わかばだい天文同好会


街灯と駐車場の照明の調査実例


1.前書き

 わかばだい天文同好会が実際に行った団地の街灯及び駐車場の実体調査の結果である。この団地は、ある住宅供給公社が開発した集合住宅地であり、街灯の照明及び駐車場の照明も一般によく見られる典型的な実例の一つである。
 光害を問題とした対策活動は、天文家がその中心になることから、星を見る趣味の特殊な問題と捉えられ勝ちでは無かろうか。しかしながらこの調査結果から、予測通りエネルギーの浪費の点で大きな問題があることが分かった。つまり問題は天文の中だけでは無く、ごく一般的な省エネルギーの重要な問題の一つである事が分かる。
 結論を先に述べると、この団地の街灯、駐車場で使用される電力コストの約70%以上が浪費されている可能性がある事が分かった。費用としては、少なくとも年間6〜7百万円の浪費がなされていることになる。これは街灯と駐車場の照明だけでの結果である。
 それではまず団地の簡単な紹介から始め、結果を見てみよう。


2. 調査した団地と照明の概要

 この団地は、現在約6千戸の住宅を有し、その住民は2万人以上と推測される。15の管理組合があり、それぞれ自治を構成し数百戸毎の住宅に関する施設保守、修理、植裁、環境の整備、広報等の自治活動を行っている。実際の業務の遂行は、住宅地の開発を実施したある住宅供給公社の運営する管理センターに委託する形で行われる。
 その一つの管理組合の実体を調査した。

この管理組合の街灯照明の内訳は:
(グローブ型照明):24本(100W水銀灯)・・・・・・・・・・・・(1)
同管理組合に隣接する駐車場の照明:
(グローブ型照明):13本(100W水銀灯)・・・・・・・・・・・・(2)
(セミカットオフタイプ):5本(200x2W水銀灯)・・・・・・・・(3)
注:セミカットオフタイプは、平成8年度に新設されたもの。


3.年間電力コスト(電力効率は100%、1kwhコストを25¥とした)

(1) に対し (24 x 100w x 4,100h /1,000) x 25\ = 246,000\
(2) に対し (13 x 100w x 4,100h /1,000) x 25\ = 133,250\
(3) に対し (5 x 400w x 4,100h/1,000) x 25\= 205,000\
合計: 584,250\

4.駐車場の照明の比較

 住宅建設当時よりあるグローブ型照明と新設されたセミカットオフタイプの二種類の照明があるので、それぞれの場合の車一台当たりの電力を比較すると:

グローブ型照明(100W水銀灯x13灯):1,300W/184台=7.1W/台
セミカットオフタイプ(200x2W水銀灯−5灯):2,000W/13台=153.8W/台
 これに見るように、平成8年度に新設された照明は、これまでに比し約22倍の電力を使用する事が分かった。この事から、新設した照明の約95%(費用では 205,000 x 21/22 =195,682\)が過剰な照明と考えられる。つまり、100Wの照明一灯で十分な事, 必要な電力は、(1 x 100w x 4,100h /1,000) x 25\ = 10,250\)で済む事が判明する。
5.無駄になる電力についての検討

 以上を考慮し、かつIDAの例(資料: なぜ175ワット水銀灯がよくないか )に従い、エネルギーの無駄に付いて同様な計算をすると:

(1) に対し 246,000 x 0.65 = 159,900\    注1
(2) に対し 133,250 x 0.65 = 86,618\     注1
(3) に対し 205,000 - 10,250 = 194,750\    注2
小計: 441,268\
注:1.グローブ型の水銀灯であり、ノンカットオフタイプ、下方向効率は、35%
  2.下方向率100%の照明が使えるとした


6.結論

(1)調査対象の一管理組合のみで、街灯と駐車場に使用される電力の76%、年間441千円を無駄にしている。 (441千円/584千円=約76%)
(2)特に新設したセミカットオフタイプの照明は、95%が過剰照明。
(3)この新設した照明器具費用を一灯当たり20万円とすれば:
5灯x20万円=100万円を要し、施工費を考慮すればさらに浪費は、増加する。
 以上の結論から、15ある管理組合全体では、441千円x15、つまりおおよそ年間6〜7百万円の費用を無駄にしている可能性がある事が判明した。この調査に入れていない夜間の防犯灯、商店街の照明を考慮に入れれば、このコストの2倍、つまりは年間1,000万円以上の無駄を作り出している可能性は充分ある。


6.まとめ

 照明については、十分な計画と検討が無いまま設置された場合、照明具の寿命がつきるまで費用を負担するのは結局、住民であること。照明は総合的に住民の安全、省エネルギー、景観、環境、生態系への影響等を考えた設計が必要な事を再認識できる。  この問題の解決の為には、適切な照明設計が可能な人材、また、問題把握と問題の提起が出来る人がコミュニティーの中で必要である。


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わかばだい天文同好会は、横浜市旭区にある若葉台の人たちの為に。毎月一回の「星を見る会」を主催しています。スライドを使った季節の星座の説明と、実際に大きな望遠鏡を使って星を眺めてもらいます。同時に、地球に住む人類の共通の財産である星空を守る活動を進めています。

この資料の著作権は、わかばだい天文同好会にあります。非営利の目的で、光害の対策に役立つなら著作権を明示した上で、自由にコピーし、配布して下さい。


Last Update: 1996 Oct. 12