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June,2,1997

「ターミナル・エクスペリメント」
著者:
ロバート・J・ソウヤー
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

この作品を、まじめに読むべきか、おふざけと取るべきか、迷っています。恐らくはその中間の状態が相応しいのでしょうが。

きっちり書かれているのに、アイデアの論理面の破綻と不整合が著しく、ノレませんでした。人の死に際して、妙な孤立波のごとく、あらぬ方向へと漂い出す電位パターン。サルにはあるが牛には無く、死の床で脳電位マップサンプリングをすると”あの世”へ行かず、そのくせ記録された後ではいくらでもコピー可。

それにも増して驚いたのが、”殺人犯”の動機というか、理由付け。「女王天使」でも思いましたが、あっちの人って、本当にあんな道徳規範で動作しているのだろうか。罪と罰、そして理解が難しい神学的思想。不健全に思えて仕方が無い。

「地下街の人びと」
著者:
ジャック・ケルアック
出版社:
新潮社
分類:
一般,文庫

薄いから読みやすいなどと考えたのは、間違いでした。「TV Bros」で、柳下毅一郎氏が文庫落ちしたと書いていたので、しばらく探索ののちゲット。

ワンセンテンスが長い長い。気合い入れて読むべし。大仰な文体にも慣れるべし。文章は圧倒的。ゆっくり読みます。

「AXIS Vol.67」
出版社:
アクシスパブリッシング
分類:
美術,雑誌

関東にきてから、本屋で見掛けないなと思っていた、インダストリアルデザイン誌です。それが最近本屋で見掛け、読めば、今月から全国どこの書店でも取り扱うことになったとのこと。九州のあの本屋、フツーじゃなかったのだろうか。

製品のデザインは、そのメーカーのコーポレートアイデンティティそのものであり、その機能、品質、手触りは、明確な製造側のメッセージである。ものを買うとは、コミュニケーションなのだ。そういう関係を楽しみたいと思っています。

それにしても、PCハードウェアのデザインの悪さには閉口するしかない。私の持っている機器で満足できるレヴェルに達しているのは、Canonのプリンタ位なものである。PCのタワーケースも、何とかならないか思案中です。側面に、コルクでも貼ろうか。

「WIRED日本版 3.07」
出版社:
同朋舎
分類:
PC,雑誌

一読して頭を抱えてしまった。なんでこんなもん買ってしまったのだろうか。

特集はまあよい。「誰が日本映画を殺したか」たとえ非建設的な悪者探しに終始してても、他と比べれば遥かにマシである。

「ゆらぎが語る宇宙誕生の秘密」、うげぇ。半可通が聞きかじりの知識で、似たように思える分野を糊付けしてみた典型である。1/fゆらぎで異星人との交信だって?そんなもの、自然現象としか思われないことは確実じゃないか。

ユナボマーに関する記事は楽しく読めた。こういう、激しく閉塞した人物が極端に走る傾向を考えると興味深い。彼は自分の理想とする、心地良いムラの規模にまで、自らの知識を縮小再編集してしまったのだ。

さて、今月の目玉、ビックリドッキリは「倫理なき遺伝的アルゴリズムの脅威」なる呆れた駄文である。好き勝手なことを言って良いコーナーらしいが、こういう脳挫傷をきたしたような代物が毎月載るのだろうかと考えると、この雑誌は毎月買うものではないと、半年前に達したはずの結論に再び達するのだった。

筆者の議論の運び方は、下手糞なネットいちゃもん屋が、ナチ的であるとか平和ボケであるとか、その手の烙印を相手に押すのと同様のやり口だ。アニメはオウム的、瞑想はオウム的、科学はオウム的、まったく便利な代物である。

断言しても良いが、筆者は遺伝的アルゴリズムに関して、ソースコードすら読んでいないだろう。全く、”原典”には接して欲しいものだ。

「テクノロジーはヒューマン・エキスパートを凌駕するか」始まったばかりの試みに、単純な校正支援エキスパートに、いきなり駄目は無いだろう。”テクノロジーのあり方について、もう一度自らに問いかけてみなければならない”とは何ともアナクロな。後述するが、文章作成に関するテクノロジーは全く初歩の段階にあり、我々はそれが未だ技芸のレヴェルに留まっていることを嘆かねばならないのだ。

テクノロジーとアートの融合とは、こういうものを言うのだ。

「プロフェショナルUNIX」
著者:
村井純&井上尚司&砂原秀樹
出版社:
アスキー
分類:
PC,専門

上記に関連して思うのだが、文章の作成支援に関して、何故もっと多くの可能性を見ようとしないのだろうか。

この本の中に、非標準ツールとして、WWBというプログラムが紹介されている。スペルミス、重複語句表現、不適切な慣用句の検出、更には抽象性解析、読み易さ解析までしてくれる。やっていることは単純だが、そんなことすら現実には、日本語環境では普及しているとは言い難い。

「ポォ 詩と詩論」
著者:
エドガー・アラン・ポォ
出版社:
東京創元社
分類:
一般,文庫

これは詩についてのものだが、ポォのシステマティックな創作法がうかがえる「構成の原理」は、文章技能の向上を志す方には、是非一読をお勧めしたい。

まず結末から考え、それにふさわしい効果を考える。文章の長さ、調子、領域を決定する。実際に私は、ポォの方法論を実地に試みてみた。が、結果は無残なものだった。小論文に関しては見事に適用できたが、小説に関しては、短編すらまともに書けなかった。

どこが間違っていたのであろうか。今なら分かる。ポォの方法論はソフトウェア工学におけるトップダウン手法と同一のものである。したがって同様の弱点を共有しているのだ。物語の仕様書を書き終えるまで、本物の文章を書けない。そしてその頃には、作品は書ける部分と、アイディアの思い付かない惨めな空隙の、無残なパッチワークになっているのだ。

「文芸的プログラミング」
著者:
D.E.クヌース
出版社:
アスキー
分類:
PC,専門書

”プログラミングの神様”クヌースの唱える「文芸的プログラミング」とは、プログラムを人間が読むことを前提として書き、単なるコメントではない平易な文章と、読み易く小さく分割されたソースコードとで、アルゴリズムを審美的観点から眺められるよう書くことです。

さて、逆に、文章をプログラミングとして捉えることはできるだろうか。誤字のようなシンタックスエラー位しかデバッグできない日本語ワープロを改善し、構文解析能力を持ち、ロジックの流れを追い、韻律や調子を統計的にチェックできる、そんなデバッガが欲しいと切に思うのです。

更には、文章の意味解析により、文章によって描写された場面の3DCGモデルができるような、そんなプログラムも欲しい。これらは完全に現実的な要求だと思います。例えば、構文解析に関しては、このような成果も既に存在するのです。

「Internet Handy Reference JavaScript」
著者:
上田学
出版社:
オーム社
分類:
PC,専門書

そして、私の最終的な望みは、小説を真に実行可能な、プログラムとすることです。読者に反応し、自動的に条件分岐を選択し、再帰し、物語を紡ぐ、そういう文章を書きたい。

以前から自分は、SFにおけるテクノロジーの扱いには悩んでいました。限られたビット数をまるまるテクノロジー説明に充てる訳にはいかない。物語世界を描く時、導入したガジェットにどのくらいの重要性を与えることが許されるのか。読者を素早く幻惑し、その動作原理や使用法について分かったつもりにするのが巧い書き方なのですが、巧く騙せているのにそのガジェットを酷使しては、すぐにメッキがはげてしまう。結局メッキなのです。

私がやりたいのは、読者の知識レヴェルを推測し、物語の理解に必要な知識をリンクの形で提供するというものです。

どっかに、必要な知識に直結した、辞典型サーチエンジンなんて存在しないかなぁ……

読んでて思ったのですが、気軽にプログラミングするのに最適な言語かもしれません。出力はファイルに落とせませんが、クリッポボードにコピーすれば良いことだし。ちょっとした計算なんかに重宝しそうです。

「日経サイエンス 1997年7月号」
出版社:
日経サイエンス社
分類:
科学,雑誌

特集はインターネット。表紙下の「ネットは人類の全知識を集約したユートピアへ向かう」の文には少々驚いてしまった。マヂなんだろおか。私は、「クリフォード・ストールも「インターネットはからっぽの洞窟」なんて書いたけど、そのうち泥沼へ戻ってくるさ」とタカをくくっている向きですが、それでもここまで楽天家ではない。

三次元ビジュアルインターフェイスについての画面は、わずかに見た目が違っているが、五年ほど前に雑誌で見たものとおなじものだ。つまり、進歩無しか。

「パリティ 1997年6月号」
出版社:
丸善
分類:
科学,雑誌

特集は「物理化学この一年」なかなか便利な特集である。興味深いのは近年発見された太陽系外惑星の多くが、恒星にやたらと近い木星級天体であるというものだ。個人的には、恒星の脈動を誤って解釈しているだけだという説のほうが、もっともらしく思えます。

「ヤングキングアワーズ No,28」
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,雑誌

「ジオブリーダーズ」高見ちゃんがどこにあんなグレネードを隠し持っていたのか、うーん。パトリオットの発射シーンは迫力。上昇する複数の光の柱。カッコ良すぎ。

綾スポは毎度ながら最高。芸能面が”夏のコミケ52万人動員”という素晴らしさ。こういうスポーツ新聞なら読んでも良いかも。マルイさん気合い入ってます。

「エクセル・サーガ」某都市にあんな”秘密研修所”などあったのか!それにあの制服は!……おそるべし。

そして平野耕太超絶対推薦ッ!!の「HELLSING」平野耕太の黒バック三白キャラの迫力は異様なものがあります。やー、今月はカッコいいッス。

「S.M.H Vol.7」
出版社:
ホビージャパン
分類:
趣味,雑誌

表紙が恥ずかしくても、買いましょう。”スペシャルボーナス”がS.M.Hらしくて良。

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