読み返して、クラクラしています。
カッコイイ文学とは、これだ。
切れる、渋い、深い含蓄を含みながら軽快で、そして感じるのは、その世界の苦さ。他の文学とは解像度が違う。
今ならこの作品が理解出来る。なんとか。難しいが。
感じる。この世界をかたちづくる推論と証明。
エンジンの響き。
核戦争により文明が崩壊して数百年後、そしてまた数百年後、そしてさらに数百年後。
人の子の子の子の子の、その子孫のために、前文明の残した総てを保管し、守りつづける荒野の聖リーボウィッツ修道院。
すでに守るものの意味は失われ、荒野の時代は続く。しかし僧達は、蛮族に対して弓を取り、書を暗記し、暗い地下室での筆写で盲いてゆく。
人類は愚かだ。彼ら僧達も含めて。歴史は繰り返される。
エデンが近づくたびに、人は失望する。善を行おうとして、悪が行われる。愚かな賢者たち。
宗教的な雰囲気が強い作品ですが、心に強い印象を残す作品です。
含蓄はとほうもなく深いです。人物の細かな描写が、日々の生き方が、長大なタイムスケールを印象づけます。
穏やかだが、悲しみを含んだユーモアが救いになっています。
ぜひ、読んでみて下さい。