旧ソ連SFの最高峰。かつては発禁にもなったストルガツキィ兄弟の代表作。
タルコフスキー監督によって映画化もされました。(しかし、原作と映画との相違は「2001」よりずっと大きい)
泣けました。
異星存在が残していった謎の”ゾーン”。既成の物理法則をあざ笑い、死と謎に満ちた土地に侵入する”ストーカー”。
そして、心の奥底の、根源的な願いを叶えてくれるという噂の、"黄金の玉"
ヤンキーの書く脳天気な代物とは違う重厚なディティールと文体。(兄弟のどちらかは日本文学を研究している大学教授だったはず。どっちでしたっけ)
そしてロシア的な重い哲学性。
そう言えば、昔は紀伊国屋書店なんかにストルガツキィ兄弟の「願望機」(”ストーカー”の別バージョン脚本)とか、「そろそろ登れかたつむり」とか「みにくい白鳥」などといったハードカバーを置いていたものですが……
悲しいです。
自分のSFベスト10には必ず入れる名作です。
中性子星では、その星の重力加速度があまりに大きいため、原子の電子殻構造は崩壊し、核子が直に積み重なり、密度は絶大なものとなります。
核子間の相互作用は、地球生命の利用する電子による化学反応の100万倍早く反応します。中性子星の上に現れた生命は、恐るべき速度で進化し、知性を獲得します。
彼らは人類の探査船と接触し、未開の状態から、接触後1日以内に人類のテクノロジーレベルをはるかに越えてしまいます。
とことんまで考証し尽くされた結果、はるかにとんでもなくなった中性子星人の社会描写は見物です。