買っていないと、駄目です。
もしSFが滅びゆくものであるならば、1980年代のSFこそ、頂点を極めた、至高の時代だったのでしょう。特に、砂漠の時代、90年代をはさんで思い返すときには。
もし、80年代を代表するアンソロジーを選ぶとしたら、「ミラーシェード」とこの短編集が選ばれることは間違いありません。
80年代以前のSFなんて、へっぽこもいいところです。読みましょう、至高の短編集を。この再版を逃してはなりません。
一読すればわかります。それは、危険なほどの豊穣。
特にお薦めは、マイベスト短編「確率パイプライン」
カオスとフラクタルとサーフィン! アイディア、文体、そしてイカれた結末。
「やめろ! 原発賛成派思考をするんだぞ! ゼップ!」
象牙の塔の白衣びとなど影かたちも無く、アホなサーファー二人組とバタフライ効果があるのみ。当時最新の科学の先端を扱うその手並みの、そのラディカルさに陶然となったものです。
SFには決まったスタイル、約束など無く、ただただ、可能性のみがあるのです。
歴史とは、愚行の記録に他ならない。
まぁつまり、そういう事です。「愚か」の一言で片付けちまったほうが建設的だとおもえるような、そんな内容満載でお買い得(?)です。
読んでいると色々と、これまで噂や二次的な言及のみでしか知り得なかった事柄が判って、興味深かったです。しかし、逆に言えば、ここの内容は、現在ほとんど影響を持っていないのではないか、そう思うのです。
SFとは何か、定義と再定義と再定義を繰り返す、成長とも取れないこともない内容ですが、批判と人格攻撃、論議と荒廃の記録は、この"今"に、一体何の影響を残し得たかと考えると、やはり悲しくなるのです。
しかしまぁ、無駄というわけではありません。愚行は繰り返すものです。だから、備えましょう。学べば、我々の愚かさを、多少は減じることが出来る筈です。
特集は「脳と心の量子論」見るからにいかがわしげです。
私はペンローズ的な、心とは微小管で量子効果で観測問題でぐーるぐる、という奴を神秘学的たわごとと見倣していますが、それなりに好奇心はあるし、もともと”と”好きだし…と読み始めたのです。
が、考えてみれば判るとおり、目玉の記事は至って真面目、脳を量子場としてモデル化しようというものでした。微小系だろうとマクロ系だろうと、量子として記述しうる場の量子論、その応用としての脳のモデル化というものは面白そうです。
記憶なんかは以外と簡単に記述できそうなのですが、問題はそのモデル化と応用でしょう。
他はやっぱり、いかがわしげでした。
ちょうど「Sense off」なんかやって、SFの雰囲気にこの辺りのネタを感じたので、ちょうど興味が一致して、いかがわしけなのも合わせて、案外と満足度高かったです。
そうそう、「Sense off」は90年代SFな、佳作でした。これもまた、お薦め。
特集は「放射線の危険性と倫理」そして「臨界事故と放射線防護」
その影響についても誇張したものや、逆に過小視するものも未だに多い、見えないし触ることも出来ない、放射線。
我々は嫌でも放射線と付き合わざるを得ません。去年、このことを学んだ人も多かったでしょう。例え原発を全廃したところで、医療などで放射線はついてまわります。そして、知識の無さこそ、真に恐れるべきものなのだと、東海の臨界事故は教えてくれたのだと思います。
バックグラウンド放射線についての知識すら持たない人々の、いわゆる放射線恐怖症、それと対角にあるように見える”バケツ作業”も、根は一つ、”知識の無さ”です。
そしてそれは、自分に縁遠いという錯覚から起こっているのです。記事は”専門家といわれている人々にも基礎的教養に欠けている人たちが多い”と指摘しています。
そう、プロでさえ知識に欠けるのなら、事故った時には我々はただパニクる事しか出来ないのです。
GDBといえば、GASと並んで、使いたくないGNUツールとして知られているソフトウェア、デバッガですが、もし使う羽目になったら、この本を読むのだと思います。
そういう人へ。ご愁傷サマ。
さっぱり判りません。これが判る人は多分、この本を見る必要の無い人です。入門書じゃあありません。いやそれ以前に、役立てようという気持ちが欠如してます。
最近は使いやすいものが増えてきていますが、GNUツールの基本的な姿勢は、使える者だけが使うというものです。
最小限の文字入力、コントロールコマンド、奇妙な出力とオプション。GUIと正反対を向いた、そのインタフェイスを賞賛するヤツは、使ってみてからそういうタワゴトを吐くようにしましょう。
Viと同様な、ユーザインタフェイスの畸形の一例ですね。慣れたら手に馴染む、という意見も勿論あるでしょうが、もちっと直覚的でもバチは当たらんと思うんです。
GNUというのは、その精神の根本的なところで、ユーザという概念を持っていないのです。使うのはあくまでも自己、自分と同じようなヤツなのです。
だから、この本を読むのは無駄です。この本を読むより、あごひげでも生やしたほうが役に立つと思います。
今頃、夏コミの戦利品の紹介をするのもナンですが、しないのも癪なので。
実際、今回もナイスガッツな本は結構ありました。例えば、冒頭の1ページめの「美しい基盤こそが人類にとって、最高の芸術作品ではないだろうか」なるセリフさえなければ、ほとんど半田づけの教科書のような、半田づけ本とか…
創作系はやっぱり好きです。2次創作ってのはいかに愛に溢れていようと、どこか元ネタに依存した弱さを持っているのに対して、コミケ初参加で創作をぶつけてくるような、熱い魂の持ち主には、それだけでシビれるものがあります。
彼の作品を知ってから一年。コミケデビューから僅かなうちに、独りよがりな部分を捨て、洗練し、そして成長していました。
ネタはオセロ。友人が古典的と評した、かっちりしたストーリィテリングと、絵柄こそ違え、どこか平野耕太を思わせる、緊張感の有る見せ方。魅力的なキャラクタ造形。
注文があるとすれば、そう、ゲーム木はゲーム木、フラクタルとはちょいと違います、って位かな。
とりあえず激賞。
女子高生栗本ハルの眼鏡は宇宙刑事である。
彼女とメガネは、日夜、女子高に潜入した宇宙犯罪者、フェテッシュ型宇宙人たちを追っているのだ!
潜伏したブルマー型宇宙人やスクール水着型宇宙人は、見た目で判別するのは難しい。だが、連中にとって、地球人の唾液は腐食性の劇薬。
戦え、栗本ハル! 夜中に下駄箱の上履きを舐めたり、水泳帽舐めたりして!
我等メガネスキーの理論指導者、西川魯介の第二単行本です。
探し探して十軒あまり。神田の書泉ブックマートで確保成功。でも…
表紙がハズカシすぎます。ナンと言うか、”止める奴が居なかったらなったであろう、来たらざりし、永野のりこ漫画単行本の表紙”というか。パルプ雑誌趣味を漫画と食い合わせるとどうなるかというイイ見本です。
見るからにアホだ、というのもまあ、あるんですが。
やー、アホですアホです。細かな芸がまた良い感じ。「ゲバラ焼肉のタレ」とか、カラスのぬいぐるみが呟く"nevermore"とか。
さて、もう何度も繰り返す言葉だが、もう一度。
早く「屈折リーベ」単行本化を!
段ボールの中で震える、小雨に濡れる子犬は、ぼくの目の前で、バットのフルスイングで撲殺された。
危険な改造宇宙生物だったのだと語る彼女に、ぼくは心を奪われていた。遺されたバットを手掛かりに、彼女を探す。
となりのクラスの成恵ちゃん。家はボロアパートの2階。貧乏性で、愛読書は女性セ○ン。そしてお父さんは宇宙人…へ? まあ、べつにいいよね!
どうも、チェック必須らしいので購入。第一話冒頭で心奪われました。アホです。イイ感じです。成恵で非Aデス。
おお、オッケー、と喜んだのもつかのま、1巻後半ではもう普通のラヴコメに。普通のラヴコメに価値はありません(?)。しかし惜しい。物語は既に、天地ワールド的、エントロピー最大な状態です。
後はもう、おパンツ漫画として使命を全うして欲しいものです。
表紙(めがねっこ)で購入。
どこか知らない雑誌に、季刊で書かれた短編が五つ。整理されてはいるが、多分洗練ではなく、でも気持ち良い絵柄と、良い感じの、青臭さ少々、でも何か伝わるお話。
多分、根はギャグ体質なのだと思います。セリフが良い感じだったり、誰も気がつかないような所でギャグに走っていたり。
内藤泰弘に近い感覚、でしょうか。登場人物の誰もが、良い感じです。
肝心のめがねっこは表題作。いわゆるメガネテーマですが、掘り下げ方が非常にイイッス。掘り出し物でした。
その感覚の鋭利さと、繊細さは、未だに美しいのです。
うわぁ懐かしい。Zipはチェックしてましたし、幾つかは保存しています。ただ当時は「ビバ平野耕太! テクノ番長最高!!」ってな時期だったので…
絵柄の確かな三次元把握と、ギリギリまでそのセンスに頼った思い切りのよい絵柄は、見事です。たとえそのせいで、人物のつくりの、硬質な人形のように見えるとしても、その顔立ちが、まるで違う種族のように見せたとしても。
「んでな、俺は昨日思いついたのよ。
アニメのキャラとセックスする方法、ってヤツを」
・
「お大事に」
「お大事に」
雑誌の最後に7ページ、こんな内容の代物持ってくるなんて、編集部の確信犯なのでしょうか。平野耕太デスよ?まっくろな邪悪、背景に笑顔のウンコですよ!
…その他の内容は、98パーセントまで、ユルユル、甘い甘いギャルゲーワールドです。そう、この雑誌は、今や非青年誌にまで侵攻を遂げたPCエロゲー、ギャルゲーワールドの駄目駄目な尖兵の筈であり、その七瀬葵イラストの表紙からして、全てが駄目全肯定である筈なのです。
それが何故。
最近、「ボクもまた、電撃G'sマガジン買わんとイカンのでせうか。駄目なのでせうか。あ、ボクが駄目だっていうのは知ってますから」とか思ったりもする御時世なのですが、陥落してしまうと、今度こそ危ないって気もするんです。
…いや、もう手遅れってのは知っているのですが。
話を元に戻して、そう、この雑誌ですが、濃い連中は平野耕太ってだけで元が取れると思います。ええ私も。
他は無し。「魔砲少女4号ちゃん」?ダメです。しょっぱなからシェルツェン付けてるし。
巻頭カラーは「コミックマスターJ」遂に同人の世界へ。知っての通り、アワーズの編集長は、元コミケカタログ編集長。アワーズというのが元々、ある種同人くささを持った雑誌であるだけに、その切り口には期待していたのですが、もう、駄目かなァ。
気を取りなおして「朝霧の巫女」今月は良い感じです。稗田家の面子だけじゃ、物語的に弱いのではないか、と思っていましたが、やはりそうか。ある種主人公不在だからなぁ。
さて、赤ヘルラーメンなんてあんな怪しげな代物、実在するのでしょうか。
今月のエクセルは、履歴書に尽きますね。バカです。
「TRIGUN MAXIMUM」レガートの登場、ホーンフリークの死、そして、銃を構え相対する四人、いや、五人、いや…
複雑な構図のため、多少判りにくくなっていますが、やー、やはり燃えますね。そして均衡の破れたあとの、見開きを埋め尽くす銃撃。くー。
「GEOBREEDERS」エピソード「オフサイド8」最終話
化け猫たちの壮大な構図が明らかになる。ロサンゼルス級原潜のその巨大な艦影と共に。それは同時に、彼等の払った代償の大きさをも物語っていた。
ま、代償はどこも結構大きかったり。入江もハウンドもバカばかり。ああ、ちゃんと”みずき”って呼んでもらってるぅ…ありがとうございます伊藤センセ。
今月は銃撃係数が低いなんて話がありますが、そういう人は、単行本第1巻を読み返してみましょう。昔は銃撃少ないッス。バカバカ撃ってる人も、今ほどひどくなかったり。
神楽の社長他二名は、逃亡を計画していたり。だって帰るとヒドイ事になるから…
そして、帰ってこなかった社員一名。
化け猫たちが語る、己の運命と、それに抗う意思。次は何か…ってOVAの話じゃん!