確信しました。SFは無敵です。
クズSF論争の真の解を得たければ、これを読みなさい。
一読すれば、90年代のSFなど、クズだったことがはっきりと判る。
奇想と思弁と跳躍、この三つを90年代はどこに忘れてきたのか?
価値観の再確認ではなく、価値観の破壊こそがSFの力ではなかったか?
「天使墜落」に出てくるようなSFファンに煮え湯を浴びせ、簀巻きにして滝壷に叩き込む。それこそが最先端すなわちSFの使命ではなかったか?
すべて、ここにあります。
スターリングは未だ先端にいます。変化し、ぬるぬると掴み難く、65535本のナイフで読者の頬をなぶりながら、嘘っぽいアジ演説を吹き込む。それは偽装タイプの悪質なミームで、読者が落ち着いて彼を分類に掛けようとする頃、祖先種の凶暴性をむき出しにして、獲物のBIOSを書き換えにかかるのです。
えーと、ここまで読んで、本格SFかと期待された向きには残念ですが、スターリングの作品は基本的に、読者の期待に添ったりはしません。
どちらかというと、地味な短編が多いです。派手で一読強烈なのは、ごく短いもの、例えば「われらが神経チェルノブイリ」「あわれみ深くデジタルなる」「ダモクレスの剣」などです。こいつらは、ハードカヴァーなんて買えないよという方に、立ち読みでの一読を強くお勧めします。
長めのものは、ねちっこいリアルな描写と、そこに仕掛けられた曲率が待ち構えています。大抵、人の生き方とかコミュニケーションとか(正確には違う。取り上げられるのは、未だ名前のつけられていない、現代的な問題だ。従って、実際に読まねば、問題にすら気づかないだろう)、そんな主題を扱い、少し重め。派手なアィディア抜き、強烈なラスト抜き。
しかし、読むべし。SFとは何か、SFに何ができるのか、ここで知ることができるからだ。どんな不感症のひねた冷笑家のSF読みの心にも届く、認識を変えるメッセージを受け取ることが出来るからだ。
さて、内容ですが、「われらが神経チェルノブイリ」は、別のハードカヴァーのアンソロジーにも収録されていましたが、やっぱイイッスねぇー。スターリングにしてはアイディアは抑え目ですが、逆に、SFでありがちなパターンを牽制して嘲笑するあたりがニクイし、細かい部分でニヤリとさせてくれてナイス。
「宇宙への飛翔」は、以前「宇宙攻略」という題でSFマガジンに載ったやつです。ラッカーとの共作にしては狂っていない、と不満の方もいるかもしれませんが、主人公の共産者心理の婉曲的表現に笑いが込み上げてきてグー。
「あわれみ深くデジタルなる」は…………良すぎる。良すぎます!!!
エート、ここで、全部紹介するのは疲れるので(……)残りの読みどころだけちょっと。
それは、「ダモクレスの剣」の底に流れるスターリングのスタンス、「湾岸の戦争」のラストの会話、「ボヘミアの岸辺」のその洞察、「ものの見方の違い」の、読み終わってから気付くその題の意味、「ドリ・バンズ」の主人公二人に、そして我々に向けられた、切ない哀悼。
真に現代的、90年代的です。これこそが90年代のSFです。
それにしても「クリスタル急行」、何時になったら翻訳されるんだろ。そして次にチャガヌータ物が読めるのは何時になるのだろう。読みたくてたまらないのに。
ただ面白いSFなど読みたくない。読みたいのは、自分を切り開くSFだ。
「ヴァート」の世界(というか、マンチェスター)を舞台とした、ポストモダン美学のファンタジーです。
花粉といっても、街が花で埋まって花粉が飛びまくるという話で、戦争といっても、ヴァート世界の少女が一人、現実世界に引っ越ししようとしただけの話だったりします。しかし、イメージ的には抜群のものがあります。
ただ、やはり物語の印象は薄いですね。それに、直後に「グローバルヘッド」読んでしまいましたし。
同人活動の増大、インターネット上のホームページの爆発的増大とは同じ根、自己表現欲求の拡大を示しており、いずれ近い時期に表現者のビッグバンが起きると……
そんな考えも、実際の物量を目の前にすると、麻痺するしかありません。
うひー、なんでこんな本、こんな趣味。人のことは言えないけれども。
しかし、このカタログって結構貴重なサブカルチャー資料ですね。現代の下層文化地図をきれいに写しています。きちんと解析してマッピングすれば、日本の文化構造そのものを可視化できそうな気がします。可視化できそうな、確たる実体がある気がします。
最後に一言。
「何故、何故、ジオブリーダーズ系のサークルが一つも無いのじゃー!!!冬には結構あったのにぃー!!!(泣)」
自分はPS持っていません。ゲーム機持っていません。何故買ったかといえば、平野耕太が自分に内緒で(……こればっか)連載していたナイスバカ漫画「進め!!聖学電脳研究部」のため。
やー、ナイスバカっす。メガネ少女綾瀬ちゃんが「ジオブリ」の高見ちゃんコンパチに見えるのは気のせいか。何か、他の書きなぐり系作品より気合が入っているような気もします。どこに気合いを入れているかは不明ですが。
あとの記事は……なんだかなぁ。こんなゲームが流行っているのかぁ。ふーん。(全然興味無しのポーズ)
特集は「遺伝子治療の夢と現実」やはり、レトロウイルスをベクターに使うというのは、「われらが神経チェルノブイリ」のようには巧く行かないようです。しかし、ベクター開発はかなりの進歩が有ったようで、そこから新しい知見や、別用途の応用なども出てきそうです。
「変幻自在に回路を変えるプロセッサー」つまり、FPGAです。そんなもの仕事場では3年前から使ってらぁ(えっへん)。ADEOSIIには確か8000ゲートかそれ以上の規模ののFPGAが搭載される見込みです。
FPGAは大別して3つに分類できます。まず、ロジックを書き込んだら最後、書き換え不能なヒューズタイプ。これはメモリでいえばマスクROMに相当します。速度は結構速く、素子も結構頑強です。次は書き換え可能な、EEPROMに相当する品種。そして最後は、電源投入後、ロジックをロードすることによって動作する、RAMに相当する品種です。この記事に書かれた、高速な書き換えが可能なタイプというのは、三番目のタイプです。
書き換え可能なロジックというのは、言ってみれば、Z80を8086に書きなおす事だって可能な訳で、つまり無限のアップグレードの道が開けたのです。
FPGAブロックを内蔵したMPU(SHシリーズに出ている)や、汎用のロジックデータの販売といった傾向がこれからも続けば、例えばCPUコアとメモリ、FPGAブロックをワンパッケージにした石の出現も、もしかすると来年あたりには……
そうなると、究極のMPU、電源ラインとツイストペアケーブルしかラインの無い石も、登場が近いのかも。
ところで、個人でFPGAを使う方法ですが、これが激安でできるんです。必要なのは、DesignWaveMagagine誌第6号「デスクトップASIC開発のすべて」の付録CD-ROMと、秋葉原のT-ZONEアップグレードセンターの二階で\2000で買える、LatticeのpLDLSI 1016という石です。ゲート数は1000程度ですが、その気になれば結構入ります。また、書き直しがいくらでも可能なので、コストパフォーマンスは非常に高いです。
付録CD-ROMの中のSynarioというソフトをインストールするわけですが、これはWin3.1もしくはWfW環境、そしてWin32s上でしか動きません。95やNT上では動かないんです。あと、石の仕様や、ロジックのダウンロードの方法などは、CD-ROM内のPDF形式ドキュメントになって入っています。
上海ドラゴンモデルからCZ-2E長征ロケットが出る(\4400)というのにはびっくりしたが、どうもハセガワからH-IIも出る(\3800)らしいです。もう発売中であるはず。何故模型屋で見掛けないのだ?
久しぶりにソ連戦車の作例もあって、それがなんと多砲塔重戦車T-35に、現在も世界各地で使われる(……)名機、T-35/85。かっこいい……。
久しぶりに読者ページの投稿イラストコーナーに載りました。ペンネームですが、一目でわかるものです(笑)。
しかし……、1/1ルリルリフィギュア?