鑑賞日:2008.01.31/公開日:2008.02.16
「エリザベス:ゴールデン・エイジ(ELIZABETH: THE GOLDEN AGE )」特別試写会参加!
(演)ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライヴ・オーウェン・サマンサ・モートン、アビー・コーニッシュ

エリザベス:ゴールデン・エイジ
東宝東和 配給
皆さん、こんにちはー。
 今日ご紹介するのは、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」です。
 前作「エリザベス」
 公開から9年ぶりに作られた続編です。
 私は、前作でエリザベスを演じたケイト・ブランシェットの演技力に圧倒されてしまい、 それ以降、彼女が出演している作品はなるべく劇場で観るようにしています。 これまで演技で期待を裏切られたことはありませんし、私の中では演技力で現在トップだと思っている女優です。
 というわけで、「続編が作られる」、「監督も俳優も続投」と聞いて以来、 早く公開しないかな〜と心待ちにしていた作品です。運よく試写が当たって本当にラッキーでした。(^-^)
 ちなみに、ケイト・ブランシェットは、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。 真面目な歴史物はどちらかというと映画では敬遠されがちですが、 賞レースで話題にもなったことですし、ヒットするといいですね。(^^)
 さて、ここで簡単なあらすじをご紹介しましょう(前作のあらすじは、「エリザベス」をご覧ください)。

 弱冠25歳にしてイングランド女王に即位したエリザベス(ケイト・ブランシェット)だが、問題は山積だった。 父王ヘンリー8世の遺志を継ぎ、プロテスタントの女王として即位したが、 国内にはカトリック信奉も根強く残っていたからだ。
エリザベスの転覆を狙う者が後を絶たない上、イングランドは欧州列強の侵攻の危機にも瀕していた。 とりわけ、スペイン国王フェリペ2世は、カトリック原理主義者でことあるごとにエリザベスに圧力をかけ、 カトリック派でスコットランドの女王であるメアリー(サマンサ・モートン)をイングランド女王に据えようと暗躍していたのだ。
そんな中、エリザベスの唯一の安らぎは、純真で従順な侍女ベス(アビー・コーニッシュ)との他愛のない会話や遊び。 そんなエリザベスの前に、新世界から帰還したばかりの航海士ウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン) が現る。女王の前でも臆することなく新世界を熱く語り、次第にエリザベスの心を激しく揺さぶるようになる。
国のために独身を貫こうとする彼女にとって、恋は許されない。 ベスをローリーに近づけて淡い恋を疑似体験しようとするが、それが思わぬ事態を引き起こすことになってしまう。
また、エリザベスの暗殺を企てたとしてメアリーを処刑したことを機に、 フェリペ2世がついに挙兵。スペインの無敵艦隊が目前に迫ってきていた……。

 前作同様、史実を元に描かれていきます。 映画では、有名な史実を元にすると、どうしてもストーリー展開が読めてしまい、 ドキドキ感が半減するものですが、本作はアルマダの海戦のシーンも予想以上に迫力があり、 緊張感がずっと保たれていました。
 それに、これも前作に引き続き、ですが、エリザベス役のケイト・ブランシェットが本当に素晴らしい! 声のハリ、しぐさなど、本当に女王なんじゃないの?この人!というくらい、風格と威厳があります。 前作では、女王に即位する前の姿が多かったわけですが、今回は女王然としたシーンばかりですので、 余計に貫禄を感じました。
 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでの、ガラドリエル(エルフの王妃ね)の演技を観た方なら分かると思いますが、 女王様役が本当にハマっています。もっとも、「LOTR」は「エリザベス」の演技で非常に注目されていたからこそのキャスティングだとは思いますが。
 とにかく、監督とケイト・ブランシェットの続投が決まった時点で、 この作品は成功しているんじゃないかと思うくらい、素晴らしい演技です。
 素晴らしいのは演技だけではありません。エリザベスは1世は着道楽だったといわれるだけあり、 衣装の豪華さは特筆ものです。女性で、ファッションに興味を持つ方なら、ため息が出ることでしょう。 個人的には衣装を見るだけでも鑑賞の価値ありだと思います。
 と、ここまでずいぶん持ち上げてきましたが、残念な点がなかったわけではありません。
 エリザベスは<ヴァージン・クイーン>と呼ばれており、生涯独身を貫きましたが、 実際には幾人もの愛人がいたとされています。 本作に出てくるウォルター・ローリーもその一人ですが、もっと真剣に結婚を考えた愛人もいたようです。
 にも関わらず、本作での恋愛面の描き方は非常に甘っちょろいんです。
 女王として政治面では豪腕を振るうのに、恋愛面では非常にナイーブに描かれているところは、 かなりうそ臭いわけですよ。知性があり豪胆な女王なら、恋愛面でもうまいこと愛人囲うんじゃないのー? とか思ってしまうわけです。(^^;
 また、その甘っちょろい恋愛模様が結構な時間を割いて描かれているため、 「ゴールデン・エイジ」というサブタイトルがつけられていながら、 アルマダの海戦に大勝利を収めたところで話が終わってしまうのです。
 個人的には、エリザベス1世の“黄金時代”を観られると期待していたので、 史実をだいぶ脚色してそーな恋愛に長時間割くなら、 アルマダの海戦以降にスペインに代わって世界貿易を手中に収め、 強国にのし上がって行く様をもっと描いてほしかったです。
 ただ、それだと歴史好きな男性向けっぽくなってしまいそうなので、 女性の観客動員を考えるなら今のままの方がいいのかなーとも思います。
 そのあたり、ちょっと「あれ!?」という感じでしたが、全体的には非常に満足度の高い作品でした。
 歴史物というだけでなく、恋愛の要素もあり衣装もゴージャスなので、 普段あまり歴史物を観ない女性にこそオススメしたい作品です。

【Holyの評価・・・(^-^)/VeryGood(★★★★☆) ← 前作に引き続きケイト・ブランシェットの迫真の演技が作品に適度な緊張感を与えていて、最後までダレない。映画好きの人にはもれなくオススメの作品です!


鑑賞日:2008.01.21/公開日:2008.01.19
「スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(SWEENEY TODD THE DEMON BARBER OF FLEET STREET)」
(演)ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、アラン・リックマン

スウィニー・トッド
ワーナーブラザーズ映画/
ドリームワークス・ピクチャーズ 提供
皆さん、こんにちはー。
 今日ご紹介するのは、ジョニー・デップ&ティム・バートンがまたまたタッグを組んで話題の「スウィニー・トッド」です。
 本作で、ジョニー・デップはアカデミー前哨戦であるゴールデングローブ賞のコメディ部門で、 主演男優賞を初受賞しました(ちなみに、作品賞も本作)。しかも、後日アカデミー賞でもノミネートされたため、 余計に注目度が高まっている作品といえるでしょう。
 このサイトを以前からご覧になっている方は既にご存知でしょうが、 私は昔から大のジョニー・デップファンであり、ティム・バートンファンです。 このコンビの映画とくれば、観にいかないわけがありません!←本当は、試写で観たかったんですが、当たりませんでした。(;_;)
 ただ、ちょいと心配なのはミュージカル形式だということ。 こちらも何度も繰り返しになりますが、私はミュージカル嫌い。 基本的にミュージカル映画は観にいきません。 でも、ねぇ。やっぱりデップ&バートンだし……というわけで、観てまいりました。
 ちなみに、「スウィニー・トッド」はミュージカル好きの方なら、絶対に知っている超有名な作品です。 ミュージカルを観ない私ですら、あまりにメジャーな作品なので内容を知っているくらい。(^^; というのも、ハリウッド映画の中でちょこちょこ“スウィニー・トッドのミュージカル”が取り上げられていたりするから。 比較的最近の映画では、ベン・アフレック主演の「世界で一番パパが好き(2005年公開)」の中で、 主人公親子がスウィニー・トッドの劇を披露するというシーンがあります。
 ただ、「スウィニー・トッド」は元々小説だったということはあまり知られていません。 スウィニー・トッドは19世紀のロンドンに実在した殺人鬼だと思っている方が案外多いのですが、 元はトーマス・プレストが雑誌に連載した「真珠の首飾り」というタイトルの小説です。
それが、「フリート・ストリートの悪魔の床屋(THE DEMON BARBAR OF FLEET STREET)」のサブタイトルで舞台化され、 評判になるうちに都市伝説化したというのが定説となっています。 実在した床屋を基に小説が書かれたという説もありますが、証拠はないようです。 その後はご存知の通り、スティーブン・ソンドハイム作詞・作曲のミュージカル(トニー賞を8部門も受賞)が大ヒット、 ロングランになっているわけです。本作は、こっちのミュージカルを基にした作品なんですね。
 さて、前置きが長くなりましたが、「スウィニー・トッド」をご存知でない方に簡単なあらすじをご紹介しましょう。

 舞台は19世紀のロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は、 美しい妻と娘と幸せな日々を送っていた。
しかし、バーカーの妻の美しさに心を奪われた悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)によって、 バーカー一家の幸せは脆くも崩れ去る。
無実の罪でベンジャミンが投獄されてしまったのだ。 15年後に脱獄に成功し、スウィニー・トッドと名を変えてフリート街に戻ってくるも、 大家でパイ店を営むミセス・ラベットに聞かされたのは、悪夢のような事実だった。
妻はターピンを拒んで服毒自殺を図り、娘はターピンの養女となって幽閉されているというのだ。
スウィニー・トッドとなったベンジャミンは、カミソリを手に復讐を誓う……。

 ストーリーは知っているので、ミュージカルがバートン映画になるとどうなるのかな?というのが一番興味があったところなんですが、 正直ちょっとがっかりでした。
 舞台となるロンドンの雰囲気は、すっごくティム・バートンっぽく(というか、スウィニー・トッドのダークな世界観が元々バートンに合っているのだと思う)、 「バートン作品っぽさが出てる、出てる」とぞくぞくし、頬のこけたメイクのデップを観て「バートン作品の中ではこうじゃなくっちゃね!」などと喜んでいたんですが、 その後の展開はおなじみのミュージカルっぽいというか、無難な仕上がりとういか。
 ティム・バートン作品だからこそ、ジョニー・デップ主演だからこそ、敵役がアラン・リックマンだからこそ(アラン・リックマンもすごく好きな俳優なんです)、 すごーくすごーく期待していたんです。彼らの“新しいスウィニー・トッド”を。
 でも、ミュージカルに忠実すぎるというか、期待していた“映画だからこそ表現できる”新しさがほとんど感じられなかったんですよね(血がドバーッとかは映画ならではなんだろうけど、それじゃ物足りない)。 だから、なぜわざわざ映画化する必要があったんだろう?と思ってしまいました。
 ミュージカルを映画化した作品を鑑賞していてよくあるんですよね、こういう感覚。 ミュージカルの構成をぶち壊してゼロから再構成する必要はないんですが、映画ならではの新しさを付加できないと、 “ミュージカルを超えられなかった映画”になっちゃわけです。今回は、その落とし穴にハマっちゃったかなぁという気がなーんとなくしました。
 まぁ、ミュージカル版が好きな人には安心して観られるんだと思うんですが、映画という手法を存分に活かし切れていなかったような気がしてなりません。
 個人的には、ミュージカルの楽曲や歌はほんのちょこっとでよかったと思うのです(ミュージカルファンの方から異論が出るでしょうが)。 ほんのちょこっと出して、後はセリフをうまく使う。 ミュージカルの楽曲を多用してしまうと、ミュージカルを観た人はその舞台を思い出しちゃうと思うんですよねぇ。 すると、映画の印象が相対的に薄くなって、舞台の記憶が強化されはしないでしょうか?
 映画が好きな私には、必要以上にミュージカルに媚びていたように見えてしまいました。 背景・メイク・衣装はものすごーくバートンっぽいんだけど(ここだけ取れば、もろバートン映画)、 ストーリーはソンドハイム作品って感じなので、全体的にバートン作品という感じがしないんです。
 リメイク作品だから(本作はミュージカルの映画化だけど)、ちょーっとイヤな予感はしたんですが、イヤな予感が当たっちゃいました。(-_-;
 ただ、「スウィニー・トッド」は、かつてベン・キングスレー主演でミュージカルとは別バージョンの映画が作られていますので、 さらに新しい切り口で、っていうこと自体が難しい注文なんですが。
 というわけで、世界観だけバートンっぽいならそれだけで満足というバートンファンなら、 なんの違和感もなく見られるでしょう。あと、基になったミュージカルを知らない人も、(ホラー嫌いでなければ)違和感なく観られると思います。(^^;
 あと、公開前から話題になっていたジョニー・デップの歌声ですが、私的には可もなく不可もなく、まぁ想像通りといったところでした。 ジョニー・デップはロックバンドやってたんですが、ギタリストだったので、歌は全くの初挑戦。最初から特別な期待をしてなかったからね。 でも、まぁ、ファンにしてみれば新しいことやってくれて、ありがとうって感じです。
 ちなみに、何の予備知識もなく観ると、残虐シーンで引くかもしれません。(^^;
「スウィニー・トッド」は猟奇的な話ですので。 単に「ジョニー・デップ好きだから〜」という理由で観に行くと、猟奇的なシーンを見慣れてない人は、 その後ご飯食べられなくなるかもしれません。 私はこの手の映像は元々平気なタイプだし、ストーリーも知っていたから、 「映画を観終わった後でもミートパイ食べられるよ」という感じでしたが、 近くの席で座っていた若い女の子達が「どーしよう!今晩は何も食べられないよー」、「私なんか、後半手で顔を覆ってたから話がよく分からなかったよー」などと言ってました。(^^;
 また、間違っても初デートで本作を選ばないようオススメします。ヘタすると人格を疑われます。 一緒に行くなら、話題作は一通り見る映画好きの友人か、ミュージカル好きの友人と行くことをオススメします。
 ちょっと辛めのことばかり書きましたが、ティム・バートン作品だとか基になったミュージカルの出来の良さを勘案せず、 単純に本作だけの出来を評価するなら、(ホラーが苦手な人はダメだろうけれど)まとまったよい作品だと思います。 ミュージカル版がほどほどに好きな方なら、満足度は高いと思います。ハイ。

【Holyの評価・・・(^_^)Good(★★★) ← 作品の出来だけで評価するなら★4つ半。ソンドハイムのミュージカル&ジョニー・デップが好きな人には文句なしにオススメ。スウィニー・トッド自体を知らないデップファンで心臓の弱い方は、手で顔を覆った上で指の隙間からご鑑賞ください。(^^; そーいや、ハリポタのワームテール(ティモシー・スポール)が、ターピンの部下で出てきます。二人一緒のときは、スネイプ先生とワームテールに見えちゃいました。



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