャワー浴び復活。尻はガーゼに薄く血がにじむ程度
で順調の模様。「今シーズンを振り返る 座談会」脱稿。
●12/12(火)、風呂にも入り復活、但し平時の尻の痛み未だ和らがず。
排便時は徐々に慣れる。
●12/15(金)、猛烈な尻のかゆみの中、「演歌の花道」脱稿。2度目の
主治医診察、尻に指入れられ激痛、事後検分するにガーゼ相当赤く
こりゃ痛い筈。
●12/17(日)、無事退院も電車座席に座るの辛し。
総じて前半4日は想定より遥かに苦痛であり、後半は予想通り暇で
あった。退院時尻はまだ十分に痛く、排便も大いに苦痛。常態回復
には術後1ヶ月程度必要の由。2週間病院に通い続けた妻・美和と
立川病院スタッフに感謝したい。尻の抜本的治療をお考えの方は、
御記帳下さい。私の尻得た範囲でご相談に乗ります。
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見舞いに訪れる粥川妻・
美和と義姉・西沢千鶴氏
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○手術概要:症状は内痔核並びに血栓性外痔核。
肛門に降りる全3本の太い血管を中途で堰止め
(@)、各々3方向の皮膚を持ち上げ、近辺の
内痔核、外痔核を切除(A)。皮膚戻し縫合。
皮膚が余るため6時方向を縫合(B)。
(術式:結シ切除、6時形成)
○肛門下部には末梢血管しか残らない為、原理的
には再発の可能性は極めて低い。なお皮膚を
一旦持上げるのは、術後肛門を狭くしない為。
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退院時近影、 髭伸び放題の図。
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