ハーイル、イルパラッツォ!!
理想推進機関アクロスの下僕(F県出身)として愚考するに、そう、もう市街征服なんてスモールコンパクトな事ヤメヤメ。ドーンと宇宙征服しましょう!
征服といえば武力。宇宙といえば宇宙船。ならば、アレっすね。
オイラ、本職は人工衛星屋なんですけど、時々「ヒトが乗る奴を作りてぇ!あとミサイルとかビームとかウデとか(脚は不要)出してぇ!」と思うことがあります。ストレス溜まった時なんかに。
そうアレ、宇宙で戦闘機っぽいヤツ、専門用語的に言うと、武装有人宇宙機!
まず、乗員、オレ専用!
武装、これは後回し。機動力は、うーん、デルタV=5km/sくらい。
デルタVってのは、燃料を使い切るまでに、どこまでスピードを上げることができるか、という数値。宇宙にとりあえず上がれば、既に8km/sくらいは持っている(無けりゃ落っこちるよ。無重力とは別名、自由落下と言って、要するに落っこち続けているのだ。コツは遠くに、丸みに沿って、地球の端を越えて落っこちる事だ!)ので、つまり時速28000キロのトコロから、プラス時速18000キロ、合計時速46000キロまで、加速できれば、月に行って帰ってこれます。詳しくは、計算すべし、というか勉強しろ!
つまりデルタVとは航続力。じゃあ、ヒュンヒュン動くためには、というと、推力、どのくらいの速度で推進剤(専門呼称に変えるね)を捨てていくか、を大きくするのです。
捨てる、って言葉で引っかかってる?でも宇宙じゃ運動は作用反作用。エンジンから推進剤を押し出す力と同じだけの力で、宇宙機は飛びます。
押し出す力は、いかに少ない推進剤からエネルギーを搾り取るか、燃え方が激しいかで決まります。
液体水素と液体酸素の組み合わせ。問題は温度。液体酸素は氷点下183度、液体水素は氷点下252度以下に保たないと、蒸発でタンクが破裂して、終わりっぽい事になるでしょう。
じゃあ何を使うかというと、ヒドラジン(N2H4)と四酸化二窒素(N2O4)の組み合わせに決定!ヒドラジンの沸点は114度、四酸化二窒素の沸点は室温の21度。これならなんとか。
この組み合わせは、点火の必要が無いんです。混ぜるだけで燃え上がるラヴファイヤー!点火の確実さを買われて、人工衛星やらシャトルでは定番です。でも毒だから蒸気吸わないように注意してね。
ロケット本体に使っているトコロもあります。中国は、宇宙飛行士打ち上げるのにも使う模様。勇者じゃのお。
推進剤の種類とデルタVで、推進剤の積む量も決まります。ヒドラジンなら大体13トンくらい。
コクピット周り、生命維持やらバッテリーやらその他電子機器、大気圏再突入カプセル、そしてパイロットもまるごとひっくるめて、重さを大体1トンとしましょう。要するに、テキトーですね。
すると大体、エンジンとか武装とか合わせると、全重量16トン位かなぁ。
ここで気をつけないとアカンのは、熱設計。宇宙機の温度は、ヒエヒエの漆黒の宇宙へ逃げていく熱と、太陽に照らされた部分が熱くなる分、そして機械や人間が出す熱の、収支合計で決まります。
これを、ヒトが生きていける範囲にムリムリに調整するのが、腕の見せ所や。
肝心の武装ですが、まずビームは却下。
ホントは土管のようなぶっといレーザが欲しいトコロだけど、兵器としてのレーザは、一点を超短時間で猛烈に炙って、極端な熱膨張でパキンと壊すってのが使いかただし、そのための動力源、宇宙機に積めそうに無いし。
ミサイルはねぇ…ヤバイんです話題的に。それでも興味のあるヒトは、TMDとかブリリアントペブルスとか、必要以上にキナ臭い単語を追ってみるのも一興。
ドリル?いや、付けたいけどさ…
じゃあ、アレですな。私が銃火器を除いて最も強力な武器と信じている、ナタガマでも持たせましょう。昔の農村ではメジャーな武器でしたし。
さて予想される全体像ですが…駄目?
最後に一言。こんなの生産する軍隊はアホです。実用性はゼロだよー。