特集は80年代SF。目当ては「小さな魔法のお店」ブルース・スターリング!
例えば、彼の「小さな魔法のお店」という作品は、魔法のお店ものの素晴らしい小説であると同時に、魔法のお店ものすべてを嘲笑し、伝統にもとづいた期待を裏切り、更には、全く関連のない技法がもちこまれているため、読者は結末でめまいを感じてしまう。
「私的80年代SF論」オースン・スコット・カード
ずずずずううううううううっと昔から、読みたい読みたい読みたいと思っていた短編でした。この為に、つまんない和製”魔法のお店もの”も読んだんです。
冒頭から歪んでいてお茶目。中盤はお約束を逆手に取るありきたりの展開。そして終盤は、…笑いが込み上げてきます。価値観そのものをあざ笑う快感。
ラストは、スターリングらしい生真面目なもの。まっすぐなメッセージ。こういう所も、私がスターリングの作品を好む理由ですね。多分、決して愛することは出来ないのですが、彼の作品は、この”今”を生きる我々の、最良の、魂の同志なのです。
色々間違いはあるし、物語的にも実のところ成立していないんじゃないか、とも思えるのですが、雰囲気だけは最高です。
この雰囲気、というのは、それらしい、とか、そういう感じじゃ無いのです。冒頭のVHF帯で会話している所でいきなりコケましたから。静止軌道から高度600キロ、軌道傾斜角28度の低軌道に遷移するのに、どう考えても大気上層まで降りるのは無駄です。普通は、位相合わせを巧みにやってHSTが昇交点を横切るところでランデブ、そこで軌道変更というものでしょう。凝って、月周回で…というところ。
TFPもすっごく最新のブツ、という訳でもなく、次世代の天文学ハードウェアの主流は、近傍恒星系観測用の光学干渉計だというのは、良く知られた話なのです。詳しくは今月の日経サイエンス(2000/12)やパリティ(2000/08)誌を参照して下さい。
お話的にも、系外地球型惑星がそれほど重要とは思われないのでは、とか、まぁ色々あるのですが…
ただ、読んだ時、確かに高揚を覚えたのです。この感覚は”新鮮さ”です。この得がたい感覚を、私は何よりも素晴らしく思います。
だから、物語がいかに破綻し果てようとも、私は賞賛します。それがSFというものだと思うのです。
次世代データフォーマット、XMLとは、SGMLの流れをくむ、タグマークアップ言語によるテキスト整形化されたドキュメントの、フォーマットそのものを定義する規約です、というのは、まぁここを読まれている人ならご存知のことと思います。
メタマークアップ言語、つまりフォーマットの定義規約を守る限り、それは自作のへなちょこでもXMLドキュメントです。で、将来的には他のアプリケーションと組み合せたり受け渡しがが楽になる、薔薇色の規約として、例のいかがわしげなIT革命の中枢技術と目されているのですが…
XML規約自体はかなり単純なのですが、問題はそれを解釈するソフト(パーサ)の方です。結局、パーサを作れる奴しか今のところ美味しいところを頂けないのが問題です。しばらくしたらMozilla(MathMLが本格的に使えるようになりました! いやっほう!!)とXULで…とも思うのですが、せっかくだからパーサ作り、構文解析の勉強をしています。そう、ついこないだ、two-lineフォーマット読めるようになったのです。
さてこの雑誌、私のレベルなぞ遥か先を驀進しており、先端の雰囲気を味わうことができます。例えば…特別企画2「XMLとJavaによるゲーム開発」
いやー、美味しいです。いわゆる”ヴィジュアル/サウンドノベル”形式のゲーム(今や単純にゲームに含めるかどうか、疑問の分野だと思うのだが)の為の、XMLマークアップ言語と、そのためのオーサリングシステムの実装です。
大抵このタイプのゲームは、データとシナリオスクリプト、そしてプログラムの三つに分離しています。シナリオスクリプトは大抵の場合構造化されておらず、言語として不完全なタグによって制御されます。
好例として、NScriptorとDNMLとを挙げておきましょう。DNMLについては、SGML化したDNML(XNML)が構想されていますが、そこでの議論は今や完全に迷走していると思えます。
この特集で扱われた、月山GSML/GEMLは、XML準拠であり、オブジェクト指向の恩恵による柔軟さと大規模開発への適合性を持ちますが、オブジェクト指向によって、シナリオから透明性が失われており、その為、むりやりGOTO構文を実装する羽目になっています。
思うに、シナリオにはオブジェクトとして扱う部分と、ステートマシンとして扱う部分とに分けるのが自然なのでしょう。特にアクタ、登場人物はオブジェクト化されたスタリル記述フォーマットで記述するのが自然だと思います。
登場人物の特徴記述を1箇所で行ない、シナリオ上での振る舞いを自動化するのです。多人数開発の為にも、演出とキャラクタ、そして脚本を分離すべきでしょう。例えば、三行表示は、演出の領域であり、シナリオがそれを意識しないシステムが必要なのです。
この辺り、考えていくと非常に面白いです。
しかし、月山3.0用ゲームキャラCG、村長さわ?
目当ては、中国のプロジェクト921、有人宇宙飛行計画の記事。貴重なフェアリングのアップ写真と、リカバリーシステムの動作試験の写真は収穫でした。
フェアリングのアップで、横についている4枚の板、格子になったすのこ状の板だったのだと知ることができました。思ったのですが、軍用の空対空ミサイル、R-77”アムラームスキー”の格子状テールフィン、80年代の登場時には結構驚かれましたが、歴史は古かったのですね。超音速領域では、この形状が良い性能を出すそうです。
多分、N-1の一段目の板も、この格子状補助翼なのだと思いますが、そうするとこの奇妙な形状、歴史と伝統のあるものだったのですね。他にはあまり知られていないのが勿体無い気がします。
記事そのものは結構しょぼく、他の記事も、読む価値無し、と感じるものばかりでした。ただの単なるグッズ雑誌です。グッズのテクノロジー解説をするにしても、どのような大仰な横文字が使われているかを列挙するだけであり、サイエンスというより魔術の解説に近いものになっています。
横文字の、ブラックボックスの列挙に満足してはいけません。それは形を変えたテクノロジー万能信仰に他なりません。もっと踏み込むべきです。検証可能な領域を積極的に扱うべきです。
テクノロジーを理解すること、科学を理解すること、それこそが科学を魔術と峻別する、最も重要なことなのですから。
結構毎月買っていたりする、好きな雑誌なのですが、今月のclose up「出雲重機」には少々カチンと来ました。重機のディテール使って架空の機械をデザインしているのですが、元の重機に対して、ちゃんと観察してないし、ところどころに不用意なディティールを配しているために、結局のところメカフェチの妄想以上のものに脱皮していません。ヘボです。
少なくとも、油圧シリンダー位はきちんと観察しましょう。ミニフォークもよく見ておきましょう。押井守のアニメに出てきそうなディティールは、もはや古いものです。
ハードウェアのデザインと機能とは、不可分であり、不可分であるべきだと思っています。私が車のデザインに興味を覚えないのは、それが今や機能に関係の無いものとなったからですし、ロシア機を好むのは、それがむき出しの機能となって表出しているからです。
特にロシア機のデザインは、その極端な単能性、単純性を指向した機能のお陰で際立ったものになっています。極端な合目的性を志向する設計は、汎用性を奪ってしまいますが、私は一般に機械設計、デザインは単能が望ましいと思っています。(実のところ自分は、ソフトウェアのインタフェイスデザインでも、ロシア的なものを指向しています)
架空のデザインは、架空の機能を表現する、強力な力を持っています。
それは、今だ実装されない未来を約束するような輝きを放ちます。
実は、宇宙機のデザインを産業デザイナーにしてもらえないものか、野田さんと話し合ったことがあります。川崎和男デザインの宇宙機なんて、きっとスタイリッシュでポストモダンの鋭利さを持っているに違いありません。
「電動ファイト」!それは、電動四脚メカ”マシネット”によって闘い合う、最も孤独なスポーツ!敵を押さえ込み、機体後端のプラグを相手側に差し込めば「勝ち」という、ちょっぴりHで愉快な競技だ!
続けざまの西川魯介単行本、遂に第3巻です。とはいえ、売れている作家では決して無いので、こいつも秋葉原まで行かないと買えませんでした。
今回の表紙はミニ四駆のパッケージを模しています。しかも背表紙は例のミニ四駆漫画の背表紙を模したものです。こいつを本屋のコロコロコミックの棚に紛れ込ませてやりたい気がしますね。
ドラゴンマガジンに掲載された中篇1つを除いて全てエロです。アホです。眼鏡っコとショタの電動ミニ4脚ゆかいまんがとか、セトの花嫁とか…
「大いなる女装」の最後の一文など、その文章の格調と裏腹のアホさに涙を禁じえないでしょう。
もともと掲載誌がやたらチェックしづらく、こうして初期作品も含めて相当分が読めるようになるとは、全く嬉しい限りです。
そして勿論、ナイス眼鏡っコが一杯です。皆もさぁ、改宗しましょう。ここの人(11/2の日記など特に注目)みたいに。
しかし、最後のおまけ漫画、元ネタ気が付いた人、どのくらいいたのでしょうか。「ドラゴンズヘヴン」なんて、懐かし過ぎます。
奇妙なパワーゲームの新たな幕が、平和な都市を舞台にして始まる。焦点は、猫たちの核。非現実が今、現実を侵犯する!
爆発と衝撃。白昼、都市は戦場と化した。新入社員を迎えて平和そのものの、我らの神楽総合警備もまた、その戦いへと巻きこまれてゆく。
命がけのサラリーマンの物語は、いつどこで猫たちの物語と交差するのだろうか…
吹き飛ぶ警察のパトカー、ロシア製地対空ミサイルに撃墜される海上保安庁のヘリ、爆走する90式戦車、清掃車から展開する厚生省の犬たちの挟撃。都市高速の高架下に潜り込む米海兵隊のコブラに、化け猫たちのトラックが反撃する!
凄まじいばかりのバトルロイヤルを、伊藤明弘は尋常ならざる構築力で描ききります。吹き飛ぶ貨物倉庫。高架下を舞うヘリが吹き飛ばす工事用フェンス。そして緻密な伏線。今回のエピソード、実は本誌の今月号(2000/12)で終わるのですが、そこで明かされる背景と照らし合わせると、実に沢山の伏線が機能していたことが判ります。
単行本化にあたって、更に構成は練られています。加筆は毎度の事ながら大量です。細部も、例えば、目次と次のページの絵柄が対応しているなんて、心憎いばかりです。
読みどころは「妄想戦士ヤマモト」小野寺浩二。アホです。アホ過ぎます。
せっかくのカラー1ページ使って、「エロ様万歳ーっ!」です。これで巻頭カラーやったら凄いだろうなぁ。イヤだけど。
ヤローだったら絶対泣ける、アホエピソードの数々。せつなさが炸裂する”魂共振デスマッチ”、そして死ぬほど痛いツッコミ。
しかし、それを越えて名言「男はみんな、地に堕ちるとわかっていながら太陽を目指してしまう、悲しきイカロスなのだ!」が、読む者の心に響きます。漢泣き必死。
駄目人間の心に深く染みいる、悲しい物語なのかもしれません。
今月は色々と笑いどころ多かったですね。エクセル冒頭のオーナーの勇姿、迷彩君宅のでかいSAFS、乱裁道宗、そして我ら二班の休暇の過ごし方…
今月の見所は、今頃学園ラブコメに突入、の学園巫女さん漫画「朝霧の巫女」、王道とはやはり良いものですなぁ。主人公忠尋が、夫婦漫才できるほどに性格が柔らかくなったのが印象的です。
平野耕太「HELLSING」くはー、インテグラ様ぁ。相変わらずセリフ良いなぁ。シーン良いなぁ。
内藤泰弘「TRIGUN MAXIMUM」、レガートが色々とどんどん壊れています。…あと、あの飛行船、浮力足りない気が。
さて、今月の「GEOBREEDERS」はインターミッション。
入江の新秘書、ウーロン茶缶代を出されるのを黙って待つ、あの性格が気に入られたのでしょうか。…もしや役人戦隊に”ピンク”誕生?
ハウンドのキャンプ、一体どんな場所にあるんでしょう。どうもOVA”XX”直前の話のようで、…また単行本化する時に色々ありそう…
で、最後にタイトル?おお。