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January,7,1997

そう、行きました。冬コミ

NHKスペシャル「映像の世紀」見ながら、

「ほぉー、ウッドストックって、参加人数30万人かぁ、さほどぢゃないな」

等と思ってしまったのも、29日のあの光景を見たせい。

最も確実と思われたバスを使い、有明着が10時ちょい前。見渡す限り、オタいや、人、人、人。大地を埋め尽くす民衆のえなぢー。

2月に放映終了の某大河アニメ(後番は「キューティーハニー」)に魂を捧げている同期と一緒に行ったのですが、

「これみーんな、オタなんだよなぁ……感激」

「ちょっと計算してみたんだが、ここで1人が出す熱量を2000kcalと仮定して、10万人が6時間で放出するエネルギーをワット数換算すると……」

「…………ヲタク火力発電所……」

「なあ、ここにいる全員を1立方メートルまで圧縮したら、絶対、核分裂反応を起こすな」

「ああ、絶対、核分裂する」

「ところで、もう会場、開いてるんだろ?動きが全然無いんだが」

「しょうがないんじゃない?ここ、最後尾だから、入れるまであと1時間はかかるよ」

「はえ?」

確かに、地平線の彼方を、聖地へと向けて行進する巡礼達の姿が遠望された。

「向こうじゃちゃんと動いているのか……なんて人数だ」

「自動作曲の基礎論」
著者:
暗黒通信団
分類:
同人,小冊子

こういうのがあるから、油断もスキもあったもんぢゃない。

内容はなかなかに高度です。はっきり言って、理解出来ません。

複数の安定度パラメータを骨子として、和音、転調、音階遷移等を制御するというものらしいのですが、こりゃ昔のAIのアプローチですね。多分、自動作曲された曲は、一定水準以上のものには決してならないでしょう。

夏コミには「自動ストーリ生成理論」出てるといいなぁ。

「GUN RANGE 12,000」
著者:
谷甲州
出版社:
害惑星連合
分類:
同人,小冊子

谷甲州ファンによる、短編「砲戦距離12,000」の英訳です。

谷甲州を世界に広める、遠大なる計画の第一弾です。

私は英語ダメですからよくは分かりませんが、ちゃんと英訳されているのではないでしょうか。本来、やたらと渋い短編なのですが、イラストがあまりにファニーなために、私の中のイメージがぁあ。

「FSL52 仕様解説書」
著者:
STUDIO BANSHEE
分類:
同人,小冊子

……負けました。

例の「宇宙戦艦基本設計」、とりあえずホームページに上げて、未完成ながらも気合の入った出来に、内心ビクトリー!、だったのですが、

「……・何だよこの描き込み」

二足歩行戦闘ロボットの仕様書です。80ページに渡り文字ぎっしり。内容は堅実緻密、まさにハード。恐らく、技術屋が複数人関わっています。

……しかし、このロボット、運用できるんかいな。

「マン・プラス」
著者:
フレデリック・ポール
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

上司に貸そうと思って、手にとって、久しぶりに読み返しました。

物語の骨子は簡単、一人のフツーの男が、火星で生きるサイボーグになるまで、です。彼を解剖し、分解し、新しい部品で組み上げ、チェックをし、デバッグをし、一個のサイバネテック・オーガニズムと化すまでの丹念な描写を軸に、”第三者”の冷静な視線が関係者の生活と未来世界を描いてゆきます。

きっちり意外なオチまで用意してある所なんて、巧いですねぇ、ポール。

まあ、細部には異論はあるのですが、お勧めです。

「ストーカー」
著者:
A&B・ストルガツキー
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

ストーカー、うーん渋い響き。

最近ハヤリのストーカーって、こういう事をする人だと思っていました。ストーカー犯罪、彼らはどんなブツを”ゾーン”から持ち帰ったのか……

嘘です。すいません。

しかし映画は、まるっきりタルコフスキーワールドですね。悪いとはいわないけど、近代SF的な、言うなれば”80年代的”なハードな原作とは別物です。

異星からの訪問者によって残された”ゾーン”そこは、あらゆる理論が狂い、理解を否定する謎の領域。そして、閉鎖された”ゾーン”から、異様な物品を不法に回収する、ストーカーと呼ばれる人々。

主人公シュハルトの最後の侵入、それは、人の心の奥底にある望みを叶えるという、”黄金の玉”を回収するためのものだった……

何度再読しても、感動します。

超絶的にお勧めします。「最近流行のストーカーものだ」などと言って買わせて、ソヴィエト最良のSFに歓喜の涙を流させましょう。

「日経サイエンス 1997年2月号」
出版社:
日経サイエンス社
分類:
科学,雑

「火星の水はどこに消えた」雑誌表紙のCG、赤い地表に豊かな水と雲、そして雲間に二つの月、こりゃ扇情的に過ぎるのでは……

「見ないで物を観る量子論的方法」買ってからずっと読み返し中ですが、まだきちっと理解できません。

まあ、自分に理解できたトコロでは、つまり、こういうコトです。

光は粒子と波、両方の性質を持ちます。従来のEPR相関などの量子実験では、この事実に基づき、「観測していないにも関わらず、観測される可能性があるだけで波動関数が収束する」現象を使って、相互作用無しの知覚実験を行っていました。

これまでの実験では、光は粒子と波、二つのモードしか取り得ないため、波動関数の崩壊を観測しても、それが観測の結果なのか、それとも観測される可能性があっただけなのかを区別出来ませんでした。

この記事では、波の傾きをすこしづつ偏光させて、90度光が偏光するまで、何度も同一空間を往復させます。これにより、光に多重なモードを持たせたのと同様の結果を得ました。偏光ビームスプリッタ、つまり、特定の偏光のみを取り出すプリズムを用いることによって、取り出した光路で観測を行わせるのです。多重モードの不特定な一つが相互作用するだけで、全体の波動関数は崩壊、収束します。

さて、この多重モードを十分に増やした場合、「現実に相互作用が行われる可能性」は限りなくゼロに近づきます。にもかかわらず波動関数の収束は起こるのです。

……さあて、これはEPR相関に利用できるのでしょうか。観測個所と十分に離れていても、波動関数の崩壊は即時なのでしょうか。超光速即時通信は可能なのでしょうか。

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