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March,4,2000

「人工社会」
著者:
服部正太&木村香代子
出版社:
共立出版
分類:
科学,ハードカバー

「個体の単純な行動から、取引や戦争、文化、疾病といった社会文化現象がどうやって発現するのか。本書は、この不可解な問題に、マルチエージェント・シミュレーションという最先端の技法を使って鮮やかに答えを示す」


帯の謳い文句ですが、えらく勇壮です。こういう姿勢は嫌いじゃ無いです。

しかし、やっていることは結局、遊びの域を出ていませんでした。上端が下端、右端が左端に繋がっている、このテのモデルがよく採用するマップを舞台に、たくさんのオブジェクトたちが、色々とごちゃごちゃ付け足されるルールに従って状態遷移をします。

マルチエージェントと称されているのはこのオブジェクトの事です。人工生命と称するには、内部状態と環境がチャチですし、シミュレーションとしては、採用された定数とルールに根拠が希薄です。

本の内容は面白く、刺激的ですが、無意味だと言われても言い返せない代物です。

もしやるのなら、定数には現実に知られているものを採用すべきです。ルールも絞りましょう。そして、シミュレーションの有効性について、プログラムに組み込み可能なほど定型化した定義を決めるべきです。そして、部分的にでも、現実に適用可能な、追試可能なシミュレーションを作るのです。

もし、やる気があるのなら、未知の定数を一つ明らかにするたびに、未知のルールを明らかにするたびに、人類社会に対する巨大な知見の広がりと、ニュートン級の名誉がもたらされるでしょう。

錬金術の時代を脱すべき時が来たのです。

「図解 自然言語処理」
著者:
牧野武則
出版社:
オーム社
分類:
技術,単行本
文章作成に関するテクノロジーは全く初歩の段階にあり、我々はそれが未だ技芸のレヴェルに留まっていることを嘆かねばならないのだ。

こう書いてもう3年。逆に嘆かざるを得ないのは、己の実行せざりし事。

コンピュータに支援された文章著述(CAW)ソフトウェアの開発と普及は、氾濫するドキュメント類の質を、大幅に底上げするでしょう。何を言いたいのかよく判らない文章を、問答無用で刎ねるデバッガ、欲しくありませんか?

その為には、文章というものを、構造とその構成ルールに注目して知る必要があります。んで、ま、普通この部分で出てくるのはチョムスキーなのですが、代表的なやつは読んではみたものの、文系本というか国語の文法みたいで、結構難でした。

でも、言っていることは結構当たり前のことなので、ソフトウェア屋なら、この本を読んだほうが判りやすいでしょう。

この本は、形態素解析、構文解析、そして意味解析と、自然言語処理のそれぞれのレベルに関して、過不足無い解説がしてあります。

CAWソフトウェアは、これらのレベルに関して、まず形態素解析をサポートすべきでしょう。文章を単語ごとにバラバラにするこの工程には、解析という観点から、Namazuのような辞書一致型でなく、茶筅のような形態素解析エンジンを用いるべきでしょう。これにより、エディタは、単語単位の操作が可能となります。たとえば、同義語による言い換えなどがサポートできるのです。

構文解析は、主語を明らかにし、不明瞭な文章を一掃するでしょう。意味解析は、何が言いたいのかをすっきりと示してくれるでしょう。

もう、文字コードでうろうろしません。文字をコード処理せず、そのままで扱い、内部コード変換は処理系に任せてしまえば良いのです。という訳で、またプログラム弄っています。

「スタイルシートwebデザイン」
著者:
すみけんたろう
出版社:
技術評論社
分類:
技術,単行本

そろそろ、本格的にxhtmlスタイルシートに移行しようかと、考えています。

フレームとテーブル、フォントとカラー指定による見栄え定義を脱し、i-mode端末を含む、あらゆるブラウザで閲覧可能な論理タグ記述、そしてスタイルシートによる、更に高度なデザイン。

目標は、ページの自動生成と論理タグによる構造的なデータ利用、更にDOMコンポーネントとして…そういう訳で、xmlの一種、xhtml準拠への移行は必須です。

スタイルシート抜きでxhtml化するのは実は簡単で、一番ラクなのはtidyを使うというもの。次は、装飾タグを抜いて、プレーンなxhtmlに書きかえるというもの。これは既に、秀丸のマクロを個人的に製作済みで、ほとんど機械的に更新できると見ています。また、このソースが、将来のページ自動生成のコアになると思われます。

問題はスタイルシートです。格好には拘ります。大体、SF系のサイトで、デザインに気を配っている所が如何に少ないことか。格好良さはSFのコア、ここは譲れません。

問題をさらに絞ると、ブラウザにそれは帰着します。現行のブラウザは、どいつもこいつも、スタイルシート表示は適当です。

現在、最も良好なスタイルシート表示を行うのが、Mozillaです。マイルストーン14、最終アルファの動作を見ながら、私は決めました。春先に、Netscape6.0(つまりMozilla)のリリース後に、裏ページ(あるんです)の全面更新です。


さて、この本ですが、技術内容解説であり、実際の作業のリファレンスには向きません。但し、スタイルシートというのは、ある種の哲学を受け入れることですから、こういう本を読んでおくべきだと思います。

自分のページを、進んだデータ構造へと再構成しようと思っているなら、この本はお薦めです。この本の前半は、HTMLの正しいスタイルと論理ベース記述に充てられています。そして、スタイルシート実装の方針も見えてくると思います。

スタイルシート記述は非常に自由度が高いので、リファレンスから入ると、必ず混乱します。まず、方針、思想が必要なのです。


ただ、しばらくスタイルシートと格闘した感想を述べさせてもらえば、スタイルシートのデザイン能力はさほどではありません。素直なやりかたでは、柔軟で自由なレイアウト構成は難しいでしょう。tableタグによる表現に劣ることを覚悟すべきです。

「Interface 2000年4月号」
出版社:
CQ出版
分類:
技術,雑誌

特集は「開発者のためのUNIX/Linux入門」何故か妙に癖っぽい記事が並んでいます。

特集記事は何故かどれも巻頭2Pほどを、フリーソフトウェア及びオープンソースの哲学の説明に充てています。まともっぽいNetBSDのポーティング記事も、遠まわしに妙なNetBSD賛美が入っていて、妙な具合です。おかげで、野田さんのFoxの記事がわりとフツーに読めました。

記事内容は、シェルコマンドライン操作の説明やら、Sambaやら、Xのライブラリ直叩きとか、役に立つのかたたないのか、微妙なあたり。でも、濃いことは保証します。妙な具合なので、入門にはならないと思いますが、楽しめます。

あと、BlurTeethの記事にも注目しましょう。

野田さんのFox、どうもメモリが入手できなくて、難礁に乗り上げています。こりゃもう、DIMMでも使うしか…

「AXIS vol,84」
出版社:
株式会社アクシス
分類:
趣味,雑誌

「今のデザイナーってのはあまり役に立ってないね」

最近、安いシャーペンに良いデザインのものがありません。大きめの文房具店でも、少しでもマシなデザインのものが欲しいのだが、と、つまらない悩みかたをしないといけません。

本誌は今月も、役に立たないアイディア倒れ賞もののデザインが一杯で、「デザイナーよ、こんなものは要らん!」と言いたくなります。しかし、それはテクノロジーへの無理解に基づいているためで、たとえば、まともな技術者なら、電力線織り込みのテーブルクロスなんて恐ろしいものは思いつきません。そんな、いつ何時感電や発火するかわかったもんじゃない代物を。

しかし、わかっているデザインは素晴らしいものです。例えば、コネクションマシンCM-2!いつもながら、かっこ良さに滝涙。「Without Thought」展のアイテムも素晴らしいです。日本のインハウスデザイナー、少し見直しました。

でも、基本的な、シャーペンのデザインも忘れないでおくれよ。


あと、注目すべきは元祖フリーハード「Morphy One」が紹介されているところ。目のつけどころ、良いです。但し、Morphy Oneの設計は、再プログラミング可能なFPGAを含むような、面白い点はあるのですが、HP200LX系の代替という初期目的に縛られて、時代に取り残されかけているのが残念です。

これから面白いのはPDA、Palm/GameBoyスタイルでしょう。ブラウザ適合な縦画面と無線インタフェイス、ペンそして音声入出力をサポートする強力なRISC CPU。Palm互換機が幾つも出てきており、様々なデザインアプローチが期待できます。

そして私が期待するのは、やはり、デザインの良いPDAです。PDAは文房具に近く、しかし、高級文房具に匹敵する価格でありながら、外観は極めて貧弱です。ハードユースにも耐えず、操作上の問題もまだあります。卓上にクレイドルと置いて、満足感があるデザインを望みますし、卓上に常にあるクレイドルのデザインにも、配慮が欲しいのです。


しかしやっぱ、フリーハードという言葉には、違和感があります。本物のフリーハードは、VHDLで記述されるべきでしょう。メーカーのブラックボックスを含むべきではありません。MSX互換機くらいだったら、多分全部VHDL記述できるよなぁ…

「妖の寄る家」
著者:
宇河弘樹
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,単行本

「スタンダード・ブルー」の宇河弘樹の初短編集です。

佳作揃いです。初期2作は確かに麻宮騎亜っぽく見えますが、それはトーン選択のせいでう。カオにあんなトーン張るのは他には麻宮騎亜しかいません。線は別物です。

三作目の「官憲横暴ビーボくん」で絵柄は確立します。作風は昔と変わらず。やー、ビーボくんすげぇ。

一番好きな作品は「流れ星の夜」ページ構成の趣味の良さ、テーマにかかわらずしっかりした絵、そしておちゃめ。「宇宙保険医フミエさん」も良いセンス見せています。

しかし…「円環の廃都」は、読んでいるこっちが恥ずかしくなるくらいギブスンだなぁ。

お買い得度は高いです。作家ともども。

「さんま」
著者:
目黒三吉
出版社:
シュベール出版
分類:
漫画,単行本

エロ漫画です。でも、目黒三吉の初単行本です。

目黒三吉の漫画といえば、ヘンなカッコのねーちゃんが、いたいけな少年をボコにしたりナニをしたりして、去っていく。そんな破綻した奴ばかりですが、何故かファンが意外にいたりします。

巧かったり駄目だったり、こういう感じが好きな人は、偏愛しましょう。

「ヤングキングアワーズ 2000年4月号」
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,雑誌

「市街をください…」表紙中ほど左手の矢印に注目。いきなりバカです。

「TRIGUN MAXIMUM」遂に、ずっと推測してきた事が裏書されます。しかし、サンドウォームが知性種だったとは。そしてザジが。見開き大コマのホーンフリーク。うはぁ。かっこいいなぁ。アニメの名せりふ「ラの音が出ない…!」も出ました。でっかい姐ちゃんも一杯出ていて、良い感じです。

「朝霧の巫女」宇河弘樹の放つ、アワーズ第三の愛郷ローカル漫画、先月では”広島カー”ユーノス、オープンカーに乗った巫女さんというナイス絵柄を堪能しましたが、今月はただのコタツを囲む話。

巫女さん学園もの、巫女さん三姉妹、無敵のフォーメーションで臨んでいる割りには萌え要素が炸裂していないのは、地に足のついた描写ゆえ。お父さん、良いです。主人公のお父さんの名前は、まだ巧妙に隠されています。かわいそうなのは乱裁道宗。

「ドキドキロコモーション」今月はフミエさんの出番が少ないから駄目。


ホテルはSWATとマスコミとに囲まれていた。南米の夜に血の匂いが満ちる「HELLSING」今月はヘルシングの月です。うーん、ヤナン、ダガラン、ヴォーノムは覚えているのですが、他は記憶に無し。また王立宇宙軍観なきゃ。

黒のアート。月は赤いに違いない。


さて、今月の「ジオブリーダーズ」!

高架下を疾走するトラックと攻撃ヘリ。一度は観てみたいが、冷静に考えると非現実的なシチュエーションも、伊藤明弘の筆力でむりやり実現!高架下のチャフの航跡、滞空する逆光のヘリ、そしてコブラのバルカンの薬莢の、滝のように落ちるさま。

そしてやってきた新型機バラクーダ。…非常識です。やっぱしティルトロータでしたが、例のブツ、バッテリーで持つんかい!

見慣れた場所が、戦場に変わります。しかしそのど真ん中に、サラリーマンたちが右往左往。行け!神楽総合警備!行け!というか早く出て来い高見ちゃん!

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