住宅照明の改善−地球温暖化対策の為に


生活と照明

都市近郊に住宅地が開発されるに従って住宅の照明も増えて行きます。人々が 生活する場所には、必然的に商店、娯楽・スポーツ施設、レストランなど色々 なサービス業、そしてそれらに付帯している駐車場などが増え、屋外照明も それを追って取り付けられるものです。 人の生活のあるところには夜間照明はなくてはならない物であり、私たちの生 活がだんだん夜型になっていることも大きな影響の一つです。
夜間に人工衛星から撮影した地球の写真を見ると、 明かり の分布で地球上のどこに、人の生活があるかハッキリと分かります。 都市と商業地の夜間照明、住宅地、街を中心にして碁盤の目のようにのびる道 路、山間を縫うように走る高速道路。油田地帯の炎、焼き畑農業の火、山火事、 そして海の上では、漁り火が大陸棚に沿って並び、何処に魚がいるかさえも漁 船の光で分かるのです。
私たちは、今増えるばかりの照明の効率的な使い方を学び、地球温暖化対策の為 にもエネルギーを有効に使う方法を知る必要があります。

住宅の照明

屋外照明には色々な物がありますが、ここでは住宅の玄関、庭、集合住宅の開 放廊下などで使われている夜間灯、防犯灯などについて考えてみましょう。

次の写真は、横浜市の若葉台団地の集合住宅開放廊下を撮影した物です。わが 国なら何処でも見かける住宅です。 沢山の蛍光灯が使われ、 夕方から早朝まで点灯されています。


写真−1

この住宅で生活する人にとって夜間照明は絶対必要なものです。階段の上り下 り、夜間廊下を通って自宅から出入りするとき照明がなくては生活は大変不便 になります。 しかし、何か工夫出来る事があるのではないでし ょうか。考えてみましょう。
上の写真の例では、132本の蛍光灯が使われ年間約14万円の費用と約600 キロワット時の電力を使用しています。



写真−2

廊下の照明

左の写真は、若葉台団地の中にある「介護付き高齢者用住宅」の夜景です。住 宅の北にある窓のついた廊下の照明が一晩中点けっぱなしです。介護を必要と する高齢者用の住宅の廊下ですから、夜間照明は絶対必要な物です。 ここでも工夫できる事がありそうです。

ヨーロッパの住宅照明とタイマースイッチ

ヨーロッパ特にドイツイタリアを旅行されたことのある方ならご存じでしょう。 住宅の玄関、ホールの夜間灯は普段はほとんど消えています。そのかわり小さ なネオン管の明かりで位置の分かるスイッチを押すと住人が玄関とホールを使 うときだけ明かりが点灯する仕組みになっています。そのあと何分か経過する と照明は自動的に消える仕組みです。このスイッチを 「タイマースイッチ」 と呼び、ほかにも色々な所で使 われています。
合理的な ドイツ 、物を大切にする イタリア の特徴が良く出 ている素晴らしい習慣ではないでしょうか。

私たちも見習おう

照明を必要な時だけ使う事、とても大切な事ではないでしょうか。横浜市では 自動車の アイドリングストップ運動 が始まりました。同じ運動を (社)日本自動車連盟JAF も推進しています。荷物の出し入れ、客待ち、 車への昇降時、また信号待ち(JAFではこれも提案しています)など車を使 わない時は、自動車のエンジンを止める事により排ガスの低減と燃料の節約を する事です。
照明でもこれと同じ事が応用出来、それを既に何年も前か ら実行している のがヨーロッパの人たちです。 照 明を必要な時だけ使い 、無駄な電気を使わないようにし、省エネに結 びつけているのです。地球温暖化対策が必要になってきた現代では、この様な 良い習慣は世界中で見習うべき事ではないでしょうか。ヨーロッパの人達が自 信を持って日本を越えるCO2削減の数値を出したのは、こんな所にも理由が あるのかもしれませんね。

省エネの効果について

上に紹介した写真−1の例で住宅への出入りが多いのは、 夕方から午後10時まで で、それ以降、 深夜、更に明け方 まではほとんど点灯することがないはずです。例えばタイマースイッチ に10分間前後の物を使い、80%の電力が節約出来るとすると。年間で14万円 X 0.8 = 11万円の節約が出来ます。横浜市旭区には、同じ様な集合住宅が少なく とも1,000棟はあると予測されます。そうすると年間で一億円の費用が節減でき ることになります。

横浜市全体では、 数十億円の費用を節減できる と予測出来ます。


暮らしの知恵です

この様な工夫は、タイマースイッチに限らず防犯灯に 赤 外線センサー を取り付け、人や車が近づいた時に照明を点灯すること で、同様に必要な時だけ照明を使う方法があります。防犯灯では、赤外線セン サーを取り付けると大変効果があると言われています。住宅に近づくと突然屋 外照明が点灯し、防犯効果は大きくなるからです。

私たちが身近な所で出来る暮らしの知恵 で、省エネルギーと地球温暖化防止に貢献することが出来るのです。


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わか天は、 国際ダークスカイ協会日本支部(IDA Japan Section) の幹事です。
Last update: 1998 March 22