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November,6,1997

「オルタカルチャー日本版」
出版社:
主婦の友社
分類:
趣味・ムック

例の「小谷真理、およびそれを泡沫とするニューアカ残党似非アカデミズム」なる異様な項に惹かれてGET。

最近のカルチャーな事項の辞書本を目指した、本家オルタ・カルチャーのへろへろな物真似です。

とにかく、項目選択がアホ。項目設定は編集部によるものらしいですが、何となく編集者の人物像が見えますね。こういう世間の見方があるのか。妙にドラッグ、一部アニメ業界、ジャンプ系変漫画家などの項が目立ち、特に「カトキハジメ」の項があるのには笑ってしまった。チャロンをプレイし過ぎた奴がいるんでしょう。きっと。

内容はどれも、どこか引っかかったり、むかついたり、いらいらしたりするものばかりです。多分、十年後には楽しく読めるようになるでしょうが、やはり今読む本です。この本は、自分の認識の”位置”を見定める役に経ってくれます。

さて問題の異様な項ですが、よーわかりません。

私は山形氏のファンであり、楽しく読みましたが、攻撃されている当の人物の文章に、とんと心当たりがないもんで。山形氏についても、「ユリイカ」にしっかり書いているし。もしかして自己言及入っているのでしょうか?

不毛です。この項では、SF界周辺の評論風土に触れ、不毛だと非難していますが、私のようなどっぷりなSFファンにも分からない論議は、それだけで十分不毛です。

SFファンという人種は、世界を変えずにはいられなくなった種族です。認識を一変させる衝撃を味わったからには、もはや古い世界には我慢ならない、そんな連中です。

だから、論議の理由はわかります。しかし、彼らのようなSF有名人の舌戦を読んでいて、いつも思うのですが、その戦いは雄々しく、迫力あるものなのですが、それはどこか幻想的な世界の果て、決闘の森の奥で行われる戦いのようです。

世界を革命できることを信じて、戦うデュエリスト達。

で?

それで革命できるの?マヂにそう信じてるの?ほんとにいーの?それで……

「ニューロマンサー」
著者:
ウィリアム・ギブスン
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

前回読んで、随分経った気がします。久々にカッチョエエのが読みたくなり、再読。

再読は、衝撃でした。

我々には、こんなにも圧倒的なSFが与えられていたのです。サイバーパンクとか80年代とか、そんなのを全て捨てて、再読することを強くお勧めします。

とにかく、アィディアの密度が尋常ではありません。よく、「ニューロマンサー」にはたいしたアィディアなど無い、とか、文体だけ、とか言う人がいますが、それは、アィディアが何処に消費されているのか、識閾下に押しやられているのです。ギブスンのアィディアは、文体レベルで消費されています。

例えば、

<スプロール>には、一種得体の知れない十代DNAが働いている。その中に、さまざまの短命な熱病のための指示が遺伝暗号化されており、妙な間隔をおいて自己複製するのだ。

この短い文章では、ミームの原形といえる概念を用い比喩を行なっています。カルチャーについてこれまで見た事も無い方向から眺めることになります。しかもさらりと。

固有名詞の選択の具合も、卓越したアイディアの発露を示しています。これまでのSFでは読んだことのない人物像。読むうちに、作品世界がどこかで自分の現実へとシームレスに繋がってゆく感覚。それもこの、読者を識閾下で圧倒するアイディアのお陰だ。

自分は、何時の間に、このレベルを忘れ去っていたのだろうか。この水準は、二度と戻ってこないのだろうか。

こういう作品を次に読めるのは、何時になるのだろうか。

「SFマガジン 1997年12月号」
出版社:
早川書房
分類:
SF,雑誌

特集はティプトリー。確かにティプトリーは巧いです。凄腕だと思います。確かに「たったひとつの冴えたやりかた」は初心者にお勧めだと思います。

しかし、どうも、ラファティを祭り上げるのと同様な、妙な感覚が紙面に漂っていて、違和感があります。

では、何故今月に限ってSFマガジンなんて買ったのか。そう、「ツリー会戦」ジーン・ウルフ!!タイトでナイスな短編です。翻訳は柳下毅一郎。読んだあと、感謝の祈りを捧げてしまいました。モットヨミタイデス。

「日経サイエンス 1997年12月号」
出版社:
日経サイエンス社
分類:
科学,雑誌

「偽りの記憶をつくる」偽りの記憶の植え付けが、場の雰囲気と慎重な誘導によって、容易に行なわれ得る、というのには、少なからずショックを受けました。

これほど容易に記憶の植付けが行なわれうる、というのは、洗脳の恐怖とかより何より、自分自身の記憶を、日常的に改変しうるのでは、いや、改変しているのでは、という可能性が恐ろしいです。

自分の記憶の中で、自分で造ってしまった記憶は、一体どのくらいになるのだろうか。オリジナルな記憶は、どのくらい残っているのだろうか。

さて、記憶植付け、SFのネタに使えそうですね。特に、植付けに対する自己の記憶保護の権利だとか、毎日の行動ログ撮りの習慣の形成とか。

「水面を走るトカゲ」某アニメOPで、水面を走る主人公のシーンは、これと同様な原理なのでしょうか。とすれば、水面を蹴るときに必要となる力積は……わぁお。

「AXIS Vol.70」
出版社:
アクシスパブリッシング
分類:
趣味,雑誌

特集「デザイン未来見聞録」我らがSFファン必読です。

フィリップスのコンセプチュアルデザインは、イイけど、何故か既視感有り。十年くらい前に考えたようなアイディア、特に強化ジュエリーなどそのままで、驚きました。誰もが思い付くようなアィディア、未来観を現実化する、その技術的下地は育っているのです。

サンのデザインには、あまり魅力無し。フロッグデザインって今、どうしているのでしょうか。松下通信工業の移動体通信機器のデザインは、見事。そそられます。

ソニーは圧巻。クロームメッキの情報機器はクールなツール。ビデオジャーナリスト用装備デザインは強烈。無印良品の「エアー・ファニチャー」は、その、画期的新しさを強烈に発散。

ところどころの、ピントの外れた文章を別とすれば、是非的買いです。

「Hyper Hobby Vol.5」
出版社:
徳間書店
分類:
趣味,雑誌

内藤泰弘の「爆走!!オモチャグランプリ」に惹かれてGET。やーイイッス。内藤泰弘って、イカした漫画家であると同時にイカした文筆家でもあるので、伊藤ガビン以来コレっと思った文章書きがいない、というような方にはオススメ。

やー壊れてます。内容の方は、さっぱり分かりません。自分に収集癖は無いし(もし有ったとしたら、と考えると恐い。少なくとも早川青背は収集しているのではない。「グランド・バンクスの幻影」やら「ジャンパー」やら何やら、欠かさず買うとか、考えただけでも恐ろしい)仲間内で何か盛り上がっても、一番に降りるタイプだったし。

さて、残りはというと、特集は未だにエヴァ。「スターシップ・トゥルーパーズ」やっぱ装甲強化服がないとツマンナイ。ウォーリア・バグがどことなくレギオン。MIB最高!

「SUPER ASCII 1997年11月号」
出版社:
アスキー
分類:
パソコン,雑誌

IE4.0カスタマイズにハマっている同志諸氏へ。

現在のところ、雑誌ではこれが一番詳しい内容を持っています。

久しぶりに読むと、なかなか楽しく読めて……自分の変わりように歳月を感じてしまいました。いや、十年前に読んでいた頃はこの雑誌、自分にとって先端テク誌でした。妙にスパコンネタが多かったっけ、等と回想にふけることしばし。今ではフツーのシステム管理者御用達誌です。

ところで、「MUSIC REVIEW」の紳和電機という、何かのパチもんメーカのようなユニットのアルバムのレビューは必読。「アキババリバリ伝説」は是非聞きたい。とはいえ、レーベルと品番がアレなので、ジョークだとすぐに分かるのだが、ナイス。

「イバラード物語」
著者:
井上直久
出版社:
青心社
分類:
漫画,単行本

とある方からお借りして、読みました。

駄目です。「思念に反応」等という文句を読むだけで、虫酸が音速を突破するという体質なもんで、読み通すまでにそれはもう亜光速に達していました。

設定がシンプルというか何と言うか、現世的社会、エルフじみた超文明、その間のホビット村、なるほど。都合の良いもので構成された世界には、どこかガーンズバック的科学万能にも通じる甘やかさがあります。

文章や物語内容を無視して、絵柄に集中すれば、それなりに良いとも思えます。

「ヤングキングアワーズ No.33」
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,雑誌

先月とうって変わって表紙は……高見ちゃん。良し!(ハナマル)

「ジオブリーダーズ」今月もその密度はさすがです。アクションの話では無く、何故かゴーグルを巡って仁義無き闘争の場となった神楽本社、というような、インターミッションな内容。

なのですが、ギャグにも絵は気合い入っているし、物語の行方を占うような渋いシーンも織り交ぜ、そして最後の雨の中を走るまや……と、その読後感はシビれるものがありました。あと、高見ちゃんの「あう」にも。

「TRIGUN-MAXIMUM」本誌の読者ページで、この絵、この作品に難癖つけた奴を、バカ撃ちで抹殺許可します。今回も良。リィナの年齢が上がったような気もするが、散髪シーンの、櫛を構えた姿は絵になっています。バックの雲の手抜き加減が少々気になるけど、オッケェ。

「スワン・ソング」佳作です。「エクセル・サーガ」六道神士サイン会?次号表紙+巻頭+ポスターだと?うひゃあ。

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