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July,12,1998

「ドクター・アダー」
著者:
K・W・ジータ
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

ヤバいSFの代表格として知られる一冊です。

古き良きSF純粋培養な人にはショックでしょう。初めて読んだときは自分もそうでした。汚濁の街L.A。暗殺パーティー。四肢切断娼婦たちのカリスマ。そして……言いようの無い悪の数々。

だからこそ、読みなさい。本当に必要なのは、衝撃なのだ。我々の住むこの世界は、何かぶ厚く無感覚なもので塗り固められている。それを剥いで、醜い本質に迫るには、ドクター・アダーのクロームの刃が必要なのだ。

「蟻塚の中のかぶと虫」
著者:
A&B・ストルガツキー
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

マクシム・カンメラー三部作のうちの二作目です。今回の再読で、ようやくシリーズの人間関係がわかりました。とはいえ、物語の中身には、そういう所は全く関係してきません。

地球に戻ってきた男。彼は未知の超存在の生み出した子供。それは絶対の秘密であり、特に本人には絶対に知られてはいけないものだった。彼は生まれながらにして危険であり、入念に育てられ、辺境へと遠ざけられ、更に入念に監視されていた。

その彼が帰ってきたのだ。それは自由意志によるものか。それとも超存在のロボットに過ぎないのか。彼の足跡を追うカンメラー。彼は人間らしい苦悩をあらわにしていた。だが、同時に超存在のプログラムもまた働いているに違いなかった。

「蟻塚の中のかぶと虫」仮説。大きな甲虫に脅えて四散する白蟻を観察する存在がいると。そいつらはかぶと虫の、白蟻たちの尊厳など考えている訳ではないのだ……

隠喩に満ちた物語です。

「ユニコーン・ソナタ」
著者:
ピーター・S・ビーグル
出版社:
早川書房
分類:
FT,ハードカバー

「最後のユニコーン」は、私が最も愛しているファンタジーの一つです。その作家ビーグルの作品、ハードカバーでしたが、迷わず買いました。

良質なFTです。しかし……食い足りません。何より、「最後のユニコーン」の、あの高貴なアイロニーに匹敵するものがありません。

「宇宙をかき乱すべきか」
著者:
フリーマン・ダイソン
出版社:
ダイヤモンド社
分類:
科学,ハードカバー

高専の一年の時に読んだきりでしたが、強烈な印象を残した本でした。名著です。

自伝というより、フリースタイルな雑想ですが、こちらのスタイルのほうが、この知性の巨人には似合っています。好き放題というか、70年代の空気に直に触れるような気分です。彼の心にじかに触れる観のする、得難い本です。

今読み返してみると、疑問に感じたり、首をかしげてしまう所が少なくありません。現実主義から誇大な空想への急速な跳躍や、無根拠な定義に沿っての思考があり、例えばクローニング技術への反発(実際のところ、これもよく分からない)から来た、言語種の多様性が文明発展の基礎であり、希少言語を保護すべきだという説には、そりゃN-88BASICやALGOLを使いながら保存するとか、そーいうハナシなのか?とも取れる訳です。その他にも「グレー」な技術と「グリーン」な技術の別とか、これも分類の根拠が不明で、しかも今日の目で見ればどちらも同様だという具合なのです。

しかし、一度は読むべき本でしょう、彼が偉大であることは読めば判ります。自分の思考と照らし合わせると、己の卑小さに気づかずにはいられません。

あと、安全炉ことTRIGAの記述も必読。

「スーパーアスキー 最終号」
出版社:
アスキー
分類:
PC,雑誌

寂しくなります。

PCの終焉を予言する記事の多かったのが特徴的。めたはー劇場って、そんなにアンケートの評判悪かったのだろうか。おいら、アスキー伝統の最後の砦、めたはー劇場をこっそりと熱烈に(……)愛好していたのに。

「ピュアガール 8月号」
出版社:
ジャパン・ミックス
分類:
PC,雑誌

えろげ雑誌です。白状しますが、創刊号から買っています。

肝心な部分である筈のゲーム紹介はほぼきっぱり無視しています。だってねぇ、絵柄は基本的に同じだし。内容は基本的に同じだし。巧い絵でも……ねぇ。

思うに、やっぱPC-9801が日本のソフトウェア進化を歪めたのですね。特に4096色中16色パレットが。肌色のグラデに5色割り振ってしまえば、お馴染みの絵が必然的に出来上がる訳です。これが256色SVGAだったなら。しかしもう伝統は築かれたのです。

さて、本誌の真の読みどころはコラム、そしてCG作家の書き下ろしイラストレーション。後者は同様の紙媒体としては最高クラスの印刷品質と、作品の質を誇ります。雑誌装丁も非常に良質です。手に取る満足感はかなり高いです。裏表紙見なければ。

コラムの方は……えっ、もうハイエンドの話は打ち止めなんですか?そう、キーワードはハイエンド、これは複数の定義があったり定義が禁じられていたりちょっとした論争があったりと、最近ちょっと目を離せない話題だったんです。(はい。加野瀬氏のHP"ARTIFACT"は巡回コースです)

雑に定義してしまえば、エロゲ、エロマンガ界起源の高水準化運動もしくはジャンルの事です。SFファンならニューウェーヴやサイバーパンクをすぐに連想するでしょう。ジャンルでくくられた本人が嫌がるとか、アジテータの存在とか、その辺も似てるし。結局サイバーパンクという運動は”ギブスン”というイメージでくくられてしまった訳ですが、ハイエンドも同様に”ピュアガール”を指して、”それがハイエンドだ”と言えば多分おっけぇ。

さて問題は何をもってハイエンドの基準とすべきか、というコトで、実際のところその辺りの論争を期待していたのですが、沈静化したのかしてないのか。web巡回甘いんで、その辺りよく判りません。が、多分ピュアガール誌のコラムは長期的に何らかの影響を及ぼし続けるでしょう。

そいえば、”カドカワ、バンダイ、アスキー文化”、角川に並ぶほど、アスキー文化ってそんなにインパクトボリュームあるんでしょうか。せいぜい”ホビージャパン文化”とどっこいどっこい、という所ではないかと。

その他にも今月は、一部筋では天才とも評されるウガニク氏のレビューがあったりと、オタクカルチャーのコアに近い、見逃せない雑誌です。

しかし……えーと、新刊情報で「TRIGUN MAXIMUM #1」が、他にもTVアニメTRIGUNサントラが紹介されていますが……気持ちは判りますが…………

「AXIS vol.74」
出版社:
アクシスパブリッシング
分類:
デザイン,雑誌

特集は「語りかけるイメージ」つまりは、メッセージ発散型のデザインの特集、ってことだと思うのですが、よくわかりません。

まずはアップル。CMデザインは好感度高いのですが、もはやCIが腐っているので、それがどうした、という気分。まぁ、デザインが格段に良いのは誰もが認める事実。しかし、NECはひどい。とうとうVAIO NOTE505を恥ずかしげも無くパクってしまった。もっとまともなデザインは無いのだろうか。G3PowerMacみたいな曲線系はヤだけど。


さて、自分は最近、新しいデジカメを買いました。昔のデジカメはリコ−のES-1000、バカみたいに小さく安っぽい、ボタンが3つしかない、ある種理想的な機械だったのですが、使ってみて「デジカメはカメラではない」という当然の事実に気がつきました。液晶が無ければデジカメではない。デジカメの本来の使いかたはメモに近い。

新しく買ったのはニコンのCoolPix600。PanasonicのOEMですが、外側のデザインはニコンっぽいやぼったい、普通のデザインになっています。素晴らしいのはその小ささ。サイズこそがデザイン、主張です。メモとしての携帯性こそ重要なのです。単純な凹凸で驚くほどホールド感があり、レンズ周りのカメラ風の造作と、操作系のウォークマン風の造作がミスマッチで楽しい。全体としてハンディ録音機風の仕上がりとなっています。

当然のデザインをすれば辿り着く所があります。曲線や表面仕上げはまずそこ、出発点に立ってからです。……しかし、CoolPix600、98年のデザインとは思えないなぁ……

「C++のからくり」
著者:
スティーヴン・R・デイビス
出版社:
ソフトバンク
分類:
PC,ムック

おっそろしくくだけたC++本です。私の知る中では最強。

マイ師匠からは、C++勉強するならコレ!キマリ!と、新約聖書(旧約聖書は勿論K&R)こと「プログラミング言語 C++」を薦られましたが、えーと、一応二回は全部目を通しましたが、枕にするには高さは充分なのですが、多少幅が狭い気がします。

しかし、C++の習得は、今やプログラマーに科せられた宿命です。

さて、この本、あちゃらの国ではベストセラーだそうですが、わかる気がします。C++の言語仕様を、なぜそうなっているのか、という技術屋思考な切り口で解説していく姿勢、現実に即したワンポイント的注釈、そしてふざけたナイス文体、非常に好感が持てました。お勧めします。

どんなにくだけたイイ感じの文章でも、言語本ですから、そのうち枕にしたくなるとは思いますが、枕にするには高さが不足しています。厚くないのですから、一休みして、それから続きを読みましょう。

おかげで、ようやく納得がゆくようになりました。半分くらいは。こっから先は、実際にコード書きながらの勉強です。

「BATMAN: Dark Knight Returns」
著者:
フランク・ミラー
出版社:
小学館
分類:
漫画,単行本

いかな英雄とても、歳月には勝てない。彼は老いていた。黄昏に向かいつつも彼の心には熱と衝動が、押さえがたいものが残り火のようにあったのだ。現代の廃退の中で、彼は再び夜の支配者となる。だが、歳月は流れたのだ。変わったのだ。彼も、そして社会も……


アメコミ史における記念碑的作品です。ベトナム後のアメリカでの、バットマンの再臨とその神話となるまでを描きます。傑作です。日本語訳本は贅沢なつくりです。カバーがあの有名な絵柄でないのが唯一点、惜しい気がします。

アメコミの文法は、日本漫画の文法と同じように独特のものですが、異質だからと放り投げるにはあまりにも豊穣です。

「脱走急行」
著者:
六鹿文彦
出版社:
ラポート
分類:
漫画,単行本

知人に教わり、捕獲。

溢れるロシア趣味!ロシアメカディティール満載!ロシア戦車はやっぱ良い!

表題作はメカ趣味&ギャグの鬼戦車T-34。敵の女司令官がメガネで良い感じ。ロシアメカ好きにはたまらない逸品です。出版は1993年。随分と古いです。……ってコトは、知らなかったのはオイラ位だったのだろおか。

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