遂に!とうとう!トマス・ピンチョンの代表的短編集が文庫落ち!!!!!
米文学を代表する異才ピンチョン、そう、唯野教授だって「重力の虹」通読していないという、あのピンチョン!
序文は後回しにして、最後に読むべし。ピンチョンの創作態度の厳しさがうかがえ、下手糞にも何かを書こうとした身が恥ずかしく思えてきます。
国際幻想文学賞の第一回受賞作、SFです。中学の頃図書館で読んで、深く影響された作品です。
三万年前より人類を密かに見守り続ける異星人「オブザーバー」たち。著しく数を減らし、同胞を失いながらも、いつか、人類との合同を夢見る彼ら。人類の本性は悪なのか。一人の少年を見守り続ける「オブザーバー」は、そうでないことを信じていた……
やっぱり、泣いてしまいました。
いわゆるスペオペを、とことん徹底的に皮肉った、驚異のパロディです。
粒子加速器で変質したチーズは、未知のスペースドライブの動力源になり、宇宙船を乗っ取ったソ連のスパイは、説得されるや奴隷的、社会主義的思考を捨て、現実的、資本主義的思考に目覚め、スペオペ的活躍を演じると言った具合。「スカイラーク」シリーズや「レンズマン」シリーズを知るもののツボをとことん突いてきます。そして同時に、我々が無意識に求めるガーンズバック的代物に対して警告を与えるのです。
「宇宙の戦士」の公式解毒剤「宇宙兵ブルース」も良いですよ。
げっ、また甲州かよ……といった気分の皆さん、済みません。歯止め効かないもんで。これは非SF、冒険小説です。
でもやっぱ甲州はイイです。出てくる人物にマトモな連中は皆無、悪党に俗物、ヤクザ連中ばかり。だが、そいつら全員に親近感、いとおしさを感じるのは何故だろう。普通なら人間の屑と言われそうな人々、そんな人々に作者の視点は優しいのです。
皆さん!これから甲州は要注意です。今年には直木賞を狙うと言う話がマジで聞かれます。4月には本格山岳冒険小説「遥かなり神々の座」が文庫落ち、航空宇宙軍史シリーズも、5月以降相次いで再版の噂があり、一人でワクワクしています。