ウルトラスーパグレイトフルな傑作です。(と常々主張してきたのですが、誰にも理解してもらえなかった。ああ、感涙)
裏表紙の惹句はまるっきり「宇宙戦艦ヤマト」なのですが、「ウィリアム・ギブスン、てめえこっからパクったな!」的にサイバーで、「銀〇英〇伝説なんて、おなかのらっぱがプーだ!」的にかっこいい艦隊戦をやって、しかも神秘的にまでに難しいプロットとアイディア、まさにSFのなかのSFなのですが、予備知識と、省略されている部分の推論を大量に必要である点が、ちょっと、ほんのちょうっと、難点になってます。
それにしても、こいつを傑作と言ってくださる方に会えるなんて!(感涙の嵐)
>でも、結局何がどうなったのか理解できた人に私は会ったことがない……(笑)
今では理解できるようになったと思っています。
何せ20回以上読みましたから。(おい……)
一口でいえば、「宇宙の戦士」のベトナム版です。千年におよぶ戦いをウラシマ効果により体験することとなった一人の兵士の物語で、とにかくシリアスでリアル、軍隊と戦争の非情さを語る物語です。
ちなみに、ジョー・ホールドマンは、あのカルト実写巨大ロボットムービー、「ロボジョックス」に一枚かんでいたようです。
何も言うことがない傑作なんですが、一言、ビジネスジャンプで連載中の「銃夢」はこいつの影響を多分に受けています。(しかしザレムって赤道上にあるんだろうか……)
さて、今のSF者として、お薦めするのは、「ああもう10年になるのか、サイバーパンクって」作品の中から代表して、
かっこいい! これに尽きます。チバ・シティ、キリンの生、アサヒ・シンブンニュースファクス、ROM人格構造物(そういえば昔、ただのROMカートリッジを、ROM構造物って呼ぶのが流行ったとこがあった)、ウイルス・ソフト、そしてサイバースペース。コンピュータでアートやってる連中は、大抵これにハマった経歴を持っています。ただ、難易度は少し高めです。
これもかっこいい! 「初めての方はこちら」的な、しかし長編に劣らず電撃的な作品ばかり、というか、「ベスト版なみの完成度を持つアルバム」というか、とにかく「記憶屋ジョニイ」でも読んで、カッコ良さにしびれてください。
スペースコロニーや放棄された地球、宇宙で進化する人類など、どことなくガンダムの世界をほうふつとさせる世界なのですが、はるかにリアル、刺激的で衝撃的です。大量のテクノロジーと思想が人類を引き裂き、変えていく叙事詩として、荒々しい迫力にみちた傑作です。
これを読んだが最後、あなたのものの見方はまったく違ったものとなるでしょう。スターリングの作品は、一作一作が既成観念を破壊する爆弾なのです。
おすすめは「下」の、「確率パイプライン」、これは「永野のりこに描かせたい!的にアレ」で、しかもしっかりカオス理論がわかってしまうすぐれものです。ちなみに「ジュラシック・パーク」の中のカオス理論の説明は、まったくのデタラメです。クライトンは二流です。(キッパリ)
******さんへ。 「宇宙紐だった男」ですが、宇宙紐というのは、ビッグバンのさいに生まれる可能性のあるひも状の空間の欠陥のことで、大質量と超伝導性を持ち、そのひもをぐるり一周しても三百六十度なかったりとおちゃめな性質を持ち、いわゆるダークマターの候補の一つとされている代物ですが、ラッカーはただ、エッシャーの絵をただ作品の中に使いたくて、その合理化のためにむりやりこれを説明に使っただけのようです。
ま、数学者のエッシャー好きはペンローズ以来の伝統ですから。(苦笑)